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プロローグ

 

 例えばの話だ。


 『ヒーロー』と聞いて、多分いわゆる普通の人たちがイメージするのはきっと、


 赤いマントを翻し、空を飛んで世界を救う、青いブルースーツの男。

 戦隊もので活躍する、変身前、やたらとイケメンなライダー。

 重力を無視して壁を這いまわる、蜘蛛男。

 

 あるいは、宇宙人?そんなヒーローもいたっけ。


 だけど、私が想像するのは、実は、そのどれでもない。


 私のヒーローは、髪に葉っぱをぶら下げて、泥だらけの顔で笑った、彼。

 私のピンチに、颯爽と現れ、いとも簡単に泣き顔の私を、笑顔に変えた、世界で一人だけの、私だけのヒーロー。



 これは、私の物語。


 山本佳奈という、一人の少女の、物語。

 物語にすらならない、思い出と、今の物語。


 泣いて、泣いて、笑った、私の初めての物語。


 

 あるいは、

 あまりにも小さい、もしも私たちが出逢ったとしても、出逢わなかったとしても、きっと何も変わらなかった、


 そんな、


 意味もない、小さな恋の物語。


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