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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第4章 月夜の光

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第4章 第2節 放言の子(第2項)

「フランジが(きょ)()()しに

 (きゃく)()(がみ)()むなんて、

 (とう)(ぜん)(ゆる)されないに()まってるだろ。


 それを(しん)()りにやらせてやるんだよ。」



(きょ)()されない(はなし)を、

()(しん)()って(てい)(あん)する(かの)(じょ)は、

()って(そう)(ぞう)(たの)しんでいる。



「ファウナは(にん)(しょう)(かん)()をしてるから、

 ()(がみ)()めるのよね。」



「その(とお)り。()()だがな。


 そこで、(わたし)()(ごと)(こう)(たい)しないか?


 (しん)()りはボナの部屋(へや)(はたら)くんだ。」



「ファウナはなにをするの?」



(わたし)はサンサの部屋(へや)(はい)る。」



(かの)(じょ)(しろ)(ねこ)()(なか)()でると、

(しろ)(ねこ)(おどろ)いて(たお)れ、(りょう)(あし)(そら)()けた。



「サンサの部屋(へや)ならこいつを()えるからな。


 おまけに(わたし)()(ごと)をしなくて()む。」



――(よく)()けて、(ろん)()()(たん)しているわ。



「…わたしはボナの部屋(へや)で、

 (にん)(しょう)(かん)()()(がみ)()むの?」



()()だって()ってるだろ。


 ()(がみ)()んで(せん)(べつ)したり、

 (やかた)()(きゃく)調(しら)べたりな。


 ()(ぞく)()(がみ)は、(たい)(りく)()(ほん)

 (いん)(よう)(おお)くて(べん)(きょう)になるし、

 (たい)(りく)()()()くぞ。」



(たい)(りく)()()めないわたしは、

(かの)(じょ)(かん)(げん)(みみ)(かたむ)けてしまう。



「わたしにできるものなの?」



(しつ)(もん)ばかりだな。


 (わたし)なんてセセラに(なら)って、

 すぐ()()たんだぞ。」



「ファウナは(ゆう)(しゅう)だって

 みんな()ってたわ。


 (きょう)(よう)(そな)わってるからでしょ?」



()(じつ)()べても

 (かく)(てい)()(こう)(くつがえ)らないぞ。


 しばらくしたら(やかた)(かん)(さん)()(はい)るから、

 (わたし)からボナに(そう)(だん)しておく。」



――サンサもわたしに、(にん)(しょう)(かん)()()(ごと)

  やらせようとしてたわね…。



「それならわたしからも、

 サンサに()っておくわ。」



()()し。」



ファウナは(ためら)いなく()(めん)(すわ)り、

(しょく)()()えて、(あそ)びたがる(しろ)(ねこ)

(つま)()げて()いた。



(しろ)(ねこ)(かの)(じょ)()(あい)()(あそ)んでいる。



「それまで(しん)()りが(えさ)(よう)()をしたり、

 ()()(じょう)なんかの(しつけ)もするんだぞ。


 サンサの部屋(へや)にはアルも()るから、

 1(ひき)()えたってなにも()われないだろ。」



「えっ?

 (かん)(さん)()(はい)ってからでしょ?」



「そんな(さき)まで(えさ)()しだと()ぬだろ?


 (らく)()でもないんだから。


 (しん)()りは(ねこ)すら()らないのか?」



(くわ)しくはないわ。

 (どう)(ぶつ)(ほん)でしか()らなくて。」



「それならサンサにでも()けばいい。


 ()(かた)(ほん)(そう)()にあるぞ。

 (きょ)(せい)(かい)(ぼう)(がく)(ほん)だったかな?」



(きょ)(せい)(かい)(ぼう)もしないよ?」



ファウナは(うなず)くけれど、

わたしはそんな(しゅ)()(きょう)()もない。



(かの)(じょ)(あし)のあいだで(しろ)(ねこ)は、

身体(からだ)(ねじ)じれた(じょう)(たい)()はじめた。



「こいつの()(まえ)はどうする?」



「まだ()うなんて()ってないよ。


 それにわたしが(たの)んでも、

 サンサが(きょ)()しないはずだわ。」



「サンサって(きび)しくないだろ?


 (そう)()なんてガラクタだらけで、

 どう()たって(なま)(もの)なんだから、

 ()(とお)せばなんとかなるだろ。」



()(そう)(だん)(てい)されたものの、

(そう)(ぞう)がついてしまい()(てい)できない。



(なみだ)(なが)して(どう)(じょう)()え。


 こいつが()えて()ぬんだぞって。」



「そこまでしないよ。」



「サンサのフランジなんだから、

 (えん)()くらいできるだろ。」



サンサのフランジになったわたしだけれど、

(えん)()(もと)められたりはしない。



(えん)(げき)()たこともないせいか、

()(じょ)真似(まね)をして(わら)われた

(にが)(けい)(けん)だけがある。



ファウナは()(いき)()(えん)()をした。



「この()ってなんて()べばいいの?

 (おす)? (めす)?」



(めす)だよ。


 『(しょう)(にん)』は()いだろ?

 アルも(たし)(めす)だろ?


 ()(まえ)()ければ、

 ラッガって()べば(はん)(のう)するぞ。」



「ラッガって、それ()(まえ)でしょ?」



わたしをこの(やかた)()れてきた(けもの)(おとこ)が、

サンサにそう()ばれていた。



ファウナは(あご)()()して(はな)(わら)う。



(どう)(くつ)(こう)()らないんなら()()もないか。


 (みなと)()めた(ふね)は、(なみ)(なが)されないように、

 (はしら)にロープで(けい)(りゅう)するだろ?


 ロープは(ふと)くて(がん)(じょう)で、

 (けい)(りゅう)(さく)って()ぶ。


 しばらく(てい)(はく)してると、

 (けい)(りゅう)(さく)から(ねずみ)(しん)(にゅう)してくるんだ。


 (ねずみ)(しょく)(りょう)()(がい)にも(ふく)(ほん)

 テーブルや()()(あし)(かべ)(はしら)まで(かじ)るし、

 (びょう)()()ってたりすんだよ。


 で、そいつの(しん)(にゅう)(ふせ)(ため)に、

 (けい)(りゅう)(さく)()()ける(いた)のことを、

 (ねずみ)()けって()()でラッガって()ぶ。


 (かた)(もく)(ざい)(えん)(すい)(がた)(けず)って、

 (けん)()した(いた)()()けるんだよ。


 メーニェの(しゅう)()にもなってて――、

 (たい)(りく)()()()たことないか?」



「ゼズ(とう)(となり)にあるっていう(しま)?」



(ほん)(ごく)とか(ほん)(とう)って()ばれたりする(しま)だ。」



このゼズ(とう)から

西(にし)(はな)れた()(じま)、メーニェ。



(えん)(ちゅう)(しん)から(えい)(かく)()けた()(がら)を、

(しゅう)()(かか)げたその(くに)()(まえ)は、

『なにもない』を()()する。



挿絵(By みてみん)



(たい)(りく)(がわ)()()()(おく)(あい)(まい)で、

(しゅう)()()(がら)()(らい)

(ほん)()かれていない。



ネルタの(みずうみ)(おな)じく、オルタと()ばれる

(みず)(たま)(てい)()(くぼ)()(しゅう)()()(がら)にしたと、

()(しょ)(かん)のゴレムは(どく)()(かい)(しゃく)をしていた。



「ラッガって()(まえ)()いの?」



「だからラッガは(ねこ)だって!


 (ふな)()りが、(ねこ)(ふね)()せて

 (ねずみ)()けとして()んだのが、

 『(ほく)()(にゅう)(しょく)()(ろく)』に()かれてて、

 それで(こん)(どう)されてんだよ。」



「なに? (ほく)()(にゅう)(しょく)()(ろく)って?」



「お(ひめ)(さま)(くせ)に、

 (れき)()(しょ)()んでないのか?


 サンサの部屋(へや)のフランジは、

 ソーマの(ほん)()らないのか?


 いや、(ゆう)(めい)(ほん)のはずだし、

 ()(まえ)くらい()いたことあるだろ。


 (しん)()りはニクスではなくて、

 『ニース』だな。」



――あっ!



()ばれた(しゅん)(かん)(あたま)(なか)

(おう)()にも()(しょう)(げき)()けて、

(なつ)かしい()()ちになった。



けれどその(かん)(じょう)(はい)(いろ)(もや)(ただよ)い、

すぐ(べつ)()(もん)(おお)われていく。



「ねぇ、ニースってここでも使(つか)うの?


 ファウナはどういう()()使(つか)うの?」



『ニース』という(こと)()は、

この(やかた)では(だれ)使(つか)っていない。



「ニースに(ただ)しい()()はないぞ。


 スーは()(げん)だって()うんだ。


 ()(ぞく)()ってても使(つか)わないんだと。」



()(しょ)からはニースのことを、

 『()(つう)ではない』って(なら)ったわ。」



「その()(しょ)(さま)ってどんな(えら)いひとだ?


 (ぶん)(すい)(がい)()()れた(がく)(しゃ)(さま)か?


 『()わっている』とか『おかしい』とか、

 ()(ほう)(とく)(ゆう)便(べん)()(てき)(かい)(しゃく)だろ。」



便(べん)()(てき)?」



()()えたんだよ、()()わせで。


 (こと)()ってのは、(けい)(さん)なんかとは(ちが)う、

 ()(そう)(ぶん)()(せい)(かい)がないからな


 (ほく)()(にゅう)(しょく)()(ろく)にあるニースも、

 その()()を『()からないもの』って

 ()(じゅつ)してたくらいだ。


 ()(にん)(かんが)え、(どう)(ぶつ)(こう)(どう)()(ちゅう)…。

 (ほか)になにかあったかな。


 『(とう)()(かい)(たく)()』にもあったから、

 それを()んだ()(のう)(せい)があるな。


 『ゼズ(とう)(ぼう)(けん)()』にも(おな)()(じゅつ)がある。


 あれはなかなか(つう)(かい)だよな。」



「どの(ほん)()んだことないわ。」



()らない(ほん)()(まえ)(つぎ)(つぎ)()てきて、

(かの)(じょ)(どく)(しょ)(りょう)()ったのと(どう)()に、

わたしの()(しき)(あさ)さを(おも)()らされる。



(あさ)(ねむ)りから()めた(しろ)(ねこ)は、

ファウナの(うで)(なか)(げん)()(あば)れている。



(あわ)いピンク(いろ)(はな)(かの)(じょ)身体(からだ)()せた。



「まだ()んだことがないっていうなら、

 ()()(じょう)(たい)(たの)しめるわけだ。


 それは(うらや)ましいな。


 いや、それよりも

 ()(まえ)()めるって(はなし)だ。


 (ねこ)なら(にん)(げん)らしくする(ひつ)(よう)はないし、

 (むずか)しく(かんが)えなくていいぞ。」



「いますぐには(おも)()かばないわ。


 それにまずはサンサに(そう)(だん)しないと。」



「おかしな()(まえ)()けられても

 ()らないぞ。」



「それよりも、

 ファウナの(にん)(しょう)(かん)()って、

 ()(がみ)()むだけなの?」



わたしにとっては(ねこ)()(まえ)よりも、

そちらの(ほう)(じゅう)(よう)になる。



()()だって()ってるだろ。


 ドレイプの()()(ため)

 (きゃく)(いろ)(いろ)()(がみ)(おく)ってくるが、

 (にん)(しょう)(かん)()()(ごと)をやるからにはまず、

 ()(がみ)(ない)(よう)(だれ)かに(しゃべ)ったらダメだぞ。


 (ぜっ)(たい)にな。」



(だれ)にも?」



(やかた)(にん)(げん)はよく『(りゅう)(げん)(この)まず。』

 って()ってるだろ?」



(りゅう)(げん)…、って(うわさ)のことだよね?」



「あれ、これも()らないなんて、

 スーはなにも(おし)えてないのか?


 『(やまい)(くち)から。』は?

 いくらなんでもこれくらい()ってるか。


 (しん)()りが()(じゅ)(えん)(はい)ってクァンを()った…

 と、これは(たと)(ばなし)だぞ。


 そんなことを(わたし)()(まわ)ってたら、

 (わたし)(しん)(しょう)()くないだろ?」



(うそ)ならまだしも、こうして

 ()(じゅ)(えん)(はい)ってるのが()(じつ)でも?」



()(じつ)(ほん)(にん)か、(かん)(さつ)(しゃ)にしか

 ()からないだろ。」



ファウナは()って(こう)(かく)()げる。



(うわさ)(めぐ)(めぐ)って(おお)(ごと)になるんだよ。


 (わる)(ぐち)(ささや)かれる(しょう)(かん)なんて、

 きっと(だれ)(ちか)()らないぞ。


 (きゃく)()って()()(じつ)でも、

 ()(ぶん)()(かく)(にん)しない(かぎ)りは(うわさ)

 もしくは()()(ため)(うそ)かもしれない。


 ()(にん)(こと)()(かぎ)はかけられないもんな。


 ドレイプは(みみ)(ふさ)ぎ、()()じ、(つぐ)む。


 『(わたし)(きょう)()ありませんわよ。』

 『()きたくありませんわ。』ってな。


 それは(にん)(しょう)(かん)()()(ごと)でなくても、

 ()(だん)とやってることは(おな)じだろ?」



わたしは(くび)(たて)()る。



(てい)(ねい)(せつ)(めい)されても、

(にん)(しょう)(かん)()という()(ごと)(せき)(にん)に、

()(あん)(ぬぐ)えない。



「はい。(あと)はよろしく。」



「えっ? ちょっと()って。」



(とつ)(ぜん)ファウナから(しろ)(ねこ)(わた)された。



(しろ)(ねこ)(おどろ)いて、

()いているわたしの(みぎ)(うで)

(するど)(つめ)()()いた。



(いた)っ!」



「こらぁっ!」



ファウナが(おお)(ごえ)(しか)りつけ、

(ひたい)(ゆび)(さき)(たた)くと(しろ)(ねこ)(おどろ)き、

()()(ひら)いて(しず)かに()(ころ)がる。



(かの)(じょ)(しつ)けた(せい)()()ていた。



(わる)さしたらその()ですぐに(しか)るんだぞ。


 ダメなことを(こと)()(せつ)(めい)したって、

 (どう)(ぶつ)(あい)()には(つう)じないからな。」



「わたしが(しか)られたかと(おも)って(おどろ)いたわ。」



(しか)るなんて(あさ)ましくて()()ない?


 (しん)()りはまだお(ひめ)(さま)のつもりか?」



その(じょう)(だん)に、わたしは(つぐ)んで()せる。



(うで)には(たて)(あか)(ふく)らみの()()(きず)ができ、

(ところ)(どころ)()(にじ)んでいる。



「ふふっ。いまさらだけど、

 『(しゅつ)()()わず』とも()うな。


 こんな()(しょ)でなんだったが、

 二人(ふたり)きりで(はなし)せて()かったよ。」



「うん。わたしも。」



わたしが(やかた)から()げる(まえ)に、

(げん)(かん)()った(かの)(じょ)とこうして(はなし)ができたら、

()かったのかもしれない。



「また(はなし)()かせて。」



(こん)()()(ごと)をする(とき)にな。」



「う…。」



ファウナは(から)になった()(ざら)(かさ)ねて、

()()ってそのまま(わか)れた。



(ふさ)がった(りょう)()(なか)(しか)られた(しろ)(ねこ)は、

(あお)()けになってまた(あば)れている。



――この()、どうしよう…。




 ▶

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