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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第7章 群羊の空

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第7章 第1節 黄金の蜜(第3項)

わたしが(ちゅう)(ぼう)からガラス(びん)を持ってくると、

ウントが(そう)()(かた)()けから(もど)ってきた。



「お、()わった、ぞ。」



(しゅう)()()けて(とが)らせていた(ぎん)(かみ)()

(あせ)()れて()(かげ)()く、

()かれたナショーの(かわ)のようだった。



サンサはウントを(はん)(がん)()た。



(かの)(じょ)はなにをするでもなく、

テーブルの(うえ)(すわ)るアルを

(なが)いあいだ(だま)って()つめていた。



(らい)(きゃく)()(てい)がなくても

(てん)(がい)()(かげ)(すわ)るサンサは、

()(すじ)()ばして(うつく)しい姿()(せい)(たも)っている。



(にん)(しょう)(かん)()()()のファウナは、

こんなサンサから()(ごと)(あた)えられず

退(たい)(くつ)()えられなかったという。



(つか)れてそうね。


 お(ひる)()ぎても(せん)(げん)(どお)り、

 一人(ひとり)でできたのね。」



()った、だろ…。」



(つよ)がっていても(いき)()らして、

(りょう)(うで)(つか)れきって(かた)()(きゅう)をしている。



()(ろう)()(あい)(ひと)()()かる。



「ほら。()みなさい。」



「おう。」



サンサから(ぎん)(さかづき)()()り、

(かれ)はそれを(ためら)いなく(いっ)()()()す。



「プァッ! (みず)かぁ?」



()(えい)であっても

 (やかた)ではお(さけ)(あた)えはしないわ。


 ()(しび)れて(うご)かないでしょ?

 (みず)()まないと()ぬわよ。


 ニクスがあなたの(ため)(つく)ったのよ。


 (かん)(しゃ)なさい。」



「んだよ。

 ハーフガンなんて

 ずっと(さけ)()んでたんだろ。」



わたしが(やかた)()(とき)のハーフガンは、

()()とは(おも)えない()(ろう)(しゃ)姿(すがた)をしていた。



「なにを(きそ)ってるのかしら。


 それであなたもメノーに()られて

 レナに(みず)()びせられたいの?


 あなた(たち)()てると(おも)ったら

 (きょう)(つう)(しゅ)()があったのね。」



()てねえだろっ!」



サンサはウントから(さかづき)()()り、

テーブルに()く。



それから(かの)(じょ)

()(がね)(いろ)(たま)(つぶ)(かれ)()(わた)した。



挿絵(By みてみん)



「これも()べていいわよ。」



「なんだこれ?」



(はち)(みつ)(あめ)よ。

 あなたは()べたことないでしょ?」



「かってぇ! (いし)だろっこれっ!」



(かれ)(あめ)()()もうとする。



()んだら()()けるわよ。

 (くち)(なか)()めて()かすものよ。


 (しょく)()をして(じゅう)(ぶん)身体(からだ)(やす)めなさい。」



(つか)れてねえし。」



()(みが)きなさいよっ。」



「うるせえ! (ばばあ)ぁっ!」



()(ごと)(なら)べるサンサに()(せい)()びせ、

(かれ)(げん)(かん)(ほう)()ってしまう。



わたしは(かれ)()(なか)に、

(しょ)()(ばん)のスタイラスの(さき)()けて

サンサに(たず)ねた。



「サンサって(おこ)らないよね。


 ウントに()(たい)してないから?」



(あい)()(ちょう)(はつ)(おう)じても、

 ()られるものがないからよ。


 (かん)(じょう)()(てい)はしないわよ。


 (えん)(げき)(かん)(じょう)()せないとできないものね。


 それでお(きゃく)さんの()けも()くなるわ。


 (かん)(じょう)(ろん)にも()かれてたわよね。


 (かん)(じょう)(はつ)()させることで、

 (じん)(せい)(ゆた)かになると(かんが)えるひともいる。


 けれど、その(かん)(じょう)

 ()(かえ)りを(もと)めるのは()(けん)だもの。」



――(かん)(じょう)()(かえ)り?



(こん)(きょ)があるの?」



「そんな(たい)(そう)なものないわよ。


 これはあくまで(けい)(けん)(そく)ね。


 (たい)()()()うだけの(ほう)(しゅう)()ければ、

 (げん)(いん)(さぐ)ってしまいかねない。


 ニクスは(たい)調(ちょう)(くず)した(とき)(げん)(いん)を、

 (いの)りを()いたせいにはしないでしょ?


 それと(おな)じように、

 (かん)(じょう)(ゆた)かなひとを真似(まね)しても

 (おな)じだけ()たされるはずはないのよ。」



わたしは(くび)(たて)()り、()(しん)なく(こう)(てい)する。



この(やかた)でスーやミュパみたいに、

(かん)(じょう)(ゆた)かに(たの)しく()ごすことは

わたしには(むずか)しい。



(かん)(じょう)(なが)されて、

 ()(せい)(しん)(うしな)うひとも()る。


 (まつ)りの(きょう)やお(さけ)(いきお)いで、

 (あら)ぶるひととかね。


 (にく)()()(おこ)ってみても、

 ()()()わらないものよね。


 (ふく)(しゅう)(しん)(いだ)いても、

 (ふく)(しゅう)(いか)りという(かん)(じょう)

 (ひつ)(よう)ではないわね。」



「それもサンサの(けい)(けん)(そく)?」



「ふふっ。

 ニクスにも(がい)(とう)することよ?」



サンサはテーブルに(ゆび)()てると、

(こえ)(ひく)くして(つづ)けた。



「…()(まえ)(ふく)(しゅう)したい(あい)()()たら、

 あなたならどうする?」



()(てい)(はなし)でなにかを()えば、

 サンサを(よろこ)ばせることになるでしょ。


 (ちょう)(はつ)(おう)じてはいけないって

 ()ってたばかりだよ。」



サンサは(かお)(そむ)けて(かた)(わら)う。



アルが(おお)きく(くち)()けて欠伸(あくび)をした。



「ふふふっ。

 あなたの(けい)(けん)(そく)ね。


 (しょ)()(ばん)()がずっと()まってるわよ。


 あなたの()(たい)(こた)えて、

 ()()れる(まえ)(しょ)(しつ)(よう)()

 ()てきましょうか。」



(ほん)があるんだよね?」



(しょ)(しつ)だもの(とう)(ぜん)よ。」



(かの)(じょ)(すわ)ったまま、

まだアルを()ている。



わたしは(かの)(じょ)()かすように、

(けい)(さん)()(ちゅう)(しょ)()(ばん)(おと)()てて()じた。



(ふと)(もも)(うえ)(ねむ)りかけていたイオスが(おどろ)く。



()()(いん)から()()(きょう)(よう)に、

 (いろ)(いろ)()っておいたのよ。


 ()(ぞく)(あい)()にしても

 ()じのない(しょう)()にする、

 ってルービィを(だま)してね。」



「…あの、サンサ。」



(かの)(じょ)はわたしの(つぎ)(こと)()()った。



「わたし、(しょう)()

 ドレイプにはなりたくない。」



それを()いても(かの)(じょ)(おこ)らない。



(かの)(じょ)はわたしに()(たい)していないので、

レナタのように()いて(しつ)(ぼう)もしない。



サンサは()(そう)した(とお)りに(こう)(かく)()げる。



「この(やかた)(だっ)(そう)した(とき)から、

 そんなことみんな()ってるわよ。


 ()(ゆう)があるんでしょ?」



――()(ゆう)



「…これは、()(ぶん)から()

 (けん)()でもないと(おも)う。


 メノーやボナ(たち)には(けい)()()っている。

 …ファウナにも()ってるよ。


 でもわたしはドレイプに(たい)して、

 レナタくらい(こう)(けつ)(あこが)れは()ってない。」



レナタみたいな(もく)(ひょう)もなければ、

(のぞ)んでフランジをになったわけでも、

ドレイプに()(そう)(いだ)いていない。



「それは()いわね。」



「ドレイプになりたくないんだよ?」



()(しょう)するサンサに(せっ)(とく)(つう)じず、

(かの)(じょ)はわたしを(やかた)から()()しもしない。



「ふふっ。

 (おな)じである(ひつ)(よう)はないわよ。


 あなたはメノーでもボナでも、

 レナでもないことを()(かい)したのよ。


 ()(ぶん)()(にん)()(かく)した(りっ)()()(べつ)ね。」



「…()(べつ)?」



「これは(たん)(じゅん)(がい)(ねん)(はなし)ね。


 (ぶっ)(しつ)(せい)(ぶつ)(ちが)い。または()(ぶん)()(にん)ね。


 (せい)(ぶつ)(せい)(ちょう)(はん)(しょく)(ため)(せっ)(けい)()()ち、

 これを()けるための(がく)(もん)があるわね。


 このくらいは()ってるわよね?」



(せっ)(けい)()は、()(がく)(しょ)()んだことがある。」



(せい)(ぶつ)身体(からだ)には、()()えないほど

(ちい)さな(せっ)(けい)()(そん)(ざい)するとされている。



(せっ)(けい)()(したが)身体(からだ)(つく)られて(さい)(ぼう)()やし、

(せい)(ちょう)して(ふる)くなったものは、

(あたら)しい(さい)(ぼう)()えて(しゅう)(ふく)する。



そして(はん)(しょく)()には、(せっ)(けい)()(いち)()

()(まご)()()()(のう)がある。



(だん)(じょ)()(かみ)()(いろ)(かお)(たい)(かく)


 (ぶん)(るい)としての()(べつ)、それ()(がい)にも、

 (けい)(よう)(くわ)えた()(あい)()(べつ)もあるわね。


 そのひとの(しゅつ)()(のう)(りょく)

 わたしのような(けっ)(そん)(がい)(とう)するわ。


 ()(そう)(かた)られる(ひょう)(じゅん)のない()(べつ)よね。


 これはどうかしら。


 アル、イオス、ここに(なら)んで。」



サンサがテーブルの(てん)(ばん)(ゆび)(さき)()()く。



それを(みみ)にした2(ひき)は、

サンサに()われた(とお)りに(うご)いて

テーブルの(うえ)(なら)んで(こし)()ろす。



「この(ふた)つは(ねこ)という(どう)(ぶつ)(けもの)


 ()(くろ)(ほう)がアル、(はく)(もう)はイオスという

 ()(べつ)()(まえ)()ってるわね。


 わたしが()れてきたのがアル、

 あなたが()れてきたのはイオス。」



わたしは(だま)って(あご)()く。



()(げん)(かぎ)られていて、

 このうちのどちらか(いっ)(ぽう)にだけ

 (しょく)()(あた)えられるとするなら、

 あなたはどちらを(えら)ぶ?」



(じょ)(れつ)(はなし)?」



サンサはアルの(あたま)()でてから、

(おな)()でイオスの()(なか)()でると

(こし)()げてさらに(さい)(そく)をしていた。



「ふふっ。

 この(とき)()(べつ)は、(ゆう)(ぐう)(こう)(じつ)になる。


 だから(たい)(りく)では()(べつ)(ほか)(こと)()()えて、

 (しん)(こう)(りゃく)(だつ)(せい)(とう)()してるわね。」



(かの)(じょ)はイオスの尻尾(しっぽ)()()(ゆび)(たた)くと、

アルがイオスを(うらや)んで()ている。



「ニクスは(しょう)()にならないという

 ()(ぶん)(ひと)つの(じょう)(けん)(もう)けたに()ぎないの。


 お(さけ)()まない、とかね。


 (さか)しらに()えば、

 ()(ねん)()んだりもするわね。


 (つぎ)(もく)(ひょう)()つけに()きましょうか。」



サンサは()(ほそ)めてから()()がった。




 ◆




(しょ)(しつ)(はい)っていたとは(おも)えない(りょう)

ガラクタが(たま)(いし)(にわ)(ひろ)がる。



(こう)(だい)なる(ざん)()だね。」



わたしの(おも)いつきの(こと)()に、

サンサが()めた()()(ごん)(こう)()をする。



「これでは(せん)(たく)(さまた)げになるわね。


 ()(じゅ)(えん)()(どう)させるように、

 (あと)()っておかないと。


 どうせ(はる)までは()べられない

 ()(じつ)ばかりなのだから。」



ランタンを(にぎ)ったサンサは()(いき)()く。



わたしが(とびら)()けると、

(かの)(じょ)(しょ)(しつ)(はい)っていく。



(まど)のない(しょ)(しつ)(ちゅう)(おう)にはテーブルと()()



(かべ)(ぎわ)には(ふと)(はしら)(あつ)(いた)(つく)られた(たな)が、

(てん)(じょう)にまで(だん)(きず)き、(へき)(めん)(かく)すほど

(なん)(さつ)もの(ほん)()かれていた。



(ほん)(とう)(しょ)(しつ)だったんだね。」



(たな)ごとに(ぶん)()(つく)って

 メノーは(せい)(ぶつ)(がく)()んでたわね。


 (かい)(ぼう)(がく)(ほん)なんて()(かい)もついてるのに、

 フランジは(こわ)がって(ちか)()かないのよ?」



「サンサが(こわ)がらせたからでしょ。」



「レナに()ませただけなのよ?」



(ぜっ)(たい)それが(げん)(いん)だよ。」



「で、こちら(がわ)()()(がく)(とう)(けい)()(がく)…、

 (へい)(がく)、それから(ほう)(りつ)はもう(ふる)いわね。


 ()(しょう)()(ろく)(うつ)しもあるわ。」



(かの)(じょ)はテーブルにランタンを()いて、

(たな)(ほん)(さぐ)って(なつ)かしむ。



「サンサ。(くち)(ぬの)はしないの?

 (やまい)(くち)からでしょ。」



わたしは(ほこり)()(しつ)(ない)(はい)らず、

(くち)(ぬの)()てて(たな)()かれていた(ほん)()た。



「あったわ。

 これが(げん)()(ほく)()(にゅう)(しょく)()(ろく)ね。」



「あれは?」



(もく)(てき)(ほん)(はっ)(くつ)して(よろこ)んでいるサンサに、

わたしは(たな)(うえ)(ほう)()かれた

(はこ)()つけて()(せん)()けた。



サンサは(たな)(あし)()けると、

()(がる)()んで(うす)(はこ)()った。



(かの)(じょ)(かた)()()()げられるくらい(かる)い。



「これね…。」



(かたむ)けると(なか)から(けい)(みょう)(おと)がする。



(がっ)()?」



「あぁ、(なつ)かしいわね。」



()にした()(たん)(なか)()()(かい)して、

サンサは(しょ)(しつ)から()てきて

(なが)()()にそれを()いた。



パイル()()(ぬの)()られた(はこ)(なか)には、

(こう)()(なん)(まい)(はい)っていた。



サンサは(こう)()()にして

(はこ)(なか)(なら)べていく。



(せい)(どう)(どう)(ぎん)(きん)



(おもて)(めん)にエンボスの()(こう)がされた

(おとこ)(しょう)(ぞう)(なら)ぶ。



「こんな(かん)じかしら。

 (きん)()は1(まい)()りないわね。」



「どうしたの? このお(かね)。」



「あなたが()まれる(まえ)まで

 (しま)使(つか)われてた(たい)(りく)(つう)()よ。」



(おお)きさの(こと)なる(せい)(どう)()(どう)()が8(まい)ずつ、

(ぎん)()は6(まい)で、(きん)()は11(まい)



(うえ)から(せい)(どう)(どう)()(ぎん)()(きん)()


 (みぎ)(がわ)ほど()()(たか)くなるわ。


 (せい)(どう)()(どう)()は8(とう)(ぶん)、6(とう)(ぶん)(ぎん)()


 (きん)()(ほん)(とう)は12(しゅ)(るい)で、

 ほとんどは(おも)さが()()(つな)がるわよ。」



()(かよ)った(かお)をしたエンボスの(しょう)(ぞう)()は、

(なら)べないと(たん)(たい)()()けがつかない。



(こう)()ってこんなに(かず)があるんだ。」



(たい)(りく)(つう)()(とう)()(しゃ)()わる(たび)に、

 (あたら)しい()()(こう)()(つく)られるのよ。


 (みん)(しゅう)(おう)()(だい)さを(けん)(でん)する(どう)()ね。」



(こう)()(ざい)(りょう)()っていても、

(ほん)()んだだけでは

(しゅ)(るい)(かず)までは()(あく)できない。



(おう)()まって()(ぶん)(かみ)やその()(しん)

 または(かみ)(だい)(べん)(しゃ)(しゅ)(ちょう)するの。


 でも(きん)()なんてものは、

 ()(ぞく)()(ぶん)(たち)だけで使(つか)うものだったのよ。


 ()(ほう)(みん)(しゅう)(きん)()(ひつ)(よう)ないから

 (りゅう)(つう)(りょう)(かぎ)られてたわ。


 カヴァや(ぶん)(すい)(がい)では、

 (むかし)から(たい)(りく)とは(べつ)のオル(どう)()っていう

 (だい)(よう)(つう)()(ひろ)まっていたものね。


 こんなに(しゅ)(るい)があっても

 使(つか)うひとが()かったのよね。」



「これ、(すう)()もないの?」



(かお)()(まえ)らしき()(ごう)があっても、

(すう)()(しめ)すものはどこにもない。



(おう)()()()めてしまうから、

 (すう)()()れない()まりになってるのよ。


 (あん)()(しょう)(ぞう)(おう)なんて(だれ)でも(いや)でしょ?


 メーニェ(とう)(かい)(せん)で、

 (はい)(ぼく)した(とう)()(おう)(しょう)(ぞう)になった(きん)()は、

 ()()()くなったとまで()(うた)われたわ。


 それに(たい)(りく)(しょう)(ぞう)って、

 どの(おう)(かお)()(そう)()されて()るのよね。」



(ゆた)かな(かみ)(うす)(くちびる)(あご)(ひげ)(たくわ)え、

(なが)(はな)(すじ)(ほそ)()をした(おとこ)(かお)では、

(なら)べても()()(めい)(かく)()()けがつかない。



「もう(ふる)くて使(つか)えない(こう)()だから、

 こんな(たな)(のこ)ってたんだ。」



「いまでも(ぎん)(こう)()っていけば、

 50(まん)ルースくらいにはなるわよ。」



()()はあるんだよね?」



(すう)()(おお)きく()こえても、

それがどれほどの()()があるのか、

(こう)()使(つか)った(けい)(けん)のない

わたしには()からない。



(きん)()使(つか)(おう)(ごん)そのものが、

 (たい)(りく)では()(しょう)()()のあるもの

 とされるわね。


 でも(たい)(りく)からの()(にゅう)(だよ)りで、

 (つう)()としては(かず)()りなかったのよ。


 (さま)(ざま)(よう)(いん)(かさ)なって、

 オーブで(あたら)しく(つく)ったの。


 おじい、(せん)(せん)(だい)(りょう)(しゅ)、グレイ(ろう)(いっ)(しょ)

 エルテルから(せい)(しき)(にん)()()けてね。


 フルリーンの(そう)()()って

 ()った(ほう)()かるかしら。」



(はこ)(なか)(なら)べた(きん)()の、

()けた()(ぶん)(ゆび)()てるサンサ。



「フルリーンの(ちち)が、

 いまのオーブの(りょう)(しゅ)なんだよね。」



「おじいの(まご)のメテオラね。


 それといま(ぶん)(すい)(がい)にある(ぎん)(こう)は、

 オーブ(りょう)(しゅ)(ぶん)()がやってるの。


 オーネック・マイダスという(おとこ)ね。


 (ぎん)(こう)()ければ(かわ)()(うご)かせず、

 (しま)(けい)(ざい)(せい)(りつ)しないのよ。」



(かわ)()…?」



()()れない(よう)()(くび)(ひね)る。



「お(かね)()(わた)しをする(しょう)(しょ)のことね。


 (かず)(かぎ)られる(きん)()を、

 エルテルから(ぶん)(すい)(がい)まで

 ()(そう)する(ひつ)(よう)はなくなるでしょ?


 (とう)(ぞく)()(そう)(しゃ)(おそ)っても

 (きん)()ではないから、(しょう)(しょ)

 かれらに()()()(かみ)になるの。」



「カヴァのオル(どう)()使(つか)わなかったんだ。」



わたしの(こと)()にサンサが(はな)(わら)う。



(しま)(れき)()(あさ)いのと、

 ()(ぞく)(けん)()(どく)(せん)する(ため)ね。


 いまでも(しま)(ゆい)(いつ)(みなと)(どう)(くつ)(こう)から

 (なん)(にん)もの()(れい)(はこ)ばれてくるわね。


 (しま)(にん)(げん)(しま)(そと)

 (たい)(りく)()けないのは()ってるでしょ。」



わたしが(うなず)いてみせると、

(かの)(じょ)(こう)(かく)()げてこんなことを()った。



(うみ)には(ふね)(おそ)

 (おそ)ろしい(りゅう)()るからよ。」



「スーが()ってた(みん)(かん)(でん)(しょう)(はなし)


 (たい)(りく)との(ほう)(りつ)()められてるんだよね。」



わたしがサンサの(たくら)(どお)りに

(こわ)がらないので、(かの)(じょ)(くちびる)(とが)らせる。



(しま)()(ゆう)貿(ぼう)(えき)(きん)()した、

 (かい)(きん)(ほう)というわね。


 (しま)()(とく)する(もん)(ばん)がいるのよ。」



「メーニェがその(もん)(ばん)?」



ゼズ(とう)(どう)(くつ)(こう)から西(にし)()()する(しま)



『なにもない(しま)』という()()で、

『ゼズ(とう)(ぼう)(けん)()』に()かれている(ふる)(くに)



「ラッガの(しゅう)()といえばあそこね。


 (ねずみ)()(じょ)して()(れい)(はこ)び、

 (しま)(さん)(ぶつ)()ることができる。


 (たい)(りく)では(かい)(ぞく)(とう)(よう)(へい)(こっ)()という

 ()(かた)もされるわね。


 (どう)(くつ)(こう)(とう)()(りょう)からは、いまでも

 メーニェを『(ほん)(ごく)』なんて()んでるわ。


 『なにもない』という(しま)()(まえ)

 かれらは()()()()かない()(ぞく)ね。


 (ふる)くから(うみ)()まれて(うみ)()ぬ、と

 (うた)には(うみ)(たみ)なんて()かれ(かた)もしてる。」



()()()()かない?


 (うみ)(うえ)()らしてるんだ。」



(はなし)()いても(そう)(ぞう)()えていて、

()(じつ)であっても()()(がた)い。



(りく)にも()がるわよ。

 ()(ちょう)してるだけで。


 (うみ)(うえ)では()(みず)()られないもの。


 (たい)(りく)(ちゅう)(おう)(はん)(とう)

 エンカーはかれらの()(こう)()。」



(ほっ)(ぽう)のソーンと(なん)(ぽう)のクレワに(はさ)まれた

(ちゅう)(おう)(かん)(しょう)()(たい)はラギリ(りょう)()ばれ、

(なん)()()()(うば)()いが(おこな)われていた。



(ちゅう)(おう)のラギリ(りょう)にある(はん)(とう)と、

その(まち)()(まえ)をエンカーと()ぶ。



『ゼズ(とう)(ぼう)(けん)()』の

(しゅっ)(ぱつ)()(てん)(とう)(じょう)する。



(たい)(りく)()(なか)でエンカー()(ほん)(おお)

 この(しま)()(にゅう)される()(ゆう)はそれね。


 (たい)(りく)(とう)()(しゃ)()わる(たび)

 お(かね)(しゅ)(るい)()()()わって、

 お(かね)(ため)にお(かね)()(はら)うなんて

 (あい)(はん)するわよね。」



(にゅう)(しょく)から300(ねん)()(じょう)(つづ)けてたのに、

 (みつ)(もの)()られなくなったメーニェは

 なにも()ってこないのかな?」



エルテル、メルセ、オーブの(とう)()(りょう)

(どう)(くつ)(こう)は、メーニェが()(あた)えた(りょう)()



「カヴァとネルタの(なが)(せん)(そう)と、

 (ひがし)(ひろ)まったエルテル風邪(かぜ)(けい)(かい)して、

 なにもしてこなかったのよね。


 (れき)()(しょ)にはまだ(しる)されていないわね。


 (たい)(りく)でも(えき)(びょう)(ひろ)まっていたし、

 ()(げん)(めぐ)って(なん)(ぼく)(せん)(そう)()きていた。


 (とう)(ない)(たい)(りく)(かん)()()(ゆる)くなったから、

 わたしも()(うん)(じょう)じることができたわ。


 今年(ことし)はメーニェもこちらの(よう)()

 ()にかけてはいるみたいね。」



サンサは(きん)()()にして()みを()かべる。



「ここの(きん)()、12(しゅ)(るい)って()ってたのに、

 1(まい)()りないのはどうして?


 ずっと(そう)()()いてたのに。」



(むかし)(やかた)()たへッペに(わた)したのよ。


 (はや)(かえ)って(もら)いたいでしょ。」



「ドレイプがお(かね)(はら)って(かえ)らせるなんて、

 (しゅ)(かく)(てん)(とう)だよ。」



(わた)(あい)()(ちょう)()いいでしょ。


 ユイガス(きん)()という

 この(なか)(つみ)(おも)(こう)()をね。」



(つみ)(おも)い?

 その(きん)()って(やかた)()るくらいの

 ()()があるの?」



フルリーンが()(しょ)(かん)()っていた

()()のある(きん)()



「そんな(はなし)もあったわね。


 (たい)(りく)から(はい)ってこなくなったから、

 (しゅう)(しゅう)()()(だん)()っかけたのよ。


 あの(きん)()が1(まい)あっても

 (ゆう)(りん)(すき)()える(てい)()()()で、

 (やかた)までとは()えないわね。」



「それを(わた)したんだ。」



(おう)(ごん)なんてものは

 (きょ)(えい)(そう)(しょく)(おも)(よう)()だもの。


 マルフの(かっ)(こう)()ての(とお)り。


 (きん)()()()(はか)(ため)

 (てん)(びん)(おもり)()ぎないわ。


 ()(きん)()つなら(きん)()よりも

 (きん)()(がね)(ほう)()いわね。


 これは()(ぞう)(ひん)だから

 (ほん)(もの)ほど()()()いわね。」



「えっ?」()()(ちが)いかと(おも)った。



(わる)()えば()()()(ぞう)ね。


 (はっ)(きん)(どう)(ごう)(きん)

 鍍金(めっき)をしているのよ。


 (おも)さを(ほん)(もの)(ちか)()ける(ため)にね。


 これは()ってるだけで(はん)(ざい)になるし、

 (つく)ればもちろん(じゅう)(ざい)よ。」



「そんな(あぶ)ないもの、

 どうして(しょ)(しつ)()いてあるの?」



「わたしがおじいと(いっ)(しょ)(つく)ったからよ。」



(じゅう)(ざい)(にん)だ…。」



()()(ちが)いではなかった。



(たい)(りく)(つく)られた(ふる)(きん)()よ?


 (おな)じものを(つく)るなんて(よう)()なのだから、

 (ほん)(もの)(どう)(とう)(きん)()(たい)(りょう)(つく)って

 (せい)(こう)(にせ)(もの)(しょう)(りょう)()ぜたのよ。」



(きん)()(はこ)にしまうと、

(かの)(じょ)(わら)ってわたしに()()けた。



()しければあげるわよ。」



「またわたしを(きょう)(はん)(しゃ)にしないでよっ。」



(はこ)(しょ)(しつ)(たな)(うえ)(もど)さなくてはいけない。



わたしは(たな)(あし)()けて()()がると、

身体(からだ)(たな)(せっ)(しょく)して(むね)(いた)めた。



この()(ぼう)(こう)()(けっ)()

(いた)がるわたしにサンサは(あき)れる。



(かの)(じょ)真似(まね)をするべきではなかった。




 ▶

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