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【幕間:仮面の向こう、微笑みの中で】

新章前の息抜きに…幕間です


 ☆☆祝☆☆

☆☆累計11000PV☆☆

☆累計ユニーク2300人☆

☆☆☆☆評価7人☆☆☆☆

☆ブックマーク25件☆

皆さん本当に応援ありがとうございます!!

感想も頂けたら嬉しいです!!


ネザリア城・中庭――


陽が差す午後の静寂。

漆黒の回廊を抜けたその先、小さな花壇と噴水を囲むように、白と黒のタイルが敷かれた庭が広がっていた。


「……花、手入れされてたのね」


白銀の髪を揺らしながら、巫女――ノアは噴水の縁に腰掛け、そっと花のほうに目を向ける。


「ええ。メイドの皆さんが毎日欠かさずお世話されてるみたい」


隣に座るのは、セリナ。

今日の彼女は戦装束ではなく、街での演技に近い、軽装の冒険者姿だった。


「ネザリアって、もっと……無機質で冷たい場所だと思ってた。全部、命令で動いてて、人の感情なんて通じないところ……」


ノアはそう呟いて、ふっと笑う。


「でも、違った。じゅぴさんとリィナさんの喧嘩とか見てると……逆に、うるさいくらい」


「……ふふっ。確かに、あのふたりは賑やかですから」


思わず吹き出すセリナの声も、どこか柔らかかった。


「前は、人形みたいな私が“どう振る舞えば正解か”を考えてた。

 でも今は、“何を選びたいか”って……そんな気持ちに、気づき始めてる」


ノアが自分の手のひらを見下ろすようにして、ぽつりと呟いた。


「セリナさんは、どうしてあの街に残ったの?」


「……私も、少し似てたのかもしれません。

 仮面をつけて、誰かの命令で、誰かの役割を演じてた。

 でも――あの街で出会った人たちが、私を“セリナ”として受け入れてくれたんです」


「うん……わかる気がする」


しばらくふたりの間に、静かな風だけが吹いた。


「……また、神殿の中で会ったとき、覚えてますか?」


「ええ。“変わった目をしてる”って、言われたわ」


「……その時、もうわかってたの。あなたが“普通の旅人”じゃないってこと」


ノアが横顔だけで笑った。


「でも――不思議と、怖くなかった」


その言葉に、セリナも小さく笑う。


「……私も、あなたを敵だと思えなかった」


(今なら、少しだけ“感情”で動いても……きっと、間違いじゃない)


そんな想いが、仮面の下で芽吹いていた。


そして――


「ねぇ、セリナさん」


「はい?」


「……また、一緒にお茶してくれる?」


「……もちろんです。何度でも」


そう答えたセリナの声に、もう“演技”の色はなかった。


ネザリアの陽は、驚くほど柔らかく、ふたりの肩を照らしていた。

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