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雑談三昧  作者: カトーSOS


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ツンは“攻撃”じゃない、“防御”だ

ツンデレという言葉は、いまやアニメやマンガの枠を超え、

誰もが知る日常語になった。


でも不思議なことに、

“ツンデレとは何か”という本質を、

女の子の側から 丁寧に考える文章はほとんど存在しない。


ツンは照れ隠し?

デレはご褒美?


そんな単純な構造ではない。

ツンデレはもっと繊細で、もっと切実で、もっと人間的だ。


放課後、校門の前で、

「べ、別に待ってたわけじゃないんだからね!」

と言う女の子の心には、

あなたが思う以上の勇気と恐れと誠実さが詰まっている。


このエッセイは、

“ツン”が実は攻撃ではなく、防御と勇気の発露である

という視点から、ツンデレの本質に触れる試みだ。


放課後、女の子はどんな気持ちで相手に向かっているのか。


その心理を、ひとつひとつ紐解いていく。

ツンデレという言葉はすっかり日常語になった。でも、「ツンデレの本質」を、女の子側の視点からきちんと考えたことがある人は、案外少ないんじゃないだろうか。


 多くの人は「ツンツンするのは照れ隠しでしょ?」と言う。それは半分正しい。でも、本当のところはもっと繊細で、もっと切実だ。ツンデレの“ツン”は、攻撃じゃない。あれは、防御だ。自分の気持ちを守るために必要なクッションのようなものだ。


 女の子は、気になる男の子に「話しかけるきっかけ」が欲しい。でも、いきなり素直に行くのは怖い。心の中では「あなたと話したい」「気にしてる」と思っていても、それを真正面から差し出した瞬間に拒絶されたら、立ち直れない。それぐらい、少女の恋心は脆くて、純粋だ。


 だからまず“ツン”という名のバッファを置く。「べ、別にあんたのためじゃないんだからね」「待ってたわけじゃないんだから」「弁当作りすぎただけなんだから」──こういうセリフは、全部“逃げ道”だ。本音に触れる前の、万が一のための安全装置。


 たとえば「一緒に帰ろう」とストレートに言って断られた時の痛手は、想像以上に大きい。でも「待ってたわけじゃないからね」と一言添えておけば、もし断られても「べ、別に待ってたわけじゃないし!」と自分の心を守ることができる。これが女の子にとってどれだけ大きな意味を持つか、恋をしたことがある人ならわかるはずだ。


 だからツンは、本音の逆を言うという単純な構造じゃない。もっと深い。ツンは「拒絶から自分を守るための盾」であり、デレは「その盾を越えて、ようやく届く本音」。

 「作りすぎちゃったんだからね。あんたにあげるんじゃないんだから!」のあとにぽつりと出る「……食べるなら、い、一緒に食べてあげてもいいんだからね」。ここが本体で、ここが本心で、ここが女の子の“本当の勇気”なんだ。


 そして「してあげてもいいんだからね」と少しだけ上から言うのも実は大事で、あれは『私から提供している』という形を保つことで、相手の拒絶を自然と避けるための、巧妙で切実な防御でもある。


 男の子がそんな女の子を見てふっと微笑むのは、攻められているからじゃない。必死に自分を守りながら、一歩だけ前に踏み出そうとしているその姿を“ちゃんと察しているから”だ。その笑みは、勝ち誇りでも優越感でもなく、「気持ちをくれて、ありがとう」という静かな受容のサイン。


 だからツンは決して攻撃じゃない。ツンは、

 本心を隠すための壁であり、

 拒絶された時のダメージを減らすための保険であり、

 勇気を出しやすくする仕掛けであり、

 話しかけるきっかけでもある。


 誰よりも臆病で、誰よりも素直で、そして誰よりも相手を大切にしている子ほど、ツンデレになる。これは、恋する女の子のごく自然で、健気な生存戦略なのだ。


 放課後になると、その防御システムはさらに敏感になる。「今日こそ声をかけたい」「一緒に帰りたい」「お弁当、食べてほしい」。でも素直には言えない。怖い。胸がいっぱいで、足がすくむ。そんな時に、あの有名な台詞が発動する。


 「べ、別に待ってたわけじゃないんだからね!」


 あれは、実はその子なりの最大級の告白なのだ。

 『あなたといたい』という、本当は世界でいちばんいじらしい想いの形。

ツンデレは、キャラクターの記号として消費されがちだ。

「ツンツンしてかわいい」

「素直じゃないところが萌える」

そんな表面的な評価だけが先行してしまう。


でも実際は、

人を好きになることの怖さと、

それでも近づきたいという願いの、

せつない均衡がつくり出す人間的な行為

なのだと思う。


本音をまっすぐ差し出すのは、誰だって怖い。

素直であるというのは、想像以上に勇気が必要だ。


だから女の子は、

自分を守るための“ツン”をまといながら、

それでもなお、相手に手を伸ばそうとする。


その姿は、決して弱さではない。


むしろ――

本音に向かって進もうとする、

強さそのものだ。


もし、このエッセイを読んで、

“ツンデレ”という行動の裏側にある温度を感じてもらえたなら、

それだけで十分だ。




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