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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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災厄の魔女ミレイアと忘却の森

災厄の魔女ミレイア


忘却の森。


神も魔王も近づこうとしない禁断の地。


そこには、一人の魔女が住んでいた。


災厄の魔女ミレイア。


病を知り。


呪いを知り。


神々の時代から生き続ける、誰よりも古き存在。


大魔王ベルゼリオスですら「ベルちゃん」と呼ばれ。


神手の医師エドガーを「エド坊」と呼び。


泣き虫だったアザルの頭を撫でて育てた。


彼女にとって千年など、ほんの少し昔の出来事。


しかし今。


終焉神ゼロスが生まれたばかりのレオに手を伸ばしたことで、永き沈黙を破る時が来た。


「全く」


「神様っていうのは、どうして揃いも揃って問題ばかり起こすのかしら」


そう呟きながら、彼女は紅茶を一口飲む。


そして、黒猫の傍らで眠る赤子レオを優しく抱き上げた。


「安心なさい」


「おばあちゃんがいるわ」


まだ誰も知らない。


災厄の魔女ミレイアと白き賢医レオニス。


二人の間に隠された秘密を。


そして、その秘密こそが、終焉神ゼロス誕生の真実に繋がることを。

第三十話「災厄の魔女ミレイアと忘却の森」


「レオを返して……!」


フィリアは涙を流しながら、空を見上げていた。


消えた息子。


終焉神ゼロスの脅迫。


そして忘却の森にいるという災厄の魔女ミレイア。


もはや迷っている時間はなかった。


「銃士隊を呼びなさい!」


元王女であるフィリアの声に、各国から集まった精鋭の銃士たちが動き出す。


「レオは必ず取り戻す!」


◇◇◇


その頃。


タクトは静かに立ち上がった。


「……あの人を呼ぼう」


エドガーが嫌な顔をする。


「まさか」


「生きていたのか?」


「うん」


「セバスティーヌ先生なら」


「ミレイアさんとも話ができる」


リリアが首を傾げる。


「先生?」


「誰ですか?」


ベルゼリオスが青ざめた。


「やめろ!」


「あの男だけは!」


「我は二度と会いたくない!」


タクトは苦笑した。


「でも必要なんだ」


◇◇◇


「リリア」


「ヤーデルを用意して」


「はい!」


巨大な白竜ヤーデル。


千年前、白き賢医レオニスが助けた神竜の末裔。


今はレーヴェン家を守る存在となっていた。


「グオオオ!」


エマは大喜び。


「ヤーデルー!」


セレナも翼を広げる。


「弟を取り返す」


「絶対に!」


◇◇◇


その頃。


第一王子アレスの元にも異変が起きていた。


「兄上!」


レオンが駆け込む。


「病が広がる!」


「逃げてください!」


アレスは冷たく笑った。


「くだらん」


「民を置いて逃げる王などいるか」


「だが兄上!」


「黙れ!」


「私は王になる男だ!」


「最後まで王都と共にある!」


レオンは唇を噛んだ。


「馬鹿兄上……」


◇◇◇


そして。


忘却の森。


その奥。


小さな家の前。


「いらっしゃい」


銀髪の美女。


災厄の魔女ミレイア。


その膝の上には、黒猫。


そして。


「きゃっきゃ♪」


「レオ!」


フィリアが泣き崩れる。


「レオ!」


しかし。


ミレイアは微笑んだ。


「待ちなさい」


「赤ちゃん起きるでしょう?」


エドガーもアザルもベルゼリオスも硬直する。


「ミ、ミレイア……」


「久しぶりね」


「ベルちゃん」


「ベルちゃん言うな!」


「エド坊も大きくなったわね」


「エド坊!?」


「アザルちゃんは泣き虫治った?」


「先生!」


アザルが震える。


そして。


タクトを見るなり。


ミレイアは目を丸くした。


「……あら?」


「レオニス?」


「違うわね」


「その魂……」


「ふふ」


「面白い子」


「待っていたわ」


「タクト・フォン・レーヴェン」


すると。


空間が裂けた。


「やあ」


白髪の紳士が現れる。


「遅れてすまない」


「セバスティーヌ先生!」


リリアが驚く。


「ええっ!?」


ベルゼリオスが頭を抱える。


「最悪だ……」


「神より厄介な二人が揃った……」


ミレイアはニコリと笑った。


「セバス」


「久しぶり」


「三百年ぶりかな?」


「相変わらず美しいね」


「お世辞はいらないわ」


しかし。


次の瞬間。


ミレイアの笑顔が消えた。


「ゼロス……」


「私の孫に手を出すなんて」


全員が凍りつく。


「孫?」


「え?」


ミレイアはレオを抱きながら、静かに微笑んだ。


「そうよ」


「タクト」


「あなた、まだ知らないの?」


「私とレオニスの関係を」


そして。


時の女神アイオニアが空から現れる。


「ついに話す時が来ましたね」


「全ての始まりを」


第三十一話「魔女ミレイアと白き賢医の秘密」へ続く――。

セバスティーヌ


第三十話「災厄の魔女ミレイアと忘却の森」をお読みいただき、ありがとうございました。


久しぶりだね。


私の名前はセバスティーヌ。


旅する老医師であり、レオニスの古き友でもある。


もっとも、ベルゼリオス君からは「会いたくない男」と思われているようだけどね。


さて。


今回、ついに再会したミレイア君。


相変わらず元気そうで何よりだ。


しかし、彼女がレオを「孫」と呼んだ時。


皆の顔は実に面白かった。


タクト君も。


フィリア君も。


エドガー君も。


アザル君も。


まるで雷に打たれたような顔をしていた。


無理もない。


ミレイア君とレオニス君。


あの二人の関係を知る者は、今やほとんどいないのだから。


そして。


時の女神アイオニアまで姿を現した。


これはもう、隠し事を続ける方が難しいだろう。


次回。


第三十一話「魔女ミレイアと白き賢医の秘密」


千年前の真実。


愛し合った二人。


神々が恐れた理由。


そして――


終焉神ゼロスが、なぜ世界を終わらせようとするのか。


その悲しい始まりが、ついに語られる。


……もっとも。


ミレイア君が素直に話してくれれば、の話だけれどね。


彼女は昔から照れ屋だから。


案外、ベルゼリオス君をからかって終わるかもしれない。


ではまた、次の物語で会おう。


紅茶を飲みながら待っているよ。☕

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