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Depths8~熱源-destroyed by fire-~

戦場へと投げ入れられた3人。

知らされる「影」と呼ばれる存在。

そして謎の機兵・・・

 群雲を下に取り付けた戦闘機、少しエンジンを緩め、地上と水平に飛ぶ。

パイロットは群雲に無線を繋ぎ、忠司へと話しかける



「落とすぞ!3・・・2・・・1・・・解除!」

「ちょっと待・・・」



勿論、止まってくれるはずなど無く、群雲を繋いでいたシートベルトのような鉄の帯が外れる。

その瞬間、地上へ向かい、群雲が落下していく。



「ちょっと待って!!この高度だと計算しなくても分かるぞ!?潰れるって!確実にペシャンコどころか・・・」

「落ち着け、一等兵。あと数秒でパラシュートが・・・」



ニールからの無線が来たにも関わらず、半狂乱である。



「落ち着いてられるか!!せめて逝くならば名誉で・・・」

「落ち着けと言っているだろうが!」



無線越しに怒鳴りつけられ、ようやく落ち着く・・・が

パラシュートがまだ開かない。



「・・・設定高度、どうなってるんです」

「まぁゆっくり、落下していくとしよう。俺のは手動だ。」

「・・・あの、それって」

「見ていろ、これがデュラハンに備えられた「急襲伸縮槍」の変わった使い方だ。」



腰からハンドガードの付いた槍を取り出すと、最大まで伸ばし、真上へと掲げる。

忠司の群雲の落下傘が開いたとほぼ同時に槍のハンドガードが展開し、その内側からブースターが伸び、炎を噴出した。



「無茶苦茶だ・・・」

「面白いだろう?」

「面白いかどうかといえば。面白い武器ですけど」



空中で話しながら、ゆっくりと地上へ降りていく。

その降りた地点は、敵機も居なければ、大型のテントが幾つも張られ、周囲を群雲やシュヴァルツ、その他見た事の無い機体が守っている云わば「安全地帯」であった。

どうやらここが拠点らしい。

拠点を見回していた直後、鈍い音がする。

振り向くと、そこには思い切り、足を曲げて着地をしたシュヴァルツが居た。

手首の武装嚢が付いているのでリア機だ。

落下傘すら展開せず着地したが、そのまま足を伸ばし、歩き出す。



「・・・だ、大丈夫?」

「ん?何の事?」

「い、いや、リア・・・パラシュートは・・・?」

「要らないよー?逆関節だから」



理由になっているのだろうか?

あの高さから落下すれば機体は無事であっても中身(パイロット)は怪我で済むかどうか分からない。

だが、話せている辺り問題は無さそうだ。



「衝撃吸収か・・・ふむ・・・俺も取り入れてみるとしようか。」

「あー・・・やめておいたほうがいいと思うよ?これマネしようとした人・・・いや、やっぱいいやー」

「気になるんだけど」

「俺もだ」



溜息を大きく吐くと、リアは引き笑いをして話し始める。



「まぁまず私のシュヴァルツみたいに足に改造を施したシュヴァルツに乗ってた人なんだけど・・・大丈夫だと思って落ちたら・・・」

「落ちたら?」

「着地までは行ったんだけど、その後シュヴァルツが動かなくて、外側からコックピットをこじ開けたら中は赤く・・・」

「も、もういいよ」

「・・・やめておくとしよう、さぁ、しゃがんでからハッチを開き、外に出るぞ。・・・鍵は掛けておけ。」



3機は立ち膝で横に並び、ハッチを開く。

その後、降りてから鍵を掛け、テントの手前へと集まる。



「怪我は無いようだな。」

「まぁ・・・一応は・・・」

「うん、おっけー」

「凄い数の人・・・みんな軍人・・・なんですよね」

「そうだ。ドイツ、イギリス、日本、後数カ国の勢力・謀反衆が集まっている。」



軍服の人間、防弾アーマーを着た人間、民間人、様々な人が集っているようだ。



「・・・鍵を掛けておけ、っていうのはその謀反衆ですか。」

「ああ、あそこを見てみろ。」



指差したほうを見ると、どこかの国の軍服を着た男が手足を縛られ、イギリス軍兵士3人にライフル銃を突きつけられている。

一人が銃床で腰を殴り、「情報か、ここで死ぬか」のようなことを怒鳴りつける。

それと同時に二人も銃口を頭部へと押し付けている。



「・・・恐らく謀反衆を名乗ったスパイだろう。あんな信用ならぬ連中を雇う我が国の神経が知れん。」

「イギリスは雇ってるんだー」

「ああ、どこかの「ある戦線」が一段落着くまでは雇うらしい、どこの戦線かは俺も知らんが・・・」



話している最中、銃声が鳴り響く。

その裏切り者が撃たれたのだろうか?

周囲に居た人間が音の元へと目を向ける。

一発頭部の横へと脅しで撃ったようだ。生きてはいる。血は流れていない。



「・・・銃弾の無駄だな、少し待っていろ。」



ニールは軍服を腰に巻くと、腕を回しながら近づいていく。

ライフルを持っている3人は裏切り者へ向けるのをやめ、ニールへと向けると思いきや

セーフティを掛け、スリングで後ろに回し、敬礼をした。



「ヴェルニール殿!先程裏切り者を捕らえました!」

「・・・ご苦労。だが、脅し程度に一発無駄にするのは頂けん。」

「す、すみません」

「・・・以後気をつけろ・・・さて、「立て(Get up)」」



屈み、裏切り者の足を縛っていた紐を引き千切り、そう呟く。

裏切り者は睨みつけ、立とうとはしない。



「立て、と言ったが?分からないか。」



拳銃を向けるニール。

スライドを引こうとすると、立ち上がる。



「・・・どこの軍だ。」

「・・・」

「言葉が分からないか?」

「・・・」

「君達、武器を奪え。持っているかどうかは分からないが。」

「はっ!」



兵士3人はボディチェックをし、武器となりそうな物を全て押収する。

出てきた物はマルチツール、ライター、拳銃とそのマガジン。



「・・・銃を此方に。」

「どうぞ。」

「ふぅん!」



手渡された拳銃を素手で「握りつぶし、粉々にする。」

とても人間に出来る業ではない。

拳銃を破壊すると、裏切り者の腕を拘束していた紐を切る。



「・・・紙とペンだ、字で教えろ。」

「・・・」

「・・・そうか、君達、銃を地に置いてくれ。」



ライフルを地面に置いた瞬間、裏切り者は走り出す。

機兵の置いてある方向へ向かって。

しかし、その一歩を踏み出した瞬間だった。

それは一瞬、爆発音に似た何かがが鳴り響く。

裏切り者の体が空中に浮き、更にそこから地面へと叩き落された、その音だ。

勿論、浮かせ、叩き落したのはニール。



「・・・さぁ答えろ。次は本気だ」

「イタリア・・・」

「・・・ほう、よく地元兵士が混じったものだ・・・縛っておいてくれ。」

「はっ!」



再度拘束すると、ニールは忠司とリアの元へと戻る。

二人は口を開けたまま、倒れている裏切り者を見ていた。

拘束をしようが、動けないだろう。と思い。

しかし立ち上がり、歩き出していた。



「・・・な、なんなんだ・・・あれ」

「俺のちょっとした技術だ。吐かせるのに殺しはせん。かと言って必要以上に痛めつけるのもまた愚。」

「す、すごいなー・・・すごいなー」



天才的殺し屋のリアさえも恐怖のあまり震えている。

本気を出したこの男には「刃物も効かない」などという推測が浮かび上がっているからだ。



「そ、そういえば!ニールさんさっき・・・爆発音しませんでした?」

「・・・む・・・そうか、まだ忠司一等兵は気づいていなかったか。」



右足を見せる。

その右足は「機械で出来た足」。そう呼ぶのが正しい。

銀色をしており、見た目こそ普通だが、光を反射している。



「・・・少々、事情で義足でな。これの重さだ。」

「いや!重さじゃ爆発音なんてしませんから!」

「・・・そういう物か?」

「・・・そういう・・・物・・・ですかね?」

「爆発物など仕込んでいないぞ。これはただの「義足」だ。」



輝く足を裾へと仕舞うと、軍服を着なおす。



「さぁ、ブリーフィングへ行こう」

「はい!」



 一番大きなテントの中には、椅子と、長机が置いてあった。

ニールは中央の隣に座るが、他の席は埋まっていて、忠司とリアの席は無い。



「隊長、ここに他の者を入れるスペースは?」

「無いな。」



ニールが髭面にスキンヘッドの男へと尋ねる。



「貴様の分隊だ、分隊ぐらい己で管理しろ」

「・・・了解・・・という訳だ、二人は外で待っていてくれ、すまない。」

「は、はい・・・」

「つまんないのー・・・」



二人が去った後・・・

スキンヘッドの男が話し始める



「・・・では、作戦だが、まず中央の大通りをドイツ軍ハンブルグ基地から来た分隊に頼もう。」

「了解」

「・・・そして西側の裏道だ。第一分隊が陽動をしている間、ヴェルニール「中将」率いる分隊、と傭兵軍だ。」

「はっ・・・」



陽動中での強襲任務、だが今回は内部紛争のようなものではない。

「戦争」だ。

小規模な戦闘区画とはいえ、混戦は避けられないだろう。

増してや「あの傭兵」達も居るのだから




「そして各員に情報が行き渡ってるであろうが「影」には気をつけろ。」

「・・・すまない、影とは?」



ニールが質問をする。

スキンヘッドの男は髭を弄り、答える



「・・・そうか、ヴェルニール中将は国内任務に就いていたか」

「すまないな、島国であるが故攻められる上に何より、「アレ」を所有しているからな」

「そうであったな、「影」についてだが、ここ最近様々な戦闘区間で「巨大な雲影らしき何か」が通り過ぎて行くという事があってだ」

「・・・その雲影が通り過ぎたら何かあるのか?」

「心して聞いてくれ、これは要注意事項だ。その影が通り過ぎた後には我々、敵軍共に残骸と化した機兵、そしてその付近には「謎の機兵」が立っていたとの事だ」



地図を表示しているスクリーンを変更し、やけにピントがブレている上に靄が掛かっている写真を映す。

よく見れば確かに「残骸」と「機兵」だ。

その残骸は味方機、敵機共にコックピットを引き裂かれているだけではなく、腕と脚を引きちぎられたような跡。

残骸の上に立つ機兵はかなりブレているが、通常の機兵では有り得ない、巨大な腕を持っている事が分かる。



「・・・影の後にはこの黒い巨腕の機兵・・・しかしこの写真はどこで手に入れた」

「破壊された機兵に乗っていた兵士のカメラに残されていた写真だ。」

「・・・ふむ・・・」

「作戦概要の続きに戻っても良いかね?」



 数十分後、テントからニールが出てくる。

手にはタブレット端末だ。

それを忠司とリアの二人へと見せる。



「俺達は強襲だ。忠司一等兵は確か平内少佐と一度経験しているとの報告を聞いている。」

「はい。」

「・・・だが気をつけてくれ、君が経験した戦場も血を血で洗うような場所だっただろう、しかし、それの上を行く・・・」

「分かってます!やる事は変わらないんでしょう?「平和の為に戦う」事だけは。」

「・・・平和・・・か、そうだな、その通りだ。」

「やってる事が平和かどーか、って言われたら終わりだけどねー」



気楽そうに水筒の水を飲むリア。

溜息を吐きながらニールはタブレット端末を右にスライドさせる。

そこに映されたのは「影と残骸」の写真だ。



「戦慣れしているリア少尉にも今回ばかりは気をつけてもらいたい事象がある。」

「なになにー?」

「・・・この機体だ。勿論忠司一等兵も気をつけてくれ。」

「・・・腕が大きいですね。それに・・・先端には大きな爪・・・?」

「・・・同じ事を考えていたようだな。」



作戦前の数十分間、ニールは二人に作戦内容と「影」について話す。

二人は頷き、理解したようだ。

その様子を見てニールはタブレットを仕舞い、安心した表情を見せる。



「・・・癪だが「巨大な影」が通った場合、退却をする。いいな?」

「はい!」

「・・・仕方ないなー」

「では、機兵に乗り、武装を整えるとしよう。」



三人は歩き出し、各々の機兵へと乗る。

そして機兵用の武器を置いている巨大な輸送機のコンテナからライフルを1丁手に取る。

ボルトを引いて弾を装填してから、セーフティを掛けて歩いて作戦区域前へと向かう。

 到着した作戦区域前、元は都心部だったらしく、巨大な建物の残骸が丁度良い具合に機兵を隠してくれる。



「見ての通り周りに少数だが・・・!?」

「何してるんだリア!?」



リアは腕部のチェーンソーで目の前に居た機兵の頭を掻っ切る。

そしてコックピットを貫き、回線を周囲の兵士へと繋ぐ。



「裏切り者発見!見事に作戦ダダ漏れみたい。」



録音した音声を流し、周囲の兵士達に警戒をさせる。



「怪しいと踏んで強引に回線を繋いでいた訳か・・・やるな少尉。」

「ニールさんは中央で戦ってる前線部隊に回線!忠司は構えて!」

「了解!」

「わ、分かった!」



しゃがみ、通信回線を開くニール、忠司はライフルを建物越しに構え、敵機の足音を聞く。

その瞬間、近くの建物に榴弾が直撃したらしく、砂煙が巻き上がる。



「戦車か!?」

「んなモン効くかよォ!こっちは機兵なんだぜ!?潰してやらぁ!」

「待て!」



一人の傭兵の乗った機兵が砂煙の中から少し見えた戦車の砲塔目掛け、ライフルを撃ちながら突撃する。

戦車を破壊し、後ろの戦車群も踏み潰す。

その一人の突撃に乗じ、援護射撃を他の仲間達も行う・・・が。



「な、何・・・だ」



十字路を越えようとした瞬間、その傭兵の機兵の胴体を右側から出てきた機兵の長剣型機兵武装が引き裂く。

更に左側からライフルを持った機兵が2機、3機、と続々と現れ、此方へ向けて射撃を始める。

援護射撃をしていた数機の機兵は建物に隠れるが、数機は損傷を負う。



「・・・クソッ!」

「見事にオトリに引っかけられた、って感じ?」

「・・・のようだ、俺達の行動を知った奴等の本部から小隊が2、いや3・・・そのくらいか、出てきたようだ。」

「本部から2、3・・・だとすると本部は目の前・・・ですね。」



建物に胴体を隠しながら、ライフルでの射撃をしつつ答える忠司。

ニールは地図を確認する。

確かに「敵軍本部には近い」が、前方の敵兵量を考えると「此方が辿り着く事はとても遠い事」だろう。

そんな中、リアはライフルを敵軍と此方側の中間にある建物へと全弾撃ち込む。



「ちょっと手伝って!みんな!」

「小娘、何を考えている!?」

「いいから!手榴弾持ってる人は「あの建物の半分より上」を狙って投げて!!」

「わ、分かったよ!犬死するよりはマシなんだろ!?マシならやってやらぁ!」



手榴弾のピンを抜き、建物の上部へと直撃させる。

他の兵士達もライフルを撃ち続け、建物に損壊を与えていく。

丁度一人のマガジンが切れた辺りで、建物の上部が「崩れ落ちた」。

崩れ落ちたガレキによって前に出ていた敵の数機が潰され、後ろに居た敵軍は進めなくなる。



「・・・時間稼ぎ?」

「うん、これで後は十字路の2方向からしか攻められないよ、後は・・・ッ!」

「リア!?」



思い切り地を蹴り、左側へと走る。



「忠司、ニールさん!付いてきて!三人だけで十分なはず!」

「何がだよ!?」

「・・・ふむ、良いぞ。」



先行するリアの機兵の後ろを忠司とニールの機兵が追う。

この左側の道は「ガレキの後ろにある十字路」に出るはずだ。

つまり「敵軍の目の前」へと出るような物だ。



「止まるんだ少尉!!!」

「う、うん!?」



急に止まるシュヴァルツ、そして前を往く群雲。

その中間にて、デュラハンは肩部を真っ直ぐ、正面の建物へ向けると、肩部前方を「覆っていた」ハッチを地に落とす。

すると内側から赤い「槍」のような物が右に20、左に20、合計40本露見する。



「一等兵、衝撃発生間接を構え、2秒数えたら上へと思い切り跳べ!!」

「は、はい!!」



屈みながら走る群雲、その上を「とても速い何か」が通り過ぎる。

その「何か」は守備に回ってきた敵機兵へと突き刺さり、大爆発を巻き起こす。

勿論周囲の建物をガレキにし、後から来た数機を押しつぶす。

そんな相手を殲滅した「何か」の正体はデュラハンの両肩に付いていた「赤い槍」だった。

デュラハンは両肩から煙を上げながら、膝を付く。



「飛び越せるか・・・!?」



一気に間接を開放し、上へと飛び、ガレキを飛び越す。

弾を撃ち切ったライフルを投げ捨て、空中で両手に弐式拳銃剣を構え、落下と同時に敵機の頭へと突き刺す。

そして発砲。

放たれた弾は頭部を貫き、コックピットへと真っ直ぐ、貫通した。



「如何せん反動が大きい。」

「ニールさん!」

「行くぞ、忠司一等兵、リア少尉。」



肩部の装甲を落としたデュラハンと、シュヴァルツが両脇へと立つ。

シュヴァルツの機動力でガレキを飛び越せるのは理解が出来る。

しかしデュラハンはどうやって飛び越したのだろうか。

それは両手を見ればすぐに分かった。

「強襲伸縮槍」。ハンドガード部にブースターを備え付けた大槍(ランス)だ。

これで短時間の滞空をし、急降下したようだ。



「今丁度大通りの部隊に敵軍が集っているようだ、挟撃を行うぞ。少尉、残っている者達に右側からの合流を無線で頼む。」



前方を群雲・デュラハンが走りながら、シュヴァルツが後方で無線を繋ぎながら走る。

ただ、機兵の居ない道を走っていく。

地に装甲車や戦車は居るが、それ等は全て「踏み潰して」進む。



「・・・量産型の旧型機(オラトリオ)が出しゃばるならば・・・貫く!」



手に持った槍のブースターを展開し、点火したまま投げる。

槍は一直線に飛び、援軍に来た敵軍のオラトリオを5機ほど貫通させ、地へと突き刺さる。

当然、貫いたのはコックピットだ。



「不用意すぎるね!」



両腕を横に伸ばし、チェーンソーによる回転斬りを放つシュヴァルツ。

見事に頭部を跳ね飛ばした後、袈裟懸けにコックピットを切断する。

敵機の射撃を避けて蹴り倒し、チェーンソーの回転を思い切り倒れている機兵に押し付けながら、もう片手のチェーンソーで別の機体を切り刻む。



「ジャマをするな!」



両手に持った拳銃剣を振り回し、EEnの振動で銃弾を払い落としながら敵機へと迫る群雲。

至近距離で間接を使った右ストレート。

持った銃剣が相手の胴体を貫き、振動で段々と抉れて行く。

横に振り払うと同時に機兵の残骸を投げつけ、後ろに居る機兵を破壊する。



「これじゃあいつまで経っても本陣に辿り着けないんじゃ・・・」

「確かにキリが無いねー・・・楽しいんだけど!」



狂気に満ちた笑顔で近づく機兵を斬り倒すリアとシュヴァルツ。

味方でも近づけば斬られそうだ。



「・・・本来の役割が逆転している・・・大通りの部隊は何をしている・・・?」



疑問を持ち、中央の本隊へと繋ぐ。

ノイズが入る中、無線が繋がる。



「此方ヴェルニール、本隊、其方はどうなっている!?」

「此方・・・本隊・・・影・・・!影が・・・出た!」



その一言を残し、無線は切れる。

最後には爆発音も同時に聞こえた。



「なるほど・・・逃げている敵兵が此方に・・・」

「冷静に考えてる場合じゃないですよ!」

「退くとしよう。本陣へ退かねば・・・」

「逃がさないぜ?」

「・・・一等兵、何か言ったか?」

「いえ?」



ニールの無線に、何者かが強引に回線を繋ぐ。

周囲を見回すと、右側から攻めていた仲間が全滅している。

正面の敵兵は此方に目もくれず、右側を見ていた。

そこには、シュヴァルツによく似た機体。

だが、シュヴァルツではない、頭には巨大な一本の角、腕は大きく無いが、とても長い銃を手に持っている。

その銃は背に備え付けられたエネルギータンクとパイプで繋げられている。

脚部はとても鋭い刃が何枚も足首から出ていた。

腕部も同様、肘から手首に掛け、半月型の刃が3枚ずつ両腕に備えられている。



「どうやら、逃がしてはくれないようだな。」

「ケケケケ・・・逃がさないさ・・・「中将格」の首を取れるなんて滅多にねえからな」

「・・・状況を見てみるがいいさ、君は3人に勝てるか?」

「・・・アンタこそ、見てみろよ?」



その機兵の足元には、倒された仲間の機兵が二十数体、敵の機兵が十数体。

1VS約40で傷一つ無く、勝利した機兵。

そんな機兵が、巨大な銃を背部に仕舞い、地を蹴り、3人へと迫ってきた。

まず狙ったのはリアのシュヴァルツ、腕の刃を向けたタックル。

そのタックルをチェーンソーで弾き、往なすが壁を蹴り、ニールのデュラハンへと向かう。



「危ない!」

「・・・EEnか・・・!」



拳銃剣で刃に競り合うが、段々と押されていく。

少しずつ、拳銃剣の刃に、腕部の刃がめり込む。

まるで「振動を吸収し、使用している」様だ。



「随分と脆いんだな、その武器・・・ブッ壊れちまえ!」



もう片腕の刃を振り下ろそうとしたその時。

猛スピードで何かが突撃し、忠司の群雲と、謎の機兵が吹き飛ばされる。

壁には「急襲伸縮槍」が突き刺さっている。

それを握っているのは、デュラハン。



「言い忘れていたな、一等兵。この槍にもその銃剣と同じ機構を搭載している。」

「んな事より・・・俺ごとぶっ飛ばすのは如何なものかと・・・ッ!?」



立ち上がろうとした瞬間に迫る謎の機兵。

本来なら立ち上がって姿勢を制御せず、ブースターを起動させれば転倒するはずだ。

その機兵は「吹き飛ばされたにも関わらず」ブースターを起動し、足首の刃を頭上から振り下ろそうと迫る。



「せいっ!」

「退けよ劣化型ァ!」

「・・・うるさいなぁ、誰だか知らないけど・・・さっ!」

「何ッ!?」



シュヴァルツが空中でチェーンソーごと手刀を決め、地へと叩き落す。

しかし謎の機兵は空中で姿勢を直し、壁を蹴り、リアのシュヴァルツ目掛け、宙を駆ける。



「どういう反応速度なの・・・!?」

「知りたいか?知りたいか?教えねーけどな・・・っ!?」

「ゴチャゴチャ強引に無線繋いでうるさいんだよ、アンタ」



右腕を拳銃剣で貫き、撃つ。

撃たれた機兵はまるで「人間が怪我した腕を押さえるように」右腕を押さえていた。



「痛ェ・・・痛ェなァ・・・」

「一等兵、よくやっ・・・た・・・!?」

「仕返しだ、尤も無差別だけどなァ」



デュラハンの頭部が腕により刎ね飛ばされる。

しかし、その接近した機兵の頭部に槍を突き刺し、カウンターを取る



「君は首無し騎士(デュラハン)を知っているか?」

「まさか・・・ニールさん、その機体・・・」

「頭は偽物(ダミー)だ。」

「クソが・・・テメェ等・・・マジでブッ殺す!!!」



頭部右側を抑えながら、その機体は背中の長銃を崩れたビルの上から構える。

両腕、両足の刃が地に落ち、そこから煙が上がる。

射線に入っていたニールの機体はすぐに退避をしようとするが、脚部が全く動かない。



「ニールさん!?」

「そこから退かないとヤバいって!」

「・・・む・・・弱ったな。オーバーヒートのようだ。」

「逸れろ!!」



両手に持っていた拳銃剣を崩れたビルの上の機兵へと投げつけ、砲口をずらす。

これで群雲に武器は無い。



「チィッ!ズレたか!・・・問題は無ェんだけどな・・・溶けろよ。」



砲口から放たれる巨大な「光線(レーザー)」。

その光線が地に放たれたのを確認した3人、だがその後、群雲のカメラは赤く染まり、何も見えない。

モニターには薄らと、「Caution!! all unit over heat!!!ESCAPE!!」の文字が延々と流れ続ける。

どうやら直撃はしていないが、爆風か何か、それによって機兵の全ての機能がオーバーヒートし、停止した事だけは確認できる

だが仲間がどうなったかすら分からない。

確認をしようにも、無線機能も停止している為、声を掛ける事が出来ない。

あの「謎の機兵」はどうなったのか。

仲間は無事なのか。

気になる事は多いが、何も見えない。

ただ、聞こえる音。巨大なエンジン音だけが響いていた・・・


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