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すっご!
某怪盗アニメのナイスプロポーションボディ!
顔も似てる!
これなら本のアズラ様が、めくるめく夜を過ごしたことも納得だわ。
ってか、雪積もってるのに、その服寒くないの?
胸半分出てるよ。
ポロッといきそうで、見ているこっちがハラハラする。
ルチルがそう思ったのは、ルドドルー辺境伯夫人と挨拶をした時だ。
王都の神殿から、いくつかの神殿を経由してルドドルー領にある神殿に到着した。
出迎えに来てくれていたルドドルー辺境伯は、祖父と同じような年齢で、熊のように大きい人だった。
短髪の霞色の髪に、深紅の瞳をしている。
「雪国に火の魔法は、とても重宝するんです」と話してくれたのは、到着した日の晩餐だった。
ルドドルー辺境伯夫人と会ったのは、ルドドルー城に着いた時だった。
飴色の髪に、辺境伯と同じ色の深紅の潤んだ瞳。
男性のみならず、女性も惚れ惚れするプロポーション。
そして、まだ23歳という若さ。
挨拶されなければ、ルドドルー辺境伯の娘と思ったに違いない。
もしくは、婦人の隣に立っているルドドルー辺境伯令息の奥様だと勘違いしただろう。
ルドドルー辺境伯令息は、霞色の長髪に青碧色の瞳をしていて、銀縁眼鏡をかけている。
熊のような辺境伯と比べて、ひょろっとした細長い人だった。
不細工じゃないけど、全くもって好みじゃない。
そう思っていると、ルドドルー辺境伯令息が近づいてきた。
「エスコートをする名誉をいただいてもよろしいでしょうか?」
「は一一
「ダメだよ」
おっと、隣から冷気が……
あたしはどんな笑顔も好きだけど、辺境伯令息からしたら怖いよね。
ルチルバカなアズラ様でごめんねぇ。
「ルチルは、僕の婚約者だからね。僕がエスコートするよ」
ルチルは、辺境伯令息に申し訳なさそうに微笑んで、アズラ王太子殿下の手に手を重ねた。
「申し訳ございません」
「いえ、私こそでしゃばってしまい失礼いたしました」
声を出して笑うルドドルー辺境伯の後ろで、辺境伯夫人が歯痒そうにこちらを見ていた。
「このような殿下は、初めて見ますな」
「ルチルのことになると、ついね。とても大切なんだ」
アズラ王太子殿下の熱の籠った眼差しに、ルチルは照れたような笑みを返した。
ルドドルー辺境伯家の執事や侍女たちに城の中を案内してもらい、ルチルはアズラ王太子殿下と同じ部屋に通された。
『魔物の匂いがするな』
部屋に入った瞬間にミルクが呟き、声をかけたかったがルドドルー辺境伯家の侍女が立ち去るまで我慢した。
「ミルク、どういうこと?」
『臭い』
「そんなこと聞いてないわよ。魔物の匂いがするって、なに?」
ルチルの言葉を聞いて、アズラ王太子殿下、オニキス伯爵令息、チャロがそれぞれ部屋の中を見て回っている。
『匂いがするだろ? 人間には、この臭い匂いが分からないのか?』
「分からないから聞いてるの」
『この地全体に匂いが漂っているが、この城は特に臭い。どこかに魔物がいそうだ』
「どこにいるの?」
『いそうだと言っただけで、本当にいるかどうかは分からん』
「でも、いないとしたら、どうして匂うの?」
『さあな』
首を振るミルクに、これ以上尋ねても分からないだろう。
ルチルはアズラ王太子殿下たちに説明をし、カーネが祖父たちに「お伝えてしてきます」と部屋を出ていった。
その日の晩餐で、夫人が一目惚れをし押しかけるように嫁いできたという惚気話を、酔ったルドドルー辺境伯から延々と聞かされた。
次の日から、表向きの理由である合同演習が始まった。
数日見学をしていたルチルだが、ミルクがいれば魔物に襲われる場所が分かるんじゃないかと思い、別行動をとることにした。
もちろんオニキス伯爵令息は一緒だ。
オニキス伯爵令息は、訓練しなくていいと喜んでいた。




