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推しのフィギュアが尊すぎて、推し活できません!  作者: 夜月黎


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26/45

21.推しの解説付き番組

私はTVの前に陣取る。

準備、ばっちり!

録画、OK!


今日はNOCTISが音楽番組に出る日。


奏は、


「え、見んの?」


なんて言ってたけど、ちゃっかりテーブルの上の椅子に座って、準備万端だ。


私はそわそわしながら、時間が来るのを待った。


時間ぴったりに、番組が始まる。

オープニングの音楽が鳴り、その後メンバーが登場する。


「今日は、十周年を迎えたNOCTISの特集です」


アナウンサーの声が高らかに告げる。

がっつり二時間、NOCTIS特集だ。


最初は、デビュー当時の映像。

画面が切り替わり、十年前のNOCTISが映る。


「なっつかしいー」


後ろから、奏の声が聞こえる。

私は思わず振り返る。


「奏、尖ってるね」


画面の中の奏は、少し若くて、まだ幼さの残るかんじが、ちょっと可愛い。


笑って画面を指差すと、ここにいる奏は、少しだけ拗ねたように顔をふいっとそむけた。


「そりゃ、十年前だから……」


ふふっ、照れてる。


「高校卒業してすぐの頃?」


そう聞くと、奏は顔をこちらに向けて頷く。


「そう」


ぶっきらぼうに答えた奏は、まだちょっと恥ずかしそう。


映像は、初の全国ツアーに。

私はまだ中学生だったから、参加を許してもらえなくて、行けなかった。

あの時の何とも言えない悔しさは、まだ覚えている。


「このツアーさ、一番最初の会場」


笑いを堪えながら、奏は言った。


「陽がさ、遅刻してきて」


「あ、それ知ってる。緊張して寝坊したって」


前にツアードキュメントで見た。


奏はおかしそうに手を降って、声をあげて笑った。


「違う違う、ホントはさ、あいつ、迷子になってたんだ」


「えぇーっ!?」


つい大声。


「ドキュメント作る時に誤魔化してさ、大して変わんないのにな」


そう言って奏はまだ笑ってる。


「んで、凪が『陽には送迎必要だった?』とか、真顔で聞いてて、陽真っ青」


凪、辛辣……。

陽は自業自得だよね……。


って、こんな裏話、聞いていいのっ?


映像は進んで、ライブ映像に入る。


奏の歌声。

今よりちょっと硬い。


「やっぱ、声、出てないな」


奏が言った。

昔の自分の歌声が納得いかないらしい。


「そんなことないよ」


私はそう言ったけど、奏は難しい顔をしている。


鋭い瞳が昔の自分を見てる。


……何、考えてんだろ……?


少しだけ、胸がきゅっとなる。


ふっと奏がこちらを見て微笑った。


「やっぱり、俺、尖ってんな」


「……そうだね」


私は画面の中の奏を見る。


「でも、この頃の奏を私は好きになったんだよ」


それから、テーブルの上の奏を見る。

奏は、ハッとした表情で私を見返していた。


ふふっと私は笑い返した。


「でも、今の奏ももっと好きだよ」


奏は画面の自分に視線を向けた。


「そうだね」


何が「そう」なのかは、私にはわからなかったけど、奏は満足そうにTVを見ていた。


番組は、まだ続いていく。

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