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雑談三昧  作者: カトーSOS


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80/92

描き切った作者は次へ進める〜ヒロアカ堀越耕平さん〜

堀越耕平さんは、ヒロアカを描き切ったからこそ、次を描けると思う

『僕のヒーローアカデミア』は、きれいに終わった作品だと思う。

緑谷出久は前に進み、物語は収束し、テーマは語り切られた。

作者である堀越耕平さんの力が、作品全体に行き渡っていた。

だから今は、堀越耕平さん自身が“次に向き合える時期”に来ている気がしている。


週刊少年ジャンプは、人気が続けば止まらない雑誌だ。

数字が落ちるまで、期待が下がるまで、

あるいは身体や心を痛めるまで走り続けることも珍しくない。

そのスピード感に乗ったまま完結した作家が、

ふっと呼吸を整えられる場所は、意外と少ない。


堀越耕平さんには、緑谷出久との距離の近さを感じる。

緑谷が「走る理由」を掴むとき、

堀越さんも「描く理由」を探していたように見えた。

完結後も裏話や描き下ろしが続くのは、

描き終えた世界を、少しずつ自分の内側から外に出している

その過程に思える。

それは読者へのサービスであると同時に、

作者が世界と別れを告げるための時間でもあるのではないか。


そして私はこう考えている。


堀越耕平さんは、ヒロアカを描き切ったからこそ、次を描ける。


作品が大きくなるほど、作者は背負う量が増える。

富野由悠季さんはガンダムに戻り続け、

庵野秀明さんはエヴァンゲリオンから離れきれなかった

(ただし『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で卒業を果たした)。

鳥山明さんは、ドラゴンボールの影と共に歩き続けた。


成功した作品は、作者を離さない力を持つ。

私はそれが良いとも悪いとも言えないが、強い現実だと感じる。


その一方で、

高橋留美子さんは作品を終えるたびに新作へ歩き出し、

荒川弘さんは『鋼の錬金術師』を締めたあとに

まったく違う方向の『銀の匙』を描いた。

作風を一度手放す勇気が、次の世界を生んだ例だ。


私はその形に、希望のようなものを感じる。

背負った世界をいったん降ろして、次の扉の前に立つ。

その瞬間にこそ、作者が“作者”に戻る気がする。


だから私は、堀越耕平さんにも

“ヒロアカを背負わない作品”を見たい。

少年誌でなくてもいいし、ヒーローでなくてもいい。

むしろ、別の場所で、別の輪郭を持った作品のほうが

堀越さんの本来の感覚が自然に出る気がしている。


ひとつの世界を描き切った人にしか、

次の世界は描けないと思う。

『ヒロアカ』は、完全に描き切られた作品だった。


だから私はこう書く。


堀越耕平さんは、ヒロアカを描き切ったからこそ、次を描けると思う。


そのとき堀越耕平さんは、

緑谷出久ではなく、

堀越耕平さんとして再び立つ。

その瞬間を見届けたい。

あとがき


作品というのは、作者より先に立ってしまう瞬間がある。

名前やキャラクターが先を走り、作者が後ろから追いかける。

人気作とは、そういう構造を強く持つものだと思う。


だが、完結という一点だけは逆になる。

最後のページは、作者の手がいちばん強く残る場所だ。

描き切った人だけが、そこに筆を置ける。


本作で書いたことは、堀越耕平さんへの期待であると同時に、

作品を終えた作者たちへの敬意でもある。

背負った世界を一度おろし、次の世界を見つめる。

その勇気こそ、創作の根っこだと感じている。


物語はページを閉じても読者の中に残り続ける。

けれど作者は、前を向かないと次が書けない。

私は、堀越耕平さんがその歩みを再開する瞬間を見届けたい。


ここから先は、読者ではなく、作者の番だ。

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