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47 竜種のプライド

「走れ走れ!」

 戦場の周りを駆ける勇者の一隊があった。照夫の率いる遠距離攻撃組だ。アサルトライフルを持った照夫を先頭に、投槍や巨大な弓を持った勇者たちが続く。



「よし、今だ! ファイア!」

「デリャア!」「シュート!」

 シュババババ!!


 ドンッ! ズガガガ!! ズガァン!


 俊介、由美の攻撃に合わせ、遠距離攻撃組の攻撃がデザートドラゴンに着弾する!


「次いくぞ!」

「おう!」「了解!」

 彼らは一斉射撃を済ますと、デザートドラゴンに捕捉されないよう、次の射撃ポイントへと走り出して行った。



◇◆◇◆◇


 戦闘開始から30分ほどがたち、早くもデザートドラゴンは苛立っていた。打てども打てども攻撃の効かぬ相手、そして時たま手足や腹を吹き飛ばされる得体の知れない攻撃、虫ケラごときにこの我れがいいように!

 大抵の竜種は、自分たちは全ての生物の頂点に立っていると自負しており、知能はともかくプライドだけは異常に高かった。


<グゥオオオム!!>

 デザートドラゴンが空を仰いで咆哮する! すると学校の校舎ほどもあるデザートドラゴンの全身に長さ1mから2mほどの無数の棘が現れ、全方位に同時発射された!!


 シュドドドドド!!


 半径1kmほどを埋め尽くし、着弾する膨大な数の砂の弾


「はあっ!!」

 デザートドラゴンの正面で俊介が聖剣を振るい砂の弾を弾き飛ばす!


「てやぁっ!」「……」

 デザートドラゴンの真下にいた由美は棍棒で弾を打ち返し、拓也は黒いマントから生えた無数の鞭で打ちはらう!



◇◆◇◆◇


「うわぁ!」「きゃあっ!!」「こなくそ!!」

 砂の散弾は後方でランクAの魔物の群れを俊介に近づけまいと戦っていたクラスメート達の上にも降り注いだ!!

 大多数は砂の弾を避けたり打ち払ったりしたが、魔物と斬りむすんでいて動けなかった者や、回避が遅れた者が被弾した!


「負傷者を集めろ!」「1班が2人被弾した! 前衛変わってくれ!」

 にわかに騒がしくなる勇者達、



「やばい! 幹宏が『瀕死』状態に!」

「しっかりしな!! 幹宏!!」

「ぅ、、、、」

 ぐったりした幹宏の両足首を掴んでズルズル引きずりながら下がるクノイチ姿の花蓮、最前線で鉄塊を振るっていた重戦士の幹宏は、背中から砂の弾を被弾し、レッドオーガ数体とともに吹き飛ばされて倒れた。


「めでぃーーっく!!」

 幹宏を引きずりながら叫ぶ花蓮

「花蓮さん! あっ幹宏君!! ヒール!」

 花蓮の叫びに反応した白黒魔道士の浩二が走り寄り、ヒールをかける!

 が、幹宏はぐったりしたまま動かない!


「くっ、僕のヒールじゃ、、」

「私に任せて!」

 駆け寄る一人の女子、格好は由美と同じく魔法少女系だが、手にはおもちゃのようなピンク色の弓を持ち矢をつがえている。

「よし子さん、お願い!」

 そう言って浩二と花蓮が幹宏をうつ伏せにする!


「ぅ、ゃめろ、、ゃめてくれ、、」

 ぐったりしたまま抵抗する幹宏、


「命には代えられないから、観念しな!」

 なんとか動いて逃げようとする幹宏の背中を両手で押さえる花蓮


 ギュンギュンギュンギュン!

 よし子が弓をひきしぼると、明らかに禍々しい黒とピンクが混じり合った光がハート型の矢尻に集まっていく!


(うほっ、幹宏君、四角くてハリのある、なかなかいいお尻ですね!)

「いきますよ! エクスタしぃ、じゃなかった、『エクストラヒールアロー』!!!」


 ズボッ!!


「アッ〜〜〜!!」

 ガクッ、、泡を吹いて気絶する幹宏


「く、腐ってやがる、、」

「いま絶対エクスタシーとか言ったよな?」

「一体何でこんな仕様のスキルなんだ、、」

 よし子に聞こえないように話しながら、自分の尻をかばうように後ろ手になる男子達。




[スキル:エクストラヒールアロー 消費MP50 HP全回復、毒/混乱/瀕死回復

 発動方法:対象をエクストラヒールアローで射る、男性のみ臀部中央を射ることで発動する、女性は場所を問わない]


 ふじよし子は腐女子であった、、



◇◆◇◆◇




 デザートドラゴンは歓喜した!

 放たれた砂による攻撃は、視覚こそ無いが、触れた物を知覚することができる、

 そしてわかった。視覚をごまかしている敵がいる、足元や少し離れたところにも別の敵が多数いる。


 だがそれ以上に、、


 こいつらは、、餌だ!! どうでもいい虫ケラなどでは無い! 我れが求めたエサだ! そしてそれのほとんどがここに集まっている!


<  ワセロ、、>



<クワセロォォオオ!!>


 デザートドラゴンの頭がグルンと90度まわり、蛇のように頭を50mほど伸ばしたかと思うと、、

 グバアアア!!

 その頭が真ん中から2つに分かれ左右に大きく広がる!!


 バグンッ!!


 左右から挟み込むように口を閉じると、50m四方ほどの空間が消滅し、砂地となる!


「くっ! すまない、、」

 俊介は風の精霊の力を借り、空へと飛び上がりなんとか回避した。だが、自分の周りにいた光の玉、精霊達がいくつか食われたことを感じ取り、歯噛みする。デザートドラゴンが食った土地は文字通り砂だけの死の土地となった。




<クワセロォォォオ!>

 デザートドラゴンの背中から2本の砂の柱が間欠泉のように吹き上がる!


「ひいっ!」

 小さく悲鳴をあげるアリシア

「なんだ! あのでかさ!!」

 うろたえるアリシアの周りの騎士達


「くっ! 全員アリシアさんの周りに集まれ!!」

「防御スキル全開でいけ!」


 空高く舞い上がった砂の柱は翼のように左右へと大きく広がり、、先端が5つに分かれると手のひらのように大きく広がっていった。

 そして巨大な張り手のように1つは俊介のいる辺りを、1つはアリシアと勇者達の上に降り注ぐ!!


 大きく広がり急激に落下してくる砂の翼が地面に大きく影を落とし、勇者達の周りは一気に夜のように暗くなった。



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よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
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