37 救いを求める者
「正直、タロちゃんが助けてくれるかはわからない、理由は、、わかるよね?」
「は、い、私の配下の者が、王都内でタロウ殿を襲いました。身ぐるみ剥がれて、、城外へ出て行ったと聞いています」
「へえ、報告受けて何もしなかったんだ」
「配下の者は信用なりませんでした。彼を殺そうとしたので、、」
「じゃあなんであたし達に相談しなかった?」
「そ、それは、、」
「生きているみたいだからいいと?」
「は、い」
「死にかけてても?」
「……ごめんなさい、、」
「アリシアは、、レベル1でパンツ一枚になって王都の外で生きていける?」
「いいえ、、」
「まあいいや、この仕打ちはいつか自分たちに帰って来ると思った方がいいよ。
タロちゃんは『復讐なんてどーでもいい』と言ってたけどね。
で、今タロちゃん何やってるか知っている?」
「いいえ、、」
「あの白い城を作って王様やってるよ」
「え? じゃあこの赤輝石もその税金で、」
「まだわかってないね、タロちゃんは民に与えても、民からは一切何も徴収してなかったよ。この石も、あの城の中にあった何百という輝石も、数百頭の魔獣の毛皮と肉も、全部自分で採ってきて、民に分け与えているんだよ。民が安心して暮らせる城壁も彼が1人で作ったって。
あの国はね、タロちゃんが一番汗を流して民のために働いている国なんだよ。そしてタロちゃんは望んでないけど民のみんながタロちゃんに王様になって欲しいと思って祭り上げているんだよ」
「そ、それは、、本当ですか?」
「あの国の民はねぇ、エオリアやサウザーラの奴隷狩りから逃げてきたり、この大森林の中で隠れ住んでいたけどスタンピードから逃げてきたり、、ああ、エオリア王家に魔獣の餌として生贄にされたけどタロちゃんに救われたメイドさん達もいたっけ、絶望の淵からタロちゃんに救われた人たちばかりなんだよ」
「そ、そんな、、」
「どうする? これだけ考えや方針が違うなら、このスタンピード終わったらあの城と戦争する? 多分、、私たちを総動員してもタロちゃん1人に勝てないだろうけど」
「出来ません、、謝罪と賠償金を、、」
「銀貨20枚」
「え?」
「タロちゃんが欲しがって居るお金だよ」
「な、なぜ、、そんな少額なのですか?」
「勇者の尾崎が放逐されるタロちゃんが苦労しないようにって、出て行くときにタロちゃんの事を思って貸した銀貨だよ、あんたっとこの女騎士がタロちゃんから奪った金だよ、タロちゃん、尾崎に申し訳ないって言ってたよ」
「銀貨20枚、、」
「金額の多寡じゃないのはわかるよね? これ、尾崎に知れたら大変なことになるよ、わかっていると思うけど、あいつ勇者の中で一番の曲者だからね。あいつに黙っているのは、あいつはタロちゃんと違って民衆巻き込んででもあんたら潰そうとしそうだからだよ、」
「はい、、」
「で、タロちゃんの事少しはわかってもらった上で、この国を救ってもらうためにタロちゃんに出せるもの、考えられた?」
「彼がそのような方々を匿っているなら、、奴隷狩りの禁止、とかですか?」
「うん、多分その辺が効果あるだろうね、今のうちに考えておいて。あ、10分過ぎたか、そろそろかな?」
「??」
「仲良くお茶してるふりをしましょ、はい、カップ持って」
「は、はい、」
アリシアがティーカップのハンドルを持った時、窓から部屋の中に一陣の風が吹き込んできた。
「何があったんだ? 柳田?」
◇◆◇◆◇
「お、タロちゃん早いねー、あの城から12分って、本気だしたらとんでもないねぇ、まあとりあえずお茶しない?」
「柳田、お前なぁ、お茶に誘うために俺を呼んだのかよ、、、って何があった」
俺はこの場にアリシアが居ることに気がつき、その顔を見て察した。これは、、絶望の中で救いを求めている者の顔だ。
「タロちゃん、、お願い、座って」
「わかったよ」
一応確認はするが、罠などはないようだ。
「で、何かあった?」
「照夫が死んだわ、、」
「なんだと!」
西上照夫、気さくで良いやつだ。あまり前に出るタイプじゃないが、周りのことがよく見えてるやつだった。
「ごめんなさい、、ごめんなさい」
顔を両手で覆い、謝りながら泣くアリシア
「アリシア、照夫達は、自分から志願して行ったの。あなた1人の責任ではないわ」
「でも! 私はみなさまをこの世界に連れて来てしまった! わた、しが、テルオ様を、、」
「照夫が死んだ時間はわかるか?」
「今日の夕方、3時過ぎ頃かしら、その時間にアリシアが急に泣き出して、、私たちが死んだらわかるんだって、それで照夫が死んだって」
「そうか、、で照夫の遺体は?」
「わからないわ、照夫達5人は離れた町の人たちを救うために王様と一緒に遠征してたから」
「5人? 他の者は無事なのか?」
「とりあえず生きては居るみたい、今は情報を待って居るところ。
タロちゃん、お願いがあるの、タクは彼らじゃ対応できないような事態が起こったんじゃないかと言ってる。後の4人を救けに行ってくれない?」
「柳田、、俺を鑑定しろ、スキルの一番最後だ」
「はあ、強引なところ、だんだん王様が板についてきたねえ、、え?!!」
タロウ タナカ
レベル105
職業:ガテン系
HP:27124/27124
MP:4839/6418
攻撃:SS
防御:SS
魔力:A
素早さ:SSS
ユニーク武器:スコップ(熟練度SS)
スキル:鑑定A 弓術G 土魔法S 木魔法B
ネコS
安全第一S(安全帽 安全帯 安全靴)
ハツリA
救命A
加護:玄武
「あは、あはは、なにこれ、あたしらの努力なんだったの?」
「いいから早くスキルの一番最後を確認しろ」
「おー怖、、え? これ? まさか、」
「希望を捨てるな、ここはそういう世界らしい」
その時、コンコンとドアをノックする音が響いた。
「アリシア様、勇者シュン様とタク様、そしてカレン様が入室を求められております」
「花蓮が帰ってきたの!」
「早く入ってもらってちょうだい!」
「ゆ、みぃ〜、、うわぁぁぁあああん」
部屋に入るなり花蓮が由美に抱きついて泣き出し始めた。
「よっ! 久しぶり! 神田君、尾崎君!」
「ええ! タロー君! なんでここに?」
「な、何故に田中君マッパなの!」
「失敬な! ちゃんと下半身はガード済みだぞ!」
そう言って立ち上がり、テーブルで見えなかった腰ミノを見せる。
「よかった、下は履いて居るのか、安心したよ」
「ま、まさか、田中君、腰ミノの中は?」
「タロウ100%です!」
「「安心できないよ!」」
「ぷっ、うふふ」
お、さっきまで顔中の筋肉を強張らせていたアリシアが笑った、みんなびっくりしたような目でアリシアを見ている。
「はっ、ご、ごめんなさい、、」
「やっと笑ったな、アリシア、スタンピード始まってから笑ったところ見たことなかったからな。いつも辛そうだったから心配してたんだ」
「シュン様、、」
「あー、おほん、えへん、アリシアさん、俺が話進めていいか?」
「はっ、はい! どうぞ!」
「花蓮さん、何があった? なんで照夫が死んだ?」
「ヒイッ、裸族!」
「いや、それもういいから、説明して」
花蓮の話を要約すると、、
ノルエスの住民避難を助けるために王様出陣、勇者5名がこれに随行、6日目にして激戦に
魔獣の猛攻にしびれを切らした幹宏が狂戦士化を使う、多数の魔獣を葬るが制御不能になる
突っ込んだ幹宏のサポートに咲夜だけでは間に合わず、後衛の照夫までサポートに回る、頑張って魔獣掃討完了
と思いきやボスキャラのドラゴン登場、狂った幹宏がドラゴンに喧嘩売るがデコピンみたいな一発で戦闘不能に
幹宏がトドメを刺されそうになったので照夫がランチャーでドラゴンを攻撃して注意を引く、ドラゴンが照夫を攻撃、おそらくこの時、照夫死亡
ドラゴン去る、浩二が幹宏を治療中、花蓮が影走り(高速移動術)でエオリアへ伝令に走る
「しばらく会ってなかったけど、幹宏、相変わらず馬鹿なんだなぁ」
「なにやってんだ、あんだけカッコつけといてアホ幹宏」
「幹宏ェ、、照夫は案の定ハリウッドスターみたいなことやりましたねぇ」
「帰ったら折檻だね、幹宏のバカ」
「それで、照夫は見つかったのか?」
「わからない、、私すぐにランクEXのデザートドラゴンのこと伝えなきゃって、、多分咲夜が探して居ると思う」
「そうか、、よし、じゃあ案内してくれ」
「え? 今から?」
「うん、今から」
「無理だよ! 森の中は魔獣でいっぱいだよ! 『木の葉隠れの術』や『身代わりの術』を持っている私だから逃げながら来れたんだよ!」
「大丈夫、それより一刻も早く照夫を見つけないと、花蓮さんごめんね、よっ、と」
「きゃっ!」
花蓮をお姫様抱っこする。ちっこくって軽いな、さすが忍者。
「じゃあちょっと行ってくるわ、15kmなら10分ぐらいか、とうっ!」
「うひゃぁぁぁぁぁぁ、、、、、」
「タロちゃん窓から来て窓から行っちゃった、、」
「空、飛んできましたねぇ、、あ、旋回して加速して、、もう見えなくなりましたねぇ、スクランブルする戦闘機ですか? 彼は、」
「タロー君、、一体レベル幾つなんだ?」
「むふふ〜、知りたい? あたしさっき見せてもらっちゃった!」
「「知りたい!」」
「あんまり詳しく言うと怒られそうだからぼかすけど、、レベルは100超えてたよ。HPはもう少しで3万行きそうだった」
「テンプレ通りといえばそうなんですが、、どんな地獄見たらこの短期間でHP3万とかいけるんですかねぇ」
「くっ、レベル100、、俺たちは、頑張りが全然足りないのか、、」
「タロちゃん、結局私たちを助けてくれるんだね、、ありがと」
◇◆◇◆◇
「ひいいい、怖い怖い怖い怖い!」
「おいおい忍者なら高いところ大丈夫じゃないのか?」
「高さの次元が違うー!」
「お、おい、暴れるなよ、あっ」
花蓮があんまり暴れるもんだから、、落ちそうになってとっさに服を掴んだら、ズボンが半ケツ状態に、
「いやー! スケベー! セクハラー!」
「ば、馬鹿! 暴れるな、あっ、、」
半ケツで足をバタバタさせたもんだから、ズボンが脱げて飛んでった、、、
「うう、シクシク、もうお嫁に行けない、、」
「大丈夫だって、 うわ、こりゃまた、、なにが通ったんだこれ、、」
そこには東西方向へ延々と砂の道ができていた。




