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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
序章 婚星の路

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序章 第1節 夜の女神の名(第2項)

挿絵(By みてみん)



(かい)(だん)()(かえ)し、(のぼ)ってすぐの(とびら)

今日(きょう)(もく)(てき)部屋(へや)になる。



(やかた)(ひがし)、ドレイプ(とう)の2(かい)(なん)(とう)(かど)



ここは1(ばん)部屋(べや)とも()ばれている。



スーは(どう)()(ばこ)(そと)(ろう)()()いて、

(かい)(だん)(のぼ)ってくるわたしを()っていた。



(かの)(じょ)部屋(へや)(とびら)()けると、

湿(しっ)()()びた(ねっ)(ぷう)

わたしの(ぜん)(しん)(おそ)()かった。



「わっ!」



(ねつ)()(ほそ)め、(あま)()っぱい(しゅう)()

(はな)()じようと(かお)(ちから)()れて、

()(きゅう)()めた。



スーは(わら)いながら、

()()()れたわたしの(まえ)(がみ)()でる。



()()()()(がい)に、

 ()(ぐち)(せん)(わす)れてるね。


 クッションを()して、

 シーツも()えないとだね。」



()(ごと)(ない)(よう)(つぶや)くスーは

(ろう)()()てきた()()(なが)め、

(かの)(じょ)()(しょく)()しに

(まっ)(くら)部屋(へや)(はい)った。



「ニクスはそこで()ってて。っと。」



()って(かの)(じょ)はすぐに(そと)(ろう)()(もど)ってきた。



(あつ)ぅ。」



キャシュクが()()()びると(みず)(りゅう)()が、

(きん)(かみ)()(どう)(よう)(ひかり)()けて

(こま)かく(かがや)いている。



「はぁ、ダメだね。


 これだと()(ごと)にならないから、

 もう(きゅう)(けい)しよ。」



(くら)部屋(へや)()(なか)()けると

(かの)(じょ)(ろう)()(かべ)()()かり、

(あし)()ばして(すわ)った。



「…()いの?」



(ゆか)(すわ)(あさ)ましいこの(こう)()でも、

(かの)(じょ)(おこな)うと(ひん)(かく)(そこ)なわない。



(いそ)ぎの(たの)まれごとでもないからね。」



スーに(うなが)され、わたしも(かの)(じょ)(となり)(すわ)って

(おお)きく(いき)()いた。



スーは、(ぎゃく)(さん)(かく)(けい)をした

(たい)(りく)(けい)(とく)(ちょう)(てき)(みみ)をしている。



()(ひかり)()()み、(そと)(ろう)()(ゆか)(いし)(あたた)かい。



わたしは脹脛(ふくらはぎ)(いた)みに()えながら、

(ほね)()いた(あし)()ばした。



(しま)(きた)()()するこの(まち)の、

(なつ)(おとず)れは()(きょう)よりも(はや)(かん)じる。



(きょ)(ねん)(ふゆ)が、

とても(なが)かったせいかもしれない。



(ろう)()(さく)()こうには、

(みどり)()かれた(ふた)つの(てい)(えん)がある。



()(まえ)()()する(ひがし)(がわ)(ふん)(すい)のある(にわ)



()(ぐち)から()(ぐち)(つな)(わた)(ろう)()(はさ)んで、

西(にし)(がわ)にはテーブルの()かれた()(かげ)(にわ)



(かい)(そと)(ろう)()(すわ)って(なが)めると、

(ふた)つの(てい)(えん)(ぶん)(だん)する(わた)(ろう)()(さえぎ)られて

(ふん)(すい)もテーブルも()えない。



(にわ)(しょく)(ぶつ)()(みどり)(いろ)()やし、

(いろ)(あざ)やかな(はな)(ちょう)(たち)(さそ)う。



(ふん)(すい)(らん)(はん)(しゃ)した(ひかり)が、

(そと)(ろう)()(ひさし)にまで(つよ)(かがや)く。



()(れい)(みず)(ひかり)()()めた

(ごう)(しゃ)(はく)()(たて)(もの)()み、

わたしはスーと(とも)(はたら)いている。



「ニクスの()(まえ)って、

 (むかし)から()わってない?」



「えっ? …うん。」



(かの)(じょ)()(まえ)(はなし)(はじ)めた()(ゆう)(かんが)えた。



(よる)()(がみ)()(まえ)だよね。」



「スーはスース?


 (たし)か、(なが)(ぼし)?」



(かの)(じょ)(はじ)めて()った(とき)

()(しん)()(まえ)()(らい)(せつ)(めい)した。



(さい)(しょ)はね、スァラにしようと

 (かんが)えてたんだよ。


 でもスァラって()(まえ)()()れて、

 (たい)(りく)()で『(はく)()』って()()だから、

 (きん)(ぱつ)のわたしには()()ってないよね。


 スースより()(ぜん)は、

 テレスだったんだよ。」



「テレスって、それも(たい)(りく)()?」



わたしの()いたことのない(たん)()



スーは()(まえ)()えている。



この(やかた)には、()(まえ)()える()(おお)()る。



(かの)(じょ)もその一人(ひとり)だった。



「スースも(おな)(たい)(りく)のエンカー()だよ。


 (たい)(りく)()には(ほっ)(ぽう)のソーン()

 (なん)(ぽう)はクレワ()とあって、

 どっちも(しゅう)(とく)(むずか)しい(げん)()だよね。


 (ちゅう)(おう)のエンカー()(しま)(こと)()(ちか)いから

 (おぼ)えやすいし、(ほか)(げん)()にも()てるよ。


 『テレス』はエンカー()で、

 (やく)()けやお(まも)りとかって()()ね。


 (むかし)から()(ども)につける()(まえ)だよ。」



(まじな)いの()()もあるんだね。」



わたしが()って(くび)(たて)()ると、

スーは()(ほそ)めて(みょう)(ひょう)(じょう)()(しょう)した。



――またなにか、

  (ちが)()(まわ)しをしたのかしら…。



()(まえ)(ひと)つの『(めい)(しん)』だよね。」



――(めい)(しん)…。



「ニクスの()(まえ)(おな)じだね。


 ()(がみ)()(まえ)()りることで、

 ()(がみ)()()(もと)めるの。」



わたしは(おどろ)いてしまった。



(よる)()(がみ)はおそらく、

わたしの(しゅつ)()()(らい)する。



「ニクスの()(まえ)はきっと、

 (はは)(おや)(かんが)えたんだろうね。」



「え? ()らないよ。」



わたしは(くび)(よこ)()った。



(はは)()(まえ)(かお)()らずに(そだ)てられたから、

()()()(こた)えてしまった。



(おとこ)()(あい)(ちち)(おや)(おんな)(はは)(おや)

 ()()けることが(おお)いんだよ。


 (おとこ)(ちち)(おや)()()()(せん)から(つた)わる

 ()(まえ)(いち)()()りる(しゅう)(じゅん)は、

 ()(だい)から()わらないよね。


 (おんな)(しん)()(かみ)から(はい)(しゃく)するのは、

 ()()(わる)(むし)から(まも)(ねが)いだって。


 (ほか)にも()(ぶん)(たか)さや、

 (おや)(きょう)(よう)(しめ)したりね。


 (しん)()(かみ)への(あこが)れがあるのかもね。


 (めい)(しん)には(こん)(きょ)がないけど。」



「スーはどうして()(まえ)()えたの?」



(おや)()(そう)と、わたし()(ねん)(ちが)うもんね。


 テレスは(すこ)やかに(そだ)って()しい、

 っていう(おや)(ねが)いでしかないからだよ。


 (だれ)にだって()(ぶん)(かんが)えや、

 (もく)(ひょう)()って()きるものだよね。」



(かの)(じょ)(りょう)()()わせて(ゆび)()む。



「スーの(もく)(ひょう)って?」



「なんだと(おも)う?」



(しつ)(もん)(しつ)(もん)(かえ)すのは(ずる)いわ。」



(かの)(じょ)(こう)(かく)()げて(しず)かに(わら)う。



(おや)(おも)(どお)りに()きても、

 (おや)(さき)()ぬものだから、

 ()(ぞく)()んだ(とき)()えたんだよ。


 でも、(おや)(ねが)いが()らないって

 ()いたいわけでもないよ。


 ニクスはその()(まえ)で、

 いつか()(がみ)になる()(てい)がある?」



「…そんな()(てい)()いよ。」



()(てい)はしないよ。


 そこはニクスが(かんが)えてみて。


 どうすれば()(がみ)になれるかな?」



(しん)殿(でん)(まつ)られる(しょう)(ぞう)(ちょう)(こく)になれるとも、

(まつ)られたいとも(おも)ってはいない。



(そう)(ぞう)がつかずに(くび)(よこ)()った。



「ね、(むずか)しいよね? でも、

 この(まち)(かい)(めい)って(とう)(ぜん)(けん)()だからね。


 (しん)(よう)()いひとが(おお)かったからかな?


 ()(ぶん)()(まえ)()(ぶん)()けるんだよ。


 (おや)()(そう)はこうあって()しいって(ねが)い。

 ()(ぶん)()(ねん)(こう)(どう)()っこだね。」



()(そう)()(ねん)

 (なが)(ぼし)がスーの()(ねん)?」



()いでしょ?


 ニクスもスーって()()る?」



()()らないよ。」



わたしはスーをよく()らないので、

わたしの()(ねん)にはならない。



「ふふっ。

 (おな)()(まえ)()()ったら(しん)(よう)(うしな)うもんね。


 ニクスはある? ()えたい()(まえ)。」



()(まえ)()えるなんて、

 (かんが)えたことないよ。」



スーは()()(ひら)いて()(がお)()せる。



「それなら(わたし)()()(まえ)(かんが)えてあげる。」



「…()くだけ()いてあげる。」



わたしは(うたが)いの()()(あご)()く。



フランジのシリィという(おな)(どし)()が、

(ちか)(うち)()(まえ)()えるらしい。



ドレイプを()()(ほか)()も、

()(まえ)()える()(てい)()(おお)い。



この(やかた)()(とき)に、スーはわたしを

『ニック』と()()けようとした。



それは(しょう)()()(がみ)()()したり、

(だん)(せい)(めい)にも使(つか)われる『ニコラ』の

(りゃく)(しょう)でもあったので()(たい)はできない。



()(まえ)()える()(てい)もない。



「ニクスはどんな()(まえ)()き?


 (とう)()だとエルテルは

 (たい)(りく)(ちか)くて(せい)(とう)()

 ちょっと(かた)いよね。


 ペタはもっと(きゅう)(くつ)(でん)(とう)(おも)んじる、

 ってこの()(まわ)しも(ふる)いよね。


 オーブは(おな)じく()(ふう)(でん)(とう)(てき)

 (みじか)くて()びやすいのは()いかな。


 カヴァになると(おんな)()(ざつ)(あつか)われ、

 ()(ぶん)(こう)(けい)(おとこ)には(いかめ)しく(どく)(とく)で、

 (かわ)わった()(まえ)になりやすいよね。」



()(つう)()(まえ)はないの?」



「あはは。()(まえ)()(つう)なんてないよ。」



(じょう)(だん)のつもりで()ったわけでもないのに、

スーに(わら)われてわたしは(くち)(むす)んだ。



(かの)(じょ)()(てき)された(とお)り、

()(まえ)()(つう)(へい)(きん)という(ひょう)(じゅん)(そん)(ざい)しない。



そこにスーが(おも)いがけない(てい)(あん)をしてきた。



「それならサンサって()(まえ)はどう?」



「えぇ…? わっ!」



(もっと)(のぞ)ましくない()(まえ)に、

わたしは身体(からだ)ごと(きょ)(ぜつ)して

(そと)(ろう)()(ゆか)()れかけた。



「サンサは(たい)(りく)()で『(こう)(せい)』って()()だよ。


 (じょ)(せい)(めい)だし(けん)(じつ)で、(はつ)(おん)(かん)()だよね。」



(かの)(じょ)()()()()()(つく)り、

(ほく)(ほく)西(せい)から()らす(たい)(よう)(かこ)んだ。



わたしの(なか)でサンサという()(まえ)は、

(けん)(じつ)という(しょ)(かん)から(とお)(はな)れていた。



(おな)()(まえ)()()ったら、

 (しん)(よう)(うしな)うって…。」



スーが()っていた(こと)()

そのまま(かの)(じょ)(かえ)したけれど、

わたしは(うしな)うほどの(しん)(よう)()い。



「サンサ(ほん)(にん)()にしないと(おも)うよ。


 (わたし)(かい)(めい)しようとした(とき)なんて、

 『()(まえ)はただの()(ごう)だもの、

  わたしの()(まえ)でもなんでも

  (かっ)()()()ればいいわよ。』

 って()ってたんだよ。」



――ニースだわ…。



スーの(くち)から()てくるサンサの(はなし)は、

(けん)(じつ)ではなく(ほん)(ぽう)(ほう)()()っている。



それに(かの)(じょ)(たい)(よう)(あたた)かさより()(あん)で、

()には(ふゆ)(つき)のような(つめ)たさがある。



「それからこれも()ってたね。


 『その(せき)(にん)はあなただけのものよ。』

 だって。


 (さん)(こう)になった?」



(かい)(めい)は、(かんが)えてみてもいいけれど、

 わたしにサンサは()()わないと(おも)う。」



(かい)(めい)したいってわけでもないもんね。


 でも()えたくなったら(わたし)(おし)えて。」



わたしがいつまでも()(まん)(あら)わにすると、

(かの)(じょ)()()がって(ふく)についた(すな)(ぼこり)(はら)う。



(やす)んだし、

 そろそろお()(ごと)しようかな。」



わたしもスーを真似(まね)して(すな)(はら)い、

()(しょく)(かの)(じょ)(わた)した。




 ◆




(くら)い1(ばん)部屋(べや)()()(りゅう)()()たされ、

(とびら)から(はい)(わず)かな(ひかり)(さん)(らん)する。



(こん)(かい)はレナタの(だい)(やく)で、

わたし(たち)はこの部屋(へや)(そう)()をする。



「あっ! スー、(くち)(ぬの)。」



スーに()(しょく)(わた)してから、

(だい)()なことを(わす)れていた。



「『(やまい)(くち)から』ってね。」



「うん。」



スーは()(しょく)(ちか)くのテーブルに()き、

キャシュクの(ふところ)から、

(なん)()(そう)のペヌンで()った

(せい)(ほう)(けい)(ぬの)()()した。



わたしも(くち)(ぬの)()()す。



(たい)(かく)()って、

(はな)(うえ)から(くち)(おお)って(こう)(とう)()(むす)ぶ。



(ゆび)(かん)(かく)だけで(あつ)(ぬの)(むす)ぶのは(むずか)しい。



(ひら)(おり)(はん)(よう)(てき)なペヌンの()()でも、

(すす)()めの()(ごと)では(くち)(まわ)りが(よご)れないほど

(いと)(ふと)くて(あつ)()(ぬの)



(あつ)っ。」



スーが()(しょく)から、(しょく)(だい)(ろう)(そく)(とも)す。



部屋(へや)(くろ)(いろ)()(あつ)(しゃ)(こう)カーテンが、

(まど)(かく)して(ひる)でも(がい)(かい)(ひかり)(さえぎ)っている。



(ひかり)()()()たされた部屋(へや)(あか)るくすると、

そこには一人(ひとり)(おんな)(おう)()していた。



(あか)(かみ)(あか)(ひとみ)()()(やさ)しい(まな)()しが、

(まばた)(ひと)つせず、わたしを()つめた。



(ゆた)かな(むね)(やわ)らかさを(かん)じさせる(にく)(たい)は、

(いち)()(あわ)いピンク(いろ)(ぬの)(おお)われて、

どこか()(ひん)(やさ)しさを(おも)わせる。



ブレズの()(かた)()()姿(すがた)が、

(ほう)(じょう)()(がみ)のようにも()える。



(おう)()した(おんな)はモザイク()だった。



(しき)(さい)(ゆた)かな()(いし)やガラスが、

(かべ)()()まれて()()()



「これ、(ほん)(とう)()きてるみたいね。」



(くち)(ぬの)(した)(つぶや)き、(いき)()んだ。



――レナタが()ってた()()()かるわ。



(たましい)(はなし)

 これは(むかし)、サンサが()(らい)したんだって。


 アイリアの(さく)(ひん)は、

 (にせ)(もの)(おお)()(まわ)ってるくらい

 (にん)()があるんだよ。


 (はい)()するガラスの(いろ)()わせて、

 モルタルも(がん)(りょう)(ちゃく)(しょく)してるんだって。


 ガラスの(なか)(ひかり)()()める、

 ()(ほう)(へき)()だって()められてるね。」



スーの(せつ)(めい)()きながら、

(しょく)(だい)()かに()かび()がる(おんな)()つめた。



(へき)()()(がい)にも目を()くものが(おお)くある。



(はじ)めて(はい)った()(にん)部屋(へや)(しつ)(ない)は、

(はば)(ひろ)いベッドが(ひと)つのみ()かれ、

ここには(よく)(そう)(そん)(ざい)する。



わたし(たち)()ごす部屋(へや)には、

(よく)(そう)()(ぜん)()(すい)(こう)もない。



()(しつ)(よく)(そう)があること()(たい)()(しつ)で、

(だい)(よく)(じょう)()(がい)でお()()()(ぜい)(たく)(かん)(きょう)



わたしよりも()(たか)いガラス(せい)(かがみ)

姿(すがた)()まで(かべ)(そな)()けられている。



姿(すがた)()(こう)()(はん)(しゃ)すると、

(いびつ)なわたしの姿(すがた)(うつ)()される。



挿絵(By みてみん)



サンサの部屋(へや)には(ふる)(どう)(きょう)が、

(うら)(がえ)しになって(かざ)られているだけだった。



(ひかり)(かがや)()(ゆう)()()に、(おお)きな(はな)()さる。



()(べん)(ゆか)()らばって、

(はな)(かお)りで()(こう)がずっと(くすぐ)ったい。



スーが(こん)(じき)(かざ)(ひも)()いた

カーテンを(ひら)くと、部屋(へや)(ぜん)(たい)

(ほう)(せき)のように(かがや)いた。



(まど)のガラス(いた)(せい)(ろっ)(かく)(けい)()(よう)()いて、

部屋(へや)(あざ)やかな(いろ)(ひかり)(まね)()れる。



「あった。


 はい、これ。」



モザイク()部屋(へや)()()れていると、

()のひらに(うす)ピンク(いろ)をした

(ふくろ)(かたまり)()せられた。



挿絵(By みてみん)



「ニクスのお()(ごと)

 これを(ひろ)(あつ)めることだよ。」



(ふくろ)はその(くち)に、

()()(あか)(いろ)(ひも)()()けてある。



(なか)()(えき)(たい)(こぼ)れないように、

(ひも)()いた(うえ)(かた)(しば)られていた。



わたしは(ひも)()にして(あたま)(ひね)った。



(ふくろ)(あぶら)っぽい(にわとり)()(たい)のようで、

(なか)(えき)(たい)(しょっ)(かん)(つめ)たいけれど、

()(ざわ)りの()いものではない。



(さわ)ってからようやく()()いた。



「あっ! これ、(ない)(ぞう)?」



「それは(みず)(ぶくろ)(なか)()使(つか)う、

 (うち)(ぶくろ)だね。山羊(やぎ)の。」



挿絵(By みてみん)



(みず)(ぶくろ)(なか)って? あれ? ふぐり?」



「ふぐり…? (ちが)うよ。


 あぁ、(きん)(たま)でもなくて、

 おしっこを()めてる(ぞう)()だね。


 (ぼう)(こう)って()(まえ)だよ?

 ()ってる?」



(どう)()(ばこ)からブラシを()にしたスーが、

()(ぶん)()(ふく)()()って()()(おし)える。



(きん)(たま)()(ひん)だったね。


 (ただ)しくは(いん)(のう)? もしくは(せい)(そう)かな。


 (せい)(そう)()(げん)は、(おとこ)らしさを(しょう)(めい)する

 って()()(しょう)(にん)だったね。


 お(また)()()がってるからだって。

 ふふっ。


 ふぐっ。(やかた)は『()(ひん)(きん)()』だよ。


 ふぐりっ…ふぐっ…。」



(こら)えきれずに(わら)()すスーに、

わたしは()ずかしさに(かお)(あつ)くなる。



(ちが)うのっ! ()(ちが)えただけっ!

 (きん)た…はスーが()ったんだよ。」



(ない)(ぞう)って()えない(うえ)(しゅ)(るい)(おお)いから、

 (おぼ)えるのは(むずか)しいもんね。


 メノーは(とく)(くわ)しいよね。


 ふぐりは()てるけど。」



()(ふく)()()(かか)えたまま(わら)うスー。



(ぼう)(こう)は、尿(にょう)()める()(かん)



()にした(ぶっ)(たい)から(きょ)()()りたくて、

わたしはできる(かぎ)()(すい)(へい)()ばした。



「この(なか)()()(よう)(ぶつ)?」



「それは(せい)()(おお)って()(にん)する(ため)(どう)()


 サンサが(つく)ったんだって。


 (なか)()はお(きゃく)さんの(せい)(えき)だよ。」



「あっ…。」



(なか)()()()()()いて、

()にした(ぶっ)(たい)(けん)()(かん)()(すじ)(ふる)えた。



――わたしはいま、(しょう)(かん)(はたら)いている。




 ▶

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