エロい夢見た。でけぇ塔あった。我が父キレた。
息抜き回
「おぉぉきぃてぇ!!やばいぃいい!」
「ときぃー!おきろぉぉ!!」
めちゃくちゃにうるさい声で目を覚ます。タカシとまっちゃんだ。
せっかくめちゃくちゃエロい夢見てたのに…。良い所だったのに…。許せねぇ…!
「なンッだよもうっ!」
目を開けると、僕以外の全員が集まっている。どうやら本当に非常事態らしい。
あわあわ焦っているみんなに何があったのか尋ねる。
「なに?何なの?何が起きたの?」
「はぁ!?マジで気付かなかったのか!?あんなに揺れたのに!」
「取り敢えず外見ろよ!ヤベェんだって!」
言われるままに窓から外を見る。外はまだ薄暗く、陽も登りきっていない。
そしてすぐに気が付いた。とんでもなく巨大なナニカがある事に。
「え"」
ソレとの距離は数十キロメートルある筈だ。なのにはっきりとその姿を捉えることができる。
正確な大きさは分からないが、少なくとも一度だけ生で見た東京スカイツリーより遥かに大きい。
あれは、塔なのだろうか?
見た目はピサの斜塔のような洋風?と言って良いのか。いや、ピサの斜塔よりも、チェスのルークに似ている。うん、ルークだ。一兆倍くらい大きくしたルークだ。
「……ど、どうする?」
「…どうするって言われても…」
「ま、まあ。まずは何か腹に入れよう!朝ごはん食べないと頭回らないよ」
こういう時本当に浩二さんが頼りになる。うちの親父なんて口開いてスマホで写真撮ってるもん。
あ、写真と言えば。後でみんなにエッッロいサキュバスとのツーショット見せてあげよっと!きっと喜ぶだろうなぁ…。ストレス解消は大事だもん。
「もうっパパ!いつまでもボーッとしてないでご飯の準備手伝って!」
「あ、おうおう。すまんすまん」
親父が咲季に怒られた。僕も怒られないうちに手伝おう。
……………
……………
朝ごはんはインスタントカレーだった。お腹いっぱいにはならなかったけど、贅沢は良くない。節約しなきゃいけないからね。
「で、今日はどうしようか。何か提案がある人」
浩二さんを中心に話を進めていく。全員付き合いが長いだけあって、特に遠慮する事もなく思いつく限り提案して、相談し合う。
そのためスムーズに進み、十分掛からずに話し合いが終わった。
話し合いをまとめると、まず第一に安全確保。次に食料確保。可能なら戦力増強にあの謎の塔について調べる。こんな感じ。
安全確保はまあ家の周りの探索、可能な限り魔物の駆除に、これはそこまで急いでいないけど避難場所の確保とか。話し合いで出たのはこれくらい。
食料確保が今日のメインかな?この前に僕一人で行ったスーパーから食べ物を盗…頂く。
この前の時に果物だけじゃなくてもっと持ってくれば良かったけどねー、流石に初日はまだそんな覚悟決まってなかったし。
戦力増強は、皆んなのレベル上げだね。筋トレと武器の鍛錬も大事だけど、まあレベル上げてれば強くはなれるからね。それなりに強くは。
最後に塔についてだけど、多分塔があるのは中央区。ここからは車で1時間、つまりこの状況じゃあ決死の覚悟で挑む旅だ。あまり現実的じゃないね。
「まあ一番大事なのは怪我をしない事と死なない事を絶対に忘れないように。特に朱鷺くん」
急に呼ばれてびっくりした。多分考え込んでたのが見つかったのか。
「えぇ僕っすか?この中で一番気をつけてる自信ありますよ?マジで」
マジで。
「そうかなぁ。昨日血だらけで帰ってきたしなぁ」
「そうだよー!お兄ちゃんもう次ないからね?」
「昨日トキリンかっこよかったなぁ!"ここは俺に任せて先に行け"だっけ?くぅぅ!かっけぇ!」
流れがまずい。ここはアンスリちゃんの力で乗り切るしかねぇ!
「話変わるんだけどね!昨日さぁ家の窓開けて寝たヤツいるよね?皆んなぐっすり寝てたけど魔物に襲われたんだからね!僕!」
全員話を止め、一瞬で静かになる。そして目を見開いて僕を見る。
「え?ま、マジで?嘘ついてない?」
「しょ、証拠は?」
僕はスマホを取り出し、皆んなに(まだ可愛かった時の)アンスリちゃんとのツーショット写真を見せる。
「ほら、コレ。サキュバスらしいよ」
再び静寂が訪れる。十秒、二十秒、三十秒と時間が流れていく。
体感一分ほどで静寂を破ったのは我が父だった。
「朱鷺」
いつになく我が父は真剣な顔だ。普段だらしない分、威圧感がある。
「はい」
「何でもっと早く言わなかったとか、もっと詳しく説明しろとか、言いたいことは沢山あるけどな」
「はい」
「何で、もっと!いろんな角度から!いろんなポージングで!!このエッチなお姉さんを撮らなかったンだよぉおお!!!」
お父さんに人生で初めてマジギレされたのは、エッチなお姉さんが原因でした。悲しい。
「このッバカ息子がぁああ!!この親不孝!ちんこついてんのか!!」
この後、我が父と共に説教された。僕はなんで言わなかったのかとか、起こさなかったのか言われたけど、ちゃんと説明したら許してもらった。
我が父はオカンにビンタと玉蹴り喰らってた。咲季は軽蔑の目だった。そのあと父親組に慰められてた。
「朱鷺…」
「トキリン…」
まっちゃんとタカシが小さい声で話しかけてきた。
「「もっかい見して」」
「全く、これだから思春期のガキは…」
そのあとみんな仲良くわいわい写真を眺めた。