64 腰ミノの悪魔
お食事中の方は、後で読むことをお勧めします。
m(_ _)m
「『腰ミノの悪魔』がでたぞーー!!」
サウザーラ兵達が叫ぶ。
なんだそれ? サウザーラでは俺のことどう広まってんだ? まあいいや、とりあえず目に入った近くの兵士5名に腹パンする。
「うぐぐぼぼ、、」「おぶっ、おええ」
きったねーなー、
「さっさと下がらんともっと殴るぞ?」
拳の形にへこんだ鎧を抑えながら、サウザーラ兵がフラフラと逃げていく。
「うわー、エゲツな〜」
「なあ、太郎って分身使えんのか?」
「いや、目に見えないほど超高速で動いてるだけ、そんな速度で腹パンしたら相手が粉になっちゃうから、打つ瞬間だけ手加減のためにスローになってるのが私たちに視認できるみたい、、」
「だ、だから相手の兵士の数だけ分身しているように見えるのか、、」
「えええ、、あれでスローにしてるとか、、」
「魔術師隊! 奴が出た! 隊列を組め!」
『『『バーミリオン・レイ!!』』』
魔術師達から放たれる、灼熱の真っ赤な光線、またこれかよ進歩ねーな、ていうかこれぐらいしか打つ手無いのか。後ろに人いるから避けるのはマズイか。
キィン! キンキン!
俺の周りの空中に現れた3枚の六角形の光の板に阻まれ、空へと曲げられる赤い光線、レベルが上がった今の状態では、手をかざさずとも玄武様の加護による光の盾を自動で複数展開することができていた。
「終わり?」
「く、、バケモノめ!」
「じゃあ俺も光線のお返し、よいしょっと」
直撃しないようにちょっとだけ相手からずらして青龍剣スコップを構える。
バリバリバリバリ!!!
スコップから迸る極太の青い光線が、雷を周りに撒き散らしながらその進路を焼き尽くす!
「しびびびれれ!」「あがががが!」
余波を食らった魔術師隊の連中が、感電してのけぞったままビクンビクンとのたうちまわる。
「くっ! 退け、退けぇーー!!」
お、やっと退いてくれるか。
敵兵が十分下がったところを見計らい、空中へと上がる。
「はぁぁあああああああ!!!」
スコップを構えてチャージ!!
ギュオンギュオンギュオンギュオン!!
ショベル部分が脈動するかのように青く点滅しその光を強めていく!!
「でりゃぁぁああああああ!!」
ズドガガガガガァアーーン!!
地上に向けてスコップを一気に振り抜き、大地を切り裂く!!
よし、敵兵と避難する人達の間に、底も見えないほどの谷が数キロに渡ってできた。まあこれで当分敵の足は止めれるだろう。
◇◆◇◆◇
「「太郎、すまねえ!」」
「??」
走り寄ってきていきなり頭を下げる照夫と幹宏
「お前ら、ホラン村の人達を助けてくれたんだろ? ありがとうな」
「い、いや、ほら、サウザーラ軍と交戦になっちまって、、」
「? それがどうかしたか?」
「俺たち、サウザーラ軍に先制攻撃をして奴隷を奪った形になっちまったんだ。その上あちらの領内で度重なる交戦、、このままじゃ太郎のラフェリアとサウザーラの戦争になっちまう、、」
泣きそうな顔の幹宏、俺は奴の肩をポンと叩き、
「よくやった、お疲れ。伝令から聞いた、アドリアさん達弔ってくれたってな、ありがとう」
「う、、うぁぁあああああ!」
その場に泣き崩れる幹宏、緊張の糸が切れたんだろう、幹宏は大きな体を小さくうずくまらせて泣いていた。
「照夫、お前もお疲れ」
「本当にあっさりなんとかしちまいやがって、全く」
「俺でもなんともならんことはあるさ、、アドリアさん達の事とか、、でもお前らが生きて返って来て、ホラン村の人達を連れて来てくれて、良かったよ」
「ああ、、ほんっと疲れた。自分で言い出した依頼でなんだが、、マジでしんどかったよ」
「ああ、お疲れ」
「ヒャッホー、タロー! スゲーなおま、ゲブッ!」
なんだこのヘヴィメタルなツラの黒いローブの奴、馴れ馴れしく近づいて肩を組もうとしたもんで、思わずムカついてアッパーしちまった。
「ちょ、浩二! 大丈夫?!」
なに? 浩二?
「花蓮、今のうちにローブを裏返して白浩二にするんだ!」
「そ、そうね咲夜! 『ヒャッハー』のままだとウザいもんね!」
気絶して倒れた男のローブを裾からめくり上げて脱がす女子2人、、酷い絵面だな、、てかローブの下はパンツ一枚かよ浩二、、
ローブをひっくり返して白を表にすると、頭からすっぽり被せていく。
「あ、、フードが前に来ちゃった、、まいっか」
気絶した浩二の顔にすっぽりフードを被せる花蓮、、
「まてまて、それはいいのか?」
「大丈夫、だと思う。浩二が起きたら自分で直すだろう」
「なあ太郎、ここからラフェリアまではどれぐらいあるんだ?」
疲れた顔で照夫が聞いてくる。
「ん? そうだな、、10kmぐらいかな?」
「まだそんなにあるのか? くそっ、平地ならともかく、この道もない山ん中じゃこの人たちは、、」
「道なら作るぞ?」
「は?」
「今から食料出すからみんなに分けてやってくれ。ええと、リンゴは1樽50個入ってたから5樽もあればいいか。干し肉は柔らかい奴を10束出せばいいな」
そう言ってスコップから、リンゴの入った樽に干し肉の束、水の入った樽を次々に出してやる。
「はあ? なんだそのスコップ?! 収納スキルまで付いてんのかよ!」
「いいだろ、やんねーぞ」
「いや、もらっても使えないし、、全く、誰だ太郎の事を無能扱いしたのは、、」
「まあ、とりあえず、みんなに分けてやってくれ。火もおこしていいぞ」
そう言ってラワ草の束と乾いた焚き木をドサドサっと出しておく。
「なんつー便利な、、」
「じゃあ俺は、みんながラフェリアに行くための道を作るから、干し肉でもかじりながら待っていてくれ。ああ、もしサウザーラ兵が来たら、照夫、グレネードを一発撃って合図してくれ。すぐかけつけるから」
「あ、ああ、わかった」
さてと、一仕事しますかぁ!
◇◆◇◆◇
1時間後、、、
「…城まで、、一直線かよ、、」
俺が作った道の上に、照夫が呆れ顔で立っている。道の先には遠くに霞むようにラフェリアの白い城が見えていた。
「スゲーだろ、土木って」
「いや、お前がすごいだけじゃ、、、まいいや。ここを歩けば全員1日でつくだろ、、」
「いや、全員歩く必要はないぞ」
「?」
「よっ、と」
スコップの『ネコ』から馬車と荷車を数台出す。以前冒険者から鹵獲した馬車や、オーリ8世からもらった荷車だ。
「これに老人や子供、怪我人を乗せりゃいい」
「…誰が引くんだ?」
「そりゃ俺とお前と幹宏、あとシベハス始めとしたうちの隊の連中かな? 道は平らに舗装してあるから楽に引けるぞ?」
「よし! 任せろ!」
一番でかい荷車の引っ張る部分に入り込む幹宏、
「よっしゃ! ラフェリアまで勝負するか、幹宏!」
俺も負けずに一番でかい馬車の馬をつなぐ部分に入り込む!
「やめなさい、あんたたち。本気で引いたら荷車が壊れるでしょ!」
ちっ花蓮、男心のわからん奴め。
◇◆◇◆◇
ゴロゴロゴロ、、
半分くらいの人達は歩いているが、老人や子供、怪我人など、100名ほどの人達が10数人ずつ荷車や馬車に乗って、それを俺たちが引いている。俺のでかい馬車は、大人の怪我人や病人を主に20人ばかり乗せている。体重の軽い子供や老人は他の奴らに任せた。
「なあ花蓮、あっちの馬車に乗ってる人達、王様に馬車引かせていると知ったらどうなるかな?」
「知らないよ、咲夜。全くか弱い乙女にこんなの引かせて、、」
花蓮が隣で咲夜と一緒に馬車を引きながらぶつぶつ言っている。いや、お前ら勇者は、一般人どころか馬よりもはるかにステータスが上だからいいだろ? まあ、俺もそうなんだから馬車引いてんだが。
「はぁ、はぁ、、」
「シベハス! 鍛え方が足んねーぞ!」
シベハス達は4人1組で、合計5台の荷車を引いている。
「す、すみません、、が、頑張ります!」
「よし、頑張れ! 期待してるぞ!!」
そして休憩地点を出発してから2時間後、、
ラフェリアの城門前では長老達と50人ばかりの兵達が待っていたが、、なぜか長老達がジト目で俺のことを見ている。
「よし! 着いたぞみんな! ラフェリアへようこそ!
俺がラフェリアの主、太郎だ!」
「「「「ははぁーーっ!!」」」」
あれ? 俺の馬車に乗ってた怪我人や病人達がいきなり飛び降りてきて土下座したぞ? 元気じゃんこいつら?
花蓮「全くか弱い乙女2人に馬車を引かせて、、」
咲夜「……なあ、乙女の定義って、いやなんでもない」
花蓮「へ? 咲夜、あああああんた、まさか、、」
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