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10、ヘーベル総括部長との事務連絡ながら朝食

ちょっと間空きました。

寒さ一段と厳しくなって来ましたね。

最近の防寒グッズは薄型有能お手頃価格でありがたいです。

モコモコ着膨れの時代と違うんだなぁ。

しみじみ。

衝撃の鼻血ブーからの夜が明けて、私達魔王討伐の一行は気の良い女将さんがいるお宿『セル』での朝食に舌鼓を打っていた。

私は麗しのレン様の方を見た。

期待を裏切らない、あの出発前の晩餐会のように今日もフルーツが山盛りだった。

他二人も同じ(扱い雑)。

筋骨隆々魔導師ヴァンは豆、やんごとなき雅な和風イケメン剣士リューイは肉が山盛りだった。

エネ子と呼ばれるこの私だけが、質・量が超絶バランスを保持していた。

食べ方だって主食・スープ、主食・サラダ、主食・メインとバランス良く咀嚼している。

『セル』は風呂も良かったが、飯も大変美味だった。

私は思わず、ここに居ないヘーベル総括部長に祈りを捧げてしまった。

ありがとう総括部長、衣食住こんなにも充実したお宿手配してくれて。

『ハルエネ子君、無事出立出来そうか?』

私の祈りが通じたのか、ヘーベル総括部長の声が耳に響いた。

それが私だけに聞こえる、イヤホンのような魔法伝達道具からの音声だと気付くのに、ちょっとだけ時間を要した。

『おはようございます、ヘーベル総括部長。このような昇天級の宿を手配していただき、ありがとうございます。』

『・・・これから命の危険がある魔王討伐に行くってのに、すこぶる縁起が悪い言い方をするね、君。』

『特にトラブルもなく、ここまではこれていますね。』

『エネハル子君、前に開発途中だと聞いていた【映像】?とかいう、長時間動く記録写真の事だが、、、』

『はい。それに今回は新しい物を付け加えた改良を、移動時間を妨げないように、何とかやっていきたいと考えております。』

『新しい物?』

『宿で思い付いたんですが、私の前世では、動く記録写真に人や物の音声が付いていたのです。もちろん実際の色と相違無い状態で。』

『・・・それは、誰かに言ったりしていないな?』

『ええ。討伐メンバーにも話をしていません。移動中テストをしながら、安定した状態まで持っていければなぁと。原理は前世の知識として持っていますので、その応用で何とかなりそうだなと、大まかな見当は付いてますので、、、』

『他国も欲しがる画期的な事案だ。たとえ討伐メンバーであっても、極力他に知られないように十分に気をつけて行ってくれ。』

これは記録写真の向上を目的としているのである。

故に麗しの可憐なレン様の映像に音声がついて、あられもないあんな場面やこんな場面を繰り返し何度も愛でる為などでは断じてない。

あくまでも魔王討伐の記録が目的なのである。

私は自分自身を納得させながらも、ヘーベル総括部長に

『了解でーす。』

と言っておいた。

ちなみに私の話し声は、他には伝わっていない。

こんなのが魔法伝達道具としてあるのに、アレとコレを組み合わせて使わないのか、全くもって謎である。

「ちょっと改造が要るよなぁ。」

ポーチドエッグをカットしながら、私がひとりごちると、果実からのビタミンエキスで、すっかりぷる唇になったレン様が、ジッとこちらを見ていた。

決してやましい気持ちから、レン様のツヤぷる唇を凝視した訳ではない。

たまたま顔を見たら、たまたまそのツヤぷる唇が目に止まっただけだ。

褐色の肌に、ツヤぷる唇。

誠にけしからん有り様である。

「ハルさんの独り言ごはん、なんか面白い〜。」

「ええこのポーチドエッグを、いかに効率よくカットして口に入れるか、今真剣に考えていたんです。」

極力知られないように、という恩人ヘーベル総括部長の言い付けを、私は律儀な『ニホン』人らしく守った。

その時の私はまだ、この先来る魔王討伐前の魔物討伐で、度肝を抜かれる記録映像が撮れる事を、知る由も無かった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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