深まる謎
吹き荒れる炎。
全く持って熱風を感じることがないのはクリスティーナの結界のおかげだろうか。
炎の合間に見えたのは傷だらけのワイアットとウィルだった。
「中々やりますね。さすが王」
「…お前何者だ」
二人とも傷は多いがたいしたことはない。
これほど攻撃してるのに一般の、しかも学生に大きな傷を負わせられないという事態は、ウィルにとって初めてのことであった。
ウィルは今度は水の玉を複数出し、それを剛速球でワイアットに飛ばした。
だが、ワイアットが氷の盾で防いだ。
そういう攻防が大分続いた。
「そろそろ終わりにしたいな…」
ニッコリと笑ったワイアットの手は何故かこちらに向けられていた。その手にだんだんと尋常じゃないくらいの力が溜まっていくのを感じた。
あれが放たれたら、きっと自分を守っているこの結界すら破ってしまうだろう。そんな気がした。
時がゆっくりになる。
ワイアットの手から高密度の力が放たれてリンにスローで向ってくる。
クリスティーナが自分を呼ぶ声が聞こえる。
一瞬目が合ったウィルはとても驚いているようだった。
とうとう結界に力が当たり、少しの時間力と結界がぶつかりあっていたが、結界に小さなひびが入りガラスのように割れていく。
力はその勢いを弱めることなく真っ直ぐリンの胸に向ってくる。
もうダメだと直感で悟り、ぎゅっと目を瞑った。
暗闇の中、どれほど待っても衝撃がこなかった。
「………えっ」
自分の足元に横たわっていたのは自分の召喚獣のシュバルツだった。
「しゅ、シュバルツっ!」
「へぇ、感心だ。まさか契約しているなんてね。まあ、それだったらあの一瞬でここからの距離でも届く」
ワイアットの声に顔を上げると、ウィルの姿は無かった。
「どうやら負けのようねワイアット」
ユリアが微笑みながら何かを言っているがそれどころではなかった。
ピンチのときに助けてくれたシュバルツが庇ってくれて、ウィルはいない。もしかしたら、と不安がよぎる。
「そうみたいだ…。リンさん、大丈夫ですよ。気を失っているだけです」
「え…」
クリスティーナが支えてくれてやっと立ち上がる。
「少し強めの失神魔法ですよ。魔力の強いものでないと永遠に失神するぐらいのね」
それはかなり強力な失神魔法ということである。
「まあ、その召喚獣なら大丈夫でしょう。一度召喚獣も連れて城に帰りましょう。色々説明したいことがあるので」
展開についていけずにボーとしたまま城へ戻った。
もしかしてウィルは…。
いやー、長らくサボってしまって申し訳ない。
年末だからね、忙しいんでs(殴
………本当にすみませんでしたぁぁぁぁあああ!!!