2鬱
そんなこんなが小一時間前の話で、今俺はチンギスハンもびっくりするような大平原にいる。
どうしてこんな事になったのか、詳しく話そう。
小一時間前
「あなたに新世界の勇者になる適性を感じ、見守っていたのですよ!」
俺より見た目は年下なコスプレ女の子は言った。
人間非、現実を求める風をしても、現実では何処か異端と感じているのだろう。俺は女の子の言う事を信じられなかった。否、誰としてこの状況を信じる事等出来ないだろう。
「とりあえず、メンヘラ属性って事でいいか?じゃ。」
変な奴には関わるなと心は警鈴を鳴らす。まともじゃない、きっとこれは夢なのではないか。
俺は女の子に背を向け歩き出そうとした。
「信じる事は難しいし、裏切りを経験している者ならば、怖いと思います。でもー」
女の子は続ける
「世界が変われど私はあなたに生きて欲しいと思ったし、生きたいと思って欲しい!」
「あなたをこの世界の人々が必要としないのなら、私があなたを必要とします!」
「トウマ…私と、きてくれませんか?」
視界がぼやけた。
悔しさと嬉しさで、涙が溢れ出ていた。
「さぁ!この手をとって、私と一緒に行きましょう!」
女の子は俺に手を差し出し、俺はその手を取った。
「もう一度位、信じてもいいよな?」
「一度と言わず、何度でも!」
そう言う女の子か眩しく見えて、俺は目を細めた。
そういえば、女の子は俺の名前を知っているのに俺は知らないなと気付き、問いかけた。
「なぁ、あんた名前は?」
「私ですか?私は…」
あれー何だこれ、その名前は記憶にある。記憶にあるのにそれを何処で知ったのか思い出せない。
直後、猛烈な頭痛に襲われた。その後の記憶はなく、現在に至る。
先程まで掴んでいた手の主は居らず、平原に一人きり、其処までは良くある話だ。俺も納得出来た。
「どういう事だよ…」
俺の精神はそのままだ、だが、身体は変わっていたのだ。
女に。
俺の記憶が間違っていなければ、新世界の勇者にー的なニュアンスを聞いた気がする。
女で勇者ってなんだ?ジャンヌダルクか!?火刑にされるのは御免だぞ!!??
「何が何だかわかんなくなってきた…」
俺の呟きは大平原に吸い込まれた。




