59 ピンクのワンピ
「ありがとうございます、ミーシャさん」
「ううん、メイリさん気にしなくて良いにゃん」
猫獣人のミーシャは、アドリア達、たれ耳の兎獣人の一家を連れて神社の境内にある屋台をまわっていた。
「シルフェさん、この子たちはラフェリアに来たお客さんにゃん、具沢山でおねがいにゃん」
「あらあら、かわいい子たちね、はいどうぞ」
屋台を開いているエルフから、野菜が沢山挟まれたサンドイッチを受け取り、子供たちに渡す。
「ありがとーおねーちゃん」「ミーシャさんありがとー」
元気にお礼を言ってサンドイッチを受け取ると、むしゃむしゃと一心不乱にかぶりつくルイーセとドロシーの姉妹。
「すみません、旅の間は、、いえここのところこの子たちにもまともに食事を与えることが出来ず、、本当にありがとうございます」
アドリアとメイリの夫婦が申し訳なさそうに言うところへ、にっこり笑って二人にもサンドイッチを渡しながらミーシャが答える。
「私たちも冒険者たちの奴隷狩りにあって、サウザーラに連れて行かれそうになったにゃん。でも、ごしゅじ、、タロー様が現れて、何十人もの高レベル冒険者をたった一人でぶっ飛ばして助けてもらったにゃん。このラフェリアで安心して暮らせるのもタロー様のおかげにゃん」
「なんと、タロー様はそれほどまでにお強いのですか?」
「うん、とっても強いにゃん。ほら、あの人とあの人、じつはエオリアの勇者にゃん。タロー様のお友達でとっても優しくって強い人たちにゃん。でも、あの人たちが言うにはタロー様はあの人たちよりずっとずっと強いらしいにゃん」
「おお、あの方々が勇者、、初めて見ます」
「うん、タロー様と勇者さんたちは先日、山のようにとっても大きなドラゴンと戦ったらしいにゃん。その時、ドラゴンにとどめを刺したのがタロー様で、ドラゴンのブレスからみんなを守ったのがあそこにいるシズク様にゃん。シズク様はタロー様の奥さんにゃん」
「ド、ドラゴンスレイヤーなのですか、タロー様は」
「あれがお妃様、、なんと美しい、光がこぼれるようですわ、、」
「サンドイッチ食べたらこっちに来るにゃん。ルイーセちゃん、ドロシーちゃんにタロー様からプレゼントがあるにゃん」
そう言ってミーシャが丸太でできた倉庫のような建物へと一家を連れて行く。
ミーシャが倉庫の扉を開くと、
「わあー!」「おようふく!」
中にはたくさんの服や靴が整然と棚に置かれていた。
「タロー様がみんなに買ってくれた服にゃん、ええと、、これなんかどうにゃん?」
「わっ、ピンクのワンピ!」「あ! あたしもピンクがいい!」
「ちょうど、シンプルなのとフリルがついたのの2着あるにゃん」
「わたし、こっちのほう!」「あたしはこっちのフリル!」
「あらあら、、でもホントにいいのかしら?」
「良いにゃん、この子たちが喜べば、それがタロー様の喜びにゃん。タロー様はそう言う御方にゃん」
「なんと、、本当に慈悲深い方なのですね、タロー様は。やはりラフェリアを訪問したことは間違いではなかった」
「「ピンクのワンピ! ピンクのワンピ!」」
ルイーセとドロシーは茶色のボロボロの服からピンクのワンピースに着替えると手をつなぎ、ぐるぐる回りはじめた。
そんな子供たちの様子を見ながら、アドリアとメイリの夫婦は目を細めるのだった。




