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そうして俺は、戻ってきた

このような作品を応援して下さり、有難う御座います

まさかの日間入りで、ちょっと体が震えました

誤字脱字報告も有難う御座います

・・・ハードルが上がっていく!


マクミランの言動は、特に話には深くかかわりません

何となく入れたいネタだったので

ガリウス王国、王都ファザナドゥ。

その中心部にあるウッディポコ広場に、25人の男女が磔にしてあった。

ご存知、今回の騒動の犯人達だ。


すでに半年以上晒されているのに、彼らの健康状態は極めて良好だ。

被害者とその家族達が組合を作り、神殿と手を取り彼らの延命に尽力していると聞く。

人は纏まるとすごい力になるのだなぁ…、ってな。



肌寒かった空気が、バンゲリングベイ山脈の頂より現れた陽の光により、緩和される。

早朝にも関わらず詰め所に待機する係員に挨拶をし、俺は広場へと入った。



「ユヅキと会ったよ、随分ひどい事してたんだな、お前ら」




「ぐぅぅ、殺して、くれぇ」


「ゴホッ、ゴホゴホッ、ちょっ、グ、グラッデン!、助けてくゴホッ」


「ごろず!グラッデンンン!ごろじでやる!」




俺は今、クロマ、ドキュン、サオヤックへと会いに来ている。

アレだけ俺の事を睨んでいた眼はどれも濁っており、口からは助けてだの殺してだのしか流れない。

被害者への謝罪もまったく口にしていないらしい…本当に、自分達の事しか考えない奴らだ。

サオヤックに限っては、俺へ殺気を放つほど元気の様だ。


俺は腰に下げたナイフを取り出し、鈍色の液体を塗り…動けぬサオヤックの脚を、浅く切った。



「てめぇ!何しやがっだぁぁぁ!


「ズノウセンカの花の蜜だ。ガルって毒なら聞いた事あるだろ」


「なっ!?でめぇ…ぐ、ぐぎ、ぎぎぎ…、ぐる、じい!だじゅげ、げでぇぇ!」



神経性の毒を持つガルに致死性は無い。

だが、その毒は体の奥を蝕んでいき、半年は体が痺れるような痛みが続く。

…あぁもちろん、許可は貰ってる。

むしろお願いしますと頭を下げられた。



「ユヅキの痛みに比べればマシな方だと思うが…、また来るよ。それまで元気でな」


「ま、でぇ!グラッデッ!いだだだだ!ごろじてや、ぐぁぁぁぁ!いだいいだいいだああああああ!」



まだ早い時間だが、広場には人が増えてきた。

邪魔をしないように、消えるとするか。



石が飛ぶ音。

人々の恨みと、囚人達の悲鳴。

あと2年以上はコレが繰り返されるが…これで少しでも救われる人が居れば、いいな。




俺はその足で、ガリウス王国の冒険者組合を訪れた。

情報交換を含め、時事ネタ等を収拾するためだ。



「…色々と有難う御座いました、メルアスさん」


「いえいえ、こちらも情報を有難う御座いました、グラッデン君…あ、君、は不味いわね」


「いや、そのままいいですよ、昔からそう呼んでたじゃないですか」


「えー、だって皇族になるんでしょ?」


「ま、まぁ、その辺は…はい」



今のところ、王国と帝国周りは平和だ。

ただ、モンスターの動きが少し活発化しているみたいだな。


メルアスさんとしばし語らった俺は、ふと、依頼が貼ってある木板へと近づいた。

懐かしいな…昔はこうやって、依頼をえり好みしてたっけ。



(ユヅキも頑張り始めたみたいだし、良かった)



メルアスさんの話だと、彼女の下をユヅキが訪れたそうだ。

冒険者組合で働きたいと言ってきたらしい。


メルアスさんも女性だから、ユヅキのつらさが解ったのだろう。

ユヅキの願いを快諾し、今は研修中との事だ。


でも、会おうとしたら止められた。

ダメージが大きいらしく、今後も控えた方が良いそうだ。


確かに、俺が他の女と会っていると知れば、ヴァリアリのダメージは大きいだろうな。

俺もいい加減学習しないと。



(…お、カルノフ村からの依頼か)



あの出来事の後、村には帰ってなかったな。

…気持ちの整理もついたし、一度帰っても良いかも知れない。

家、掃除しないとな。


…何も、変わってないんだろうな。



俺は生まれ故郷を想いながら、依頼を見た。


(…おいおい、なんであんな所にこんなモンスターが)


それは一ヵ月前から貼られたままの、ラプターウルフと言う上位モンスターの討伐依頼だった。




▽ △ ▽ △ ▽ △




「と言うわけで、村へ帰るので6日ほど休みを頂きたいのです」


「ふむ、少し待て」



帝国に戻った後、俺は隊長へと休暇希望を届け出た。

冒険者ではなく、村で育った一員として、ラプターウルフを討伐する予定だ。

報酬が少ないから、誰も受けてなかったんだろう。

一ヵ月前の依頼書で「ラプターウルフを遠くで見るようになった」とあるので、今は被害が出てるかも知れない。



「ラプターウルフッスか。数で攻めてくるから厄介なんスよね」


「しかも消えるかのように素早いですし…でも、ニムバスさんなら大丈夫でしょう」



マクミランとフリューの言葉に、俺は頷いた。

ラプターウルフは小型の狼で、その嗅覚も武器だ。

だがそれは同時に、弱点でもある。

悪臭を放つ薬を使えば、簡単に動きを止める事ができるのだ。

あぁ、毒を混ぜてもいいかもな。



「…あ、マクミラン。ゼフェルの方はどうだ?」



ゼフェル。

あの日、俺が拾ってきた少年だ。

以前の俺と同じで、何かを忘れようと修行に明け暮れている。

あいつに何があったかは分からないが、いつか笑って話してくれれば良いと思っている。



「んー、一言で言えば主人公ッスね」


「主人公?」


「ッス。とにかく素質が凄いんスよ。万能と言っていいッス」


「綿が水を吸い混むように覚えていくよねーあの子。正直嫉妬しちゃう」


「…俺、この世界の主人公はニムバスさんと思ってたッス。でも、多分あいつッスね」



マクミランがまた、良くわからない事を言っている…が、何と無く伝わった。

この帝国にその名あり、な程になる素質があると言う事だろう。



もしやマクミランは、自分が脇役だと思ってるのか?

こいつは俺の事を主人公だとも考えてたらしいが、とんでもない間違いだ。



「仮に脇役であっても、お前に救われた人達にとっては、お前は主人公だ」



俺は、いや、俺たちはマクミランと言う人間を知っている。

普段は軽くおどけているが、根はまじめで熱い男だ。

困っている人が居ればやれやれとは言いながら助けるし、他人の為に怒る事ができる奴だ。

実際、マクミランに救われ、コイツを慕う人は多い。



「それに、物語には脇役は必要だ。脇役が居ないと話は進まないし、逆に魅力ある脇役がいなければつまらないと思うぞ」


「あと、物語の主人公より、大事な人の主人公になるほうが素敵じゃない?」


「また妙な事を言っているがマクミラン、お主にとっては妾は脇役で、妾にとってはお主が脇役だ、そういうものであろう」


「…ははは、見事にバラバラな意見…だけど皆のそういう所で、俺は救われてるッス。…有り難う御座います」



ん…、何となくだがマクミランの顔がスッキリした、気がする。

いつも通りフリューと戯れだしたけど、…本当に意味が解らない事を言う奴だ…嫌いじゃないけどな。



「ニムバス、受理したぞ。早速発つつもりか?」


「はい、準備をして昼頃に」


「わかった、では正門前で待ち合わせをしよう」


「はい。…はい?」


「妾も一緒に行くぞ?お主のご両親の墓に挨拶をせねばならんからな」




待て待て待て。

隊長は継承権は無いに等しいモノの、皇女だぞ。

そんなやんごとなき御方を、あんなど田舎の村に連れて行くわけには…。


…あぁ、でも、丁度良いかもな。

父さんと母さんに、今までの事を報告しよう。


「ド田舎で色々不便ですが、良いんですね?」


「妾をその辺の軟弱な令嬢と思うなよ?皆、留守の間は任せて良いか?」



隊長の言葉に、詰め所内の皆が賛同し始める。



「勿論ッスよ!自分達に任せて安心して行って来て欲しいッス」


「ゼフェル君は面倒見ておきますね。あ、お土産よろしくお願いしまーす」


「あら~ん、隊長ちゃんったらはしゃいじゃって…、ふふっ、ニムバスちゃん、彼女を守ってあげてね」



マクミラン、フリュー、パンチョス達はそう言ってくれるが…目が生暖かい、気がする。

先日まで恋愛とは無縁だったからな。

…あぁ、久々に恥ずかしいな、これ。




▽ △ ▽ △ ▽ △




俺の生まれ故郷カルノフ村は、ガリウス王国の北端に位置している。

帝国から馬を走らせても、遅く見積もって3日はかかる。


なのに…。




「…まさか、一日で着くとは」


「父上には感謝せねばな!さぁニムバス、まずはお前の家に案内してくれ」



皇帝陛下が貸してくれた、魔導単車と言う名前の乗り物。

試作品と言うが、これ相当なものだぞ…馬より速いし、何より魔導電池があれば、休憩も不要だ。

ヴァリアリは慣れていたが、後ろに乗っけて貰ってた俺は、流れるような景色に恐怖を覚えてた。

その都度ヴァリアリを抱く手に力が入ったから、俺が怖がっていたのバレてるだろうな。


このままでは村人を怯えさせるので、俺達は手前で下り、魔導単車を手で押しながら村へと向かっている。



(…柔らかかったな)



そんな不埒な事を考えていると、村の入り口が近づいてきた。

ラプターウルフに対してか、以前は無かった簡易的な柵が作られ、浅いながらも堀が出来ている。


ただ、周りの景色は変わらない。

ほぼ通年雪を着飾った山々、緑の匂いを運んでくる風、清涼を感じる空気…、懐かしい。



「良い所ではないか」


「あぁ、自慢の故郷だよ」



ヴァリアリの声に応えていると、村の入り口に人が居るのに気付く。

あれは…懐かしいな、隣に住んでたリンジンじゃないか。



「おーい、リンジン!」



俺は警戒を解くため、リンジンへと手を振った。

あっちも気付いたのか、手に持っていた槍を下ろし、こちらへと歩いてくる。



「…お前、グラッデンか!」


覚えてくれてたのか、嬉しいな。

…だが、リンジンの顔には、何故か戸惑いが生まれている。



「グラッデン、お前死んだはずじゃ…」


「おいおい勝手に殺すなよ、この通り生きているだろ」



まぁ、死んだも同然の時期はあったが。

隣で凛としている女性のお陰で、あの時死ななくて良かったと、本気で思っている。



「紹介するよ、あー…婚約者の、ヴァリアリだ」


「ニムバスの知人とお見受けする。こいつと恋仲のヴァリアリだ、よろしく頼む」



ヴァリアリは、自分が皇女だとは言わなくて良いと言った。

もしこんな村に帝国の皇女が来たら、大騒ぎだからな。


歓迎されるものだと思ってた。

だが、リンジンは突如顔を怒りに歪ませ、俺を睨んできた。




「…グラッデン、どういう事だ!カーラちゃんって女が居ながら、婚約者だぁ!?」





「… … …はぁ?」




何故、そこで彼女の名前が出てくる。





「カーラちゃん言ってたぞ!お前に犯されて子供が出来たって!んで、お前が死んだから、生きていくためにここに来たって!村の皆が責任感じて、カーラちゃん達の面倒見てるんだぞ!」





「… … …はぁぁぁぁああああああああああああああ!?」



「ふむ、確かお主を見捨てた女だったな?…どれ、顔を拝んでやるとしよう」



カーラが、何故この村に…。

てか、何でそんな事を言いふらしているのか。



とりあえず、カーラは俺の家に住んでいるみたいだ。

俺はリンジンを押しのけ、生まれ育った家へと走り出した。



ユヅキと比べて、カーラのほうはやや「後悔する思考が自分勝手」です

ユヅキのような「スッキリとした」ざまぁを期待されてる方には、前もって謝罪を


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― 新着の感想 ―
[一言] ウッディポコ広場観光名所になるなぁ 人型ゴミが苦しんでる様見ながら飲む酒は格別やろなぁ
[一言] >後藤くんの「ポコ」も「ウッディ」なの? べーしっ君…… しまった!反応してしまった!
[一言] 後藤くんの「ポコ」も「ウッディ」なの? ……元ネタがわかる人はかなりのマニアかな~
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