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窓際の天才軍師 ~左遷先で楽しようとしたら救国の英雄に祭り上げられました~  作者: 風来山
第二部 第一章「亜人の解放者」

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51.エルフの森の戦い準備

 ハルトは次の戦の準備を進めながら、クレイ准将に聞いたダルトン代官の人物像を加味して、作戦をイメージする。

 樹甲兵きこうへい団三千人軍との戦いは、さっきの獣人との戦いほど容易ではないだろう。


「さあ、みんな準備しなさい。ここからが本番よ!」


 姫様が張り切りすぎているようだから、ここらへんで釘を刺しておかなければならないとハルトは声をかける。


「あ、姫様は攻略の軍に参加しないでくださいね」

「なぜよ。これから悪代官の軍を打ち破ろうって話なんでしょう!」


 だから、姫将軍が前線に出るなという当たり前の話なのだが。


「さっきの戦いと同じなんですよ。敵が待ち伏せている森で戦っても不利です。ひと当たりしたら、一度帰ってきますから先鋒は少人数でいいんですよ」

「なるほど。さっきからなんかそこらじゅう掘り返してるのが、ハルトが考える勝利の秘策なわけ?」


「そのとおり、決戦の地は森じゃなくて、ここなんです。相手は土地勘があると思って慢心しています。敵が地形を熟知しているのが強みなら、それを変えてやればいいんですよ」


 戦場で土木作業を行う工兵の役割は、これからの戦争で重要度を増すはずだ。

 そのための訓練にもなっているので、今回の攻略戦は大変有意義だった。


「なるほどここが決戦場なのね! だったら、私もその作業を手伝うわ!」

「いや、姫様は後ろで監督してくださればって、聞いてないな」


 森の入口で林を切り倒して穴を掘り、土木作業をやっているドワーフや獣人に交じって、姫様もスコップ片手に無茶苦茶な勢いで穴を掘り始めた。

 いきなり姫様が穴を掘り始めたので、横で作業していたニャルがぎょっとしている。


「なんニャ! この掘り進めるスピードにパワー、負けないニャー!」

「あんたが私に勝てるとは思わないことね!」


 現場監督をしているドルトムが扱いに困ってる気がするが、姫様が加わったことで現場の空気が一変して、誇り高い騎士たちですら資材の搬入を手伝い始めた。

 姫様のおかげで、作業が急ピッチで進んでるようだからこれはこれでありがたいかもしれない。


 人をやる気にさせる力は、さすがは天与の才能(タレント)『抜きん出た人望』の持ち主と言えるだろう。

 猪突姫とバカにされているが、ルクレティアに悪気はないのだ。


 むしろ、本人は勝利に貢献しようと常に一生懸命やってるのである。

 扱いに困る姫様だなあとは思いつつ、一国の姫君でありながら獣人たちの中に分け入ってスコップを振り回して泥だらけになっているルクレティアを、ハルトも嫌いにはなれなかった。


「じゃあ、ドルトム。こっちは任せたよ」

「ああ、手はず通りにやっておく」


 エリーゼが、ハルト大隊五百の隊列を整えてハルトのところまできた。


「ハルト様、大隊の準備整いました」

「よし、それじゃあ行きますか。シルフィーさんは、どうしますか」


 エルフの族長の娘、シルフィーの瑠璃色の瞳には、決意の色が窺える。


「これはエルフの戦いです。ハルト様に助けていただいているのに、ついていかないわけがありません」

「よい覚悟ですね」


 森に逃げていたエルフたちも、少数だが合流しつつある。

 ダルトン代官の軍から逃げおおせたのは魔法力の強いエルフのはずだから、連れて行っても足手まといにはなるまい。


 エリーゼが御者をする馬車にハルトと一緒に飛び乗って、シルフィーたちエルフは宣言する。


「ハルト様は、私たちの魔法で必ずお守りします」

「それは頼もしい。ぜひよろしくおねがいしますよ」


 ドルトムから拳銃なんて物をもらったが、こんな物は使わないで済むに越したことはないのだ。

 ハルトが率いる兵五百は、警戒しながら森の奥へと歩を進めるのだった。

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