振り回されて、困惑
召喚時期を二百年から百年に変更しました。
ロクス皇国や、皇宮から出てはいけないということは理解した。
役立たずになることが申し訳なく、考えた恵はリュカオン達に別の提案をした。
「皇宮を出られないのならせめて、浄化の修行とか出来ませんか?」
リュカオン達はここにいるだけで良いと言うが、恵としてはそれだけで世界中を浄化出来る気がしない。
それ故、せめて確実に異世界を救いたいと思って言ったのだが――カニスに、申し訳なさそうに言われた。
「浄化については聖女様のみの能力なので、我々では教えられないのです」
「あ……そうなんですか……」
「申し訳ありません」
「いえ、却って失礼しました」
「メグミは真面目だな」
「あんまり張り切り過ぎるなよ?」
「……はい」
謝られてしまえば、こちらも退くしかない。更にリュカオンとクオンに微笑ましげに言われて、恵は愛想笑いをして誤魔化した。イケメンなのは認めるが、仲良くなる前からグイグイ来られたせいでどうも苦手意識があるのだ。
変に突っ込まれても困るので言わないが、不思議なのは百年に一度のペースで召喚しているのに、本当に召喚している『だけ』なことだ。いや、それくらい浄化が強力なのかもしれないが、修行をしないなら聖女は何をして過ごすのだろう。
そんな恵の声に出さなかった疑問に、答える形になったのはいつの間にか部屋の隅に控えていた、二十代半ばくらいの侍女である。
「学ぶと言うのなら、淑女教育を……聖女様は、リュカオン殿下の婚約者ですから」
「……え?」
「何故、驚かれるのですか? 女神の遣いである聖女様を、王族である殿下が守るのは当然でございましょう?」
「いえ、でも私、しょ……平民ですし」
当然のように言われたのに、恵は戸惑いながらも相手に伝わる言い方で遠慮した。しかし相手は退いてはくれず、逆に力説されてしまった。
「大丈夫ですよ! 聖女であれば単なる平民だろうと、王族に娶られるのです! その慈悲に応える為にも早速、淑女教育を始めましょう!」
「……は、はい」
言い方に引っかかりはしたが、一方で言われて仕方ないとも思う。皇宮だけあり、部屋の家具や着ているドレスは高価そうで。多分、務めている女官達も言動を見る限り貴族だと思われるからだ。女官長の反応だと、今までの聖女達も淑女教育を行ったと思われる。
「さあ、淑女教育の先生がお待ちですよ!」
「聖女様、また明日の授業で」
「メグミ、何かあれば遠慮なく言ってくれよ」
「ダンスの練習とかあれば、付き合うからなー」
「皆様、ごきげんよう」
話しかけてくるカニス達に、恵の代わりに女官が答えた。イケメンな三人なので、話が出来て嬉しそうである。
そして恵は気合いの入った女官長に連れられていき、某ロッテ〇マイヤーを思わせる眼鏡女性から、淑女教育を受けることになったのである。




