第12話 あなたは誰なんですの?
ルーボック・ギャシー 18歳
殺し屋ギャシー家の生れ。
1日1殺をしないと殺される家庭。
生れた時に額に四本の角がある事から、呪われた子供と言われる。
人を平気で殺す事が出来ない。
1人殺すだけで、悪夢を見る。
だが、1日1殺する。
その瞳に宿るのは不思議な力。
見た者を従わせる。
従属させる。
条件。
相手の年齢、名前、隠している事を1つ見つける。
それだけで人形のように操れる。
その瞳はザーコック・ギャシーと呼ばれる兄に奪われる。
「うわぁあああああああああああああああああああ」
眼を抉られているルーボック。
ザーコック・ギャシーはガラス瓶に入れた眼を見ながら笑う。
「これを取り戻してほしかったら。俺様がいるブシャル―帝国の10の領地の1つにこい、俺様は10人の滅び人に転職した」
ただそれだけを呟いていた。
眼が奪われた。
そして、大事な家族。全てを従属していた魔法が全て兄に切替わる。
大事な女性。
愛しいその子の名前はヒビナ。
彼女の微笑みはいつも時分だけの物だと思っていた。
従属させてしまっていても、それでも彼女の意識を優先にした。
だが今。
ヒビナが見ているのはザーコック・ギャシー。
「ヒビナ、まってくれ」
「あなたは誰なんですの?」
そう呟いて。
ヒビナは白いドレス姿で歩きながら。
「待ってください、ザーコック・ギャシー様」
いつも笑いかけてくれていた笑顔を兄であるザーコックに振りまく。
ルーボックは絶叫する。
もう声だけしか聞こえない。
家族も誰も、自分の事を忘れる。
覚えている人は眼を奪ったザーコックだけ。
どこかの記録に、自分の角のような人達が集まるというのを見た事を思い出す。
眼を失いながらも、空気を感じながらひたすら歩く。
歩いた。
いつしか眼が見えなくても生き物の動きが分かるようになった。
無の境地の中で、何かを見つけ出す事が出来る。
だがまともに戦えない。
だが今までまともに戦ってきただろうか?
その心の目に宿るのは、知略だけではないのか?
幾多の書物を読みふける。
見つかる事のない答えを探して。
そうして辿り着いた場所は。
どこかの。
そうどこかの、大きな崖の底にある古代の村。
「ほう、お主自力でここに来てその境地に辿り着いたのか」
ジョド村長がそう呟いていたずだ。
「そうですね、人とは物です」
「ふむ、まぁ茶でも飲め」
ふっと過去の記憶から現実に視線を戻す。
幾多の情報をチャニーから聞かされている。
「ロイフル、100万の軍勢いるんでしょう?」
「どこからそれを?」
ロイフルが不思議そうに尋ねる。
「いや、あのダンジョンは古代の記録にあった。合計100万のモンスターがいたはずだ。普通は1階層クリアすると現実に戻るが、1階層クリア出来なかったんだろう」
「ああ」
「と言う事は2階層に行くしかない。モンスターを倒すというのがクリア条件だったはずだ」
「そうだな」
「つまり、倒さないし、そのダンジョンの王を引き連れている事から、全てのモンスターを配下にしたと認識した。そしてそのダンジョンの王がそこにいるという事はいつでも100万の軍勢を取り出せるともな」
「へぇ、すげーな」
「そして、チャニーが得た動物達からの情報。魔王グジャルが1000人を引き連れて魔王ガラスを襲撃しようとして負けたという情報。現在グジャルは弱っている。そこにドーマスとドリームをぶち込む。次にピエロトの仮面分身とチャニーの動物の軍勢をガラスにぶち込む。残り1体の魔王には100万の軍勢をぶち込む。うちたちはここに待機している訳だ。そしてここからが本筋だが……」
しばらくの沈黙ののちに。
「みんなにはわざと」
その先の話を皆聞いた時、皆笑っていた。
「最後はロイフルが根城から動かさずに全て決着付けてもらう。それが作戦って奴で、王が対話でなんとかしないといけないからな」
そして、全てが動き出した。
「作戦は太陽が昇った時だ!」




