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91、果実の進化論

 ヤクモとトウオウとの偵察任務を終え帰宅した。ハクとスーアン以外は出払っていて、まだ帰宅していない様子だった。

 サイが出迎えてくれて、そのサイと一緒に庭の中へと進む。いち早く今日の成果を聞きたいのだろう。だが偵察時に発見したあの場所の探索については皆が揃ってからにする。庭の中央のやや奥、自宅の手前に設置した大きな切り株に左肘を付いて庭に腰を降ろす。

「サイ、お土産だ。」

 アイテムボックスから本日の戦利品である魔界の樹木の些か色味の悪い資材を全てではないが、一通り出して並べる。

「こんなの見た事ないです。何ですか、あるじ様。」

 初めて見る植物に声を高くして目を輝かせている。

「これはな・・・。」

 既に眼の前に並べられている商品に興味の殆どを奪われているサイの後頭部に向かって動く樹木の出来事を話す。時折驚いて此方に顔を向けたが、すぐに商品の吟味に戻った。

 その様子をゆっくりと近付いてきたスーアンが申し訳なさそうな表情で此方を見ながら頭を下げた。俺は右手を小さく挙げて笑顔を返した。子供はこれで良いと思う。むしろ他の事が疎かになるほど夢中になれる事、興味が持てる事があるのは羨ましくもある。

 ヤクモも俺の隣に座り目を細めていたが、しばらくすると立ち上がり、「少し出てきます。」と言って再び出掛けて行った。今日の偵察任務では運動不足だったのかとも思ったが、どうやら違ったらいしい。その答えは夕食の時に判明した。食事の席に俺の身長と同じ位の立派な鮭の様な魚が三匹並べられた。ヤクモ曰く、急に久し振りに魚が食べたくなったのだそうだ。あるよな、そういう日。口がその口になっちゃう日。特定のそれじゃないと我慢出来ない時もあれば、それであれば何でも良い日もあったり、極めて美味しいものではなく安価なものの方が良い時があったりするんだよな。・・・俺は今の所この世界に来てその症状が出た事はないな。

 トウオウは今日あった動く樹木との一連をスーアンに面白可笑しく語っている。概ね間違ってはいないが、若干誇張している気もするが、漫談としてはそれぐらいで丁度良いのだろう。それに相手はスーアンだ。スーアンなら自分である程度正しく修正して聞いているだろう。むしろ子供達の方が真に受けて喜ぶだろうな。


 魔界産の木材を早速持ち上げたり叩いたり、切ったり、小さな枝に火を点けてみたりしているサイの後ろ姿を見つめながら、帰り道にふと浮かんだ疑問について考えてみる。

 別にこのファンタジーな世界であるならば、特に気にすることでもないのかもしれないのだが。それでも気になったので、思考してみる。

 魔界の樹木は此方の世界では動く樹木に変異しやすい。そして魔界には動く樹木として生まれる魔界獣も存在する。逆に此方の樹木は魔界の魔力に当てられても、極稀にしか動く樹木に変異する事はない。更に魔物として動く樹木という種族は存在しないらしい。にも関わらず、だ。この世界の果実は襲ってくる。これは一体どういう事なのだろうか。果実なのだから、植物の種である事は間違い無いだろう。だがあの俺達魔物を襲う果実が成長しても動く樹木になることもなく、普通の森の木々の一本になる。この法則が今一理解が追いつかない。

「どうしたんだい、イッスンの。難しい顔をして。」

 一通り漫談が終了して満足したのだろうか、トウオウが頬杖をついて考え事をしている俺を見つけてそう言った。

「・・・いやぁ、良く分かんないなと思ってな。」

「それはどんな事なのか伺ってもよろしいでしょうか。主様に分からない事に私がお答えできるとは思えませんが・・・。」

 おそらくそんな事はないだろう。俺よりもスーアンの方がこの世界の事に、魔物の世界の事に詳しいだろうとは思う。少なくとも先祖代々受け継いできた知識が豊富にあるはず。俺にあるのは前の世界で得た大学卒業程度の学力くらいのものだ。それがこの世界でどれ程役に立っているのか・・・。ただ、学校では魔物の住んでいる森の中での生き方は教えてもらえなかったが、勉強自体は大切だったなと今なら思えるが。

「いやぁ・・・。なぁトウオウ。此方の世界には基本的には動く樹木って魔物はいないんだよな。」

「うん。そうなるね。でもそれがどうしたんだい。」

「その割には此方の世界の果実は魔物を襲って来るよなぁ。」

「そうだね。」

「果実ってさ、要するに種って事だよな。」

「はい、そうですね。私もそう認識しています。」

「だよな、スーアン。その俺達に襲い掛かってくる果実が成長したら、動く樹木になりそうな気がしないか。それなのに・・・いわゆる普通の木になるんだよな。それが何とも不思議だなと思ってな。」

「そう言われてみれば確かにそうですね。今まで何の疑問も抱かずにいましたが、確かに不思議ですね。」

 スーアンの言う通り、何気なく過ごしていたら気になる事でもないだろう。果実は襲ってくるとだけ認識してさえいれば生活に支障はない。生きる為の知識だとするなら、それ以上は特に必要はないとも思える。

「なるほど、そういう事か。それはね、イッスンの・・・。」

 と言い懸けてトウオウは言葉を切り、視線を俺から外し別の方へと向けた。その視線の先を辿るとそこには、ハクが不思議そうな表情で此方を向いていた。

「それは、ハクのに聞いた方が良いかもしれないねぇ。」

 トウオウは俺の疑問に答える権利をハクへと譲り渡した。急にお鉢が回ってきたハクは動じることもなく冷静に答えた。

「あるじ様、それはですね、おそらくですけでど・・・果実は、植物だからです。」

 むしろハクは当り前のことを話すように答えてくれた。

「なんですと。」

「だから、その種が成長すれば、当然、木になります。」

 ・・・つまり、あの果実は魔物判定ではなく、植物判定だって事だ。それは盲点だったぜ。襲ってくるから、俺は当然魔物だと思い込んでいた。

「そういう事だね。流石だよ、ハクの。ボクに比べれば遥かに若いのに、既に辿り着いているなんて。」

 トウオウに比べれば此処にいる皆、ノイン以外は生まれたばかりに等しいただろうに。勿論俺を含め。・・・って、そんな事はどうでも良い。トウオウの言う通りだ。毎日のように飽きる事なく観察し続けているだけの事はある。

「だけどね、イッスンの。何かを確かめた訳じゃないから、これはあくまでボクとハクのが考えて辿り着いた答えなだけだよ。」

「なるほど。真実である保証はないって事だな。」

 だがおそらく殆ど間違っていない気がする。

「そうですね・・・。」

「大丈夫だよ、ハクの。大きく間違ってはいないとボクは思うよ。だから自分の考えに自信を持って良いと思うよ。」

 おっと。俺の言い方が良くなかったか。

「そうだな。トウオウの言う通りだ。ハクは俺の気が付いていなかった事に簡単に気が付いていたんだから。」

「・・・そうなんですか。」

「あぁ。俺は牙を剥いて襲ってくるから、あれは魔物だと思い込んでた。」

 俺にそう言われてハクは不思議そうに頷いた。・・・俺ならそれぐらい当然気が付いているものだと思っていたのだろう。何時もながら過大評価し過ぎな気がするよ。俺はそんなに大したものではないんだけどな。

「イッスンのは時々良い加減な所があるよね。普段は酷く慎重なのに。」

 うっ・・・痛い所を。この魔王は本当に良く見てるな。ま、それは俺の事に限らず、他の皆の事もだが。普段は何も関心がありませんみたいに振る舞っているのに。・・・いや、だからか。積極的に物事に関わろうとしなかったからこそか。そういえば本質は傍観者、観察者だったな。

「そう言ってくれるなよ。だってさぁ・・・栗鼠食い葛みたいな植物系の魔物もいるからさ。魔物だと思うじゃんか。」

「ははは。確かにそうだねぇ。でもあれは植物系ではあるけど、どちらかと言うと虫系の魔物に近い存在だね。勿論厳密には別の系統の魔物だと思うけど。」

「ボクもそう思います。植物系の魔物と虫系の魔物は似ているけど、別の系統の魔物だと。別の系統の魔物ですが、とても似ているとも感じます。・・・明確に説明する事は出来ませんけど。すみません。」

 ハクは残念そうに小さく頭を下げた。

「・・・今の所は、だろ。その答えは何時かハクが見つけてくれるんだろ。」

「はい。頑張ります、あるじ様。」

 ハクは嬉しそうにそう返事をした。

「そしたらボクにもその答えを教えてくれよ、ハクの。」

 トウオウの言葉に俺も頷きながらハクを見る。ハクはもう一度しっかりとした返事をした。・・・それは良いんだが、それを説明されたとして、俺にそれを理解できる気が全くしないのだが、今はその事は黙っておくことにしよう。

「・・・良し。取り敢えず果実が魔物ではなく植物だって事までは理解できた。」

「まだ何か疑問は解決しないのかい、イッスンの。」

 トウオウの口調は決して呆れているというようなものではなく、なんだか嬉しそうなのは気の所為だろうか。

「まぁな。あれが植物だと理解出来ると、別の疑問が浮かぶってもんだ。」

「へえ。それは面白いね。」

 南瓜の魔王様は楽しそうだね。そしてハクはなぜ俺に尊敬の眼差しの様なものを向けているのだろうか。

「・・・じゃぁ、なぜ果実は魔物を襲うんだよ。それも果実の時だけ。植物でも魔物を襲うなら、それこそ動く樹木の様になってもおかしくなさそうだろ。」

「確かにそれはそうだね。・・・では、その疑問に対する答えもハクのにお願いしようかな。」

「・・・は、はい。」

 トウオウもある程度自分の中に見つけた答えがあるのだろう。それでもハクに答える機会を再び譲った。おそらくトウオウには分かっているのだろう、自分の出した答えとハクの辿り着いた答えが近いものであることに。

「ハク、大丈夫だ。全て仮定の話だ。真実を確かめようがないんだから、あくまで推察で良いんだ。」

「はい、分かりました。・・・たぶんなんですけど、魔物に抵抗しないと、全て食べられてしまうから・・・ではないかと思います。」

 なるほど。抵抗しないと、魔物達に果実を蹂躙され食い尽くされてしまうからって事か。確かに、魔物は俺の知っている動物とは正直桁違いの能力を有している事は間違いない。

「木にまで成長してしまったら、その心配はないから動く樹木になる必要はないって事か。」

「・・・おそらくは。」

「・・・つまり、これは植物の方がそういう風に進化したって事か。」

 植物が己達の意思で・・・植物に意思というものがあるのだとするならばだが、選んで進化したって事なのか。確かにこれくらいの進化をしなければ、己の種が途絶えてしまう。・・・まぁ、そうなったら結局森も維持できなくなって、魔物の方も命を繋げなくなってしまう可能性が高いのだが。

「たぶんそういう事だと思います。」

「うん、そうだね。ボクの考えも殆ど同じだね。」

 トウオウはハクの考えが自分のものと同じであることを喜んでいるように見える。数百年の間、考える時間は無限に近い程あったが、その考えたことを披露する、交換しあえる相手はいなかったのだろうから、やはりきっと嬉しいのだろう。自らの意思で世界への干渉を避け、孤独に過ごしてきたのだから。

「そうかぁ・・・。凄いな植物も。自分の意思で・・・いや、本能でそれを選択したって事だもんな。」

 その選択が、まさかその戦術に勝るものなしとも言われる先手必勝とは随分と攻撃的な本能ではあるなと思わんでもないが。

「面白い選択だよねぇ。それなら誰にも食べられないような果実にすればもっと簡単だったのにねぇ。」

「そですよね・・・。どうして植物はそうしなかったのでしょう。不思議です。」

「いや・・・その結果が、今の状態って事だろう。」

 食べられないように近付く魔物を襲うって事だろうと思うのだが、違っただろうか。

「そうではありません、あるじ様。その・・・なんていうか、食べても美味しくないとか・・・。」

「酷く食べ難いとか、か。まぁ実際そういうのもあるだろう。皮が硬かったり、棘だらけだったり。」

「確かにそうですね・・・。」

 おっと。ここまできたら今度はハクの方が混乱してきたか。トウオウの方も視線を少し上に向け、考えているようだ。ならば何故果実は魔物に狙われるような美味しいもののままなのかと。・・・たぶんな。

「つまり・・・主様は、果実が私達が食べても美味しいものである事にも理由があるとお考えなのですね。」

 流石スーアンだよ。話の内容は理解できているが、自分の得意分野ではないから今まで静観していたのだろう。だが俺が何かに気が付いている事を察知し、それを促した。

「まぁ・・・そうだな。これも俺の考えでしかないけどな。」

「ほう。それは気になるね。教えてもらえないかね、イッスンの。」

 空を向いていた視線が俺の方へ向く。ハクの顔も此方を向いている。しかも何やら凄く期待を込めている眼差しに見えるのだが。そんなに大した話じゃないんだけどな。

「じゃぁ、ハク。果実は何故食べると美味しいんだろうな。」

「え・・・。何故美味しいのか、ですか・・・。」

 ますます混乱してしまったかな。だがこうやって順番に考えた方が理解しやすいし、覚えやすいと俺は思う。

「ハクだって、美味しいと感じるだろ。食べたいなって思うだろ。」

「はい・・・そう思います。」

 ハクだけではなく、スーアンもゆっくりと頷いている。

「それはどうしてだろうな。何故そう思うんだろうな。」

「それは・・・美味しいから・・・という答えは、違いますよね・・・。」

 ま、野生で暮らす魔物には少し難しい質問だったかもしれないな。そんな事まで考えて暮らしていないだろう。それを本能的に理解しているだけで、自分自身で意図的に管理している魔物は存在していたとしても極めて少ないだろう。

「じゃあ、少し質問を変えようか。俺達が食事をするのはどうしてだ。」

「それは・・・生きるためです。食べないと死んじゃうから。」

 これがジュウザなら「お腹が減るから。」と答えそうだが、流石のハク。ちゃんと此方の意図した通りの答えを返してくれた。後半の「食べないと死んじゃうから。」はジュウザでも同じことを言いそうだが。

「その通りだ。何かを食べないと、俺達は死んじゃう。何かを食べないと力が出ないって事だよな。」

「はい。」

 スーアンも興味深そうに聞いている。

「つまり食べ物には、俺達が生きる為に必要な力が詰まっていて、俺達はそれを身体の中に取り入れているって事になる。」

 ここでハク達に栄養素がどうのという話をしてもあまり意味がない。ただでさえ世界そのものが違うのだから、栄養素であるかも怪しいしな。そしてなにより俺はその分野に明るくない。ま、要するに説明を求められても、始めから無理ではある。

「はい・・・。そうか・・・。」

 ここまでの話を聞いて何かに気付いたらしい。素晴らしいことだな。

「その生きる為に必要な力を接種する為の食べ物を、俺達が美味しくないと感じたら大変だろ。」

「そうですね。だからボク達はそれを美味しいと思うようになっているんですね。」

「そういう事だ。・・・という事は、だ。」

 敢えて言葉を切り、ハク自身の考えを促してみる。

「という事は・・・ボク達が凄く美味しいと思うものには、力が沢山詰まっている・・・。」

「そういう事だ。そこまでくれば、果実にはその力が沢山詰まってるって事がなんとなく分かるよな。」

「はい。」

「・・・じゃあ、果実は何故その力を沢山溜め込んでいるんだろうな。」

 ハクは俺の質問に「うぅん。」と小さく唸り、しばらく思考を巡らせていたが、何かの答えを見つけられたらしく顔を上げた。

「種が、木になる為に、ではないでしょうか。」

 流石ハク。渡された材料を自分で組み立てて答えを出した。

「概ね正解だな。正確には、種が芽を出す為にだと俺は思う。大地に根を張り、葉を光に当て、水があれば、その芽は木になることが出来るだろうからな。」

 ハクは自分の出した答えが殆ど間違っていなかった事の喜びよりも、その後の俺の補足に口を開けて感心している様子だ。

「つまり・・・種が芽を出す為には、それだけ多くの力が必要だということですね。」

 口を開けたままのハクの代わりにスーアンがそう言った。スーアンも結構前のめりに話を聞いてくれていたようだ。

「そうだな。それでも全ての種が木になれる訳でもないだろうしな。」

「もしそんな事になったら、森はもっと木が密集して、むしろ森は枯れてしまうかもしれないねぇ。」

 トウオウも感心しながらそう言った。トウオウは俺の講義を気に入ってくれただろうか。かなり幼稚な講義になってしまっていただろうから、退屈をしていなかったら良いのだが。

「それこそ、俺達を含め、魔物が食べて、丁度良いくらいなんだろう。」

「そうだねぇ。上手く出来てるねぇ。」

 俺もそう思う。自然の進化という調節機能は実に不思議で絶妙だ。

「あるじ様、それなら果実の数を増やしたりしないので・・・あ。」

 自分で質問しながら、その答えも見つけてしまったようだ。

「そういう事だ、ハク。果実を実らせる木の方も多くの力を使うって事だ。」

 多く実らせようとすれば、実の一つを小さくするか、或いは己の寿命を削るかの選択になるだろう。前者を選択しななら、結局発芽する確率が下がる。ま、その選択をするのはその植物自身だからな。

「はい。」

「俺の考えは面白かったか。」

 ハクはもう一度「はい。」と返事して頷いた。

「私には少し難しい話でしたが、実に興味深いお話でした。」

 謙遜しているのだろう。スーアンもかなり知力が高いからな。・・・いや俺の説明が拙くて、解り難かったのかもしれないな。すまんな、これが俺の限界だ。

「ああ。面白かったよ。ボクはそんな事を考えた事もなかったよ。イッスンのの考えもだけど、ハクのの疑問もとても面白いものだったよ。」

 そう言って、空中で独楽のように一回転した。どうやら本当に満足している御様子でなによりだよ。

 気が付くと太陽が大分西に傾き、もう少しで空が赤く染まり始める頃になっていた。

 庭の入口に先程出掛けて行ったヤクモが入って来た。その後ろからモモカ達が入って来る。どうやら途中で出会ったのだろう。


 ヤクモ達と会話しているとロックやノイン達も帰って来た。その頃になると空は茜色から夜の色に塗り替わる途中だった。皆で食事の準備をする。そして食事をしながら、それぞれの班の本日の成果の報告しあった。勿論俺達の発見した、人工的に掘られたと思われる洞窟や動く樹木の話もだ。

 後日皆でそこを調査しに行く旨を伝える。賛否を求めたが、特に反対も出ることもなくすんなりと決定した。その為に準備をしないとな。特にサツキをもう少し鍛えないとな。その件についてもヤクモやノインとも意見が一致した。サツキは少し不安そうにいていたが、その訓練にロックやミナが一緒に参加する事を表明すると安心した様だった。

 更に先程ハクと果実の話をしていたら、食べたくなってきたので明日は久し振りに果物狩りに行こうと提案する。ジュウザとサイは嬉しそうに声を上げた。ロックも嬉しい気持ちを小刻みに跳ねて表現していた。ヤクモとトウオウも訓練としても丁度良いのではないかと賛成した。ミナも果物狩りが決定すると、自分の武器の手入れを始めた。しばらく使っていなかった小ぶりのものを数本。明日は普段の槍ではなく、そちらを使うつもりなのだろう。フタバとスーアンはノインに魔法の使い方について意見交換を始めた。いかにして魔法で果物狩りをすべきかというような事だろう。唯一モモカだけがあまり乗り気ではなさそうだった。モモカはきっと確実に汚れてしまう点が少し気に入らないのだろう。四方八方から飛んでくるから、後ろに下がっていろとも言えないからな。俺が申し訳無さそうな顔で見ると、モモカは優しく微笑んだ。


 翌日、宣言通り皆で南の森へ果物狩りに向かった。

 予想通り皆果汁まみれになりながら、果実と格闘を繰り広げた。久し振りという事もあり、力の加減が意外と難しく、慣れるまでの間に果汁まみれになってしまった。果汁って結構目に染みるんだよなぁ。

 果物狩り初体験のサツキも楽しそうに果汁まみれになって転げ回って泥だらけになっていた。・・・ま、泥だらけになっていたのはサツキだけじゃないけどな。特に・・・誰とは言わないが、でかい図体を泥だらけにしてはしゃいでいたやつもいた。ただサツキにとっては丁度良いくらいの練習相手だったようだ。

 大量に収穫し、帰宅の途中にある川の中に皆で飛び込んで果汁やら泥やらを洗い流した。

 この日の食卓にはその大量の果物が並び、皆で舌鼓を打った。

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