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63 なんとか

「テメェらぁぁああ! うぉぉぉおおおお!!」


「な、なんだこいつは!!」

「総員『盾壁』の陣を組め!!」

「「「「イエッサー! 武技『アーマーウォール』!!」」」」

 幹宏の突撃に一瞬怯むサウザーラ兵、しかし命令を受け、即座に武技を組み合わせた防御陣形を取る!


「んなもん、関係ぇねぇ!!! ダァリャァァァアアア!!」


 バゴン!!


 幹宏の一振りで盾を構えていた前列の五名が吹き飛ぶ!

 盾はひしゃげ、腕は折れ、転がっていった五名の内、立ち上がる者はいなかった。


「な、一撃で!」


「待て幹宏!」

 照夫に待てと言われてギロリと睨み返す幹宏、


「殺すな! アドリアさん達を殺った奴の情報が欲しい。ある程度いたぶって動けないようにできるか?!」

「承知したぁ!!」


 ドガン! バゴッ!

 ベシッ! ズガン!


 不幸な事に、なまじ防御力の高い装備や防御を高める武技を持っているが故に、サウザーラ兵達は幹宏に蹂躙され続けた。



◇◆◇◆◇



「で? なんで軍がこんな僻地の村にいるんだ?」

 倒れていた隊の指揮官らしき男の上半身を引きずり起こし、顔を覗き込みながら尋ねる照夫、


「き、貴様ら何者だ! こんなことをして、」

 バゴッ!

「聞いてるのはこっちだ、お前こそ立場をわきまえろ。次余計なことを喋ったら殺す」

 銃底で殴り、倒れたところを再び引き起こして尋ねる照夫。


「がはっ、、ぐ、サウザーラ領内に我がサウザーラ軍がいても不思議はなかろう、領内見回りの任務の途中だ」


 ドンッ、ドンッ!


 銃底で殴られ、血を口から流しながら答えた兵士、しかし次の瞬間、照夫は無表情のままその男の両膝を自動拳銃で撃ち抜いた。


「ぎ、ギャァァァアアア!」

「ナメんな、嘘ついてんの、俺のスキル『尋問』でバレバレなんだよ」

 ゴリっと男のこめかみに自動拳銃を押し付ける照夫


「わかった! 言う、言うから!」

 引き金に指をかける照夫、


「ひっ! お、王子殿下の護衛だ!」

 照夫の動きが止まる


「……」

「黙るな、続けろ」

「お、俺たちはサウザーラ西部軍の一部隊だ、み、3日前、要人が狩をするためにこの地に来るから、護衛しろと任務が降ったんだ!」


「どんな要人だ?」

 こめかみの銃口をゴリゴリ押し付ける照夫


「ひっ、、シュ、シュルマイアー殿下だ!」

「シュルマイアー?」


「あ、あんた知らないのか?! 外国の人か?」

「余計な事聞いてんじゃねえ、シュルマイアーの護衛の後を続けろ」


「ひっ! シュルマイアー殿下は、王都親衛隊を率いて軍事演習に来たと言っていた。その内容は、、、」

 急に言い淀む兵士、、


「どうした、続けろ」

 スゥッと銃口を眉間に突きつける照夫、兵士はその銃口を寄り目で見た後、目をつぶり、


「ぼ、冒険者達の奴隷狩りだよ! そこで少しでも抵抗する者がいれば、、殿下達の部隊が蹂躙するって内容だよ! 冒険者の方から軍に護衛を兼ねた演習の話を持ち込んだら、殿下の部隊が飛びついたらしい。実際、、いくつかの村で抵抗しようとした者達が居たけど、、重装騎兵の突撃や強力な武技、魔法の的になって、、一瞬だった、、」


「シュルマイアーは王子なのか?」

「あ、あんた本当に、、いや、シュルマイアー殿下はこの国の第1王子で王位継承1位の方だ」


「そうか、、、教えろ、その部隊に炎の槍を使う奴はいるか?」

「そのシュルマイアー殿下だよ! 『炎の魔槍アミー』を数百年ぶりに使いこなす天才として有名なはずだが、、」


「ホラン村の人達は、どうなった?」

「こ、この村のことか? 抵抗しようとした数名はあっという間に殿下の部隊に殺されたさ。村人の大半は、、この森から川を下ったところにある奴隷の集積地に集められている、この後サウザーラへ移送する予定らしい」


「最後に1つ、、シュルマイアーと兎獣人の剣士との戦いは、、、見たか?」

「!!」


「俺たちはその剣士と家族の友人だ、見てたなら、、頼む、聞かせてくれ」


 照夫達は、、そこで、シュルマイアーが初めからアドリア達家族を殺すために動いたこと、アドリアの奮戦、親衛隊に槍を突き刺されつつも立ち続けるメイリの最後、ルイーセとドロシーへのシュルマイアーの非道を聞く。


「そうか、、浩二、膝を直してやってくれ」

「うん、わかった」

 銃で撃たれた指揮官の膝に回復魔法をかける浩二、


「さて、どうする? シュルマイアーは王城へ戻ったとのことで手が出せない。引っ越しを手伝いに来たホラン村の住人は連れていかれた後だ」

 照夫の言葉に、思案にくれるような表情になる花蓮、咲夜、幹宏


「ホラン村の人達を助け出してラフェリアへ連れて行くに一票」

 しゃがみこんで兵士の足を治しながら、振り返りもせずに浩二が言う。


「俺は浩二の案に一票」

 幹宏が右手を挙げる

「そうだね、アドリアさんの願いを引き継ごうよ、私も浩二に一票」

 花蓮が右手を挙げる

「太郎陛下の依頼でもあるしな、私も浩二に一票だ」

 咲夜も右手を挙げる


「はぁ、、どんだけ大変か分かってんのか? お前ら? あと太郎に迷惑かけることになるぞ」

「「「「太郎ならなんとかしてくれる」」」」


「わかった、俺も浩二に一票だ、満場一致だな。シベハス隊長、俺たちはここから、、」

「いえ! 我々も助けに行きます!」


「だがどう考えてもヤバイぞ」

「我々も太郎陛下に奴隷狩りから救ってもらった身! 同じ境遇にある者を救うために命を賭けるのは願っても無いこと!」


「わかったわかった、だが戦闘は俺たちに任せてくれ。ホラン村の人達の避難を手伝ってやってほしい。あと太郎への伝令をたのむ」

「はっ! わかりました!」




◇◆◇◆◇



「うわちゃー、結構出てきたね」

「いいからさっさとずらかんぞ!」

 照夫達は奴隷集積所の襲撃に成功し、花蓮のスキル『解錠』で200名ほどの人達を次々に自由にしたあと、ラフェリアへ向け北上していた。シベハス達が囚われていた人達に肩を貸しながら撤収するが、足が遅い。当然、サウザーラ兵と交戦しながらの撤退となっていた。


 ヒュシュシュ!

「グアッ!」「ガッ!」

 飛び出してきた兵に花蓮が手裏剣を投げ、その足を止める。


「うおおりゃぁあああ!!」

「「ぐわぁぁああ!」」

 幹宏がフルスイングで土砂ごと敵兵を吹き飛ばすと、土砂と人が後方の隊へと降り注ぐ。


「この奴隷どもがぁ!」

「キャッ!」

 ヴォン、ヴヴォン!

「あっ!」「ぎゃあ!」

 獣人の少女に手をかけようとした兵士の腕に咲夜が炎熱剣で斬りつける。


「くっ、魔術師隊! 打て打て!」

「「「ファイアボール!!」」」

「ひゃははは! なんだそのまぁーめでっぽーぅはぁ? くたばれ!『アイスジャベリン20連』!!」

 ズギャガガガガ!!

 浩二が唱えると2mはある氷の槍が横一列に現れてロケットのように放たれ、ファイアボールを消しとばしながら進んで着弾、魔術師隊を敵の魔法ごと吹き飛ばす!


「うわー、久しぶりに見たわ黒浩二」

「まあ、あのリバーシブルのローブがあいつの固有武器だからなぁ、白だと回復や防御、裏返して黒にすると攻撃特化だと言うけど、、性格や顔つきまで別人みたいになるんだよなあ」

「こんな時、頼もしいっちゃ頼もしいけどね」

 


◇◆◇◆◇


 照夫達の撤退戦は、日が沈み、夜が明けても続いていた。


「もう駄目ですじゃ、、ワシは置いていってくだされ」

「ダメだよ、おじいちゃん! 諦めないで! お願い、立って!」

 花蓮の言葉も虚しく、へたり込む人々。両手両足を長いこと枷で縛られ、ろくに食事も与えられなかった状態からの逃亡で、人々は限界を迎えていた。


「くっ、流石に足が止まってしまったら撤退ができん、、」

 焦る照夫、対して増え続けるサウザーラの追撃部隊、


「なんとか、なんとかして、、追撃を止める方法は無いのか?」

「追撃を止めればいいのか?」

「ああ、追撃さえ止めば、」

「わかった、ちょっと止めてくる」

「たのむ、太郎、、って、ええーーっ?!」


 いつのまにか隣にいた太郎にびっくりする照夫、そんな照夫に振り返ることもなく、太郎はサウザーラ兵達がやってくる方向へとスタスタ歩き始めた。


 いつもの、背中にスコップ腰ミノ姿で。



黒浩二「ひゃははは! 汚物は消毒だぁ!!

『フレイムウォール!』」

照夫「ちょ、森ん中でそんな火魔法!」

花蓮「こっちが悪役みたい、、」


お読みいただきありがとうございます

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よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
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