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「わらび餅にしましょう」
「わらび餅!? 新作だよね! 1日2個も新作食べられるなんて幸せ」
わらびもち粉がないから作らなかったけど、そもそもこの世界の人はわらび餅を知らないから、なんちゃってでも問題ない。
タピオカと同じだから簡単に作れるしね。
片栗粉とお水の量で、タピオカにもわらび餅にもなる。
片栗粉って優秀だわー。
「後、フルーツウォーターも作りましょう」
「果汁を入れたお水ではないのですか?」
「それの進化版です」
果汁を入れたお水と言っても、レモン水だ。
変わり種で、オレンジ水があるくらいだ。
レモン水が好きだから作らなかったけど、あってもいいだろう。
「フリーズしてないドライフルーツが欲しいんだけど、あったりする?」
「申し訳ございません。ございません」
そうだよね。普通は常備してないよね。
ドライフルーツを使った方がデトックス効果は強いんだけど、生のフルーツでいいか。
あれ? わらび餅なら抹茶の方がいい?
いや、抹茶はアイスで添えるのが理想。
まずは、わらび餅の材料を用意してもらった。
わらび餅の作り方は、こうだ。
片栗粉と砂糖と水を入れ、よく混ぜ合わせる。
弱火で加熱しながら、絶えずかき混ぜる。
生地がまとまってきたら、氷水に入れて冷やし、手でちぎる。
水気を拭き取ったら、きな粉をかけて完成。
きな粉は、バターを塗った食パンにかけて食べたかったので、小さい頃に作ってもらっていた。
パン屋さんでは、揚げパンのきな粉バージョンが販売され、人気がある。
それに、王都とアヴェートワ領にのみある和菓子屋でも、きなこを使った商品は人気がある。
黒砂糖は見たことがないので、もしあるならと黒蜜の作り方を教えておいた。
抹茶アイスは、説明しなくても作れるだろうから、わらび餅の横に添えることも伝えておく。
抹茶を混ぜて抹茶わらび餅にするなら、バニラアイスを添えるように提案もした。
フルーツウォーターには、グレープフルーツとオレンジ、キウイやブルーベリーを入れ、忘れずにハーブも入れる。
パイナップル、マンゴー、レモン、ハーブでも美味しい。
りんご、いちご、キウイ、ハーブもお薦めだ。
冷たい水に入れて数時間冷やせばいいだけなので、実はズボラなお洒落女子にもってこいな飲み物なのだ。
フルーツウォーターの説明をしている間に、オニキス伯爵令息はわらび餅を食べて、肩から力を抜いている。
優しい味だから、当然そうなるだろう。
薬菓とわらび餅アイス添え(2種類)とフルーツウォーターは、次の本邸での昼食時に出してみるそうだ。
料理長に何度もお礼を言われ、アズラ王太子殿下の薬菓だけバスケットに入れて、本邸を後にした。
「このまま殿下の執務室に行く?」
「はい、そうしようと思っています」
オニキス伯爵令息が先触れをだそうと伝書鳩を手に浮かべたので、伝書鳩を鋭い目つきで見つめた。
「こわっ。なに?」
「私も使えたらいいのになと思いまして」
「風じゃないから無理だよ」
「でも、リバーが編み出した探知魔法は誰でも使えますよね?」
「これは、風じゃないと無理なの」
「もしかして、アズラ様も使えたりするんですか?」
アズラ王太子殿下は水、氷、風だ。
氷を重点的に練習していると聞いているが、他を練習していないとは聞いていない。
「殿下は、練習しなくてもできそう」
「ってことは、できるんですね」
「使っているところは見たことないけどね」
「どうして使わないんでしょう?」
「必要ないからでしょ」
便利なのになぁ。
使えるなら、招待状や手紙の返事とかも全部伝書鳩で済ませたいよ。
アズラ様もそうすれば、時間に余裕ができるかもしれないのになぁ。
ん? アズラ様は、返事を決めるだけで書かないか。
あ、本当に必要ないっぽい。
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