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10 勇者達の特訓

 ふう、、食った食った、、モヒカンベアの肉は調味料が無くても美味だった。贅沢を言えば、サラダが欲しいところだ。

 あ、残りの肉、、どうしよう、、保存のために冷蔵庫か冷凍庫が欲しいところだな、もしくは塩、、塩かぁ、

 しょうがない、ある程度の大きさに分けて、ネコに放り込んでおくかあ、、中で腐ったらやだな。

 毛皮はなめしておかなければいけないというのは分かるけど、それってどうやるんだろう? これもネコに放り込んでおこう。


 さて、外は土砂降り、入口が崖の中腹にあるからちょっと外には出れないなぁ、、基地の拡張工事でもするか。

 むやみに掘ると崩れたりしてやばそうなので、細長い廊下を掘り、その所々に部屋を作る感じにする。うん、誰も来ないし部屋を作る意味はほとんどないけどね。


 ザックザック、ザックザック


 ピロリロリーン♪


 お、レベル上がった! 


 ザック、、コロコロン、、


 よし、今度は輝石が二つも出た!

 この輝石、便利なんだよね、、一度魔力を込めたらずーっと光ってる。今掘っている通路の5mおきの壁にくぼみを作って輝石を置いておくとホントに明るいんだよなぁ。


 それにしても、みんなどうしているかなぁ? 今頃勇者の英才教育とやらでガンガンレベル上げているんだろうなあ。



◇◆◇◆◇


 その頃、クラスメートたちは、、


「今日は魔獣を使った初めての戦闘訓練だ! レベルをあげる機会でもあるから頑張るように!」

 ガイストス教官が声を張り上げる。


「では1班、訓練場に降りろ!」

「「「はい!!」」」


 神田たち26名は、4.5名ずつ1班から6班に分けられていた。


「お前たちの相手は、こいつだ!!」

 檻から解き放たれるツノの生えた魔獣! ホーンラビットだ! 獲物を見つけたホーンラビットは少年達に猛然と襲いかかる!!


「うわあ!」「きゃあっ!」


「逃げるな! 立ち向かえ!!」

「そんなこと言ったって!」

「こいつ本当にウサギかよ! 闘犬の間違いだろ!!」


 彼らはまだレベルを1から上げておらず、ホーンラビット1羽にパーティでも苦戦していた。



「まずいですねぇ、、」

「どうした? 尾崎君?」

 メガネぽっちゃりの尾崎が不機嫌そうにぼそっと呟くと、クラスでも人気のある学級委員の神田が話しかけてきた。


「ランクFのウサギ1羽相手にパーティ組んでも蹴散らされる、、どんだけ弱いんですかねぇ? 僕らは、、倒せないからレベルも上がらないし、」

「いや、実際でかい犬みたいし、怖いだろ? 殺すことに対する忌避感もあるし」

「それでいいんですかねぇ、神田君、今何か起きて最前線に立たされたら、、僕ら皆殺しですよ」

「うーん、そんなこと言ったってなぁ、」


「神田君、ツーマンセルで組みませんか? 動き止めますので、あのランクFにトドメさして、みんなを鼓舞してください」

「……行けるんだな、尾崎君!」

「まあ、、仕込みは任せて下さいよ、それよりトドメお願いしますよ。僕じゃ役者不足なので」



「なに? 五人でボコボコにされているのに二人だけで、だと?」

「はい、僕と尾崎君の二人で、です」

 そう言ってガイストス教官の目を真っ直ぐに見る神田。話している途中から、握りしめた聖剣から少しずつ光がこぼれだしている。


「……いいだろう、行ってこい」

「ありがとうございます!」



「え? 神田君が行くのか?」

「おいおい、オタクデブと神田君て、、」

「ウソ、なんであの二人なの?」

 ざわめくクラスメートたち、だが神田と尾崎は素知らぬ顔で準備を進める。


「ちょっと待ってください、僕から先に中へ入りますので、神田君はチャージを目一杯貯めて置いて下さい」

「チャージ?」


「…呆れましたねぇ、意識してやっていたんじゃないんですか? その剣、神田君が気持ちを高めるほど光り輝いているじゃないですか?」

「あ、ああ、そうか、そうなんだな」

「まあ、良いです。僕から先に入りますので、ホーンラビットの動き止めるまで目立たないで下さい。ヘイトが移ったら困りますんで」

「ヘイト?」


「…もう良いです、合図したらトドメお願いします。まったくどんだけ純粋な中二なんですか、神田君は、、

 では、行きます!!」


 太った体で武器も持たずドスドスと闘技場に走りこむ尾崎! ホーンラビットは一瞬ビクッとした後、尾崎へと突撃する!


「うわっ!」

 ホーンラビットのツノが尾崎の腹をかすめる! その滑稽な避け方にクラスメートは爆笑する。


 ホーンラビットは着地し、さらに跳ねて再度尾崎に突撃する! がそのツノは尾崎に届く事はなかった。尾崎の足元にある影から5本の長い棘が伸び、そのうちの一本が、ホーンラビットの首元を貫いていたのだ! 形状や硬度を変化させることのできる尾崎の武器、マグネの能力だ。


 かえしのついた棘を抜こうと必死でもがくホーンラビット、それは致命傷には至ってはいなかったが、

「今です!!」

「これで終わりだぁ!!」

 神田のフルチャージした聖剣による一撃!


 ズガァァァアアン!

「ギャピッ!!」


 ピロリロリーン♪


 尾崎と神田の頭の中に、初めてのレベルアップ音が鳴る。


「神田君、勝鬨かちどきを!」

 呆然としている神田に尾崎が促す。


「勝ったぞお!! 見たか!

 みんな俺に、、続けえ!!」


「「「う、ぉぉぉぉおおお!!」」」

「やっぱ神田君すげえ!!」「カッコイイ!!」「一撃だよ、一撃!!」「俺もやるぜ!」「私も!!」


 神田の一撃に色めき立つクラスメートたち。

「ガイストス教官! 僕たち3班も、もう一度お願いします!」

「あ、ああ、良いぞ、ホーンラビットは後10匹はいるからな」


「そっちだ!」

「俺が止める! 今だ!」

「任せて! プリンセス、、アローー!!」

 急に動きが良くなり、ホーンラビットを仕留め始めた。


「神田君! 僕たちと組もう!」

「ええ! あたし達とよ!」

 あまつさえ、班編成を無視して勝手にパーティを組み始めた。そしてホーンラビットを倒しレベルアップに喜びはしゃいでいた。



 それを尾崎は、離れたところに一人座って見ていた。

「やれやれ、みんな現金なもんですねぇ、」


「尾崎君、私と組まない?」

「??」

 尾崎が振り返ると、学校でも人気のある美少女、柳田がいた。


「柳田 由美!」

「知ってますよ、柳田さんの名前ぐらい。で、なんで僕なんかと?」

「いや、話したこと無かったし、、良かったら私と組んでくれないかなぁ、」

「だからなんでキモオタとか言われてる僕なんかと、、」

「こん中で一番強いからね。それにどうもパーティの人数が多いと経験値が人数で割り振られて稼げないみたいで、、、なので一番強い人と二人で組んだ方が得でしょ?」


「驚きました、柳田さん冷静に見てるんですね。じゃあ次行きましょうか?」

「うん、よろしく!! あ、一撃なら私、シュンにも負けないから、たぶん」

「? 神田君より上ですと?」




「これで終わりよ! エンジェルスマァーッシュ!!」

 バッ、、ガァァォァアアアアアン!!


 尾崎がネット状に変形させたマグネで動きを止めたホーンラビットに、翼の生えた巨大な棍棒による一撃を放つ柳田


「……どこが魔法少女ですか、、完全に撲殺スプラッタ系じゃないですか、僕のマグネまで粉々に吹き飛んじゃいましたよ、、神田君よりすごいのは確かでしたが、、」

 マグネの破片を拾い集め、くっつけて再生させながら、ぶつぶつ呟く尾崎


「ゴメン! マグネ拾うの手伝うから!」

「いえ、、課題が見つかりましたから、柳田さんと組むには僕の方が力不足だなんて、、、マグネに自動修復や集合機能付けないといけないなぁ、はぁ」



「ああ、お前たち、今日の晩飯は倒した魔獣で自炊の訓練だからな!」

「「……」」

 ガイストス教官が無慈悲に告げてくる。


「どうしよう、、粉々に飛び散っていて食べるところがないよ、、このままじゃ晩御飯抜きに、、、」

「僕は神田君と倒した分が有りますからねぇ、、大雑把な攻撃でまたマグネ破壊されるのもちょっと、、」

 そう言ってそそくさと離れようとする尾崎。


 ガシッ!!

 尾崎のふくよかな肩に、血が出るほど食い込む細い指、、尾崎が振り返るとそこには、、


「尾崎君、、もう一回、もう一回だけ! ね! ね!」

 ホーンラビットの返り血を浴びた美少女の笑顔に、逃げる事を諦めた尾崎だった。



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よろしければこちらもどぞ  すっぴん召喚のヤマナさん
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