77 ラフェリア防衛戦
あけましておめでとうございます!
実家から帰ってきたらお気に入りが100超えてました!
ありがとうございます!
ラフェリアは二重の城郭からなっている。
内側にラフェリア城や四神神社がある正方形の形をした一辺200mの第一城壁、そしてその外側にあり、これから町や田畑などを作ることを考えて築かれた直径約4kmの第二城壁だ。第二城壁は崖や川などの地形に沿って作られている場所もあるため、ところどころいびつな形をしている。そのため、城壁の総延長は15km近くもあった。
第二城壁には8か所の門があり、今はそのすべてが戦時中という事で固く閉じられている。これらの門は四神の加護によって閉じられているため、神官である太郎か、巫女である雫しか開けることが出来なくなっていた。
「城壁の高さは、、10から15メルタといったところか、、」
ラフェリア攻略を命じられたサウザーラ軍の別働隊である第6師団、その師団長ゼクセルスはラフェリア第二城壁の南西門に布陣し、口髭を横に撫でながら自軍の準備が整うのを待っていた。
「それにしても不思議な城壁だ。まったく継ぎ目のない白一色、一体どんな工法で作られているんだ、こりゃあ、、」
「おらぁ! 工作隊、はよ準備せぇや!」
「輜重隊は荷物その辺においてさっさと攻城隊に加われやぁ!」
「へっへっへ、、俺のかわいこちゃん、待っててくれよォ」
「俺は金だな、あの城には宝石が壁一面に埋め込まれているらしいぜ」
師団長ゼクセルスの周りは、とても正規軍とは思えないような言動の兵たちの喧騒に包まれていた。サウザーラ軍第6師団は、拠点攻略と略奪に特化した師団であり、敵国の戦意を喪失させるためによく起用される軍であった。
「うっし、テメえらァ!! 準備はいいかぁ!」
「「「オオ!」」」
「奪ったもんは金も女もテメェ等のもんだぁ! 好き放題暴れろ! ゼクセルス師団、攻撃開始!!」
「「「ウォォォオオオ!!!」」」
サウザーラ軍第6師団、5千の兵がラフェリア城へと襲い掛かる!!
直径1メートルはある、先端の尖った丸太を左右から持って突撃する部隊、長梯子をもって城壁へととりつく部隊、城壁越しに城内へと火矢を射かけるために弓を引き絞る部隊! 全員が下卑た笑みを浮かべて攻撃を開始した。
その頃、ラフェリア城内では、、
「雫ぅ、、大丈夫? なんかたくさんやってきてるみたいだけど。なんならあたしたちが行ってぶっ飛ばしてこようか?」
ラフェリア城の7F、南側を臨む大きな窓のある部屋から、黒いメイド服の雫は2km先の南西門を見ていた。
「ありがと、大丈夫だよ、美穂ちゃん。四神の加護を得た太郎さんの城壁は、そう簡単には破られないから。そのうち諦めて帰るでしょ」
「うふふふ、、撤退する殿方を後ろから、、」
「ぶれないねぇ、よし子」
「うふふ、、由美さんこそ、そのこん棒振るいたくって仕方がないのでは?」
「んー、まぁねー、追撃戦なら雫も許可してくれるかなー?」
◇◆◇◆◇
「はあっ、はあっ、、どうなってんだこの城!」
「まるで岩の崖に突撃してるみたいだ、、」
「くっ、、ハシゴ隊も壁を乗り越えられたものはいないな、、」
攻撃開始から約1時間、ラフェリア南西門の前には疲れ果てぐったりした兵たちが座り込んでいた。先が尖った巨大な攻城槌は、門を破れず先端が平らにつぶれてしまい、長梯子で城壁を登ろうとした兵たちは見えない壁に阻まれて城壁の縁から内側には入れなかった。
城内に火をつけようと放たれた無数の火矢も、城壁の少し手前で勢いが落ち、火も消えてパラパラと城外へと落ちるのみだった。
「ふう、、しかし攻めれない、攻められない、、まったくしまらねぇなぁ」
一人の兵士がそう言いながら、ズボンのベルトを緩めて白い壁に近づき、そして、、
ジョロロロロ〜
「お、おれも」
ジョロロ〜
「ふう、おれも」「しゃんねぇ付き合うか」「おーれも」
ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜 ジョロロロロ〜
いつの間にか数百人の兵達が、白い壁の前に一列に並んで用を足していた、、
◇◆◇◆◇
ラフェリア城の一室で、雫は一瞬カッと目を開いたかと思うと、ワナワナと震えだした。城で起きていることが感覚としてわかる雫は、サウザーラ兵達の行いが手に取るように分かっていた。
「し、雫っち急にどうしたの?」「雫?」「雫さん?」
急に様子の変わった雫に、心配になって声を掛ける級友たち。
「あ、あいつら、、太郎さんの城に、、」
「雫?」
握った拳をブルブルと震わせる雫、その体からは陽炎のように怒りのオーラが立ち上り始める!
そして雫が胸に手をやり玄武様からもらったペンダントを握りしめると、、メイド服は一瞬ブワッと形を崩す。そしてそこには、、真っ黒い前合わせの服を着て帯を締めた雫がいた。
「…モニカさん、」
「ひっ、はひっ!」
お盆を抱きかかえて背筋をピンと伸ばし、返事をする本職メイドのモニカ
「出陣します!!」
「は、はひっ!! わかりました雫様!」
ラフェリア城の門から、メイドの少女トリシャと幼いテトラが飛び出して街に向かい叫びまわる。
「雫様、出陣です!」「しじゅくさまー、しゅちゅじーん!」
「「「!!」」」
「なに! 雫様が!」「お妃様が一戦交えられるのか!!」
守備兵は急いで槍や剣を手にして集まり、家々からも人々が鎌や棒を手に飛び出してきた。そして、城を出て南西門へと向かい歩く雫の後にぞろぞろと続いていった。
◇◆◇◆◇
南西門に着いた雫が門に触れると、門は、ゴゴゴゴゴ、、、と音を立てて人一人が通れる分だけ開く。
「おお! 開いたぞ!」「ん? ちょっと待て、誰か出てくるぞ?」
門の中からは金髪の美しいメイドが歩み出て、前で手を合わせ、丁寧にお辞儀をした。
「ほえー、べっぴんさんじゃねぇか」「俺この娘がいい」
「サウザーラの皆様、ラフェリアへようこそ。ラフェリア城でメイドをさせていただいておりますモニカと申します。あいにく、城主のタロー様は留守にしておりまして、代わりに城代の雫様が皆様にご挨拶させていただきたいとのことです」
そして、、城門より一人の女性が歩み出てきた。袖口の広い前合わせの黒い服を着ており、黒い帯を締めている。着物の袖もズボンのすそも短めで、足は裸足だ。
「こりゃ、、上物だ、、」
整った顔に美しい黒髪をポニーテールにした雫をみて一人の兵士がゴクリとツバをのむ。
「それにしても、何だあの服? 寝巻か?」
「きっと脱ぎやすいようにだぜ!」「ぎゃはは! いいなそりゃ!」
城門を取り囲むサウザーラの軍勢の中に、雫は一人歩み出て冷えた視線で見回した後、一礼をしてスゥっと息を吸い、、
「スゥーーーーー」
「「「すぅ?」」」
「パァァアアーーー」
「「「ぱぁ?」」」
「リンペェイイイイ!!!!」
「「「!!!」」」
ズゴゴゴゴゴゴゴ、、、
裂帛の気合により大気は震え、大地が鳴動する!!
雫が始めようとしているのは、空手の型、スーパーリンペイだ。
「な、なんだ!!」「地震か?!」
揺れる地面と、攪拌される様な空気によろめくサウザーラ兵達
ゴウッ!!
「「ぎゃぁぁあ!」」「うわぁぁあ!」
雫が放った突きから竜巻が巻き起こり、サウザーラ兵を木の葉のように吹き飛ばしていく!!
バッババッ!!
「ひぃっ!」「ぎゃっ!」
するどい回し受けが巻き起こした風の刃が飛び交い、敵陣を切り刻む!
ゴ、ゴウッ!!
「うわあああ!」「た、助けてくれぇ!!」
四股立ちで四方を突くと、いくつもの竜巻が起き四方のサウザーラ軍陣地を蹂躙する!
ズババシュウ!!
「ぐわぁぁああ!」「ひ、に、逃げろぉ!!」
空中二段蹴りを放つと、巨大なサメのひれの様な衝撃波が走り、サウザーラ軍の中央を破壊して突き進んでいった!!
そしてわずか数分の型が終わり、雫が一礼をした時には、、サウザーラ軍はすでに壊滅的な被害を受けていた。
「し、雫様すげぇ、、」「ああ、王妃様があんなに強いなんて、、」
城壁の上から見ていたラフェリアの民たちもぽかんと口をあけて呆然としていた。
「なにぼさっと突っ立ってんだい男ども! 王妃様だけに戦わせるつもりかい!!」
兜代わりに鍋を被って、大きなすりこ木棒とフライパンを持ったドワーフの太ったおばちゃんが声を張り上げる!
「「!! うぉぉぉおお!! 王妃様万歳!!」」
城門からラフェリアの兵と民が飛び出していった!!!
「う、うわあ! 何だコイツ等!!」「ひぃい 逃げろお!!」
雪崩を打って城門より襲い掛かってくるラフェリアの民に恐怖し、武器を捨てて逃げ出すサウザーラ兵
「ま、まてキサマら! 敵前逃亡は死罪だぞ!!」
師団長ゼクセルスは、長剣を振り自軍の兵を斬り付けてでも敗走を止めようとしていた。
「偉そうな人、みーっけ」「これ、ヤったらお手柄?」「うふふ、おしおきですわね」
「!!」
必死に軍を立て直そうとしていたゼクセルスが声のした方へ振り返ると、そこにはにこやかに笑う女性たちが立っていた。か弱そうな少女たちに一瞬安堵しかけるゼクセルスだったが、彼女たちの通ってきたであろうその後方に視点を移した時、何十人もの兵が倒れているのをみて戦慄した。
「う、うぉぉおおお!」
とっさに長剣を両手で大上段に振りかぶり、渾身の力で斬り下ろすゼクセルス!
ギャキン!!
由美が片手で振るったこん棒は長剣をへし折って弾き飛ばした。
「っ、ぐっ!」
ゼクセルスはうめき声をあげながら剣を弾かれた反動でしびれた手を握りこんでうずくまる。
「っ、殺せ、、」
「えー、めんどい」
「なにが望みだ?」
「べつに~」
「っ! 何なのだキサマらは!!」
少女たちのノリについて行けず激高するゼクセルス。
「なんかうざい」「おじさん自分から攻めてきて逆切れ?」「良い度胸ですわ」
冷たい目で見下ろす少女たちにゼクセルスは恐怖した。
「ひっ、、、ぎゃぁぁぁあああ!!!」
◇◆◇◆◇
その日の夕方、、、ラフェリアの民に武器も鎧も服もはぎとられ、木の枝を杖にしてほうほうの体でサウザーラへと帰っていく数千人の裸の男たちがいた、、その中には髪と髭をむしられ、ボコボコに顔を腫らした師団長のゼクセルスらしき人がいたとかいなかったとか、、
お読みいただき、ありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。




