2-13 - はんにばる -
2-13 - はんにばる -
「倉理須さん!・・・あ、優美ちゃんって呼んでもいいかな?、今まであまり話してなかったけど同期だし、第1生物研究室と合同のお仕事になっちゃったね、これからよろしく!」
「・・・う・・・うん、よろしくね」
「今日のお昼定食は生姜焼きかぁ、栄養いっぱい摂ってこれから待ってるハードな毎日に備えようね、でもメインのお仕事は人数が多い第1研究室だからウチはまたお手伝いになるのかなぁ、宇宙生物近くで見たいよぅ!」
「ねぇ、川崎さん・・・あの・・・」
「須華莉って呼んで!、優美ちゃん」
「須華莉さん・・・」
「なぁに」
「怖くないの?、宇宙人?・・・未知の生物や危ない病気とか・・・」
「特に怖くはないかなぁ・・・ワクワクしてるよ!、怖いっていうなら優美ちゃんのところの・・・第1研究室の室長、礼久田博士!、あの人の方が怖いよ、よく一緒に居て平気だね・・・」
「顔は怖いけど・・・良い人だと思う・・・よ」
「いやいや!、面接官が超怖かったって私と一緒に面接受けた子が言ってたし、何よ「君は羊を飼っていた事があるかね?」「人間を食べてみたいと思った事は?」って・・・みんなに質問してたらしいじゃん!」
「あれは博士の趣味っていうか・・・人を怖がらせて楽しんでるの」
「私もビビったよ、噛みつかれたり顔の皮を剥がされるんじゃないかって本気で思ったし!」
・・・
「・・・クラリスくん」
「ひゃぁ!」
「・・・あ、礼久田博士、びっくりするので急に後ろから話しかけないでくださいっ!・・・博士も今からお昼ですか?」
「あぁ・・・君達は昼定食か・・・ククッ・・・私は肝臓を・・・野菜と一緒に食ってやることにするよ・・・ジュルッ・・・」
すたすた・・・
・・・
「行っちゃった・・・怖かったよぅ」
「須華莉さん怖がらないで、あれは翻訳すると「君達の昼定食美味しそうだね、私はレバニラ炒めにしようかな」って言ってるの」
「優美ちゃん何で分かるの?、さすが生物研究室のレクター博士とクラリスって呼ばれてるだけあるわー」
・・・
・・・
私の名前は礼久田羽仁春、国立宇宙生物科学研究所、第1生物研究室の室長をやらせてもらっている。
部下は4名、私を含めると5名だね、隣の第2生物研究室の2人も入れると7名が生物研究室の研究員という事になるかな。
私は小さな頃から宇宙に興味があり子供の頃から星を見るのが好きだった、大切にしていた惑星図鑑を肌身離さず持ち歩き高校時代にはアルバイトに精を出し天体望遠鏡を買った。
同時に恩師の影響で生物学も専攻して私の知識欲を大いに満たしてくれた、その好きがいつの間にか仕事になり、今、この研究室の室長を任される程になった。
だが・・・まさか私が室長の時にこのような世界を揺るがす大事件が起きるなどとは夢にも思わなかったな・・・。
「礼久田室長お疲れ様、休憩かな・・・」
私が屋上でタバコを吸っていると後ろから茂留田室長が現れた。
「あぁ、一服してるところだよ、身体に悪いとは思っているんだが・・・なかなかやめられない、もうすぐこの屋上はもちろん所内は全面禁煙になる、金もかかるし辞めるにはいい頃合いかもな」
彼は真面目が服を着て歩いているような人間でタバコも吸わない、こんな場所に来るという事は私に何か用があるのだろう・・・私は彼が喋るのを待った。
「・・・うちの川崎くんを揶揄うのはいい加減やめてくれないかな、彼女本気で怖がってるぞ」
あの娘は私が無表情で見つめるとすぐに挙動不審になる、正直なところ反応を見るのが面白くてやり過ぎてしまったようだ。
「ははっ、最近じゃぁセクハラ扱いされそうだが人が怖がっているのを見るのは実に面白い・・・自分でもこの顔は気に入っているのだよ茂留田くん・・・(ニタァ)」
「分かっていても怖いなぁ・・・心臓を喰われそうだ・・・」
「論文を発表する時でも名前を一発で覚えて貰えるし忘れられない、話のネタにもなる、容姿が似ているのはもちろん名前にも感謝しないとね・・・私の名前はハニバル・レクタだ、君を喰ってやろうか・・・大概あの映画を見ていた世代なら大笑いさ」
実際、海外の学者達の間でも私の持ちネタはウケが良い、「日本にレクターが居た!」などと言って一緒に写真を撮りたがる連中は多いのだ。
「なかなかいい性格をしてるな、私はこの名前が嫌いだ、あのドラマのおかげでどれだけ揶揄われたか・・・川崎くんが着任した時には一体何の冗談だ!って思ったよ」
「良いじゃないか、モルダーとスカリー、名前や顔を覚えて貰える、研究者としては武器になる」
会話が途切れて2人は無言で夜景を眺める・・・どれくらい時間が経っただろうか、休憩を終えて研究室に戻ろうとする私に茂留田室長が話しかけてきた。
「なぁ、本当に宇宙人がやって来てあの生き物達を我々にくれたのかな?」
「・・・私は疑問に思っている」
私は即答した、マスコミによってあの動物達は宇宙生物という事にされているが一部の研究所員や共同で調査した動物学者達の中には疑っている者が少なくない。
「だがDNA鑑定や調査結果から動物学者と一緒に結論を出しただろ、全くの新種が何種類も、しかも地球上のどの生物とも違う奴まで居た」
「あの動物達はどうやってここまで来たのだろうな・・・この前の宇宙船か?、宇宙ステーションのような無重力状態で長く過ごした動物には共通する特徴があるがあの動物達には無かった、あれは重力がある場所で生まれて成長した生き物だ」
「それについては動物学者達も首を傾げていたな」
「あの宇宙船が重力を発生させていたんだろうって推測もできるが今ある情報だけでは証明できない、時間はどうだ?・・・我々が認識していない場所から来たのか、なら何年かけてここに来た?、ワープってやつか?、分からん事だらけだよ」
「・・・」
「だから常識を忘れて全ての可能性を考えるべきだ、宇宙から来たのは本当か?、宇宙人はどうだ、あの手紙と宇宙船だけで、宇宙人を見た奴は居るのか?・・・ってな」
「だが、宇宙人が居ると私は信じたい」
そう・・・私は宇宙人が地球にやって来たという事にも疑問を持っているが彼は違うようだ。
「妹さんの事か・・・行方不明だったな、茂留田くんは連れ去られたと思ってるんだろ」
「・・・分からん」
「そのうち分かる時が来るさ、我々が今できるのは目の前にあるサンプルを観察、解析し、事実だけを見て嘘を見抜き、よく考える事だ・・・もうすぐ公式に解析結果を発表するんだろ」
「これから忙しくなるな・・・」
・・・
読んでいただきありがとうございます!。
面白いと思った人は下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。




