49.推しとの日常に戻る
色々あったけど、無事にライブも終わり、やっとのことで家に帰る。
「ただいま……」
なんとか玄関のドアを開け、入口に荷物をドサッと置いた。
二泊三日のお泊り荷物に、増えに増えたライブグッズ。
正直、持って帰るのは大変だったけど、これは欠かせない。
荷物は玄関に置いたまま、私はとりあえずリビングに向かった。
ベッドに身を投げ出すと、体の力が抜けたようにほっとした。
「……疲れたー」
そう言葉は漏れるものの、ライブ後の疲れは心地いい疲れだ。
神席のことを思い出し、にやけてしまう。
「ふふふ……」
その笑いに反応したのか、奏が私のバッグから出てくる。
「……何笑ってんだよ……」
私は顔だけを奏に向ける。
「ライブのこと、思い出してた」
ふっと奏は顔を綻ばせた。
「……そんな良かったのか?」
「もちろん、奏カッコよかった……これで明日からも頑張れる」
「そっか……良かったな」
奏はにっこりと嬉しそうに笑った。
「……明日からはまた日常だね」
ぽそっと呟く。
奏は驚いたように目を開いた。
でも、すぐに頷いた。
「……そうだな」
私は少しだけ眠くなってうとうとし始める。
「……日常」
自分で呟いたその言葉に、眠りに落ちかけた意識が少しだけ反応する。
……奏がいる日常って……どんなだよ……。
でも、それ以上考えられなかった。
意識が落ちていく。
遠くで奏の声が聞こえる。
「……日常、か……」
私は何も返せずにそのまま眠りに落ちた。




