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山の中にて


「よい、しょっと……」


周囲を覆っているのは、青々と茂った葉をたっぷりとその身にまとった木々。ただしボクのいる周辺だけは木々も生えておらず平坦になっている。


そこに運んできた荷物をどさっと地面にまとめて降ろして、ボクは一息ついた。


神パワーを使ったから重さは別に平気だったんだけど、さすがに分量が多くてもちづらくて面倒だった。車があれば、と思ったけどそもそもここまで来る道車が走れる場所じゃないから無理か。


今ボクがいるのは山の中だ。勿論今住んでいる限界集落からは近い場所。もちろんすぐ側って程ではないけどね。


やろうとしているのは、そうキャンプ配信である!


先のリフティング配信と歌配信で、ボクのチャンネルは上昇トレンドに乗ったといえる。ならば今が攻め時! だよね。


GP稼ぎを考えるとネットだけではなく、人前に出ていく事は必須になっていくってのは多分間違いない。ネット視聴者、そして多分ボクの事を、その……うん、あの、推しにしてくれた人たちが増えたおかげで配信以外の時でも常時誰かがボクの事を考えてくれてるようでGPが増加し続けている。それはむずがゆ……いやありがたいことなんだけど。


視聴者数から大体自分を強く推してくれている数を想定して(結構甘く見積もって)、その上でバイトの時との力の収集割合を考えると、やっぱり直接同じ場所にいる人間から集まる力は全然違う。ボクに対する意識の強さは推しにしてくれた皆より全然弱いであろうにも関わらずだ。


配信による力の収集もかなりのボリュームになったし、継続的に入る、今後も増加は見込めるという点はあるけれど、まがりなりにも大陸全体を救おうとする力を溜めるとなると、リアルライブはやはり選択肢に入れておくしかない。


いやまぁリアルライブといっても必ずしも歌じゃなくて、例えばトークイベントとか(ボクのトーク能力が高くないからこれは難しいけど)、ショップの一日店長とかでもいいんだけど。


どれをやるにしても人の多いところに行く必要がある訳で……更に正直先日の歌配信で分かったけどこの体の歌唱の力はかなりデカい。それにこれは見て思ったのだけどやっぱりライブとかの熱気とかすごいからね……で、その辺も視野に入れるとなると、レッスンとかも受ける必要がある訳で。


はい、現在地だとアクセスが悪すぎます。マージーで都市部から大きく離れた山中だからなぁ。電車に乗るだけでも結構な距離を移動しなくちゃいけない上、そこまで行っても乗れる電車は1時間に1本程度の各駅停車である。


ま、いずれ都市部の方に戻るのは計画通りではあるんだけどね。それが予定より早まりそうなのは間違いない。ボクやお姉ちゃんが予測した数値を上回った状態になっているからなぁ。実はすでにお姉ちゃんと共用しているSNSのアカウントには(投稿自体はボクがやっているけど)コラボとか、プロデュースの契約の話等が来ているらしい。お姉ちゃん曰く今の所はあまり信用のおける相手ではないのが殆どらしいので今の所動くことがないけど。前倒しにするつもりとはいえまだ力の使い方に慣れきっていない事、それから向こう側の世界の状況がまだ落ち着いてないから、あまり時間を拘束される予定は立てづらいってのもあるし。


ただ前倒しになるのは確定のようなものなので、じゃあ田舎の方がやりやすい企画は変にもったいぶらずにどんどん放出しちゃおう! となってのキャンプ企画である。元々リフティングとか歌配信ほどキラーコンテンツ的な狙いではなく、あくまで丁度いい環境にいるからってだけの企画だったしね。


「さて、と」


時間を確認する。……あ、やば、思ったより荷物の運搬に時間がかかったせいか配信開始時間まであまり余裕がない。キャンプの設営自体は配信が始まってから行うけど、撮影機材の設置はしなくちゃいけないから急がないと。







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