天然は色々と突き破る
それは朝になった何気ない挨拶
それは純粋な疑問
それは大自然が引き起こした奇跡
それと同時に意味不明であった……
「さて授業の時間としよう」
太陽は真上、ちょうどお昼だろうか?
検証の疑問点が解決できないまま時間だけ過ぎてしまい
モーガンを起こすのをすっかり忘れていた
この女、起こさなかったらマジで起きない
俺がモーガンを起こそうと近くに座り拳を構えた時だった
「あれ?」
俺の視界がやや上にガクンと上がった。
何かが地面を突き破るような音がした。
「すみません日光に当たりたくないので動かないでください」
俺の真下から聞こえた。
「そうだな……まず地面から登場したことについて問い詰めたい」
俺の尻を地面から突き上げるように、幼い女の首が生えていた。
「よくわかりませんが、ここが私の始まりですね」
「そうなのか……じゃあ終わるか?」
「動かないでください、私も動かないので」
「動けないの間違いだろ…」
その幼女の口に牙が見えてラマンは一瞬で察した。
「お前、吸血鬼か?」
「よく、ご存知で」
「日光浴でもするか?光合成でもできるんじゃないかな」
「お願いですから動かないでください」
ラマンは、忘れない内にモーガンの腹を殴った。
「はぁあんっ……!!」
モーガンが変な声を出して起きたので今後は殴るのを止めようと決めたラマンだった。
―――――――――――――――
しばらくの間、ラマンは吸血鬼の頭の上で過ごしていた。
そんな様子を遠くで眺めながらアラクネとモーガンは何やらブツブツと唱えていた。
「魔王様の椅子になれるなんて……あぁ……呪………」
「あの小娘に魔王の全てが乗って……こ……」
ラマンは動くことなく夜を待った。
いつもなら定期的に食事をするはずのアラクネは珍しく動かなかった。モーガンもまた同じく遠くから眺めていた。
ブツブツと二人は何かを唱えていた。
―――――――――――――――――
日が落ちた。やっと夜が来たのだ。
「さてと……これで動けるな」
ラマンは立ち上がり吸血鬼を見下ろす。
そして吸血鬼の顔を撫で回したり引っ張ったり押したりする。遠くから邪念が聞こえるが気にしない。
「ふむ…人肌に近いが、これで潰れないとは驚いたな」
「何しやがるんですか変態!」
「魔王を日傘にしたお前が変態だ」
この吸血鬼は本当に変だ。奇妙だ。全て謎だ。一つ言えるのは、この吸血鬼がアホだということ…
「……………………。」
「何で、ずっと見てるだけなんですか!?こんな可愛い女の子が土に埋まっているんですよ!助けようと思わないんですか!?」
「妙だな、お前はさっき産まれたばかりなんだろ?言語力が爆発的に成長しているのだが普通なのか?」
「さっさと助けやがれです!」
「段々キャラ変わってるな…」
ラマンは特に何もせずアラクネとモーガンの所へ歩いていく。ラマンが近づいてくるのを待っていたかのようにアラクネとモーガンは笑顔で立ち上がる。
するとラマンの足が止まった。
「二人揃って気持ち悪いぞ……」
「魔王様、あんなヤツ放っておいて授業ですよ!」
「そうです!早く授業しましょう!」
「まてモーガン、お前の豹変が一番気持ち悪い…」
「そうだよモーガンちゃん、ただの奴隷なんだから」
「いやアラクネ、お前は元々生け贄だろう…」
「そうなんですか!?だったら私も同じでしょう!」
「何が同じでしょう!だよアラクネ止めるとこだろ!?」」
「オーイ、私を助けて~!」
後ろで吸血鬼が叫ぶが誰も相手をしない。
だが、立ち止まっていたラマンが吸血鬼の所へ戻る。
「え……魔王様は、そんなヤツが良いんですか!?」
「は?」
「授業しましょうよぉ!」
「は?」
俺は必要ではないが休憩するため吸血鬼の頭の上に座る。
「ちょ!?なんでまた座るんですかぁ!普通そこは助けるでしょ!?」
「うるさいな……てか、またって何だよ…」
「この変態!鬼畜野郎!あの雌豚の二人のとこに行けぇっ!」
「産まれたばかりなのに豚を知っているとは驚いた…」
「コノヤロー!!」
必死の抵抗も全く意味がなく吸血鬼は動くことができない。
それを遠くで眺める二人も再び邪念を唱えていた。
ラマンは深く考え込んだ。
「何をしたらいいんだ……」
そのまま一夜が過ぎた。




