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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第1章 悪夢の檻

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第1章 第2節 鏡面の歪(第1項)

「そのチュニックは(たい)(せつ)なもの?


 (やかた)のキャシュクを(よう)()するから、

 いらなかったらその(かご)()れてね。」



()()えをする(ため)(じゅん)()(しつ)()つスーは、

(すみ)()かれた(かご)()()した。



挿絵(By みてみん)



(ろう)(かん)では(ふる)いチュニック1(まい)と、

(ぬの)()れのみしか()たされなかった。



()()(ろう)(かん)()てから、

(けもの)(おとこ)がわたしを()(ため)()(あた)えた(ふく)



――姿(すがた)()だわ。



姿(すがた)()()ばれる、(かべ)(そな)()けられた

()(たか)いガラス(せい)(かがみ)に、

(いびつ)なわたしの姿(すがた)(うつ)る。



挿絵(By みてみん)



「あとなにか()ってたら、

 その(たな)()きな(ところ)()いていいよ。」



(せい)(ろっ)(かく)(けい)()まれた(はこ)が、

(よこ)(だお)しで(はち)()(じょう)(おさ)められ、

(たな)となって(かべ)(なら)んでいる。



スーは()(ばや)(おび)(ひも)(おび)(ぬの)(はず)し、

(たん)(おう)(しょく)のキャシュクを()いだ。



(はだ)()(かた)(ひも)(はず)して(あし)(もと)()とすと、

わたしの(まえ)でも(へい)(ぜん)(ゆた)かな()(ぶさ)()せる。



(かの)(じょ)(ねん)(れい)(たい)して(はな)れていないのに、

()(たか)くて(はつ)(いく)()い。



――いまのわたしはなにも()っていない。



(くろ)(かみ)(しょう)(じょ)、サンサの(しつ)(もん)

わたしはなにも(こた)えられなかった。



(たい)(りく)()()()きもできなければ、

(きょう)(いく)()ける()(かい)もなかった。



(おな)(とし)(ごろ)()ができる()(しゅう)や、

(した)(ばたら)きもできない。



(はだ)()()ぐのを(ためら)うわたしを()(づか)って、

(ふく)()ぐのを()っていたスーは(さき)(よく)(しつ)(はい)った。



()()したい()()ちはあったけれど、

わたしは()(ぶん)(たい)(しゅう)()になり

(はだ)()(すべ)()いだ。



()いだチュニックを(かご)()れ、

()いた(ろっ)(こつ)()(あし)(たる)んだ()()()(しゅつ)する。



西(にし)(がわ)の、テーブルの()かれた(てい)(えん)から、

(となり)にある(たて)(もの)(はい)ってすぐの(ひろ)(よく)(じょう)



()(せい)(けつ)(とう)(めい)(かん)があり、

(しろ)(だい)()(せき)(きょ)(だい)(よく)(そう)には

(あか)(はな)びらが(おお)()かぶ。



(てん)(じょう)(ちか)くの(かべ)にはガラス(まど)(そな)わっていて、

()()(ひかり)がお()()()(こう)()(かく)(さん)する。



「はい、ニクスは

 ここに(すわ)ってくださいな。」



(しゃべ)(かた)()えたスーが(わら)った。



(だれ)()ない(よく)(じょう)で、スーの(こえ)(ひび)く。



()われるまま、わたしは

(かの)(じょ)()(なか)()けて()()(すわ)る。



()(ぶん)(ひん)(じゃく)身体(からだ)

(わら)われたように(おも)えて、()ずかしくなる。



ここは(たい)(しゅう)(よく)(じょう)でもないらしく、

(ほか)のひとの姿(すがた)はない。



「こんな()(こく)にお()()かれることは、

 (めずら)しいから()()()だね。


 どっちが()き?

 (かお)りで(えら)んで。」



(りょう)()(わた)した(こう)(たく)()(しろ)(いし)

(せっ)(けん)()たのは(ひさ)しぶりだった。



わたしの(くろ)(よご)れた()(うえ)(かがや)き、

(りょう)()(あふ)()るほどの(おお)きさ。



(はな)(ちか)()けても()(ぶん)(たい)(しゅう)(あたま)から(はな)れず、

どちらも(えら)べずにいた。



(わたし)はこっちが()きかな。


 身体(からだ)(まと)わりつく(あま)(かお)りより、

 ()(くう)(とお)るような(さわ)やかな(かお)りがするよ。


 この(せっ)(けん)(かお)()けに、

 クァンの(かわ)使(つか)ってるんだよ。


 もう(ひと)つは、あとで(ため)してみよっか。」



――よく(しゃべ)()なのね。



クァンがなにかを()らないわたしは、

(しゃべ)(つづ)ける(かの)(じょ)(だま)って(みみ)(かたむ)ける。



(あし)(さき)から(すこ)しずつにお()()びせ、

(なか)()(なか)、そして(かみ)(ほこり)(あら)(なが)す。



まだ(よく)(そう)(はい)っていないのに、

(たい)(りょう)()びるお()(いきお)いに(おぼ)れかけて、

(いき)()って(くう)()(もと)めた。



「ちょっとだけ(こら)えてね。


 みんなで使(つか)うお()()だから、

 (よく)(そう)のお()はできるだけ

 ()(れい)(たも)ちたいから。」



(あわ)()てた(せっ)(けん)(かみ)についた(あぶら)

(あたま)()まった()()()()とし、

()(かえ)(あら)(なが)す。



(よご)れた()()()(にく)く、

(あわ)はすぐに()えていく。



「まだでございますよ。」



スーは(あら)いながら(した)(ばたら)きを(たの)しんでいる。



『ちょっとだけ(こら)えて』と

(かの)(じょ)()っていたけれど、

わたしは(なが)()(つづ)けた。



(あら)(あら)しい(せん)(ぱつ)によって、

(せっ)(けん)(すい)()(はい)って(いた)む。



()()じると()()(たち)姿(すがた)(おも)()かんだ。



(つぎ)はスポンジに(せっ)(けん)()りつけて、

身体(からだ)(くび)(うし)ろ、()(なか)から(じゅん)

(はげ)しく(あら)われていく。



挿絵(By みてみん)



()()での()らしが(なが)く、

()()(ただ)れていたので、

(いた)みが(ぜん)(しん)()()す。



()(あし)(つめ)(あら)くブラシ()けされ、

わたしはお()()けられた。



「もう(あつ)い?


 (ほそ)いとお()(ねつ)身体(からだ)

 (めぐ)りやすいんだよ。


 (ひと)(はだ)くらい(あたた)かいお()が、

 (はだ)(きず)つけないし()(おん)()

 なんだってね。」



スーもお()()びて

身体(からだ)(ほこり)()としてから、

この(きょ)(だい)(よく)(そう)()かる。



ただのお()でも()いている(はな)びらから、

(ほの)かに(あま)くておいしそうな(にお)いがする。



(のど)(かわ)いても、

 お()()むのはダメだよ。


 (しょく)(ちゅう)(どく)になっちゃうからね。」



()かってるよ…。」



(ねん)(れい)()もない(かの)(じょ)()(ども)(あつか)いを()けて、

サンサだけではなく(かの)(じょ)にも

(つよ)()(かえ)してしまう。



()(まえ)にある(たい)(りょう)(せい)(けつ)なお()には、

()()()(ゆう)(わく)があった。



わたしは(かお)をお()(ちか)()け、

(すぼ)めた(くち)で、(はな)びらに(いき)()きかける。



(とお)くに(なが)そうと()いてみても、

(はな)びらは(かぜ)()けて(かい)(てん)する。



「それと、()はお()(なか)

 (しず)めたらダメだよ。」



「…どうして?」



(かんが)えても()まりの()(ゆう)

()からなくてスーに(たず)ねると、

(かの)(じょ)(ためら)ってから(くち)(ひら)く。



(かん)(たん)(せつ)(めい)はできないけど、

 みんなで使(つか)うお()()のお()

 (あそ)びの(どう)()ではないってことかな。」



(きょう)(どう)(よく)(じょう)使(つか)うのは(はじ)めてだった。



(しゅう)(だん)(せい)(かつ)(なか)()まりがあるのは

()(かい)できたので、()(ぶん)(なっ)(とく)させた。



「こうして(うで)()ばして()かべるか、

 (かた)()むとかが()いよね。


 (なが)(たび)(きん)(にく)()(かた)まってない?」



わたしはスーに(しん)(ぱい)されるほど、

身体(からだ)(にく)()いていない。



()(ぞら)(つぼみ)(はな)()()


 いくら()っても(あさ)()ず、

 (さん)(ぜん)(ほし)(なが)れ、(だい)()()りる。


 わたしは(うみ)(ただよ)うばかり。

 わたしは(うみ)(ただよ)うばかり。」



(こん)(じき)(かみ)(あたま)(うえ)(たば)ねたスーが

(とつ)(ぜん)(うた)いだした。



(かお)(みみ)まで()めて()(わら)いをして、

心地(ここち)()(うた)(ごえ)(よく)(じょう)(ひび)かせた。



(かの)(じょ)は、フレヤとレイヤと(おな)じで、

(ぎゃく)(さん)(かく)(けい)(みみ)をしている。



――(かの)(じょ)()られた()(れい)なのかしら…。

  (しょく)(しょ)もしてなかったし。



「いい(うた)でしょ? (なが)(ぼし)(うた)。」



(なが)(ぼし)(かの)(じょ)()(まえ)()(らい)になっている。



スーが(うた)()えると、

わたしは(よく)(そう)から()()()され、

また()()(すわ)らせられた。



「これ、やってみたかったんだよね。」



挿絵(By みてみん)



()ってきたのは(なが)(せい)(どう)(はだ)()きの(ぼう)で、

わたしの(くび)()(なか)(ろっ)(こつ)()()身体(からだ)

(うで)(ゆび)のあいだの(あか)まで(けず)()られた。



(たい)(りょう)(あか)(すく)()れ、

その(せい)()をスーは(よろこ)んだ。



(いた)いやら()ずかしいやら、

()(ぜん)(ゆる)くなる(くちびる)(むす)び、

(あし)(ゆび)(うご)かして(もだ)えながら()えた。



わたしはなにもしてないのに

(つか)れてしまう。



(あか)()()としてから、

(つぎ)(ちが)(せっ)(けん)身体(からだ)(あら)って、

(よく)(そう)()れられるとスーはまた(うた)った。



心地(ここち)()さに()()くと、

(ふか)いお()(なか)()ちかける。



わたしは(かこ)んだ(うで)(なか)()かぶ(はな)びらに

(いき)()いて、(ひび)(うた)(ごえ)(みみ)()ました。




 ◆ 



挿絵(By みてみん)



スーが(はく)()()(びん)(じょう)()()る。



(ふた)()けて()(びん)(かたむ)けると、

(なか)から(しろ)(いろ)(えき)(たい)(ほそ)(いと)(じょう)()び、

わたしの(みぎ)()()りてくる。



それをスーが()()ばして(わら)って()った。



「これは(はだ)のお()()れですわよ。


 お()()()がりの(はだ)(きず)ついたり、

 (あぶら)(うしな)って(ふく)()れに(よわ)くなるから、

 (にゅう)(えき)()って(はだ)(まも)ってあげますの。」



(かの)(じょ)はまた、おかしな(しゃべ)(かた)をしている。



――この()()(じょ)なのかしら?



(なが)()()()がったわたしは、

タオルで(みず)()()()られた(あと)

(じゅん)()(しつ)(ない)()()()(うえ)(たお)された。



(にゅう)(えき)(かお)(くび)、お(なか)(うで)(あし)(ゆび)

身体(からだ)(うら)(がえ)されて()(なか)(でん)()(いた)るまで、

(ぜん)(しん)()られていった。



(つか)れて(てい)(こう)する(ちから)(うしな)い、

(ただ)れた()()には

バターのような(ぎょう)(にゅう)(ぶつ)()られた。



(うで)()られた(ぎょう)(にゅう)(ぶつ)(はな)(ちか)()けると、

(ほの)かに(あま)(さわ)やかな(かお)りがする。



(はち)(みつ)(みつ)(ろう)()ぜた(とく)(せい)(ひん)ですわよ。


 (かん)(たん)(つく)れるのに()(はだ)(こう)()があるから、

 ()(ろう)()()(くすり)なんて()われて

 (たか)()()られてるんだよ。」



(かの)(じょ)はそんな(せつ)(めい)をして()調(ちょう)(もど)す。



わたしの()んでいた(ところ)では、

(はち)(みつ)どころか(みつ)(ろう)さえも

(かん)(たん)には()(はい)らない。



(かの)(じょ)()られた(ぎょう)(にゅう)(ぶつ)のおかげか、

()()にあった()すような(いた)みは

()(だい)(やわ)らいでいった。



(じゅん)()(しつ)(たな)には(あたら)しい(ふく)(よう)()されていた。



「これ(はだ)()ね。

 あと(また)(ぬの)()いて。」



(はだ)()()にした(ぬの)(かた)(ひも)がついたもの。



「これって、コットン…?」



「うん。

 (ふく)はだいたいエルテル(さん)だね。


 (ぼく)(よう)(そう)(なん)()では()(にく)いもんね。


 (はや)()ないと()()めするよ。」



コットンの()()肌理(きめ)(こま)かく、

(うす)()(やわ)らかな(はだ)(ざわ)りで、

(むね)()れても()ごしやすい。



(しま)(ほく)()(そだ)(しょく)(ぶつ)の、

(しゅ)()(つつ)(せん)()(げん)(りょう)になる。



挿絵(By みてみん)



その(せん)()(しろ)()になった(かたまり)が、

(ひつじ)()しているので(ぼく)(よう)(そう)()ばれる。



わたしのよく()(なん)()(そう)(くら)べると、

(ほく)()でしか()れないコットンは(めずら)しかった。



それに(また)(ぬの)というものを(はじ)めて()た。



(はだ)()(おな)(ふく)(いっ)(しゅ)で、

(おとこ)のひとが()(なが)(ぬの)に、

(ひも)()いたものとは(こと)なる()(もの)



(あし)(とお)して、(こつ)(ばん)(うえ)(ひも)(むす)ぶの。」



(はだ)()(はん)(ぶん)(てい)()(なが)さの(くろ)(いろ)(ぬの)は、

(した)(がわ)(あつ)()(ぬの)()()けられている。



()(ぐち)(ひろ)く、(すそ)(きょく)(たん)(みじか)いスラックス。



(こし)()(ぶん)(あか)(ひも)(とお)してあり、

(ひも)(しぼ)ることで(こし)から()がらなくなる。



スーが(ひも)(むす)んでくれたけれど、

(むす)()(ひも)(かたまり)になっていた。



挿絵(By みてみん)



「オーブで()かれてるスラックスを、

 サンサが(かい)(りょう)した(また)(ぬの)って()うんだよ。


 ()わった(はだ)()だよね。


 この(まち)でも()いてるのは

 この(やかた)()くらいだけど、

 (げっ)(けい)(とき)にはこの(なか)

 コットンを()いておくんだよ。」



わたしはまだ(しょ)(けい)()ていない。



(ほん)()んだ()(しき)だけはあったので、

(かの)(じょ)(せつ)(めい)()(かい)できて(くび)(たて)()る。



(はだ)()(かた)(ひも)()け、(また)(ぬの)()けば、

(つぎ)(たん)(おう)(しょく)のキャシュクを()る。



(ぬの)(ふくろ)(じょう)()っただけの

チュニックとは(ちが)い、キャシュクは

身体(からだ)(かた)()わせて(ぬの)()る。



()()(ぜい)(たく)使(つか)ったキャシュクは、

()(ぞく)にのみ()ることが(ゆる)されていた。



()(なか)(がわ)になる(うしろ)()(ごろ)に、

()(ゆう)(まい)(まえ)()(ごろ)()()わせる。



(みじか)(そで)(うで)(とお)して、(みぎ)()(ごろ)をお(なか)()て、

(ひだり)()(ごろ)(うえ)(かぶ)せて(ひも)(むす)んで()(てい)する。



(ひも)(しぼ)った(こし)には(くび)れと、

(うつく)しい(しわ)()まれる。



挿絵(By みてみん)



――ニースだわ…。



()(ぜん)()ていたキャシュクに(くら)べ、

(わた)されたこの(ふく)(すそ)がとても(みじか)い。



キャシュクは、(くるぶし)(かく)すくらいの

(すそ)(なが)さが(てき)(せつ)なのに(たい)して、この(ふく)

(ひざ)どころか(ふと)(もも)まで()(しゅつ)してしまう。



(ふく)(おお)きさからして(おさな)()(よう)でもない。



――どうしてこんなに(みじか)いのかしら。



(おな)じキャシュクを()たスーも、

(ひざ)(ふと)(もも)()して(へい)(ぜん)としている。



(かの)(じょ)(むね)がある(ぶん)

(まえ)()(ごろ)(すそ)(うえ)()()られていた。



(あし)()(しゅつ)するのは、()(ひん)(かん)じない。



一人(ひとり)でちゃんと()られるね。

 (おび)(ひも)(むす)んであげようか?」



スーの(もう)()(ことわ)ると、

(かの)(じょ)(ざん)(ねん)がって()(ぶん)(おび)(ぬの)()く。



わたしもキャシュクの(ふく)()(おび)(ぬの)()いた。



(おび)(ぬの)は、お(なか)から(こし)()()ける

(はば)(ひろ)(あつ)()(ぬの)を、ボタンで()めて、

その(うえ)(おび)(ひも)(むす)ぶ。



(むかし)は、キャシュクの(まえ)()(ごろ)

(ひら)かないように、(こし)(ひも)()いて

(むす)ぶしかなかったらしい。



(こし)(ひも)のせいでキャシュクが()れ、

()()(いた)むので、(りょう)()(こし)(かわ)の|(おび)()き、

(かわ)(ひも)をして(なた)()いた。



(みん)(しゅう)(りょう)()()()すると、()(ぞく)

(ふく)(せん)(しょく)された(おび)(ひも)()(かざ)ることで、

(とみ)()()していった。



(かた)()ける(かざ)(ぬの)は、

さらに(おお)くの(ぬの)使(つか)(ため)

()(ぞく)のあいだで(りゅう)(こう)した。



キャシュクの(うち)(そと)(ひも)()くと、

(まえ)()(ごろ)(くず)れずに()便(べん)(せい)(こう)(じょう)し、

(おび)(ぬの)(おび)(ひも)(ひつ)(よう)()くなるはずだった。



キャシュクの(しん)()(せい)()()れられても、

(おび)(ぬの)(じゅ)(よう)()くならずに()(つづ)けた。



身体(からだ)()きつけていた(おび)(ぬの)(おび)(ひも)は、

ただの(そう)(しょく)(ひん)へと(よう)()()わっていく。



(おび)(ひも)に、(おび)(かざ)りと()ばれる(きん)(ぎん)(さい)()

()けた(しゃ)()なひとも、この()()()た。



(おび)(ぬの)(こし)(ほそ)()せる(ため)()き、

(いろ)(ふと)さの(ちが)うものが(かべ)(かざ)られていた。



わたしはキャシュクと(おな)

(たん)(おう)(しょく)(おび)(ぬの)()(なか)にあててから、

(かっ)(しょく)(おび)(ひも)()にして()(なか)(はん)(かい)(てん)させる。



(ふく)()るのが()(しょう)(らく)になっても、

(ふく)(かた)そのものは(へん)()しない。



「それなら(わたし)(おび)(ひも)をあげる。」



スーは、()(ぶん)(おび)(ぬの)にしていた

(きん)(あか)(いろ)(おび)(ひも)(はず)し、

わたしの(おび)(ぬの)(むす)()けた。



(じょう)(しつ)(きん)(あか)(いろ)(ひも)(こう)(たく)(はな)つ。



――やっぱりニースになったわ…。



(かの)(じょ)(つく)った(おび)(ひも)(むす)()は、

(うさぎ)(みみ)()()(しば)ったような

(いびつ)(かたち)になっていた。



(そと)はまだ(あか)るいけれど、

()()()がりであっても(はだ)(ざむ)い。



(にわ)にある(えん)(けい)のテーブル(せき)()(しょ)(うつ)すと、

(あし)(もと)には(おき)()(よう)()されていた。



()やされた(もく)(たん)(おく)(あか)く、

(ちから)(づよ)(ひかり)(ねつ)(ない)(ほう)する。



テーブルの(した)()かれた、

(くろ)(いろ)(たま)(いし)(ひかり)()けて(くら)(かがや)く。



わたしは、サンサの(すわ)っていた

(きた)(がわ)()()(すわ)らせられた。



スーに(かみ)()かれ、(くし)()(しらみ)(はさ)まる。

(いた)んだ(かみ)はよく(から)まり、よく()れた。



やることもないわたしは、

(おび)(ひも)にある()(かっ)(こう)(うさぎ)(みみ)

(ゆび)(さき)辿(たど)ると(ゆび)迷子(まいご)になった。



(おき)()(あし)(あたた)め、(また)(ぬの)でお(なか)(あたた)められ、

(ぜん)(しん)心地(ここち)()(ねつ)(つつ)まれる。



(かみ)(くし)(はい)(たび)(あたま)(うし)ろに(たお)れる。



(ねむ)()(まさ)って(あたま)(まわ)らない。



そんなわたしの(くち)に、()(くう)()く、

(するど)(かお)りの()(えだ)()()まれた。



()(みが)きに使(つか)()(ぼく)だった。



挿絵(By みてみん)



(あら)(なみ)()られてたよ。


 ()わるまでそれで()(みが)いてて。


 あとで(かく)(にん)するからね。」



()(ぼく)(えだ)(さき)(おく)()()(つぶ)して、

(すじ)沿()って()いてから()(かん)()いて

(そう)()する。



()けた(おく)()()になった。



()(みが)きをしても(ねむ)()()えきれず、

(くち)()れたままの()(ぼく)がお(なか)()ちて、

(おも)たい(あたま)(ぜん)()()(ゆう)()れる。



(てん)(がい)(さん)(ふもと)、ネルタの(みずうみ)()かぶ(ふね)



わたしはその(ふね)()っている(ゆめ)()た。



わたしが(いき)()くと(ふね)()(ふく)らみ、

()()()(かわ)(くだ)っていく、

()()かぶ(はな)びらの(ゆめ)



(ふね)(すす)んだ(かわ)(さき)に、なにがあるのか、

(ゆめ)でその(さき)()ることは(かな)わなかった。




 ▶

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