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20 犬人たちの村

サバイバル20日目


 城壁が完成してから約1週間後、四方の城門と空堀にかかる橋、そして城門の内側の虎口が完成した。虎口は敵が一気に侵入出来ないよう、一旦城門をくぐった後、30m四方の広場に出て、そこからさらに門をくぐらねば城内へ入れないという仕組みになっている。

 ちなみに城門の扉は南側のみ開けてあり、他のところは厚さ1mのコンクリで塞いである。


 そして真ん中の白い大きな建物だが、こちらは内側をスコップでどんどんくり抜いていき、8階層の建物に作り上げた。

 各階は四隅に階段があり、フロアは10mおきに太い柱があるだけの1フロアぶち抜き仕様だ。後でパーテーションで切って使いやすいようにすれば良いだろう。

 一番上の階には屋根付きの展望台を作り、ここからは360度景色をぐるりと見渡せるようにした。


 そうそう、先日、地鎮祭を行った城の北側の土地には神社を作る予定だ。土地自体は塀で囲ってあり、その横には築城の際に伐採した大木を何本も横に置いてある。


 それにしても手が足りないなぁ、、土木工事や大型建築なら負けないと思うんだが、内装とか庭とか、細かいところにはなかなか手が足りない、、

 犬人の長に相談してみるかな? 預けてあるモヒカンベアの毛皮も取りに行かなきゃいけないし。スコップを背負い、南門から出て空中へと駆け上がる。

 最近になって、俺のスコップ、身体のどこにでもくっつくことができるということがわかったので、歩いたりするときは背負うように背中にくっつける事にした。



 空中を駆けて、犬人達の村へとたどり着いたが、、、おかしい、誰もいない、、

 家々の扉は開け広げられて、中には誰もいない、、家によっては棚などがひっくり返され、何だか家探ししたようなところさえある。

 、、長達が言っていた人攫いの集団におそわれたか?

 周りの木々よりも少し高いところまで上がってみたが、、いない、

 もう少し高度を上げてみるか。


 上空300mほどまで上がり、空中に腹這いになるようにして下を見下ろす、、イノシシ、シカなどの魔獣が動いているのが点々と見える、、

 ん? なんだあの集団は? 5人ほどの男達が刀や槍を手に斜面を登っている、、その先には、、ターニャとシウバか?!


 空中を力一杯蹴り、走る!!

 5km程を20歩ほどで駆け抜け、


 ズドオォォォォオオオン!!


 ターニャ達と男どもの間に片膝をついて着地し、そこからゆっくり立ち上がる。

 驚いて振り向くターニャとシウバの兄妹、


「タロおにーさま?」「タロウ兄さん?」


「シウバ、ターニャ、こいつら、、敵か?」

「うん!」「お願い、こいつらやっつけて! こいつらにおかーさんが、村のみんなが!」

「わかった、、」


「ビックリして損したぜ、こいつ、丸腰だ」

「なんだテメー腰ミノいっちょでイキがってんじゃねーぞ!」

「グへへこいつ、切ってもいいよな?」

「おう、囲め、かこ、、」


 ヒュンッ、ドスッ! パガン! ゲシッ! ズドン!


 一瞬で動き、ボデーへのワンパンで4人を仕留める。倒れこみ、苦悶の表情を浮かべながらのたうちまわる4人、死なせやしねーよ、全員肋骨折れてるだろうけどな。


「喋ってる暇あったら、さっさとかかってこいよ、まったく、で、お前に聞きたいことがある」

 リーダー格らしい、むさ苦しいヒゲの男を残しておいた。この中でレベルは一番高いが10ほどしかない。ステータスも一番高くてDだ。


「ひっ、なんなんだ、お前、なんなんだ?!」


 そう言って長い剣を無茶苦茶に振り回すヒゲの男。俺は構わずそいつにスタスタと近づく。


「あ、タロにーさま!」「危ない!」


 長剣が裸の俺の肩口に切りかかる!


 ガィィィイン!!


 しかし剣は鉄の塊にでも打ち込んだかのように、刃こぼれして弾かれた!


[スキル:安全靴 消費MP5 己にかかる災いから身を守る。対魔術S 対物理SSS 全属性耐性 状態異常無効 オート発動]



「へ? うわあああ!」

 めちゃくちゃに剣を振り回すヒゲの男


 ギィン! ガン、ガン! ザシュ!


 あ、やべ、大事な腰ミノ切られた! この!

 ガギ! 俺は素手で剣を掴む。ふむ、ただの『鋼の剣』か、バギ、ガギギ、剣の刃を握りつぶしながら折り曲げていく。


「ひぃぃ! だからお前なんなんだよ!」

「先に質問したのは俺だ、お前達はなんだ? どこから来た? 何人いる? 目的と計画を話せ」

「ひぃぃ!!」

 背中を見せて逃げようとするヒゲの男


「逃げれるわけねーだろ」 一瞬で正面に回り込み、膝を蹴る。

 ボギン、、

あ、折れた、まぁいいか

「ギャアアアっ!!」

「話せ」

 ポキン、、今度は右手の小指を折る


「ギャァ! やべて、やべて、はなずがら!!」

 薬指をつまみながら、「さん、に、い、、」

「お、俺たちは雇われたんだ! サウザーラの商人に!」

「何を?」

「ど、奴隷集めだよ! どこでだってやってるだろ! へへ、それよりもアンタ、俺たちの仲間に、」

 ポキン、、

「アギャァア!」

「余計なことは喋るな、俺の質問にだけ答えろ、あと何人いる?」

「わ、わからない、、」

「わからない?」

 ポキン、、

「ギァアッ! ほ、本当だ! 俺たち以外に4パーティいた! 奴隷を連れていくための馬車も5台用意している!」


「そうか、最期の質問だ、他に有益な情報はあるか? お前の命と同じぐらいの価値の」

 そう言って男の首を後ろから掴み、首の骨を徐々に締め上げる。

 ヒゲの男は震える指で、倒れて吐き続ける男の一人を指差す、

「あ、いつが、、地図を、、奴隷を集積する地点の、、」

「ほう、」


「おい、出せ」

 血反吐を吐く痩せた男に近づき話しかける。

「か、回復と引き換えだ、、」

 バグン! 男のアゴを蹴飛ばす。声にならない声で悲鳴をあげる男

「交渉の余地があると思っているのか? いいだろう、じゃあお前の命と引き換えだ、出せ、」


 割れたアゴを押さえながらガタガタ震える手でカバンを出してくる男、カバンを開けてみると、確かに筒状に丸めた紙があった。

「これか?」


「シウバ、わかるか?」

 そう言ってシウバに地図らしきものを見せる。

「う、うん、多分この点が村の位置、この線が街道だと思う」

「街道?」

「うん、さっき馬車を使うって言ってたから、、街道に付けてあるこの点の所に集めるんじゃないかな?」

「そうか、、シウバ、そのまま地図を持っていろ、ターニャ、おいで」

「タロにーさま!」

 そう叫びながら抱きついてくるターニャ、左手でターニャを抱き上げ、右手でシウバを抱きかかえたまま、空中を駆け上がる。


「二人とも、しっかり掴まってろよ、怖かったら目を閉じていろ」

「「はい!」」


「よし、目を開けていいぞ」

「うわあぁーー」「すっげぇ、、」

 眼下の景色に感嘆の声を上げる二人、


「あ、あそこ! 多分あれが集積所だ、馬車がいる!」

「ん、本当だな、よしわかった。今から二人を俺の家に連れて行くからそこで待っていろ、みんなを助けてくる」

「俺も行く!」

「ダメだシウバ、ターニャを一人にする気か? それともターニャも戦闘に連れて行くのか?」

「う、わかった、二人で待っている」

「よし、いい子だ、少しだけ目を閉じていろ、すぐ俺んちにつくから」

 そう言って二人を抱きかかえたまま、空中を走り出す。



 南門の前に着地し、二人を城内へ案内する。

「うわぁーーまっしろー」「すっげえ、、」

「ここが俺んちだ、さ、ついておいで」


「タロにーさま、おうさまなの?」

「はっはっは、そんなわけないだろ。城を作ってみただけだよ」

「いや、王様どころか神さまなんじゃ、、」

「こらこら、シウバ、神様はもっと尊くてすごいんだぞ」


「さ、二人ともこの大きな建物の中にいなさい。外には出ないように。置いてある干し肉と干し芋は食べてもいいからね、いい子で待ってな」

「はい! タロにーさま、おかーさんをお願いします!」「タロウ兄さん、お願いします」

 そう言って頭を下げる二人を撫でて、城を後にし、笑顔から一変、表情を引き締める!


 村人奪還作戦の開始だ!!




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