↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金貨の娘  作者: 美穂
第5章 混濁の庭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/174

第5章 第3節 言葉の波(第2項)

わたしは二(ふた)つの料(りょう)理(り)を食(た)べ切(き)った。



新(あたら)しい肌(はだ)着(ぎ)に着(き)替(が)えて歯(は)磨(みが)きをして、

またベッドの上(うえ)で天(てん)井(じょう)の窓(まど)を見(み)た。



サンサがわたしの額(ひたい)に手(て)を当(あ)てる。



成(せい)年(ねん)の割(わり)に細(ほそ)く柔(やわ)らかな左(ひだり)手(て)。



「しばらく寝(ね)ていれば良(よ)くなるわね。」



「もう寝(ね)過(す)ぎて眠(ねむ)れないよ。」



「薬(くすり)は使(つか)わないの?」



「二(ふた)皿(さら)も食(た)べたのだから、

 薬(くすり)なんて必(ひつ)要(よう)ないわよ。


 セリーニの塊(かい)茎(けい)ならあるわよ。」



「あれかぁ。」スーは自(じ)分(ぶん)の鼻(はな)を指(ゆび)で塞(ふさ)ぐ。



「月(つき)の女(め)神(がみ)? の、塊(かい)茎(けい)?」



セリーニは女(め)神(がみ)の名(な)前(まえ)。



サンサは棚(たな)から革(かわ)袋(ぶくろ)を取(と)り出(だ)して、

わたしの鼻(はな)先(さき)に向(む)ける。



挿絵(By みてみん)




「痛(いた)み止(ど)めね。

 昔(むかし)、天(てん)蓋(がい)山(さん)の麓(ふもと)で採(と)ったのよ。ほら。」



乾(かん)燥(そう)した指(ゆび)先(さき)ほどの白(しろ)い塊(かたまり)から、

痛(いた)み止(ど)めと説(せつ)明(めい)した効(こう)果(か)に反(はん)して、

目(め)を突(つ)き刺(さ)すような臭(しゅう)気(き)に襲(おそ)われた。



「わっ! なにっ! ぐざびっ!」



鼻(はな)を摘(つま)んでも残(のこ)った臭(しゅう)気(き)が喉(のど)を焼(や)き、

湧(わ)き出(だ)す鼻(はな)水(みず)と、零(こぼ)れる涙(なみだ)に溺(おぼ)れかける。



イオスも異(い)常(じょう)な臭(しゅう)気(き)に危(き)機(き)を覚(おぼ)え、

においから逃(のが)れようと本(ほん)能(のう)のまま暴(あば)れ回(まわ)る。



「ふふふっ。」



臭(しゅう)気(き)に満(み)ちたこの部屋(へや)でも、

サンサは平(へい)然(ぜん)と笑(わら)っている。



「オーブの媚(び)薬(やく)の方(ほう)がマシに思(おも)えるよ。」



と、スーが目(め)を濡(ぬ)らして言(い)う。



「どちらも大(たい)差(さ)ないわよ。」



スーが扉(とびら)や天(てん)窓(まど)を開(あ)けて換(かん)気(き)し、

アルが暴(あば)れるイオスの首(くび)元(もと)を噛(か)んで、

部屋(へや)の外(そと)へと跳(と)び出(だ)していった。



「ニクスが元(げん)気(き)だったら、

 今日(きょう)は四(しい)時(じ)を教(おし)えようと

 思(おも)ってたのにね。」



「四(しい)時(じ)って、これだよね。」



わたしは鼻(はな)を摘(つま)んだまま、

スーから貰(もら)った箱(はこ)の札(ふだ)を取(と)り出(だ)した。



ファウナの手伝(てつだ)いやサンサへの来(らい)客(きゃく)が続(つづ)き、

勉(べん)強(きょう)が遅(おく)れていたわたしは

メノーから渡(わた)された医(い)学(がく)書(しょ)に集(しゅう)中(ちゅう)し、

札(ふだ)遊(あそ)びをする余(よ)裕(ゆう)を失(うしな)っていた。



手(て)にした木(き)の札(ふだ)には、

数(すう)字(じ)と記(き)号(ごう)が彫(ほ)られている。



「そっちは数(すう)字(じ)の札(ふだ)、

 こっちが星(ほし)の札(ふだ)ね。」



「星(ほし)?」



数(すう)字(じ)の書(か)かれた札(ふだ)と、

記(き)号(ごう)のようなものが書(か)かれた札(ふだ)の2種(しゅ)類(るい)。



「星(ほし)札(ふだ)の呼(よ)び方(かた)は色(いろ)々(いろ)あって、

 書(か)かれてるものが文(も)字(じ)なら文(も)字(じ)札(ふだ)。


 ニクスのは古(こ)代(だい)の記(き)号(ごう)だから、

 記(き)号(ごう)札(ふだ)とも呼(よ)べるね。


 太(たい)陽(よう)や星(ほし)の位(い)置(ち)を示(しめ)すものは天(てん)体(たい)札(ふだ)。


 他(ほか)にも季(き)節(せつ)札(ふだ)、四(し)季(き)札(ふだ)、

 絵(え)札(ふだ)とも言(い)ったりするかな。


 地(ち)域(いき)差(さ)なんかもあるけど、

 星(ほし)札(ふだ)って言(い)えば伝(つた)わるよ。」



わたしの星(ほし)札(ふだ)には数(すう)字(じ)や文(も)字(じ)はなく、

古(こ)代(だい)の記(き)号(ごう)は鏃(やじり)の絵(え)図(ず)にも見(み)え、

先(せん)端(たん)は1枚(まい)ずつ上(じょう)下(げ)左(さ)右(ゆう)を向(む)く。



鏃(やじり)の下(した)側(がわ)には横(よこ)線(せん)が引(ひ)かれている。



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)



「横(よこ)線(せん)が札(ふだ)の下(した)側(がわ)ね。


 記(き)号(ごう)には向(む)きがあって、

 右(みぎ)で朝(あさ)、上(うえ)が昼(ひる)、左(ひだり)が夕(ゆう)で、

 下(した)が夜(よる)を古(こ)代(だい)語(ご)で意(い)味(み)してるよ。」



「太(たい)陽(よう)の位(い)置(ち)を描(か)いてるから、

 星(ほし)札(ふだ)なんだね。」



鏃(やじり)の下(した)に引(ひ)かれた横(よこ)線(せん)は地(ち)平(へい)を示(しめ)し、

星(ほし)札(ふだ)の上(じょう)下(げ)左(さ)右(ゆう)が判(はん)別(べつ)できる。



5枚(まい)ある記(き)号(ごう)札(ふだ)の中(なか)には1枚(まい)だけ、

2本(ほん)の斜(しゃ)線(せん)が交(こう)差(さ)した形(かたち)が書(か)かれている。



あるはずの横(よこ)線(せん)も無(な)い。



挿絵(By みてみん)



「これは?」



「そっちは恐(きょう)慌(こう)札(ふだ)。


 太(たい)陽(よう)の位(い)置(ち)、天(てん)体(たい)の運(うん)行(こう)に関(かん)係(けい)なくて、

 疫(えき)病(びょう)や天(てん)災(さい)なんかを表(あらわ)す札(ふだ)だね。


 一(いち)応(おう)、星(ほし)札(ふだ)に関(かか)わる札(ふだ)だよ。」



恐(きょう)慌(こう)という言(こと)葉(ば)をわたしは初(はじ)めて耳(みみ)にした。



「ニクスが寝(ね)付(つ)くまで、

 スーがお話(はなし)でもしてあげたら?」



「子(こ)供(ども)みたいに言(い)わないでよ。」



サンサからまた子(こ)供(ども)扱(あつか)いを受(う)けて抗(こう)議(ぎ)する。



「なんの話(はなし)がいいかな。サンサ。」



「四(しい)時(じ)に纏(まつ)わる話(はなし)なら、

 船(ふね)が無(な)くなる話(はなし)がいいわね。」



「どうしてサンサは、

 すぐに結(けつ)末(まつ)を言(い)うかなぁ。」



「また…。」



以(い)前(ぜん)も伝(でん)道(どう)師(し)の話(はなし)なのに詐(さ)欺(ぎ)師(し)と呼(よ)んで、

わたしに結(けつ)末(まつ)を明(あ)かしていた。



「船(せん)体(たい)が、右(みぎ)の頬(ほお)を殴(なぐ)られて、

 床(ゆか)は左(ひだり)へ右(みぎ)へと揺(ゆ)れ続(つづ)けた。


 前(まえ)へと進(すす)むも、

 波(なみ)に船(せん)首(しゅ)を押(お)し上(あ)げられて、

 身体(からだ)は後(うし)ろへ傾(かたむ)いた。」



スーがベッドの上(うえ)で、

身体(からだ)を揺(ゆ)らして語(かた)りだす。



心地(ここち)の良(よ)い彼(かの)女(じょ)の声(こえ)が、

荒(あ)れた語(ご)調(ちょう)で物(もの)語(がたり)の景色(けしき)を語(かた)り描(えが)く。



「揺(ゆ)れぬ大(だい)地(ち)を離(はな)れ、そこは遠(とお)く海(うみ)の上(うえ)。


 海(かい)水(すい)は塩(しお)の湖(みずうみ)。

 飲(の)めばすぐに喉(のど)が焼(や)ける。


 船(ふね)の上(うえ)は、出(しゅつ)自(じ)の異(こと)なる船(せん)員(いん)達(たち)、

 言(こと)葉(ば)の分(わ)からぬ奴(ど)隷(れい)が働(はたら)く。


 ソーマはそこに居(い)ました。」



スーが目(め)で拍(はく)手(しゅ)を求(もと)めた。



わたしは毛(もう)布(ふ)の中(なか)で手(て)を叩(たた)き、

サンサは自(じ)分(ぶん)の膝(ひざ)を軽(かる)く叩(たた)いた。



「ソーマって、確(たし)かこの札(ふだ)のひと?」



「知(し)らなくても分(わ)かる話(はなし)よ。」



サンサの言(こと)葉(ば)にスーも頷(うなず)く。



わたしはソーマという人(じん)物(ぶつ)を知(し)らない。



マルフとの会(かい)談(だん)で出(で)た名(な)前(まえ)。



四(しい)時(じ)の札(ふだ)で使(つか)う板(いた)の代(か)わりに、

羊(よう)皮(ひ)紙(し)を用(もち)いた技(ぎ)法(ほう)を持(も)つ人(じん)物(ぶつ)らしい。



彼(かれ)の名(な)前(まえ)を法(ほう)則(そく)や定(てい)理(り)で見(み)た記(き)憶(おく)はない。



「船(せん)上(じょう)では常(つね)に奴(ど)隷(れい)が忙(いそが)しく働(はたら)き、

 荒(あら)々(あら)しい労(ろう)働(どう)歌(か)、品(ひん)のない酒(しゅ)宴(えん)と

 喧(けん)嘩(か)の繰(く)り返(かえ)しでした。


 貴(き)族(ぞく)であったソーマが求(もと)める、

 華(はな)やかな娯(ご)楽(らく)は船(せん)上(じょう)にはありません。


 ソーマは大(たい)陸(りく)での生(せい)活(かつ)を懐(かい)旧(きゅう)し、

 海(うみ)の上(うえ)で紙(かみ)に季(き)節(せつ)の植(しょく)物(ぶつ)を描(か)きました。


 また商(しょう)人(にん)との商(しょう)談(だん)を真似(まね)て、

 品(しな)物(もの)の代(か)わりに数(すう)字(じ)を書(か)きました。


 彼(かれ)は決(き)められた道(どう)具(ぐ)と知(ち)恵(え)を使(つか)う、

 四(しい)時(じ)という遊(あそ)びを考(こう)案(あん)します。


 しかし大(たい)量(りょう)の札(ふだ)を作(つく)るには

 羊(よう)皮(ひ)紙(し)が足(た)りません。


 ソーマは甲(かん)板(ぱん)を剥(は)がして切(き)り取(と)らせ、

 小(こ)分(わ)けにして札(ふだ)を作(つく)ったのでした。」



「甲(かん)板(ぱん)って?」



「私(わたし)も川(かわ)船(ふね)しか乗(の)ったことないや。


 何(なん)日(にち)も海(うみ)に浮(う)かぶくらい

 巨(きょ)大(だい)な船(ふね)になると、船(ふね)には屋(や)根(ね)と、

 寝(ね)るだけの部屋(へや)があるんだよ。


 船(ふね)の中(なか)は狭(せま)いし揺(ゆ)れるから、

 こんなベッドはないんだって。


 どうやって寝(ね)てるのか分(わ)かる?」



スーがサンサの顔(かお)を見(み)て答(こた)えを求(もと)めた。



「甲(かん)板(ぱん)は屋(や)根(ね)ではなく正(ただ)しくは床(ゆか)材(ざい)ね。


 床(ゆか)を水(すい)平(へい)にすれば荷(に)物(もつ)が置(お)けるし、

 船(せん)体(たい)の強(きょう)度(ど)を保(たも)つ役(やく)割(わり)があるのよ。


 って話(はなし)が逸(そ)れてるわよ。」



「でも気(き)にならない?

 どうやって寝(ね)るか、知(し)ってる?」



「船(せん)内(ない)は揺(ゆ)れるから、

 左(さ)右(ゆう)の壁(かべ)に渡(わた)らせた1枚(まい)の布(ぬの)や、

 網(あみ)の上(うえ)で寝(ね)るのよ。


 庭(にわ)の天(てん)蓋(がい)を細(ほそ)くした感(かん)じね。」



「楽(たの)しそう。

 今(こん)度(ど)、やってみようか?」



「天(てん)蓋(がい)の上(うえ)で?」



「庭(にわ)のあの柱(はしら)には、

 フランジを支(ささ)えられるほどの

 強(きょう)度(ど)は無(な)いからやめなさい。


 あなた達(たち)が落(お)ちて

 負(ふ)傷(しょう)するのは勝(かっ)手(て)だけれど、

 ルービィに叱(しか)られるのはわたしよ?」



「柱(はしら)の強(きょう)度(ど)を高(たか)めれば良(い)いんだね?」



「良(よ)くないわよ。」



「船(ふね)の中(なか)にベッドを吊(つ)るしたところで、

 揺(ゆ)られないわけでもないよね?」



船(ふね)は、水(みず)が押(お)し上(あ)げる力(ちから)によって浮(う)かぶ。



運(うん)動(どう)を続(つづ)ける性(せい)質(しつ)のある流(りゅう)体(たい)の上(うえ)では、

風(かぜ)や潮(ちょう)汐(せき)で発(はっ)生(せい)する波(なみ)の影(えい)響(きょう)で、

船(せん)体(たい)は常(つね)に前(ぜん)後(ご)左(さ)右(ゆう)に揺(ゆ)れる。



海(うみ)のように広(ひろ)い場(ば)所(しょ)では波(なみ)が増(ぞう)幅(ふく)して、

船(ふね)は重(じゅう)力(りょく)で下(した)へ落(お)ちたり、

波(なみ)に突(つ)き上(あ)げられる。



たとえ船(ふね)の重(じゅう)心(しん)に、

ベッドを吊(つ)るしたところで

この揺(ゆ)れは防(ふせ)げない。



「技(ぎ)術(じゅつ)があれば、

 揺(ゆ)れない船(ふね)もいつかは作(つく)れるわよ。」



「それ、鉄(てつ)の船(ふね)の話(はなし)?


 寝(ね)心(ごこ)地(ち)はどうなんだろうね。」



「海(かい)船(せん)に乗(の)って経(けい)験(けん)したらいいわ。


 大(たい)陸(りく)はスーの行(い)ってみたい

 ところなんでしょ?」



サンサがスーを捓(からか)っている。



「旅(りょ)行(こう)感(かん)覚(かく)で乗(の)れるものでもないよね。


 ニクスも聞(き)いたことある?


 民(みん)間(かん)伝(でん)承(しょう)だと洞(どう)窟(くつ)港(こう)の外(そと)は竜(りゅう)が居(い)て、

 島(しま)の人(にん)間(げん)は外(がい)洋(よう)に出(で)られないんだよ。」



わたしはスーの話(はなし)を聞(き)き流(なが)すと、

彼(かの)女(じょ)はサンサに顔(かお)を向(む)けた。



「あれ?

 サンサって海(かい)船(せん)に乗(の)ったことあるの?」



「ふふっ。わたしの場(ば)合(あい)は、

 海(かい)船(せん)の定(てい)義(ぎ)によるわね。」



「サンサこそ話(はなし)が逸(そ)れてない?」



わたしは頭(あたま)を揺(ゆ)らして指(し)摘(てき)した。



「それで、なんの話(はなし)だっけ?

 船(ふね)のベッド?」



「甲(かん)板(ぱん)よ。甲(かん)板(ぱん)。」



スーは頷(うなず)き、話(はなし)を続(つづ)けた。



「切(き)り取(と)った甲(かん)板(ぱん)から札(ふだ)を作(つく)ると、

 船(せん)員(いん)達(たち)に遊(あそ)びが広(ひろ)まって、

 自(じ)分(ぶん)だけの札(ふだ)を欲(ほ)しがりました。


 言(こと)葉(ば)の通(つう)じない奴(ど)隷(れい)達(たち)にも遊(あそ)ばれ、

 賭(か)け事(ごと)に興(きょう)じると誰(だれ)も仕(し)事(ごと)をせず、

 誰(だれ)も船(ふね)を漕(こ)ぎません。


 みんなが自(じ)分(ぶん)の札(ふだ)を欲(ほ)しがったので、

 材(ざい)料(りょう)は甲(かん)板(ぱん)だけでは済(す)まず、

 やがて船(ふね)は帆(ほ)柱(ばしら)さえも

 無(な)くなってしまいました。」



「え?」



話(はなし)の内(ない)容(よう)に耳(みみ)を疑(うたが)い、

わたしは二人(ふたり)の顔(かお)を見(み)た。



「当(とう)時(じ)はそのくらい夢(む)中(ちゅう)になったらしいよ。


 賭(か)け事(ごと)を禁(きん)じた記(き)録(ろく)もあるんだよ。」



「他(た)人(にん)が持(も)っているものを欲(ほ)しがるのは、

 流(りゅう)行(こう)という群(ぐん)集(しゅう)の理(り)解(かい)できない行(こう)動(どう)よね。


 船(ふね)が無(な)くなったというのは、

 結(けつ)末(まつ)を誇(こ)張(ちょう)して伝(つた)えてるだけよ。


 でなければ島(しま)に上(じょう)陸(りく)できないもの。


 指(し)導(どう)者(しゃ)ソーマの伝(でん)説(せつ)の一(ひと)つね。」



「指(し)導(どう)者(しゃ)ソーマ…。」



わたしはスーが彫(ほ)った札(ふだ)を見(み)つめ、

四(しい)時(じ)を作(つく)ったソーマに興(きょう)味(み)が湧(わ)いた。



「ニクスも四(しい)時(じ)を覚(おぼ)えて、

 早(はや)く一(いっ)緒(しょ)に遊(あそ)べるといいね。」



「その前(まえ)に体(たい)調(ちょう)を戻(もど)さないとダメよ。」



「うぅん…。でも、鼻(はな)が…。」



鼻(び)腔(くう)を突(つ)く塊(かい)茎(けい)の臭(しゅう)気(き)が部屋(へや)に残(のこ)っていて、

わたしはしばらく寝(ね)付(つ)けなかった。




 ▶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。