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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第4章 月夜の光

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第4章 第2節 放言の子(第1項)

わたしは(おそ)(ちょう)(しょく)()ませ、

(しょく)(どう)(しょっ)()(あら)って(かた)()けた。



(ちゅう)(ぼう)(かた)(すみ)()(みが)きをしていると、

(ちゅう)(ぼう)(ちょう)のヤゴウがわたしを(けい)(かい)している。



挿絵(By みてみん)



――スーみたいに(ちょ)(ぞう)(しつ)(はい)って、

  ()べものを()っていくと

  (おも)われてるのかしら…。



(とく)にやることもないわたしは、

(やかた)のどこにも()()(しょ)がない。



部屋(へや)(もど)って、サンサに()()けられた

ネルタの(ほん)(なが)めた。



挿絵(By みてみん)



(ひょう)()()(こく)された()(まえ)()めない(ほん)は、

(たい)(りく)()()かれていて(ない)(よう)()めない。



いくつか(へい)()()()()つけても、

(ぶん)(しょう)()めるはずもない。



(ほん)から(あか)(ひも)()びている。



――なにかしらこれ。



(ばく)(ぜん)とページを(めく)っていると、

(ほん)(まつ)()(さん)(ぺん)(あか)(いと)()じられて、

(なか)()()えない()(ぶん)があった。



()けたとしても、

その(なか)()(たい)(たい)()()かれていれば、

()めないことに()わりはない。



スーの(たな)にある(ほん)()ても、

(なん)(かい)(ほん)()めていて()()びない。



やることもなく()(ほう)()れたわたしは、

()めもしない(ほん)()じて部屋(へや)()た。



――(しょ)(しつ)になら(たい)(りく)()の、

  ()める(ほん)があるのかしら。



(そと)(ろう)()(ある)き、

(だれ)()ない()(かげ)(にわ)()りると

(うえ)(さわ)がしい。



(しょく)(どう)(よく)(じょう)(うえ)(かい)()(とう)(しつ)で、

わたしはその部屋(へや)には(はい)ったことがない。



スーが()うには、今日(きょう)はドレイプが

(しゅ)(えん)(ひら)いて(さわ)いでいるという。



(おど)りながら(ろう)()()()すドレイプもいた。



わたしは(かの)(じょ)(たち)から(かく)れて、

(ふたた)(しょく)(どう)()げた。



ヤゴウが(しぶ)(がお)(かま)()()たり、

(みず)(くわ)えた(こな)()っていると、

(ちから)(づよ)(だい)(たた)きつけた。



(かれ)(ひょう)(じょう)(へん)()(とぼ)しいだけで、

(しょく)()()(たく)(たの)しんでいるように()える。



()(ごと)(ごう)(かい)でいて、()(ばや)く、(せん)(さい)で、

(とお)()()ているだけで(つか)れてしまう。



その(となり)では(くろ)(かみ)(くろ)()のフランジが、

(した)(ばたら)きの(しょう)(じょ)、デーンと(とも)に、

(ちゅう)(ぼう)(なか)(りょう)()らしい()(ぎょう)をしている。



挿絵(By みてみん)



(かの)(じょ)(たち)は、(ろう)(どう)(たい)(けん)でも(べん)(きょう)(かい)でも

(しょう)(かい)されていない。



「もう(はら)()ったのか?」



と、(こな)(まみ)れのヤゴウが(ひく)(こえ)

わたしに(こえ)()けてきた。



(きゅう)(はな)()けられたわたしは、

(おどろ)いて(くび)(よこ)()ってまた(しょく)(どう)()た。



わたしはサンサの(そう)()

()ばれる(しょ)(しつ)(とびら)()けた。



――ここには(ほん)がある。



――(ほん)があるのよね…。



わたしは(くち)(ぬの)()にしたけれど、

まだ(うま)くは(むす)べない。



(しょ)(しつ)()(ぐち)(きょ)(だい)(せん)(ぷう)()(はば)まれて、

(ほん)(そん)(ざい)すら(たし)かめられず、

(あきら)めて(とびら)()めた。



挿絵(By みてみん)



()()(じょう)から()ったドレイプの(こえ)がし、

フランジ(とう)(とびら)(ひと)つも(ひら)かれた。



(あせ)ったわたしは(かく)れるみたいに、

(きん)()されている()(じゅ)(えん)(はい)った。



挿絵(By みてみん)



()げた(さき)()(じゅ)(えん)(えら)んだのは、

()(かく)()(がい)()(ゆう)があった。



()(ぜん)、スーに(やかた)(あん)(ない)して(もら)った(とき)に、

(にわとり)()()(ちか)くの木立(こだち)(あいだ)に、

(ねこ)()(ごえ)()いた。



(きた)(がわ)(れつ)()えられたクァンの()には、

(きん)(あか)(いろ)(じゅく)した()(じつ)(のこ)っている。



挿絵(By みてみん)



()(つぶ)(しろ)(はな)(まば)()いている。



(ふゆ)(むか)える(まえ)(みの)

クァンの()(じつ)は、(さん)()(つよ)く、

(はる)になると(てき)()(あま)くなるという。



ドレイプやフランジだけでなく、

(じゅう)(ぎょう)(いん)()(ゆう)()べられる果物(くだもの)で、

(しょく)(どう)()けば(つね)()いてある。



メノーは()(にく)(しぼ)ってジュースにしたり、

スーは(なん)()部屋(へや)()ってくる。



(たか)()いている。



(そら)()()げると、(えん)(えが)いて()んでいた。




クァンの(れつ)()(がい)()(すべ)て、

オレームの()になっている。



()(じつ)から(あぶら)(しぼ)るオレームの()も、

いまは()(つぶ)(しろ)(はな)(ふさ)(じょう)()く。



(はな)だけではなく、()()(いろ)(みき)(ふと)さ、

(じゅ)()などは()(くら)べると(ちが)いが()かりやすい。



オレームは(とく)(はな)(あま)(かお)りを(はな)つ。



オレームの()(じつ)には、

(どく)があると(つた)えられていた。



()(じつ)(しお)(あぶら)()けにして(しょく)(よう)(きょう)されるし、

(しぼ)った(あぶら)(りょう)()()(がい)にも(にゅう)(えき)使(つか)われる。



()(にく)(しぼ)(かす)も、

(かん)(そう)させれば()(ちく)(えさ)()(りょう)になる。



(どく)があればこれほど(よう)()(ひろ)がらない。



オレームの()(あぶら)(かぎ)らず、()(がい)(みず)でも

(くち)にできるものは(たい)(りょう)(せっ)(しゅ)してしまうと、

()(ちょう)(きゅう)(しゅう)(しょう)()(きん)(こう)(くず)れて

(しょく)(ちゅう)(どく)()こす。



オレームは()(つぶ)だからこそ、

(なか)()たされるまで、(たい)(りょう)()べる

()(ちが)いが()きる()(のう)(せい)もある。



それでオレームは(どく)()び、

フランジへの(けい)(しょう)(もく)(てき)

(つた)えているのかもしれない。



(かんが)えを(めぐ)らせながら

オレームの木立(こだち)(はい)ると、

ビャオと(かす)れたあの()(ごえ)()こえた。



(あし)(もと)には(しろ)()(だま)



挿絵(By みてみん)



()(ねこ)が、わたしの(あし)

身体(からだ)(こす)りつけてきた。



「わっ…。」



(たい)(しょ)(こま)って(あと)退(ずさ)りすると、

(はい)()にキャシュク姿(すがた)(しょう)(じょ)()っていた。



(あぶ)ないだろ。」



()(ぜん)もここで(しろ)(ねこ)()いていた(しょう)(じょ)



「サンサの部屋(へや)(しん)()りだろ。」



「…こんにちは。」



(しず)んだ()(あや)しい()みを(たた)える(しょう)(じょ)



(つつ)ましくも、(こう)()(しん)(おう)(せい)

(ほか)のフランジとは(こと)なる(ふう)(さい)



()つきや(しゃべ)(かた)には()()きがあり、

(はし)(ばし)(なつ)かしい(てき)()(かん)()れた。



挿絵(By みてみん)




(まえ)(がみ)(まゆ)よりも(うえ)に、(すい)(へい)()(そろ)え、

わたしよりも()がは(たか)い。



けれどフランジの(なか)では(せん)(ほそ)いせいか、

(つよ)()調(ちょう)(はん)して(おび)えているように()える。



(りょう)()(ふた)つの()(ざら)()っていて、

()()のお(ちち)()(もの)(きざ)んで()られていた。



(もく)(せい)のお(さら)(うえ)()()られたパンと、

()でた(けい)(にく)(きざ)まれて(つま)(さき)(てい)()(ちい)さい。



(こま)()れの()(さい)()ぜられている。



(しん)()りも()べたいのか?


 ()(ねこ)(えさ)だぞ。」



(えさ)()ていたわたしは(かお)()げ、

()()(ひら)いて(くび)(よこ)()った。



(かの)(じょ)(さき)(ほど)まで(ちゅう)(ぼう)で、(した)(ばたら)きの(しょう)(じょ)

デーンと(いっ)(しょ)(ねこ)(えさ)(つく)っていた。



(えさ)(にお)いに()()いて、

()(ねこ)(せい)(りょう)()す。



「はいはい。()たせたな。」



()()された()(ざら)に、

()(ねこ)(いきお)いよく(かじ)()く。



なにか(うな)(ごえ)()らし、

(さら)(かお)()()け、

(みみ)(うご)かしながら(けん)(めい)()べている。



「ファウナが()ってるの?」



「こいつの()(ぞく)

 (ちか)くの()(しゃ)()()()んで、

 この(やかた)()れられて()たんだ。


 ()(かた)がなく(わたし)(そだ)ててんだよ。」



「…それは()うって(てい)()されないの?」



(いのち)(かん)()してるだけだな。


 (なえ)みたいに。」



わたしはファウナの()(くつ)(たの)しんで、

(つぎ)(こと)()()って(くび)(ひね)る。



レナタの(てい)(ねい)(しゃべ)(かた)とは(たい)(しょう)に、

ファウナの(こと)()(づか)いはドレイプの手伝(てつだ)(やく)

フランジとも(おも)えないほど()()だった。



それでもファウナの(はつ)(おん)(めい)(りょう)で、

()()りやすい。



スーの(はつ)()(ちか)いのに、

(おん)(せつ)(はず)んでいて(くせ)がある。



(にご)った(せい)(しつ)もわたしの(ひく)(こえ)(ちか)いので、

(かっ)()(した)しみを(かん)じてしまう。



(しん)(しつ)(とう)()ってるわけでもないし、

 ()(まえ)()けてない。


 (やかた)(どう)(ぶつ)()うなんて、

 まずオーナーが(きょ)()しない。


 『(しょう)()()せる(ため)(やかた)であって、

  (どう)(ぶつ)(やしな)(ため)()(しょ)ではない。』

 ってのは(まっ)(とう)()(ゆう)だよな。


 ドレイプの(なか)でも(どう)(ぶつ)()ってるのは、

 (もと)(もと)アルを()れてたサンサだけだろ。


 ()いたいのなら(やかた)()ていくべきだな。


 ()るものは()わず、ってな。」



わたしはファウナを()めて、

(やかた)()()すつもりはない。



――でもこの()(じゅ)(えん)は、

  フランジが()ってはいけないのよね?



ここで()った(とき)に、

ファウナ()(しん)がそう()っていた。



「ファウナはそれが(ゆる)されているのね。」



(しき)()(ない)()()んで、

 ()(りょう)にした(ほう)()いって()うのか?


 ()()()(おんな)だな。」



「そんなこと()ってないわ。


 ファウナは(やさ)しいから、

 (かく)れて()()をしてるんだわ。」



(ちが)う!


 こうやって()つからなければ、

 ()()せとも()われないだろ。」



ファウナは(どく)()()(くつ)(つぎ)(つぎ)(てん)(かい)する。



(えん)(ぜつ)する(かの)(じょ)(うし)ろの()()(もと)には、

()(ねこ)(よう)(はこ)()かれている。



(かが)んで(てん)(ばん)()けると、

(はこ)(なか)にはクッションまで()かれていた。



(やかた)()(いく)している(どう)(ぶつ)(にわとり)だけ。



サンサの(ほか)に、ドレイプが(どう)(ぶつ)()っている

という(はなし)()いたことがない。



(きょう)(どう)(せい)(かつ)(おこな)うドレイプが

()(ゆう)(どう)(ぶつ)()(はじ)めたらいずれ、

(めずら)しい(どう)(ぶつ)()()ての(きゃく)()え、この(やかた)

(ほん)(とう)()()(もの)()()へと()わってしまう。



(しん)()りはサンサの()ってる(どう)(ぶつ)か?」



ファウナの(けん)(かい)(みょう)(なっ)(とく)がいってしまう。



サンサもわたしのことを、

()()(もの)()ばわりしたせいで()(てい)できない。



「その()()(まえ)は無いのね。ファウナ。」



「なぁ、さっきから…。


 ()()(しょう)(かい)はまだだったろ?」



(した)部屋(へや)(にん)(しょう)(かん)()をしてるのよね。

 ()(まえ)くらいは()ってるわ。」



わたしはこの(やかた)()れて()られてから、

(かの)(じょ)()(まえ)(ひん)(ぱん)(みみ)にしている。



(わたし)(にん)(しょう)(かん)()()()だよ。

 ヴィット・ハス・ファウナ。


 (しん)()りは?」



「あ…、わたしは…ニクス。」



「それは()ってる。どこのニクスだ?

 (しゅっ)(しん)は? (おや)は? ()(めい)は?」



(かの)(じょ)(くち)(ばや)にわたしを()()める。



「え、とサンサの部屋(へや)で、

 ナルシャの――。」



(わたし)(あい)()()(めい)()いたくないわけだ。


 (こう)(ちょう)(むすめ)()って怖気(おじけ)()いたか?」



(こう)(ちょう)って(どう)(くつ)(こう)の?」



この(しま)(ほく)(たん)()()する(しま)()(ぐち)

(どう)(くつ)(こう)しかわたしは(みなと)(そん)(ざい)()らない。



「なんだ?

 ヴィット()()(めい)()()かないのか?


 あの(あん)(さつ)()(けん)から、

 4(ねん)しか()ってないのに?」



「ごめんね。

 わたしは『お(ひめ)(さま)』みたいなの。」



(れき)()()(じょう)(せい)()(うと)いわたしは、

サンサのように()(ちょう)して()った。



わたしは()まれてからほとんどを、

ネルタの(とう)(ひと)りで()らしていた。



(ぶん)(すい)(がい)から(きた)のゼズ(さん)(みゃく)()え、

ネルタと(こう)(りゅう)()(どう)(くつ)(こう)(こう)(ちょう)()(めい)は、

()()(たち)(うわさ)でも(みみ)にした(おぼ)えはない。



「なんだなんだ。


 (かしこ)いお(ひめ)(さま)だっていうから、

 どんなものかと(おも)ったら…。


 ここはもっと(おどろ)くべきだぞ。


 (にゅう)(しょく)から300(ねん)(つづ)いた

 (ゆい)(しょ)ある(いえ)(がら)なんだからな。」



(りっ)()()(めい)なのね。


 いままで()らなかったけれど、

 フランジ(どう)()でも(かい)(きゅう)って

 (こと)なるのかしら。


 フランジには(けい)()()ってるつもりよ。


 わたしは(やかた)()(ごと)()()ないもの。


 レナタは(とし)(した)でも(じっ)(ちょく)で、

 わたしは(かの)(じょ)(そん)(けい)してるわ。


 わたしが(れい)(しっ)していたのなら

 ()びるし、(ゆる)して(もら)えるのなら

 (こん)()(かい)(ぜん)もするわよ。」



()()わらないうちに()(いき)()かれた。



――ファウナはどうして

  この(やかた)にいるのかしら。



――でも、(しゅつ)()(たず)ねないのが

  (やかた)()まりなのよね。



――()(ぶん)から()(ぶん)には()いのかしら。



「なんでこんな(しん)()りが、

 サンサの部屋(へや)(えら)ばれたんだ?」



サンサの(かんが)えはわたしも()からないので

(くび)(ひね)ってみせる。



今年(ことし)スーがドレイプになったら、

 (わたし)がサンサの部屋(へや)に、

 ()()(てい)だったんだぞ。」



「スーってドレイプになるの?」



ファウナは(ちから)(づよ)(うなず)く。



「いいや、これはただの(がん)(ぼう)だな。


 こんな(まち)で、(しょう)()になりたがる

 やつの(ほう)がおかしいんだ。


 (しん)()りは(とう)(ぜん)

 ()()()()きは()()るよな?」



「え、うん。(たい)(りく)()でなければ…。」



()()けられた(たい)(りく)()(ほん)()めないまま、

部屋(へや)から()()してきたので()(しん)がない。



(きゃく)()(がみ)()んでみる()はないか?」



(きゃく)って、(にん)(しょう)(かん)()()(ごと)?」



()んでみると(たの)しいぞ。」



「それ、ドレイプに(おく)られたものでしょ?


 (ほか)のフランジが()んでも

 (ゆる)されものなの?」



わたしの()げかけた()(もん)が、

ファウナの(ねら)(どお)りらしく、

(かの)(じょ)(こう)(かく)()げてまた(あや)しく(わら)った。




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