2-02 - しゅこぉぉぉぉ -
2-02 - しゅこぉぉぉぉ -
私の名前は田中太郎。
拙者は・・・いや、私はどこにでも居るような普通の2児の父親だった。
子供2人と愛する妻が居て、下の子も成人したので全く手がかからなくなった、これからは妻と2人で息子と娘、孫に囲まれて幸せな老後を楽しむのだろうと思っていた。
あと10年と少しで定年退職、人見知りな娘はちゃんと結婚できるのだろうか、孫と観るアニメは何にしようかと今から楽しみにしていたのに・・・。
10日ほど前に娘が死んでしまった、殺されたのだ。
犯人は捕まったものの報道番組で騒がれマスコミに追い掛け回された、警察にも呼び出されて慌ただしい思いをしているうちに10日が過ぎていた。
葬式を済ませ親戚も帰り、家には妻と息子が居るだけ・・・今は疲れて寝ているのかもしれないな。
あれだけ明るかった我が家がまるで別の家のように思えてしまう。
思えば娘は反抗期のない子供だった。
会社の同僚の中には「お父さんきもい!」「お父さんの下着と一緒に洗濯しないで!」などと自分の娘に言われて泣いていた父親もいたが、理世は・・・娘は私に向かって酷い言葉を吐いたことは一度もなかった。
いつも笑って「お父さんまたアニメ見てるー、今季のおすすめは何?」「漫画借りて行くね、この前の⚪︎ラックラグーンすごい面白かったよ!、双子ちゃん可愛かったぁ!」などと共通の話題であるアニメや漫画の話をしたり・・・。
娘というよりは気の合う友人のようだった。
仏壇の隣にはお供え物に囲まれてエピフォンのレスポールカスタムが置いてある。
アニメに影響されて私が部屋に飾ろうと買ってきたギターだったが、娘が「かっこいい!」と言って亡くなる前まで熱心に練習していた。
「お父さん、何かアニメの曲弾いてあげよっか?」
そう笑いながら私に話しかける姿を思い出してまた涙が溢れてしまう。
今は夜9時を回った頃だろうか・・・部屋の中が真っ暗でよく分からない。
仏壇の前に座って娘との思い出に涙していた私は明かりをつけるために立ち上がろうとした。
ぱあっ!・・・
すると突然仏壇の前、畳が明るく輝いて・・・アニメでお馴染みの大きな魔法陣が浮かび上がった。
「拙者・・・じゃなかった、私はおかしくなってしまったのか・・・はっ!もしかして異世界転移なのでござるか!、チート!、ハーレム!、俺また何かやっちゃいました?の世界でござるか!」
しゅこぉぉぉぉ・・・
目の前の魔法陣が嫌な音を立てている、私を異世界に連れて行こうとしてるのか?。
「待て、待つでござる!、拙者にはまだ悲しみに暮れる妻と息子を支えなければ!」
こぉぉぉ・・・
ぉぉ・・・
光に目が慣れると私の前には眼帯をした銀髪の・・・魔法使いの格好をした小さな女の子がキラキラと光る魔法陣の上に浮かぶように立っていた。
女の子は私を見つめ口を開いて何か喋っているが言葉が分らない、どこの言葉だろう、変わった言葉だ・・・。
それにしてもこの子可愛いでござるな・・・。
「あははー、私バカだ、日本語で喋らなきゃ通じないよね・・・」
女の子が急に日本語で喋り始めたでござる!。
「久しぶりだね!、お父さん!」
読んでいただきありがとうございます!。
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