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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第7章 群羊の空

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第7章 第4節 石塔の主(第1項)

(やかた)(もど)(どう)(ちゅう)(ちん)(みょう)(かっ)(こう)(にん)(げん)()た。



(あたま)から()(あし)まで(かっ)(ちゅう)をした(おとこ)が、

(ひがし)()かって(はし)っている。




その(はし)(そく)()()(じょう)(おそ)く、

()(ども)(たち)(かこ)んで(おとこ)(からか)っていた。



(せい)(えん)()びているところを()ると、

(まち)(へい)()ではないらしい。



(ほか)にも(みち)(ばた)(こう)()のような(たて)

()()ったまま(たお)れていたひとは、

(きょ)(だい)(かめ)真似(まね)でもなかった。



――なにかのお(まつ)り?



「がははっ!

 (たたか)ってもねえのに(たお)れちまってら。」



「エルテルの()()(だん)()めてきたらしい。」



「まぁた(せん)(そう)だってよぉ。」



「ゴミ()(とう)(もん)()じねえのか。」



「んなことされたら(しょう)(ばい)できなくなる。」



頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)をしたサンサに、

()らない(おとこ)(たち)(はな)()けて()(ろん)()わす。



フランジのわたしが(ちか)くに()つので、

サンサは(よる)(やかた)の、(まっ)(とう)なドレイプと

(かん)(ちが)いされている。



(うま)は、使(つか)わないんだね。」



(しゃべ)りながら(ふか)(いき)()く。



()(べん)した(かっ)(ちゅう)(どう)()

 ()(まん)してるのよ。


 (そう)()(ねむ)っていたのを

 ()()()したんでしょうね。」



(せん)(そう)というのに(きん)(ちょう)もなく、

(かい)(どう)(にぎ)やかで()(かい)(くる)しむ。



(おとこ)(たち)(せん)(そう)を、

 (りっ)(しん)(しゅっ)()(どう)()

 ()(らく)(かん)(ちが)いしているのよ。


 (せん)(そう)()るあなたからすれば、

 (おろ)かな(みん)(しゅう)()えるでしょうね。」



サンサのその(こと)()(みみ)にしても、

わたしは(しゅ)(こう)()(てい)もできない。



(あか)(つち)(おか)(のぼ)って(やかた)(みなみ)(がわ)

()(ぐち)辿(たど)()いた。



(きょ)()(ある)いて(つか)れたでしょう。」



脹脛(ふくらはぎ)(いた)い。」



わたしは(ある)いていただけなのに、

(あし)(いた)いし(うで)()がらない。



イオスは()(ちゅう)でわたしに()るのを(あきら)めて、

(つか)()ったわたしの(まえ)(ある)いた。



(ほん)ばかり()んでるからよ。


 部屋(へや)まであと(すこ)しだから(せい)(れい)なさい。

 ヤゴウはもう(やす)んでいいわよ。


 今日(きょう)はお(つか)(さま)


 ()(まえ)(かなら)()(みが)きなさいよ。」



「おう、お(つか)れ。」



(げん)()なヤゴウは()(えい)(とう)(もど)っていく。



「はぁ、もうダメ。」



(かい)(ほう)された()(ぐち)(とびら)()()かり、

(なか)(はい)って(うわ)()()ぐ。



()(なか)(にじ)(あせ)(うわ)()までも湿(しめ)らせる。



ノーラが(よう)()してくれた、

(しお)()いたポッポの()()()のおかげで、

(あせ)はすぐには()かない。



(つか)れて(ひざまず)くと、

()(ぐち)(なか)にはハーフガンと、

その(となり)()らない(おとこ)()た。



挿絵(By みてみん)



「ひっ…!」



わたしはすぐに(うわ)()(もど)した。



(ひさ)しぶりね。エリク。


 あなた、(かえ)ってなかったの?」



(どう)(ちゅう)()()(だん)()()れて、

 お(まえ)()(もど)そうとしてるんでな。


 こっちまで(あん)(ない)したんだよ。」



(そと)(にぎ)やかなのはあなたのせいね。」



「すまんな、二人(ふたり)とも。

 ワシに()()わせて。


 アルも(ひさ)しいな。」



アルがサンサの(うで)(なか)でミャオと()く。



――エルテル(りょう)(りょう)(しゅ)、エリク。

  サンサの(よう)(しん)



挿絵(By みてみん)



(くら)()(ぐち)()(なか)(まる)めて(なが)()()(すわ)り、

(つか)れた(よう)()(うす)(じろ)(かお)がわたしを()()げる。



(くろ)(かみ)(のぞ)(はく)(はつ)

(くち)(まわ)りに(りっ)()(ひげ)(たくわ)えていた。



(まち)でよく()かけるキャシュクに

()(つつ)んで(みん)(しゅう)()(そう)していても、

(かれ)には()()っていなかった。



マルフみたいに(なが)(しょく)(しょ)(おう)(ごん)(うで)()

(ゆび)()(てい)()(ごう)(しゃ)(そう)(しょく)すらも()い。



(ぬの)()はエルテル(さん)(じょう)(しつ)なもので、

(かれ)には(きょ)(しょく)(ひつ)(よう)もなかった。



(にく)()(うで)(ほね)(ふと)(ゆび)で、

(いぬ)(あたま)()した(なが)(つえ)(にぎ)っている。



(そう)(しょく)(つえ)()(にん)(げん)はこの(まち)(おお)くない。



(くろ)(いろ)(ほそ)()がわたしを()つめる。



「この()はわたしのフランジで。」



「…ナルシャの、ニクスです。」



「ニクス…ほぅ。

 (よる)()(がみ)だな?


 では、この()か。」



(かれ)はハーフガンを()てなにか(しめ)()わせる。



「なにに(たい)して(うなず)いてるのよ。


 エリクまで、

 わたしの(かく)()なんて

 (みょう)(かん)(ちが)いしないでよ。


 この()はただの()()よ。」



サンサは二人(ふたり)(あき)れて()(いき)()く。



(りょう)(しゅ)()()(だん)()れて(いえ)()とはね。


 ()(まえ)()(がみ)くらい(おく)りなさいよね。」



(いえ)()()うならお(まえ)(ほう)だろう。


 ワシの(ことわ)りもなく、

 (ぶん)(すい)(がい)(しょう)(かん)()()いて。


 10(ねん)()っても(かえ)って()はしない。」



()(ども)ではないのだからいいでしょう。


 こうして(もん)()()わずに、

 ()(えい)()()(したが)えさせてあげてるのよ。」



「お(まえ)(したが)ったわけじゃねえ。


 お(まえ)(たち)(やかた)()()されたばかりだぞ。」



ハーフガンが(くち)(はさ)んでも、

サンサは(みみ)(かたむ)けない。



(かれ)はわたしと(しい)()(ふだ)(あそ)びに()けて、

エルテル(りょう)(かえ)ることになっていた。



わたしが(かれ)()()したわけでもない。



()(がみ)(めい)(れい)したところで、

 エルテルに(かえ)りはしないだろう。」



「あなたが()()けてきた使()(しゃ)のおかげで、

 わたしも(いろ)(いろ)()(てい)(くる)ったのよ。


 それにしても(のう)(はん)()()るなんてね。


 タルヴォに(えい)(きょう)されて、

 (しょう)(かん)(がよ)いの(しゅ)()でもできたの?」



「とんでもない。


 そんなことをすれば

 ベリーに()(えん)されてしまう。」



()わらず(なか)()くて(あん)(しん)したわ。

 ふふっ。」



(くび)(よこ)()(かれ)をサンサは(わら)う。



「お(まえ)のせいで(あたま)()がらんよ。


 ()(とく)(おとうと)(ゆず)ると()げたら

 (しか)られたばかりだ。」



「その(ねん)(れい)になっても

 (しか)ってくれるひとが()るのは()いわね。」



()(しょう)して()()むエリクに、

(かの)(じょ)(へい)(ぜん)()(はな)つ。



「ぐむぅ。お(まえ)()(とお)りだったな。」



()ったでしょうよ。」



エリクの()(なか)(さす)るハーフガンが、

()()じて(ふか)(うなず)(どう)調(ちょう)する。



「なによ、二人(ふたり)(そろ)って。


 (れん)(らく)()しに()いに()て、

 わたしが(おどろ)くと(おも)ったの?」



「お(まえ)(むか)えに()たんだ。


 (よる)には()(えい)()(もど)らねばならん。


 (さわ)ぎが(おお)きくなっては

 (ひも)()(そう)(とく)(こま)るだろう。


 サンサよ。


 エルテルに(かえ)ってワシに()わり、

 (おとうと)(ささ)えてやって()しい。」



――これ()(じょう)()()きになるわね。



「サンサ、わたしは部屋(へや)(もど)るよ。」



(かの)(じょ)()げたのは(しっ)(ぱい)だった。



()ちなさい、ニクス。


 (よる)までなら(ちょう)()いいわね。


 わたしがエリクの(ため)に、

 (りょう)()(つく)ってあげるわ。」



「サンサの()(りょう)()だって?」



(かの)(じょ)(てい)(あん)にエリクの(ほう)(おどろ)く。



(せい)(れい)して()べて(もら)うわよ。」



(りょう)()ってのは

 (せい)(れい)して()べるもんじゃねえだろ。」




ハーフガンは()たり(まえ)のことを()っても、

(かの)(じょ)()にも()めない。



それからサンサはわたしを()た。



(りょう)()()()るまでのあいだ、

 ニクスはこちらのお(きゃく)さんを(あい)()して。


 いいわね。」



「え? ()って!」



(あと)(たの)むわね。


 わたしの(たい)(せつ)なお(きゃく)さんよ。

 (しつ)(れい)のないようにね。」



(ふく)(にじ)んだ(あせ)(つめ)たさに

わたしは()(ぶる)いした。




 ◆




(きた)()(ぐち)からお(きゃく)さんを()れて

(にわ)(はい)ると、(にん)(しょう)(かん)()(くせ)

ハンドベルを()らしてしまった。



(きゅう)(よう)()ということを(わす)れて、

フランジも(はしら)(かげ)(かく)れる。



()(ぐち)(ちか)くにはコンクリートの(うえ)で、

ストロー(ぼう)にクッションを(かか)え、

()(ころ)がって(くさ)()きする(じゅう)(ぎょう)(いん)のナディ。



()()しなかった(かね)()に、

転寝(うたたね)をしていた(かの)(じょ)(おどろ)き、

()(せい)(はな)つと(あわ)てて(あたま)()げた。



――ごめんね、ナディ…。



(きゅう)(よう)()(ほか)にお(きゃく)さんも()らず、

ハンドベルで()らせる(ひつ)(よう)もなかった。



()(ぐち)から(はい)り、

エリクを()(かげ)(にわ)へと(あん)(ない)する。



サンサは()(かげ)(にわ)()()(すわ)らずに

(しょく)(どう)(はい)ってしまう。



()(のこ)されたわたしは、

テーブルの(みなみ)(がわ)()()(かれ)(ため)()く。



エリクは(こし)()ろして(ふか)(いき)()き、

(かる)(せき)をしてからわたしを()つめてきた。



(かれ)(こう)(ほう)()()のハーフガンが(うで)()み、

(あし)(しょう)(そう)()かべてわたしを(にら)んでくる。



――まだわたしに(うら)みがあるのかしら…。



「…お(りょう)()ができるまで、

 (しい)()(ふだ)(あそ)びでもしましょうか。」



「いや、いい。

 ニクスだったか。


 (よる)(やかた)(よる)()(がみ)()だな。


 (おぼ)えやすい()(めい)だ。


 お(まえ)(すわ)りなさい。

 (つか)れているんだろう。」



(ちから)()(かす)れた(こえ)でも(しん)があり、

エルテル(りょう)(しゅ)()(げん)(はっ)()する。



(しゅ)(かく)(てん)(とう)なこの(あい)()を、

わたしの(せき)(にん)(たい)(おう)できるはずはない。



アルとイオスは(そろ)って、

(とう)西(ざい)(がわ)()()()()って

(せき)(せん)(きょ)された。



わたしはサンサの(だい)()として、

(きた)(がわ)()()(すわ)って()()うことになる。



「お(たが)()らない(もの)(どう)()だ。


 (きょう)(つう)()(だい)といえばサンサだろう。」



「サンサ…。

 あっここではサンサと()ぶように

 ()われてまして…。」



「エルテルでも(おな)じだ。


 (むかし)から(あい)()(かた)()(てい)()

 ()(おく)れしない(ごう)(たん)(おんな)だった。


 お(まえ)()(だん)(どお)りにするといい。


 ワシのこともエリクと()びなさい。」



()(まど)うわたしに、

エリクは(うで)()()(げん)()せて(きょう)(よう)する。



――(こと)()(たい)()(いっ)()していないわ。



(ぶん)(すい)(がい)まで(あし)()ばしたんだ。


 こんなに(かた)(くる)しくては

 ()(ごと)をさせられている()(ぶん)だ。


 ここは(きゃく)(たの)しませる(よる)(やかた)だろう?」



(かれ)から(ちゅう)(もん)をされたところで、

わたしは()めない(さけ)(てい)(きょう)したり、

できもしない(がっ)()(おど)りを

()(ろう)するつもりもない。



「…あの、お(こと)()ですが、

 わたしはまだ15(さい)のフランジですから、

 (のぞ)みとあれば(ほう)()れますよ。」



「ふははっ。(たし)かにっ。


 こんな(りっ)()(しょう)(かん)()つより(まえ)

 (ほう)(まち)(けい)(じょう)だったか。


 ()(した)(あい)()といっても

 ()()()()けてはいかんな。」



エリクの(よう)(ぼう)(きょ)(ぜつ)したものの、

(かれ)()(まん)()せずに(いっ)(しょう)()した。



(ほう)()()したわたしも、

この(まち)(ほう)(くわ)しくないのを

(かれ)()()かされていた。



「サンサは()(だん)なにをしている?」



「ここに(すわ)って、(せっ)(きゃく)

 ここではただ(かい)(だん)をして、

 お(きゃく)さんは(かえ)られます。


 (しょう)()…ドレイプの

 ()(ごと)はしていません。その…。」



(ほう)(こく)()けている。


 ワシの(よう)()という(かた)()きを()(よう)して、

 (だれ)にも()うことのできないドレイプを(うた)

 (きゃく)から(かね)(あつ)めているとな。


 (ほか)にはないか?」



(ほか)は…。

 ()(がみ)()いていたり、(ほん)()んだり…。


 ()(ぜん)(きゅう)(よう)()にフランジ、

 ここで(はたら)()()(たち)()けて

 (べん)(きょう)(かい)(ひら)いていました。」



(ほか)には?」エリクの(ひょう)(じょう)(けわ)しい。



「えぇ…。


 今日(きょう)(きゅう)(よう)()なので、

 (やかた)()(えん)している()()(いん)()き、

 ()(ぜん)(はたら)いていたひとの(けい)(えい)する(しょく)(どう)へ、

 (あい)(さつ)()きました。」



「それも()っている。

 (おとうと)のお()()りだろう。


 (ほか)にはないのか?」



(かれ)はテーブルに()()(いきお)いで、

わたしに(かお)(ちか)()けて(よう)(きゅう)(つづ)ける。



ガラクタ(そう)()()()(まつ)(しか)られて、

ロープで(しば)られて(あそ)んでいたことや、

(いぬ)(おび)える()(めい)()(はなし)(しょう)(りゃく)した。



サンサの(めい)()()(そん)せずに、

(はな)せる(ない)(よう)(おも)()かばない。



(かの)(じょ)(ちゅう)(ぼう)から()()されてくれたら

(せつ)(めい)(はぶ)ける。



――(やかた)(はん)(とし)(てい)()しかいないわたしより、

  エリクの(ほう)(かの)(じょ)(くわ)しいはずだわ。



「あの…、エリク(きょう)はなぜ、

 サンサを(よう)()(むか)()れたのですか?」



「サンサから()いてはいないか。

 ()(ぶん)(はなし)はせんからな。



わたしは(しゅ)(かく)(てん)(とう)(じょう)(きょう)()(よう)して、

エリクから(はなし)()(がわ)(まわ)った。



「ん? ()きたいか?」



「え…えぇ…、はい。」



(かれ)()()められて

(しつ)(れい)(はたら)くよりは()いと(おも)って、

(かる)()()ちで(くび)(たて)()ってしまう。



「ふぅん。そんなに()きたいか。」



エリクは(ひげ)()れ、

(あご)()()し、(こん)(じき)()(ほそ)める。



サンサはオーブに()たということ()(がい)

わたしはまだ(かの)(じょ)について()らなかった。



(かの)差女じょ(けい)(れき)は、(ほん)(しる)されてはいない。



「サンサがエルテルに()たのは、

 ワシが(りょう)(しゅ)になって()もない(ころ)だ。


 15(ねん)(むかし)になれば、

 まだ(はく)(はつ)(ひげ)もなかった。


 いや、あったな。


 あれは(たい)(へん)()()だった。」



エリクは(せき)(ばら)いを(ひと)つして、

サンサとの()()(かた)(はじ)めた。




 ▶

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