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ポニャリンスキ領の旅行から戻ってきた数日後、ガーネ侯爵令嬢から手紙が届いた。
会って話したいことがあるのかー。
ジャス様とエンジェ様のことだよね。
ガーネ様のことも好きだから、包み隠さず話したいところだけど。
「恋愛の師匠、オニキス様。助言をお願いします」
「やだ」
「つれないですね。あたしが暴走してもいいんですか?」
「はぁ、なに?」
「ガーネ様に、ありのままを話してもいいですよね?」
「いいんじゃないの。隠す方が変でしょ」
「分かりました。ありがとうございます」
「でも、ガーネ侯爵令嬢を煽るようなこと言わないでよ」
「言いませんよ」
その信用していない目は、なんなんだい?
「まぁいいや。俺は注意したからね」
煽らないってば。
「それと俺、来週護衛騎士お休みだから」
「春休み終了までですか?」
「そう。彼女の誕生日なんだよね」
「私も誕生日ですよ」
「知ってる。おめでとう」
「ありがとうございます。久しぶりに会えるとなると楽しみですね」
「そうだね。子守から解放されるしね」
遠慮がなくなりすぎでは?
いいけど。
「プレゼントは、何にされるんですか?」
「何がいいんだろうねぇ」
「刺繍花でも作りますか?」
「いいの?」
「いいですよ」
「ありがとう。きっと喜ぶと思う」
彼女の笑った顔を思い出したのだろうオニキス伯爵令息の甘い幸せそうな顔に、ルチルも微笑んだ。
「刺繍花同士をくっつけて、花冠みたいにしてもいい?」
「素敵ですね。やりましょう」
ルチルは手伝うつもりだったが「1人で完成させたい」と言うオニキス伯爵令息を、見守ることにした。
「と、いうことで、今必死に作られているんですよ」
「オニキスは器用だからなぁ。僕もルチルに何か作れたらいいんだけど」
手作りはいらないから。
そんな時間があるなら休んでほしい。
今は、就寝前のベッドの中。
今日あったことを話し合っている。
「アズラ様は、オニキス様の彼女さんに会ったことあるんですか?」
「1度だけあるよ」
「どんな方なんですか?」
「オニキスのことが気になる?」
「オニキス様がというより、オニキス様の彼女さんが気になりますね」
「それなら、会える時を楽しみにしていたらいいと思うよ」
「分かりました。夏に会わせてくださるそうですので、その時を楽しみにしています」
アズラ王太子殿下に頭を撫でるように髪の毛を梳かれ、猫みたいに擦り寄った。
ルチルから見えるのは、アズラ王太子殿下の鼻先から下。
アズラ王太子殿下が、悲しそうに伏せた目は見えなかった。
「ルチル。誕生日プレゼント、本当にあんなのでよかったの?」
「最高ですよ。アズラ様もリクエストがあれば言ってくださいね」
「じゃあ、僕の時も同じことをお願いしようかな」
「任せてください。でもその前に、来週の私の誕生日はお願いします」
「うん。頑張るよ」
その日も引っ付き合って眠った。
明日はルチルの誕生日のお話です。
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