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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第6章 暗晦の道(後)

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第6章 第4節 銀の鍵(第2項)

(まい)(しょう)(たい)(ふだ)(しょう)(ごう)()えると、

使()(よう)(にん)()(しゃ)(なか)から(しゅ)(じん)()れてくる。



(やかた)には(じゅう)(しゃ)()(えい)(にゅう)(かん)(きん)じられ、

()(しん)(よう)(たん)(けん)()()めない。



()()てるだけの(おく)(もの)()(がい)

この(やかた)(はい)ることは(ゆる)されない。



(おとこ)(たち)はドレイプに(おく)(ほう)(せき)(そう)(しょく)(ひん)

()(せつ)果物(くだもの)(りょう)()(かか)えていたり、

(ほの)かな(かお)りの(せっ)(けん)(はな)(たば)()ってくる。



(いち)()(やかた)()たお(きゃく)さんが、

(わす)(もの)()りに(やかた)(もど)(こう)()

()ける(ため)()(ゆう)があった。



わたしはお(きゃく)さんを()れて(げん)(かん)()け、

(かん)(ない)(はい)るとハンドベルを()らして

(じゅう)(ぎょう)(いん)やフランジに(ちゅう)()(うなが)す。



(きゃく)さんを(げん)(かん)(となり)にある

(まち)(あい)(しつ)(あん)(ない)して、(しょう)(たい)(ふだ)(とびら)()ければ、

わたしの()(ごと)()()りがつく。



(とびら)()めて(しょう)(たい)(ふだ)(かざ)ろうとすると

フランジが(あつ)まって(ちゅう)()し、

(ふだ)()けると()(ごん)(ゆび)(さき)()()う。



(ふだ)はセセラのお(きゃく)さんで、

(かの)(じょ)部屋(へや)手伝(てつだ)いをしているフランジ、

(ぎん)(ぱつ)のポワンが誇らしげに(こう)(かく)()げた。



挿絵(By みてみん)



フランジのポワンは(しょう)(たい)(ふだ)()()って

(きゃく)さんをドレイプの部屋(へや)まで(あん)(ない)する。



フランジが手伝(てつだ)いを()ませると、

(あと)はドレイプが(たい)(おう)し、(はだ)(かさ)()う。



ドレイプが()(ごと)をしているあいだ、

フランジは(そと)(ろう)()(りゅう)(こう)()(しゅう)

()みながら()わるのを()つ。



今日(きょう)()(かげ)でも(あつ)いこともあり、

()らした(くち)(ぬの)(ひざ)(うえ)()けている。



(かわ)(かさ)ねた(ちい)さな(おうぎ)で、

(かお)()ばした(あし)(さき)(あお)ぐ。



()(とう)(しお)()ぜて()かし、

()(じゅう)(かる)(ふう)()()けしただけの

(みず)(わた)すと、おいしそうに()む。



(たん)(じゅん)調(ちょう)(ごう)(みず)でも(あつ)さのせいか、

()()()()きずに()みやすい。



(みず)(つく)(かた)はサンサから(おそ)わり、

ヤゴウの(きょ)()()(ちゅう)(ぼう)(てん)(びん)(はか)り、

フランジにも(つく)ってあげた。



挿絵(By みてみん)



(ちゅう)(しょく)(どき)(まえ)にお(きゃく)さんが(かえ)(さい)は、

ドレイプかフランジか、もしくは

二人(ふたり)(きた)()(ぐち)まで()(おく)る。



(やかた)(そと)では使()(よう)(にん)(たち)

()(しゃ)(きた)(がわ)()(ぐち)()(どう)させている。



フランジがドレイプに()わって、

()(しゃ)(かく)(にん)(おこな)わなければいけない。



()(しゃ)()()(あい)は、

()(ぐち)(となり)にある(まち)(あい)(しつ)

(きゃく)さんを(あん)(ない)する(ひつ)(よう)がある。



挿絵(By みてみん)



()(ぐち)(がわ)(まち)(あい)(しつ)をお(きゃく)さんが()(とき)も、

フランジはハンドベルを()らす。



ハンドベルを()らして(ちゅう)()(うなが)すのは、

(きゃく)(どう)()()(よう)(せっ)(しょく)()ける

(あい)()にもなっていた。




 ◆ 




「ハーフガン。()なさい。」



(げん)(かん)使()(よう)(にん)(たい)(おう)をしているファウナが、

ずっと(ちか)くで(すわ)ってこちらを()ていた

ハーフガンを()びつけた。



「おう、なんだ?」



「なんだたぁなんだぁ、オメー?」



(あい)()のキャシュクには、

(きん)()(なが)(しょく)(しょ)(むな)(もと)(わた)らせている。



(よご)れたサンダルで(あし)(ひら)いて(うで)()み、

(ふく)(すそ)(ほつ)れて(せい)(けつ)さに()ける(おお)(おとこ)



なにかの(あぶら)()りつけた(かっ)(しょく)(かみ)と、

(むな)(もと)()(あし)()(ぶか)いままで()()えが(わる)い。



(ひげ)()(かた)(らん)(ざつ)で、

(くち)(まわ)りには(いた)(いた)しい()(きず)と、

(あか)(ぐろ)(きず)(あと)()せている。



挿絵(By みてみん)



(きず)だらけで(はな)()らし、

()(おぼ)えのある(かお)でも()(おく)(しょう)(ごう)ができない。



(はや)くサンサってやつのベッドに

 (あん)(ない)しろやい。」



ファウナは(けん)()(ごし)(おとこ)(まえ)にしても、

(もの)()じする(よう)()()せず(はな)(へん)()をする。



(おとこ)(こえ)()(おぼ)えがある。



――(たし)()()で…。



「ほい(しん)()り。


 これと(おな)(ふだ)(さが)してきて。」



()(おく)辿(たど)るより(さき)にファウナに()われて、

(しょう)(ごう)(しつ)から(おな)()(がら)(しょう)(たい)(ふだ)(さが)す。



――今日(きょう)はサンサに(らい)(きゃく)はないから、

  (たな)から(さが)すだけ()()よね。



サンサを()(めい)している(おとこ)



(しょう)(たい)(ふだ)()(がら)は、

(しろ)(くろ)(はね)()(ゆき)(がらす)

()かれた(ふだ)ではない。



――サンサの(ふだ)はこれで…、

  カミーリャと(ひつじ)って

  ボナの(ふだ)よね…?



この(ふだ)()()(てん)

ファウナも()()くものだった。



(にん)(しょう)(かん)()をするボナの(たな)は、

(しょう)(ごう)(しつ)(おく)にあるサンサの(たな)(した)

(よう)()されている。



(おな)()(がら)

(ふち)の2(しん)(ほう)(おな)じものがあった。



(ほか)(ふだ)(ちが)って

()(やく)()(しめ)

(しん)(ほう)(あたい)(ひく)く、

これは今日(きょう)(もの)ではない。



ボナの(たな)からかず(すく)ない(おな)(ふだ)()つけ、

()(しん)()いままファウナに(わた)した。



「ファウナ…。

 これ、(ちが)うと(おも)う。」



(ふだ)ではなく、わたしを()てファウナは(うなず)く。



「いつまで()たせんだっ! おい!


 (はや)(なか)()れろやい。」



「ハーフガン。(かれ)を『(べっ)(しつ)』に(あん)(ない)して。」



「はいよ。」



「なんだ! オメー!


 (どぶ)()(いぬ)(おれ)(さわ)んじゃねえ!」



(きず)だらけの(おとこ)()(えい)(たち)(かこ)われると、

なにか(きたな)(こと)()(はな)って(あば)れ、

(はし)ってミュームの()のあいだへ()()した。



「これ、(にせ)(もの)だったの?」



「なんでだと(おも)う?」



(しつ)(もん)(しつ)(もん)(かえ)された。



わたしは(ふた)つの(ふだ)()(くら)べても、

(ちが)いが()からない。



(ざい)(しつ)?」



()った()(よう)をどんなに(せい)(こう)真似(まね)ても、

()(ぜん)()()(もく)()真似(まね)できない。



しかし2(まい)(ふだ)(なら)べても、

()(ざい)となっている()(しゅ)(るい)(おな)じで、

(なら)べた(もく)()(つな)がっていた。



「あれ…これ、(ほん)(もの)なの?

 …もしかして(とう)(ひん)?」



「なんだ。もう()()いたのか。


 (きゃく)のソフィが(しょう)(たい)(ふだ)(ふん)(しつ)したって

 ボナに()(がみ)()てたのさ。


 (かの)(じょ)使()(よう)(にん)(よこ)(なが)しした(ふだ)が、

 (こん)(かい)のその(ふだ)なんだと(おも)うぞ。」



「だからファウナは()ってて

 わたしに(さが)させたのね。」



(かの)(じょ)(くち)()(ゆる)んでいる。



「ソフィと()うなんて、

 ボナの今日(きょう)()(てい)にないからな。


 なによりボナは(けもの)()いてないし。」



「サンサの()(てい)にもないわ。」



「でも、(もく)()()()(てん)()かったぞ。


 (にせ)(もの)()ってくるひともいるって

 (わたし)(つた)えたことを、ちゃんと

 ()(かい)してたからできた(しょう)()だな。


 (しん)()りは(にん)(しょう)(かん)()()()

 さらに()()として()()みがあるぞ。」



(とく)()()になるファウナ。



「ついでに()うと、

 (たと)(ほん)(もの)()ってきたって

 ()()けなくていいぞ。


 (しょく)(しょ)があっても(たい)()(わる)いやつは

 (やかた)(ひん)(かく)()げるだけだからな。」



――お(きゃく)さんの(ひん)(せい)は、(やかた)(ひん)(かく)(つな)がる。



(かの)(じょ)(くろ)()(ほそ)めて(こえ)()さずに(わら)う。



()るものは(えら)ぶってことね。」



(とう)(ひん)(ふだ)()ってきた(おとこ)

()いかけるグルグス(たち)()ながら、

ファウナは(うなず)いてイオスを()(まわ)している。



()(ごと)(もど)らないと

 また()かされるわよ。」



「フランジに()われるくらいならいいけど

 ミュパに()られると(めん)(どう)なんだよなぁ。


 あのひともお(しゃべ)りなんだよ。」



ミュパはサンサから『(いまし)め』という

()(めい)()(ふた)()(あた)えられていた。



ファウナは(くち)(かる)いけれど、

()(しき)沿()った(かんが)(かた)はスーに(ちか)い。



――スーに()てる

  なんて()めても(いや)がるわね。



わたしは(かの)(じょ)()(なか)()て、

なにも()わずに(しゅ)(こう)した。




 ◆




(しょう)(たい)(ふだ)(しょう)(ごう)()えれば()(がみ)(ぶん)(べつ)(おこな)い、

(ちゅう)(しょく)(きゅう)(けい)(あと)(ふたた)(しょう)(ごう)(おこな)う。



退(たい)(かん)したお(きゃく)さんの使()(よう)(にん)がまた(れつ)(つく)り、

ドレイプ(あて)()(がみ)をわたし(たち)(あず)けた。



()(かさ)ねられた()(がみ)は、

()められた(おび)(ひも)やリボンに(しば)られ、

(あざ)やかな(いろ)(ふう)(ろう)がされる。



(ふう)(ろう)には()(めい)(かしら)()()()(がい)にも、

(どう)(ぶつ)(はな)などの()(しょう)(ほどこ)された

エンボスが()んでいる。



こうした(ふう)(ろう)()(たび)

わたしは()(うば)われた。



()(ごと)(ちゅう)()()った()(がみ)(しょう)(ごう)(しつ)()き、

()()けは()(じつ)(おこな)う。



すぐに(へん)()をしてしまうと

(あい)()からは()(ゆう)のない(しょう)()()られて、

(ひん)(せい)(うたが)われるとファウナが()う。



イオスも(いっ)(しょ)になって()(どう)し、

(しつ)(ない)(はし)(まわ)ってはビャオと()(さけ)び、

わたしの()(なか)から(たな)()()る。



(つめ)()すので()()(きず)()えない。



(ひる)(しょう)(ごう)()える(ころ)

(おお)(おとこ)のグルグスが(ぎん)(ぱつ)(しょう)(ねん)()れて

(やかた)()(ぐち)にやってきた。



挿絵(By みてみん)



「おつかれ。」と、グルグス。



「よう。(ひも)()(おんな)。」(しょう)(ねん)()(とう)する。



「…(だれ)?」



(しつ)(れい)(しょう)(ねん)()()して、

わたしはファウナに(みみ)()ちした。



()(えい)()(なら)いのウントは、

 まともに(あい)()しないこと。」



(こん)()はファウナがわたしに(みみ)()ちする。



(しょう)(ねん)()(まえ)はウントと(しょう)(かい)されたけれど、

(かの)(じょ)()(めい)までは()わなかった。



挿絵(By みてみん)



「お(つか)れ、グルグス。

 あの(おとこ)(つか)まえた?」



グルグスは(だま)って()()らす。



(とう)(ひん)(しょう)(たい)(ふだ)()ってきた(おとこ)には

()げられてしまったらしい。



「ユヴィルの(よう)(へい)なんじゃねえかな?

 ってみんな()ってたぜ。」



ウントが(つば)()いて()った。



――ユヴィルの。



(おとこ)()(だい)()てくるまで、

わたしは(おも)()せずにいた。



「あぁ。フルリーンに(なぐ)られてたひとね。」



あの(おとこ)はユヴィルの(よう)(へい)だった。



(おとこ)(かお)(おお)っていた(とく)(ちょう)(てき)(ひげ)()く、

(きず)だらけの(かお)(わる)()()ちしていたせいで、

ユヴィルの()(まえ)()がらなければ

(ふた)つの(かお)(いっ)()しなかった。



「お(まえ)(きゃく)かよ。」と、ウント。



わたしは(くち)()ざして()()らした。



「ちょっとウント!


 (しも)(じも)(もの)(ぶん)(ざい)

 お(ひめ)(さま)()(やす)(はな)()けないで!」



「お(ひめ)(さま)ではないわよ…。」



ファウナはウントを(しか)りつつ、

(しん)()りのわたしを(からか)う。



「そっちの(あか)()、お(まえ)(なん)(さい)だよ。」



「15(さい)よ。あなたは?」



「やっぱガキだな。」



――ファウナの()(とお)りね。



(かれ)()(ぶん)()(まえ)すらも()()らない。



「…あなたは(しん)(ちょう)もわたしと

 (たい)して()わらないのに?」



()(ぶん)から(たず)ねておいて

(たず)ねられたら(こた)えもしない(あい)()に、

わたしは(けい)()()ちようがなかった。



(いた)っ!」



ウントが(ちゅう)()(はじ)いてわたしの(ひたい)(たた)いた。



(ひも)()しが(くち)(ごた)えするんじゃねえ。」



()()(じん)(たた)かれて、(いた)さに()()れる。



(あし)(もと)のイオスが

(みみ)()せてウントに()(かく)した。



「おい! やめろー! グーグスー!」



わたしを(たた)いたウントは、

グルグスに(えり)(くび)(つか)まれて

(かる)(がる)()()げられた。



(すそ)(みじか)いキャシュクのせいで、

(あか)(うす)(よご)れた(はだ)()姿(すがた)()(しゅつ)する。



挿絵(By みてみん)



ウントも(たい)(りく)()()(らい)のグルグスを

(ただ)しく(はつ)(おん)できない。



(だい)(じょう)()か? (しん)()り。

 (あたま)(かい)()してないか?」



()ってて()ってるわね。」



ファウナが()ってから(わら)ったので、

わたしは()(いき)()く。



(かの)(じょ)(りょう)()(くび)()わせて、

(つぼみ)(はな)(ひら)(よう)()真似(まね)した。



(たい)()(さん)(どう)(とお)(とき)()(がい)(こつ)

(すぼ)めるように(かたち)()えるので、

(ほね)には()()があって(あな)()いている。



(せい)()()もなく()(がい)(こつ)(あな)()じる。



(せい)(ちょう)した()(がい)(こつ)であれば

()()にでも()わない(かぎ)り、

ウントの(ゆび)(たた)かれた(てい)()では

わたしの()(がい)(こつ)()れはしない。



「ファウナ、これを

 『(こな)()きを(わら)う』って()うのね。」



(いた)(ひたい)(さす)りながら()うと

ファウナは()()()がった。



()(しょ)(かん)(たい)(おう)した()(しょ)(かん)には

()()()(くだ)されて(あい)()にされず、

ウントには(おんな)というだけで(たた)かれた。



(こな)()きを、(わら)う?」



わたしは()(いし)(うす)()きの

(ろう)(どう)(しゃ)(うご)きを真似(まね)てみせる。



パンの(げん)(りょう)になるブレズの()(じつ)

(ちょ)(ぞう)(しつ)には()く、(こな)()()れているので

(やかた)(いし)(うす)(こな)()きを()ることも()い。



挿絵(By みてみん)



(こな)()きの(ろう)(どう)()(しき)()(じゅつ)(ひつ)(よう)なく、

(すす)()めの()(ども)(どう)(よう)(かい)(きゅう)(ひく)(もの)(おこな)う。



「その(てい)(けい)(ひょう)(げん)よ。


 (だれ)にでも()(ども)()()があるし

 (だれ)だっていつかは(とし)()いるから、

 (ねん)(ちょう)(しゃ)(おさ)(あい)()(わら)うのは

 おかしいでしょ?


 ()たり(まえ)なものを(ちょう)(しょう)する(こう)()よ。」



()(ども)(おお)(やかた)では、

()(ども)という()(ゆう)()(くだ)すひとは()ない。



(さい)(ねん)(しょう)のレナタなどは、

ドレイプからも(した)しまれて(うやま)われている。



ネルタで(とう)()んでいた(ころ)のわたしは、

()()(たち)から(さん)(ざん)(あつか)いを()けた。



(うわさ)(さえず)られても

(ただ)しい()()()(かい)できなかった。



「それ、『(いし)(うす)(まわ)す』だろ?」



わたしが(せつ)(めい)()えると、

ファウナは(すこ)(かんが)えて(てい)(せい)してきた。



(いし)(うす)って(たん)()(なか)には

 (れき)()(おこな)い、(あやま)ちが()(かえ)される

 って()()があるからそれだな。」



()(らい)(ちが)うのかしら?」



(いし)(うす)()きの(どう)()(えん)(うん)(どう)()(かえ)す。



その()(ぎょう)()()てた(こと)()(あそ)びから、

(はっ)(せい)した(ことわざ)なのかもしれない。



()(らい)はどうか()らないが、

 ()(くん)()(ほか)にもあるぞ。


 ニクスはそれも()んだことないのか。


 (いし)(うす)()きは(たし)かに(たん)調(ちょう)(ろう)(どう)だが

 ある(おとこ)(てつ)(せい)(こな)()()(つく)って、

 それを()って(かね)()ちになったんだよ。


 (おとこ)(いし)(うす)(ふる)(どう)()だって(ちょう)(しょう)した。


 そいつは(ひど)(ろう)()()で、

 (かね)(づか)いが(あら)くて()(さん)するのさ。


 ()(ろう)(しゃ)()(やつ)した(おとこ)

 (もと)(どお)(いし)(うす)()きになって()(みち)(はたら)く…、

 これに(るい)()した(はなし)()(おぼ)えはないか?」



(しん)()()てくる(くん)()

 ヴィカロスの(はなし)にも()こえるわ。」



「あぁ…なるほどな。」



()(ぜん)()(かげ)(にわ)でハーフガンと

(しい)()(ふだ)(あそ)びをさせられていた(とき)に、

サンサとスーがした(なが)(ぼし)(ゆめ)(しん)()



(しん)()ってなんだよ、それ?


 オレを(しん)()(かみ)だと()いたいわけか。」



(きょう)()(しめ)したウントは、

グルグスに()られたままでも

(うで)()んで(あご)()()す。



――この(じょう)(きょう)でこの()(ゆう)

  どこから()くのかしら。



(ゆう)(かん)()(ぼう)(ちが)いを(かれ)()(かい)していない。



「ヴィカロスは(にん)(げん)(おとこ)だよ。


 (しん)()りは(せつ)(めい)してやったら?

 フランジに(べん)(きょう)(おし)えてるんだし。」



「えぇ…。」



メノーの(べん)(きょう)(かい)

わたしが(おし)えているわけではないし、

()(えい)には(べん)(きょう)(かい)(ひら)かれていない。



()(だい)にヴィカロスっていう()(まえ)(おとこ)が、

 (はつ)(めい)()(ちち)(とう)()()められた(とき)に、

 (とり)()()(あつ)めて、それを(ろう)(そく)

 (かた)めて(つばさ)(つく)ったのよ。」



「そんなんで()べんだ?」



わたしは(くび)(よこ)()ってしまい、

(けつ)(まつ)()()してもウントは()()いていない。



「ヴィカロスはその(つばさ)で、

 (とう)から(そら)()んで(ほし)(つか)もうとした。


 けれど(たい)(よう)(ねつ)(つばさ)(ろう)(そく)()けて、

 (うみ)()ちて()んだっていう(けつ)(まつ)

 ()(だい)にある(しん)()よ。」



()(そう)(おう)(ちから)()()れた(おとこ)(まつ)()は、

(くん)()(ひと)つとして(かた)()がれている。



サンサは(ほし)(つか)むという(よく)(ぼう)を、

(なが)(ぼし)(ゆめ)だとスーに(かた)っていた。



(かく)()()めてんな、そいつ。

 ()(まえ)()かんねえけど。」



ヴィカロスの(はなし)はウントのように

(かく)()()(ぼう)()(いだ)すひとも(おお)いので、

いまも(しん)()(ほん)(しる)されている。



ネルタの(とう)退(たい)(くつ)をしていた

(おさな)(ころ)のわたしは、この(はなし)(きょう)()()いて

(ほん)()んで調(しら)べたことがある。



(にん)(げん)(そら)()ぶには、

 ()(ぶん)身体(からだ)(ばい)はある(つばさ)

 (かた)()()れるようじゃないと、

 (よう)(りょく)()られないんだよな。」



ファウナが()う。



(くう)()()ける(ため)

 (きょ)(だい)(つばさ)(ひつ)(よう)なのよね。


 (たい)(きゅう)(せい)()(だい)もあるわ。


 それに(たか)()べても(ろう)(そく)()けなくて、

 ()(めん)から(はな)れた(じょう)(くう)(さむ)くなるわ。」



(おと)(なん)(ばい)(はや)()べないと

 (たい)(よう)には(ちか)()けないし、

 (じゅう)(りょく)()かれて()(めん)()ちるもんな。」



ファウナの()(しき)(りょう)

わたしも(うれ)しくなって(くび)(たて)()った。



「ぁ? んなもん、

 (はや)()べばいいだけだろ?


 (おれ)なんて(はし)るの(はや)いぜ。」



ウントの()(けん)

ファウナがこちらを()(こう)(かく)()げるので、

わたしは(かれ)にこんな(よう)(ぼう)()す。



「わたしの(こえ)がウントに(とど)くよりも

 (はや)()べなければいけないのよ。」



「ほら、もう(おそ)い。


 ウントは()んだぞ。」



ファウナはすぐに(かれ)(はつ)(げん)(きょ)(ぜつ)した。



「なんだよ! ()(きょう)だぞ!」



ウントは()るされたまま(あば)れる。



(おと)(つた)わる(そく)()(やく)33(ばい)にもなる(はや)さで

()べなければ(たい)(よう)には(ちか)()けず、

この(ほし)(じゅう)(りょく)()()られてしまう。



(こう)(そく)()(めん)()ちる(さい)には

身体(からだ)(くう)()()(つぶ)し、

(くう)()(どう)()(しょう)(とつ)(ねつ)(はっ)(せい)する。



(つばさ)(ろう)(そく)()()してしまい、

(にく)(たい)(ねつ)()えられない。



(ほう)(そく)(てい)()(ほん)(どっ)(かい)して

(もの)(がたり)()(ろん)()()めると、

(じつ)(げん)()()(のう)(すう)()()()けられる。



(たい)(よう)(しん)(せん)(しゃ)()かれるんだよな。


 しかしヴィカロスなんて(しん)()

 よく()ってたな。」



(しん)()(とう)(じょう)する(かみ)とは()(はい)(しゃ)()()で、

ヴィカロスは(とう)から(だっ)(そう)した(つみ)により

(しょ)(けい)されたとする()()(ふく)まれていた。



(しん)()(べつ)(かん)(てん)から()()き、

(べん)(きょう)(たの)しさに()()いたわたしに

()()(たち)(だれ)()(かい)(しめ)してはくれなかった。



(しん)()なんだから、(ゆう)(めい)(はなし)のはずよね。


 (ぶつ)()だけでは(かんが)えつかない(はなし)(おお)いから

 (しん)()って()きよ。」



(しん)()(ふる)くてお(かた)(ない)(よう)だけど

 (いん)()(おお)めでお(かた)(ほん)()(そう)しやすいし、

 (わい)(ほん)としても(たの)しめるもんな。」



()らないよ。」



ファウナは(きょう)(かん)(もと)めながら

わたしの(はん)(のう)()(からか)う。



(しん)()には()(わい)(ない)(よう)(もの)(がたり)(おお)いのも

(じゅ)(きゅう)(よう)(いん)とも(かんが)えられる。



(かみ)のオレが(とり)になる(はなし)じゃねえのかよ。」



(かみ)(しろ)(うつく)しい(とり)()けて、

()(こく)(おう)(ごう)(はずかし)めた(はなし)

ウントも()っていた。



(はなし)()れてたわね。」



「なんの(はなし)だったか。」



(いし)(うす)(まわ)したってこういうこと?」



ファウナが(わら)った。



(ちが)(ちが)う。


 (しま)(かい)(たく)()(だい)

 ()()えられた(しん)()(おお)いよな。


 ヴィカロスや(いし)(うす)()きの(ほか)にも

 ()たような(はなし)はあるぞ。


 ()(はこ)びの(うま)()いが(そだ)てた(うま)

 (けい)()()して(おお)(もう)けして()(さん)したり。


 (りょう)()がゼラチンで(おお)(もう)けして()(さん)したり。


 (しょう)(にん)(あつ)めた()(きん)(あら)おうとして

 (かわ)()として()(さん)したり。」



「みんな()(さん)してる…。


 それなのに(いし)(うす)なの?」



()(だい)からある(どう)()(かい)()する、

 って()(ゆう)だろうな。


 (よう)(えん)(だい)より(むかし)の。」



「あ、それで

 (てつ)(せい)(こな)()()()てくるのね。」



ファウナが()みを()かべながら、

わたしの(まえ)(がみ)()けて(ひたい)()でてきた。



()れてないわよ。」



()(えい)()(ごと)はなんかないのかよ。


 (もう)かるやつ。」



グルグスに()られていても、

(はなし)(たの)しんで(はん)(せい)(いろ)()せないウント。



グルグスも(きょう)()(しめ)して(ひく)(こえ)(うな)る。



()いね。

 (ぜん)()()(めつ)する(はなし)だって()いてたか?


 お(ひめ)(さま)(そだ)った()()

 (ぶん)()(ちが)うから(きょう)(よう)(かたよ)ってるんだろ。


 (ほか)になにかないか?

 ()(みょう)()(まわ)し。」



「そんなこと()われても…。」



「すぐには(おも)()かばないか。

 ウント、なにか(おろ)かなこと()ってみて。


 (とく)()だろ?」



(ひも)()しの(くせ)

 ()(くだ)すんじゃねえっ!


 ネルタの(あか)()(おぼ)えとけよっ!」



「おいっ!」「(いた)っ。」



(かれ)はサンダルを()()ばして

ファウナとわたしに()てる。



(しょう)()()(ごと)をしないわたし(たち)

(かれ)は『(ひも)()し』と()(かえ)す。



()(えい)()(なら)いの(しつ)(れい)(げん)(どう)

わたしは()()()った。



「ウント。


 あなたが()(えい)なら()(えい)()(なら)いでも、

 (あい)()がフランジで(にん)(しょう)(かん)()であっても

 (かの)(じょ)()(まえ)()ぶべきよ。」



()()な。」



()(えい)する(たい)(しょう)になる(あい)()でしょ?」



「ナルシャの(あか)()がうるせえな!


 オレに(あたま)()げるんなら

 (おんな)にしてやってもいいぜ。」



()(ひん)なやつ。」ファウナも(いきどお)る。



ウントは(ひん)のない(はつ)(げん)をして

()(むすめ)のような(はん)(のう)(もと)めていたので、

わたしも(かれ)(あい)()にするのは(あきら)めた。



「ナルシャの(おんな)なんて

 そこらの(しょう)()(おな)じだろ。」



――(おとこ)(ひる)(おんな)(よる)。というわけね。



(かれ)(おとこ)なので、(おんな)より(しゃ)(かい)(てき)()()(たか)い。



(しゅつ)()()かせないわたしは(かれ)()(とお)り、

()()ることも()(かえ)すこともできない。



ファウナの(ちゅう)(こく)(どお)りにしか()()ず、

ただ(だま)って(した)(くちびる)()むだけだった。



「ウントはまだ()らないんだよな。」



ファウナは()(ふだ)()かす(まえ)に、

その(たくら)みを(かく)しきれない(ひょう)(じょう)()せる。



「お(ひめ)(さま)(しん)()りのフランジで、

 いまはナルシャのニクスっていうんだ。


 サンサの部屋(へや)のフランジだぞ。」



いまになってファウナがわたしを(しょう)(かい)した。



グルグスに(さか)()りにされているウントは、

(あか)(ぐろ)くなる(かお)から()()()くと

(こと)()()んだ。



「サッ…。」



グルグスが()さぶって、

(はん)(のう)()いのを(たし)かめると

ウントを()(めん)()いた。



「お(まえ)が、サンサの、部屋(へや)の?」



ウントは()(あん)(てい)()()がり、

()(くず)れたキャシュクを(なお)す。



「えぇ。」



わたしは()(しょう)()(しょう)(くび)(たて)()って()せる。



「こいつ、サンサが(こわ)いんだよ。」



「サンサになにかされたの?」



わたしは(ひろ)ったサンダルを(うば)われ、

(かれ)はそのまま()(あし)()(えい)(とう)まで()()った。



(こわ)くねえよ! (ひも)()(おんな)っ!」



()(しょ)(わきま)えずに(さけ)んだウントは、

()()(じょう)から(もど)ってきたハーフガンから、

(こぶし)(あたま)()れるくらいに(つよ)(たた)かれていた。




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