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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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第三の使徒と災厄の魔女の怒り

第一王子アレス・エル・フェルディア


王とは何か。


強さか。


優しさか。


その答えを探し続けていた男がいた。


フェルディア王国第一王子。


アレス・エル・フェルディア。


父アルバートの理想を「甘い」と切り捨て。


妹フィリアの優しさを「弱さ」と否定し。


弟レオンの平和への願いを「愚か」と笑った男。


しかし、誰よりも国を愛していた。


誰よりも民を守ろうとしていた。


そして誰よりも――


孤独だった。


そんな彼の隣に現れた一人の女性。


ルクレシア・フォン・ヴァルディア。


美しく、聡明で、王妃に相応しい女性。


アレスは初めて、自分の弱さを見せられる存在を得た。


愛する妻。


未来を共に歩む伴侶。


そう信じていた。


だが、終焉神ゼロスの影は、すでに王都に忍び寄っていた。


誰も知らない。


最悪の絶望が、最も近しい人の姿をしていることを――。

第三十二話「第三の使徒と災厄の魔女の怒り」


王都フェルディア。


終焉病は静かに、しかし確実に広がっていた。


咳。


高熱。


そして黒い斑紋。


人々は恐怖に震えていた。


しかし、王都の門は閉ざされていた。


「タクト・フォン・レーヴェンの入城は禁止!」


第一王子アレスの命令は、今も生きていた。


◇◇◇


「これでは患者を診られない!」


タクトが拳を握る。


フィリアも悔しそうに唇を噛む。


「兄上……」


その時。


王都から使者が現れた。


「第一王子アレス様より」


「決闘を申し込む」


「決闘?」


「勝てば王都への立ち入りを許可する」


「負ければ二度と王家に関わるな」


エドガーが怒鳴る。


「馬鹿か!」


「病人を前に何を考えている!」


ベルゼリオスもため息をつく。


「相変わらず不器用な男だ」


◇◇◇


フィリアは立ち上がる。


「兄上の相手は私がします」


「フィリア!」


「大丈夫」


「私は王家の娘です」


その後ろには王国銃士隊。


忘却の森から来たミレイア。


そして、各国から集まった冒険者たち。


S級冒険者ガルド。


女剣士リゼット。


獣人の戦士バルガ。


彼らはタクトに恩を受けた者たちだった。


「先生のためなら」


「命くらい預ける!」


◇◇◇


その頃。


王城。


アレスは苦しんでいた。


「ぐっ……」


「咳が……」


傍らにいるのは夫人ルクレシア。


「あなた」


「これを」


彼女は紫色の液体を差し出す。


「謎の薬です」


「必ず良くなります」


アレスは飲み干した。


「助かるなら何でもいい」


しかし。


その瞬間。


黒い血管が全身に広がる。


「なっ……!?」


「これは!」


ルクレシアの笑顔が変わった。


「ふふふ」


「やっとね」


アレスが目を見開く。


「まさか……」


「お前……」


その瞳。


その声。


「第三の使徒……!」


ルクレシアは笑った。


「正解」


背中から黒い翼が現れる。


「私は第三の使徒」


「リヴィエル」


「終焉病を育てる者」


「そして」


「あなたの可愛い妻よ?」


アレスは絶望する。


「そんな……」


「ルクレシア……」


「愛していたのに……」


リヴィエルは冷たく微笑んだ。


「愛?」


「そんなもの知らないわ」


「あなたは利用しやすかっただけ」


◇◇◇


その時。


忘却の森。


ミレイアのティーカップが砕けた。


「……最低」


「女として」


「妻として」


「一番やっちゃいけないことをしたわね」


ベルゼリオスが震える。


「友よ」


「逃げろ」


「ミレイアが本気だ」


エドガーも青ざめる。


「終わった……」


アザルとセレナは抱き合う。


「第三の使徒」


「可哀想に……」


そして。


災厄の魔女ミレイアが立ち上がる。


その背後に現れる無数の魔法陣。


「私の可愛い孫娘を泣かせて」


「病人を苦しめて」


「妻の愛を踏みにじるなんて」


紫の瞳が輝く。


「リヴィエル」


「おばあちゃん、怒ったわよ」


第三十三話「第三の使徒リヴィエルと裏切りの王妃」へ続く――。

ルクレシア、そして第三の使徒リヴィエル


第三十二話をお読みいただき、ありがとうございました。


今回、ついに正体を現した第三の使徒リヴィエル。


そして、その仮の姿であったルクレシア。


彼女は王都の誰からも愛される貴族令嬢でした。


第一王子アレスもまた、本気で彼女を愛していました。


だからこそ。


その裏切りは、病よりも深くアレスの心を傷つけます。


愛していた相手。


信じていた妻。


共に国を守るはずだった人。


その全てが偽りだったと知った時。


第一王子アレスは何を思うのでしょうか。


怒りか。


憎しみか。


それとも――。


一方、忘却の森では。


災厄の魔女ミレイアの怒りが頂点に達していました。


病人を苦しめたこと。


家族を泣かせたこと。


そして何より。


「愛」を利用したこと。


それは、千年前に白き賢医レオニスと共に生きた魔女が、最も許せない罪でした。


次回。


第三十三話「第三の使徒リヴィエルと裏切りの王妃」


「愛を弄ぶ者に、幸せになる資格なんてないわ」


千年の時を生きる魔女。


そして、裏切られた第一王子。


王都を覆う終焉病。


運命の戦いが始まろうとしていた――。

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