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第1話 かくして俺は奴隷を買うことにした

連載です。

5話まで毎日午前6時に投稿します。

第1章、全10話の予定です。

短い間ですが、お付き合いください。


第1話は、世界の紹介と主人公の愚痴です。

こんな主人公ですが、応援してください。

3歳になる頃に高熱を出した。

それがきっかけなのかわからないが、前世の記憶を思い出した。

こうして、転生者アーザムが産まれたってわけ。


やっぱり中世ヨーロッパみたいな世界、加えて魔法があったり魔物がいたりする辺り、本当にお約束どおりのナーロッパだった。

転生ものによくある話だ。


しかも生まれは王都の大商会の三男。

長男のような家に対する責任もなく、次男のように長男の予備として縛られることもない。

俺の場合、15〜19歳くらいで成人扱いされて、それなりの金や商店を与えられて追い出されるか、有力な商会の婿養子になって追い出されるかだ。

それまでは割と自由に過ごせる。

親ガチャに勝った。


自由を得た俺は英雄になろうと思った。

マンガの主人公のようになる。

前世では叶えようもない夢だ。

この世界の英雄には魔法が欠かせない。

魔法は、強化魔法と錬金術、技術が確立されていないその他の魔法の3種類に分けられる。

強化魔法は自分や他人の身体能力を高める魔法で、頑丈になったり、怪力になったり、怪我の治りを早めたり、病気にかかりづらくなったり、毒が効きにくくなったりする。


俺は、強化魔法が使える冒険者を雇って護衛にした。

その護衛に師事して、小樽(60Lくらい)を軽々振り回せるようになって、足の小指をぶつけても痛くなくて、雨に一日当たっていても風邪を引かなくて、擦り傷ぐらいなら数秒で治せるくらいになった。

それでもあと十倍くらい強くならないとドラゴンスレイヤーっぽい名前の鉄塊を振り回せない。

英雄には程遠い。


心機一転、錬金術を習うため学校に行った。

錬金術は物質を生み出す魔術。

とりあえず最低限の技術は習得し、水を生成できるようにはなれた。

ファイアーボールを使いたかったがこの世界の魔法体系では出せないらしい。

可燃性ガスを生成して火炎放射することならできるが、どうやって炎を球状にするのか、どうやって飛ぶようにするのか、どうやって爆発するのか。

それらを説明できなければ、魔法ではなく奇跡になる。

わからないことは実現できない。

つまり奇跡は起こらないのだ。

残念。


その他の占いや呪いなども学んでみたが、才能はなかった。

まぁ覚えても占いで行動を決めたり、敵を呪殺するのは英雄らしくないし。

いろいろ挑戦はしてみたが、英雄は無理そうだ。

早速人生に挫折した。


だが捨てる神があれば拾う神あり、10歳になると幼馴染みのクシェラに呼び出されて『偉そうに立っているだけでいい、実務は私が取り仕切ります』と宣言された。

俺どころか、立ち会った彼女の父と俺の父も一言も発することができないまま婚約が決まった。

時代を先取りしたキャリアウーマン的思想を持つ転生者疑惑のある婚約者を得て、偉そうに立つ訓練をするだけでいいヒモ生活が約束された。

そうなると夢を追ってばかりいられない。修行生活を卒業しよう、大人になる時間が訪れたのだ。


数日たって生活が落ち着いてくると、現代日本の生活レベルが恋しくなってきた。

俺が望む、なんかこう、セレブっぽい生活には、今のお小遣いでは不十分なため計画を立てた。

それなりの金や商店を与えられて追い出されるでもない、有力な商会の婿養子になって追い出されるでもない、追い出される前に第三の道を進んだ。

婿養子が決まったのに商店ももらう二重取り計画である。

成人する前に自立するからと父にねだって、ちょっとした規模の商店を買ってもらい商売を始めた。


それから3年。13歳になり、商売も軌道に乗り、職人が増え、金も増えて事業の拡大や成人、結婚を意識し始めたころ、天啓が降りてきた。

「仕事だって職人に任せているんだ、なにも自分が英雄になる必要はない、英雄を見つけて投資すればいいんだ!」


かくして冒険者の目星を付けてパトロンになったが、あまり俺の冒険者って感じがしなかった。

職人共は俺のモノって感じがするのになぜだろう。

俺の看板を刺繍したマントとか鎧を着せたら満足するのか?

スポーツ選手みたいだけどなにか違うな。

それならボディペインティング……はこの世界にないか、じゃあ刺青でも入れ……ダメだ、奴隷じゃないんだ。

そこまでしてくれるわけない。

そんなことを思いながら2年がたった。


15歳になったある日、書斎で山になった書類を処理していると、再び天啓が降りてきた。

「カードゲームのシングルカードのように奴隷を買えばいい! カードを集めるように英雄も集めればいいんだ!」

奴隷なら俺のモノだ。

好きなように育てられる。

しかも英雄は独りと決まっている訳でもない。

金の許す限り買い集められる。

今、『15歳から始める人生計画』の方針が決まった。

だが、奴隷商の知り合いなんかいないな。

さて、どうするか。

伝手があるとは聞いたことはないが、護衛にして剣とムフフの師匠のカラカルを呼び出す。

なんか奴隷商とか知っているような気がするし、どうにかなるだろう。




こんな感じで、語り手が話しを進めていくスタイルです。


次回、第2話 トラブルメーカーは自覚しろ

師匠のカラカルが語り手です。

11月3日午前6時に投稿します。


ヒロコレが開始するのですが、最初から上手くいくわけもなく。

先行きを見守ってください。

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