55 神社完成
コン、ココン、、
ラフェリア城の敷地内に作られた木造の建物から、今日も小気味良い音が響いていた。
ココン、、コンコン
そしてその音が鳴り止む。
「よし、完成だ、、」
「「「おおーー!」」」
ついに四神神社が完成した。
途中、スタンピードの対応や、避難民の受け入れ、街の拡張など、色々なことが起きたが、何とか完成させることができた。
「雫、祭壇の準備を頼む」
「はい、太郎さん」
神社の中でお供え物を用意し、玄武様に祈る。腰を90度に曲げて拝礼すると、神社の中に神気が溢れてきた。
「ふぉっふぉ、久しいのタロウ」
顔を上げると、黒い衣の玄武様が、、、あれ? 青龍様もいる。
「はい、玄武様、ついにこの四神神社が完成致しました。つきましては祭事の日取りを決めさせていただきたく」
「ほれ、ただの打ち合わせでは無いか、青龍」
「ぬぅ」
「? あの、どうかなされたので?」
「こやつのう、わしだけが呼び出されて酒を飲むのでは無いかと見張っておったのじゃ、全く」
「げ、玄じい、、ばらすで無い」
「ええと、そう言うことならお酒を、、」
「よい、朱雀や白虎に悪いでの、今回はお主も我慢しろ」
「ぬ、、勿論だ。して、完成したとな。祭りは今からか?」
「これ、急くでない、青龍。タロウにも準備がある。タロウ、準備のほどはどうなっておる?」
「は、はい、祭りは5日後ではいかがでしょうか? 暦の上でも良いかと」
「む、豊穣の季節の、昼と夜の長さが同じになる日じゃな。良かろうて」
「ありがとうございます、ではその日に祭りを行なわせていただきます」
「うむ、宜しゅうの、他には良いか?」
「はい、玄武様にお教えいただいたおかげで、準備は滞りなく」
「よいの、よいの。ほれ、帰るぞ青龍、5日後まで我慢せい」
「玄じい、俺も祭りの話をだな」
「おぬし、こういうのは苦手じゃろ、タロウの邪魔をすると祭りの日が遅れるぞい。ほれ帰るぞ」
玄武様に連れられて、青龍様も名残惜しそうに帰っていかれた。
「青龍様、飲みたかったんだろうな、、」
「ふふ、さすが玄武様ね、、青龍様が子供みたいだったね」
「うん、そうだね、、、」
◇◆◇◆◇
祭りの日が決まり、ラフェリアの城内は準備で大わらわとなった。誰も彼もが、食べ物の準備や飾りつけで忙しく働いている。そんな中、エオリアから級友たちが数人遊びに来てくれた。
「やっほー、お土産持って遊びに来たよタロちゃん」
「なんだかずいぶん忙しそうですねぇ」
おお、柳田と尾崎君だ、マジックバッグらしきカバンを1つずつ下げている。
「おう、よく来たな、すまんね、お土産助かるよ」
「由美ちゃんありがとう」
「雫っち〜ぐふふ、新婚さん向けの物も入っているからね~」
オヤジか柳田、、
あれ? うつむきながら素直にバッグを受け取る雫、、
柳田が雫になんか耳元でコソコソ話してるが、、一体何が入っているんだ?
「よう太郎、デートに来いって咲夜に声かけてくれたんだろ、ありがとな」
「お、おい照夫、、デートって、、ゴニョゴニョ」
片手を上げながら陽気に話しかけてくる照夫と、うつむきながらその横を歩く咲夜
「おう、照夫に咲夜もよく来たな。って幹宏に花蓮に浩二もいっしょか、」
照夫と咲夜の後ろから、幹宏たちも遅れてやってきた。
「何だよ、おまけみたいに。ほら、手に入りにくそうなもん持ってきたぞ」
そう言って幹宏が、自分より大きな背負子をズンッと音を立てて降ろす。
背負子には何かがつまった大袋がたくさん載っていた。
「…それ、なんだ?」
「ん? 小麦に砂糖にバターと、あとエオリアのパン屋で分けてもらったイースト菌に、、」
「おまえ、パンが焼けるのか?」
「まあな、どちらかと言うとパンより菓子の方が得意だけどな、パティシエ志望なんだ、俺、これでも」
マジか? こいつ!
「幹宏のお菓子、まじでいけるよ、繊細な見た目と味は、ガサツな戦闘スタイルとは両極端だよねー」
「うん、幹宏君、スイーツ系厨房男子だからね。いつもみんなで取り合いになるよ」
花蓮と浩二も絶賛する。
「幹宏」
「な、なんだ太郎? 急に」
「頼む、お前の力が必要だ、助けてくれ」
「お、おう、、」
「まずはお前のために専用の厨房を作ろう、かまどはどんなのが必要だ? あと必要な道具を言ってくれ。最優先で準備しよう」
「おう、菓子つくりに来たつもりだからもちろん良いけど、、おまえそんなに甘党だったか?」
「いや、俺より、、その、明後日の祭りのお供え物に甘いものがたくさん必要なんだ」
「お供えもの?」
「ああ、まあ詳しくは中で話そう」
そう言って幹宏たちを城内へと案内した。
◇◆◇◆◇
「と、いうわけで明後日にはラフェリアの四神神社の完成を祝って、祭りを行う予定なんだ。それで遊びに来てもらったところ悪いんだけど、手伝ってもらえるとうれしいんだ」
「へぇーいいね、神社でお祭り、たこ焼きに焼きそば、リンゴ飴にベビーカステラ、それから、、」
「由美ちゃん、元の世界みたいにいろんなものがあるわけじゃないの。特にこの城、、」
雫が申し訳なさそうに言うと、、
「よし! わかった! 今日からフル稼働でパンとスィーツを作るぞ!! この城には子供たちもたくさんいそうだしな!」
「いいねいいね、僕も手伝うよ!」
「私も幹宏を手伝う!」
「そうだな、久しぶりにノルエス救援隊でパーティ組むか」
「ああ、今回こそ幹宏が真のリーダーだな」
「ひでぇな、みんな、、、」
「「「「あっはっは!」」」」
中のいい5人組だな、、伊達にあの死線を乗り越えてきたわけじゃないか。
「ありがとな、、みんな」
「良いってことよ! 太郎には借りっぱなしだからな! 少しぐらい返させろ!」
なんて気のいい奴らなんだ、こいつら、、
「じゃあ、あたしは足りないものを買い出しに行くかな?」
「僕も調理場では役に立たなそうなので、買い出し組ですねぇ」
「いいのか? 柳田、タク、、その、お金はこれでいいかな?」
そう言って白く光る輝石を5つほど手のひらに乗せて差し出す。
「多すぎるよ! タロちゃん!」
「1個で十分! ていうか僕らも持ち合わせがあるから大丈夫だよ!」
「いや、ちょっと多めに買ってきて欲しいものがあるんだ。場合によってはオーリ8世に頼まなきゃいけないかもしれない」
「そう言う事なら1個だけ預かっておくよ、、一体何が欲しいの?」
「お酒だよ」
「「お酒?」」
「うん、以前オーリ8世からもらった物資の中にお酒があってね、それと同等か、それ以上の物がたくさん欲しいんだ。神様が気に入っちゃってさ、、
あと、うちの連中にもたまには飲ませてやりたいんだ。こっちは普通のお酒でいいんだけどね」
「そう言う事なら分かりました。陛下に聞いてきますねぇ、あと手頃なお酒も探して来ますよ」
「ああ、頼むよタク」
幹宏たちは祭りが終わるまでの数日間、ラフェリアに滞在してくれることになり、供物や祭りでみんなに配るためのパンやお菓子を作ってくれた。柳田とタクはラフェリアとエオリアを何往復もしてくれ、お酒や果物など沢山の物を運んでくれた。リャントウのやつもあれから2回服を運んでくれた。
そうしてみんなの助けを得ながら準備をすすめ、、祭りの日がやってきた!
お読みいただき、ありがとうございます。




