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【完結済】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第四章【仮面の再出発】
100/159

【仮面のその先/影の街を守る者たち】

ついに100話目です!!! ついでにここで4章も終わりとなります!



アールフェン・冒険者ギルド第七支部――昼下がり


「……グレンさん! 例の通信です!」


ギルドの端末を見ていた兵のひとりが声を上げる。 それはネザリア本城からの、最上級指令だった。


「せつな殿から……直接、だと?」


グレンは即座に立ち上がる。 魔導通信端末に表示されたのは、淡く揺れる漆黒の紋章と、重く、そして静かな命令。


『グレン。お前たち部隊は、セリナと協力し、この街――アールフェンを守れ。 ネザリアの庇護下として、完全に包み込む』


『本日中に残っていた部隊も合流させる。新たな影として、ここを支えろ』


「……了解した」


端末が沈黙したあと、グレンはすぐにセリナを呼び出す。


アールフェン・ギルド裏手――


陽光の落ちる裏庭で、グレンとセリナが対面する。


「セリナ。俺たち、今この街を正式に守る立場になった。……全員で、だ」


「……!」


「……王国はもう、無い。俺たちは命を拾われて、そしてようやく“戦う理由”を得たんだ」


「この街の人たちに本当のことを話してくれませんか?」


「……ああ。すべて、話そう」


その日、ギルドで―― セリナとグレンは、ギルドの仲間たちに全てを打ち明けた。


「俺たちは王国の元兵だ。ネザリアに拾われ、再び立ち上がる力を得た」


「でも、だからこそ……この街を、戦争から守りたいと願っている。セリナのために。そして、君たちのために」


騒然とするギルド内―― だが、一人がゆっくりと手を挙げた。


「セリナが言うなら……信じるさ。騙されたって思わねぇよ」


「むしろ、グレンたちが来てなきゃ……この街、終わってたかもしれないしな」


「そうだな……ありがとな、セリナ。ほんと、ありがとう」


その声に、セリナは小さく――だが確かな、微笑を返した。


(……よかった。この街は、まだ“壊さなくて”いい)


ギルドに、安堵の空気が広がっていく。


その隅で、グレンはふっと目を細め、誰にも気づかれぬように、心の中で呟いた。


(本当によくやった、セリナ)


――この街は、守られる。 仮面の先にあった心が、今、確かにひとつの場所に結びついていた。






大陸西部――商業都市国家《ヴァルグレイス》


その日、中央広場に響いた鐘の音は、いつもより重たく鳴っていた。


「……神聖連合が、“滅んだ”? まさか……連絡網全体が機能してない?」


「本部ごと……存在が消えたと?」


中央議会庁舎の作戦室。高官たちは信じられない表情を浮かべ、報告書の束に目を通していた。


「しかも、“侵攻が数日で完了”。加えて、残党による反撃もなし……」


「いったい、誰が――いや、“何”がやったというんだ……?」


魔導通信の最奥――それは、ひとつの名前を記していた。


《ネザリア》


「……漆黒の王国。あの“城”か」


「信じられるか? 連合を、たった三人で蹂躙したっていうんだぞ」


「三人……?」


「“漆黒の王”、そして“紅の執行者”に、“影を喰らう魔女”」


「ふざけた異名だが……実際にやってのけたというのか……」


空気が凍る中、一人の女性議員が震える声で呟いた。


「このままいけば……次は、私たちの国かもしれません」


沈黙。


全員の顔に浮かんでいたのは、“否定できない”という共通の恐怖だった。


大陸南部――砂漠国家《アザレア連邦》


炎のような陽光が照りつける首都の議場に、報告書が投げ込まれた。


「ネザリア、また動いたらしいぞ。今度は神聖連合だ」


「……我らが脅威にすらなりえぬ相手を……」


「いや、それが問題だ。“我らと同格”と見なしていなかった国家を、ためらいもなく消し去ったという事実」


「“外交”が通じない相手か……」


「違う。“交渉の余地がない相手”だ」


眼を細める将軍たち。


「だが、逆に言えば……不用意に触れなければ、“狙われることはない”とも言える」


「今はまだ――な」


北の大国、東の魔法都市、西の商業国家。

それぞれが、かつてない緊張の中で静かに息を潜めていた。


だが――


彼ら全員の視線の先には、同じ“黒”があった。




そうして、大陸全土に、漆黒の名が轟き始めた。

その影は、もはや“伝説”でも“脅威”でもなく――


“現実そのもの”として刻まれていく。

第四章、お付き合いいただきありがとうございました!毎日更新してると意外と進むの早い・・w


次章以降、他国の視点や新キャラの登場も増える予定です。


「影の秩序」がどんなかたちで広がっていくのか。

読者のみなさんにも、この“漆黒の王国”の歩みをぜひ最後まで見届けていただけたら嬉しいです!


感想・ブクマ・レビューも本当に励みになります

次回もどうぞよろしくお願いします!

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