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001

 枕が変わると眠れない。


 なんて言うけどそれ絶対ガセだと思う。

 目が覚めた瞬間、状況を把握していながらそう冷静に考えてしまう自分に腹が立つ。


 怒りにまかせて跳ね起きた。ベッドの上であることを忘れていたから予想以上に揺れたが、気にしない。それよりも時間がやばかった。


 だいたい、引っ越し翌日にいきなり登校、というのがおかしいのだ。

 無理だし。片づけすら終わってないし。

 心の中で愚痴りながら、やはり新調したパジャマを脱ぎ捨て、制服に袖を通した。慣れていないから、途中途中で引っかかる。


 ………イライラする。


 同じくいびきをかいて眠っていた妹をたたき起し、階下に降りた。


 朝ごはん?そんなの食べる時間なんてない…


 

 私の新しい町、新しい世界での新しい朝は、びっくりするほどあわただしく始まった。




 - - -




「群馬県から来ました、山本佳奈です。今まで田舎にいたもので、都会の空気に戸惑っていますが、仲良くしてくださると、ありがたいです」


 そして背後。


 黒板にはやたらとひょろひょろとした字で、私の名前が書かれている。

 最悪な状況―――つまり遅刻は回避できた。………が。

 なぜか、空気はびっくりするほど硬かった。これが都会の学校?ちょっとやかも……


「………」


 にこにこしながら、私は首をかしげた。

 あの……自己紹介終わったんですけど?

 体つきもやたらとひょろひょろとした担任を仰ぐと、「あ……」と言って、担任はおどおどと周りを見渡し、

「じゃ、じゃあ……山本さんはあ、あの一番後ろの……相川さんの隣へ…」

「あ………はい。」


 声もひょろひょろとしていた。


 とことこと歩いて、指示された通り、一番後ろの席へと向かった。

 相川さん、

 彼女か。


 ………………よし。




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