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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
序章 婚星の路

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序章 第1節 夜の女神の名(第1項)

(こう)(とう)()(たば)ねた(なが)(きん)(ぱつ)は、

()(こう)()わせて()(ゆう)()(うご)く。



(ほそ)(なが)(にく)(しつ)のある()()けした()(あし)が、

(わた)(ろう)()のコンクリート(ゆか)()(ある)くと

湿(しめ)った(あし)(おと)()らす。



(りょう)()()()()いな(どう)()(ばこ)(かか)えていても、

キャシュク()しの()(なか)は、(あたま)(さき)まで

(すい)(ちょく)()びていて(うし)姿(すがた)()(ひん)がある。



わたしがスーと()んでいる(ひと)(とし)(うえ)の、

(せい)(ねん)になって()もないフランジ。



――(かの)(じょ)(ちか)いうち、

  ドレイプになるのかしら。



この()(もん)(けっ)して(くち)には()さず、

(そう)(ぞう)()()すように(つと)めた。



(さき)(ある)くスーは()()いて、(あし)()める。



挿絵(By みてみん)



(かの)(じょ)(へき)(しょく)(ひとみ)がわたしを()んだので、

()(はば)(ひろ)くして(ある)くと(あし)(いた)む。



「ニクス、(いそ)がなくていいよ。

 ()()えるから。」



(ひだり)()にした()(しょく)()が、

わたしの(うご)きで(はげ)しく()れた。



挿絵(By みてみん)



(あつ)っ!」



(あわ)てて(かぜ)から()(まも)ろうとした

(みぎ)()()()れてしまった。



火傷(やけど)してない?」



「うん…なんでもなかった、みたい。」



「ちょっと(はや)(ある)いちゃったね。


 火傷(やけど)()(きず)()(きず)(くら)べて

 ()()がすぐに()わらなくて、

 でも(ねつ)(へん)(しつ)しちゃうんだよ。


 ()(ぶん)身体(からだ)なのに、

 (たい)(ない)()調(ちょう)(へん)()()からないのって

 ()()()だよね。


 そうだ、すぐに()()(みず)()やさないとっ。


 (すい)(ほう)ができても、(つぶ)したらダメだよ。」



「ちょっと(おどろ)いただけ。


 (あつ)くも(いた)くもなかったよ。」



(すこ)()()れただけで、

スーはこれほどよく(しゃべ)る。



(しゃべ)りと()(ひょう)する(かの)(じょ)でも、

わたしの(しゅつ)()について(たず)ねたり、

()(にん)について(おお)くを(しゃべ)ったりはしない。



(みず)(みどり)(ゆた)かな(やかた)()らす(おんな)(たち)は、

()()(あつ)まりの(ため)に、(けっ)して(おご)らず、

(だれ)もが(わきま)えを()って(こう)(どう)(ひか)える。



(なか)でも(かの)(じょ)(しん)(よう)できるひとだった。



『ニクスは()(りょ)(ぶか)く、(そう)(めい)なのよ。』



(くろ)(かみ)のドレイプ、サンサの(こと)()(おも)()す。



スーとは(ちが)って()(くち)なわたしに、

サンサはこんな(ひょう)()(くだ)した。



サンサがわたしの(まえ)

なにかを()(とき)()まって、

わたしを(ため)すような(むずか)しい(こと)()(えら)ぶ。



わたしとスーとの(ちが)いは、

(くち)(かず)()だけに(かぎ)らない。



わたしは(ひん)(そう)で、(ひん)(じゃく)()(りき)



スーの(かか)える(どう)()(ばこ)でさえ、

身体(からだ)(いた)みに()えられずに

()(はこ)べなかった。



わたしの(あか)(つち)(いろ)(かみ)()けば()れやすく、

(はだ)(うす)(じろ)くて(にく)がない(ため)

(ほね)まで()かんで()える。



(とし)(うえ)のスーに(おも)たい(どう)()(ばこ)()たせて、

(しん)()りのわたしは(けい)(りょう)(せき)(にん)(おも)

()(しょく)()つ。



(たち)()(ぎゃく)(てん)していた。



わたしの(けい)(きょ)(げん)(いん)()(けん)()きた。



(おも)()すと()(いき)()る。



(なげ)()(ぶん)()づいてわたしは(かお)()げた。



スーは()(ほそ)めて(すこ)(あご)()き、

(かの)(じょ)(かんが)えを(くち)にした。



「できるひとが

 できることをやればいいんだよ。


 (しゃ)(かい)(おぎな)()って(せい)(りつ)しているんだよ。


 それともニクスはお(ひめ)(さま)ではなくて、

 使()(よう)(にん)()()してるのかな?」



わたしは(くび)(よこ)()って()(てい)する。



()(ぶん)(たい)する(ひく)(ひょう)()

()(ちょう)したかったわけではない。



()(りょ)(ぶか)く、(そう)(めい)って()われたの、

 ニクスは()にしてるんだね。


 (おな)じくらいの(ねん)(れい)()(くら)べれば、

 ニクスは(かしこ)(ほう)だよ。


 ()(ぶん)()(もん)()てるから。」



(ひろ)く、(ふか)(かんが)えなさい、

 って()われたくらいだよ…。」



(わたし)()われたよ、それ。


 ニクスは(とし)(うえ)(わたし)(くら)べてるけど、

 ()にするほどでもないと(おも)うよ。


 (わたし)だって(やかた)()(なが)(ほう)だけど、

 サンサの(かんが)えは()からないもんね。


 (かの)(じょ)()(ぶん)(しゅつ)()()わないからね。」



「え? もしかしてスーも()らないの?」



()(がい)()(じつ)(おどろ)くわたしを()て、

スーは(よろこ)んで(うなず)く。



「でも(わたし)()らないことを()ってる。」



(ふた)つの(てい)(えん)(はさ)(やかた)(ろう)()で、

(かの)(じょ)(どう)()(ばこ)()ったまま、

(あし)(こう)()させてその()(まわ)って()せる。



(たん)(おう)(しょく)のキャシュクの(みじか)(すそ)が、

(かい)(てん)()わせて(じく)(そと)(がわ)(かん)(せい)(はたら)く。



それから(はこ)から()びる(おうぎ)()れた。



――ニースだわ。



わたしは(あたま)(なか)(つぶや)いて

(かの)(じょ)(たず)ねた。



「…()らないことを()ってるって、

 (たい)(りく)(ことわざ)?」



スーは(どう)()(ばこ)(かか)えて(くび)(よこ)にした。



(ことわざ)でも()(まわ)しでもないよ。


 ニクスは()(がく)の5(だん)(かい)(ほう)って()ってる?」



(かん)(さつ)から(はじ)まって()(せつ)()いていく?」



「あってるよ。

 (かん)(さつ)(すい)(ろん)()(せつ)(けん)(しょう)(こう)(さつ)ね。


 ()て、()(そう)して、()(てい)()き、(しょう)()()て、

 ()(じつ)(しめ)す。この5()だね。


 これを()(かえ)して、()(ろん)()けと

 (げん)(しょう)(もの)()しを(つく)るのが()(がく)だね。」



()(がく)はこの5(だん)(かい)(ほう)で、

(たん)()(ほう)(そく)という(ひょう)(じゅん)(もう)けられる。



スーはわたしの()(しょく)()()(せん)()げた。



()(つづ)ける(ろう)(そく)

 ()(もん)(おぼ)えたことはあるよね?


 (ろう)(そく)(みず)(なか)でも()えると(おも)う?


 ニクスは(ねん)()って(そん)(ざい)()ってる?」



――やっぱりニースだわ。



スーがわたしを(ため)していたので、

(くび)(よこ)()って(こた)える。



(ねん)()(よう)(えん)(だい)には()(てい)されてるよね。


 ()(だい)(ねん)()()ばれてたのは

 (くう)()(いち)()だよ。


 この()は、(ねつ)()けて(えき)(たい)になった(ろう)を、

 (ろう)(そく)(しん)(もう)(さい)(かん)(げん)(しょう)()()げて、

 ()(こう)(おん)()(たい)(ぶん)(かい)された(とき)に、

 (くう)()(むす)びついて(はん)(のう)してるだけ。


 ランタンなら、(くう)()(あな)(ねん)()(ふさ)げば、

 (くう)()(しゃ)(だん)されて、(なか)()()えるよね。


 だから(ねん)()はただの(くう)()


 (みず)(なか)では(ろう)(そく)()えないよ。


 ()()した(ろう)()(くら)べて

 (えき)(たい)(みず)(みつ)()(たか)くて、

 (わず)かな(くう)()しか(ふく)まれないから

 (みず)(なか)では()えない。


 それに()える(ため)(ねつ)(みず)(うば)うから、

 (ろう)(そく)()()えるんでしょ。」



()()(すべ)()(にん)(げん)は、

(ほのお)(あやつ)(すべ)()()れた。



(ほん)()んだ()(しき)(こと)()にして(なら)べると、

(かの)(じょ)(かい)(だん)から()()ろして()(がお)(つづ)けた。



「うん。ニクスは(ねん)()を、

 ()(ろん)()(てい)できるわけだね。


 でも()(もん)()たずにいるひとや、

 (かたよ)った()(しき)()(そう)()つひとは調(しら)べない。


 ()まれ(そだ)った(かん)(きょう)()(だい)で、

 調(しら)べられないひとがいる。


 (べん)(きょう)()(かい)もない、()(りゅう)(かい)(きゅう)のひとだね。


 ()(もん)()たないひと

 調(しら)べられない(どう)(ぶつ)にとっては、

 ()って()()(たい)(しょう)になるんだよ。」



――(きょう)(ぞう)(にん)()みたいな(はなし)ね。



(どう)(ぶつ)(おお)くは(にん)(げん)(くら)()(のう)(ひく)く、

(かがみ)(うつ)()(ぶん)姿(すがた)()(ぶん)(にん)(しき)できず、

()(かく)をしたり(かがみ)(うら)(がわ)(さぐ)ってしまう。



(ほん)()っていた(じっ)(けん)(はなし)



(あご)(した)(えさ)()()けられた(とり)()る。



(えさ)(かがみ)使(つか)わないと()ることのできない。



(おお)くの(とり)(あご)(した)(えさ)()づかず、

(かがみ)()(ぶん)()(かく)して(かがみ)(つつ)いた。



けれど(なか)には(かがみ)()て、

()(ぶん)(からだ)から(えさ)(はず)した(とり)()た。



挿絵(By みてみん)



(くろ)()(しろ)()()()(ゆき)(がらす)という

()(がら)(からす)で、(にん)(げん)(おそ)って(からか)

(わる)(がしこ)(せい)(かく)をしている。



(ゆき)(がらす)(ねら)われていた()(ども)が、

()(さけ)びながら(はし)って()げる姿(すがた)

(とう)から(かん)(さつ)したこともあった。



「『(けもの)()(おそ)れ、()(しゃ)(ほのお)(あが)める。』

 って(ことわざ)もあるよね。」



スーの(こと)()でわたしは(あたま)(ひね)った。



「…(あが)める? あれ?

 『(けん)(じゃ)(ほのお)(あやつ)る』ではなくて?」



「ニクスが()んでいた()()では、

 ()(まわ)しが(どく)(とく)なんだね。」



「あっ…。うん…。」



(ことわざ)(ひと)つで(しゅつ)()()かしかけ、

(かお)()せて()(しょく)()つめた。



(ろう)(そく)(はなし)(もど)すと、

 (けもの)(ねん)(しょう)って(はん)(のう)()(かい)できない。


 (けもの)(いち)(よう)()(おそ)れるのは、

 ()()(ほん)(のう)()(かい)してるからだね。


 だけど()(しゃ)()(かい)できないものに(たい)して、

 ()(けい)(もの)()()(おお)きく()せる。


 ただの()(すう)(こう)なものに()()()げるか、

 (きょう)()(しん)()(はい)して(あい)()(そそのか)す。


 ()らないだけでもなくて、

 ()ったつもりの(にん)(げん)

 ()(しゃ)としてるわけだね。」



スーは(やかた)(かい)(だん)を、

(うし)()きに()(よう)(のぼ)る。



「もちろん()(ほのお)だけでもないよ。


 (かみなり)(すい)(がい)(かん)(がい)(れい)(がい)()(ぜん)(さい)(がい)や、

 (きず)風邪(かぜ)(びょう)()(げん)(いん)はどうかな。


 (いの)りを()いたから()(がい)にあった、

 (びょう)()になったって()われたら

 ニクスは(しん)じるかな?」



わたしは(くび)(よこ)()る。



()(ぶん)のある(おう)(さま)()()(たか)いひと、

 (こう)(めい)(がく)(しゃ)(さま)なら(しん)じる?


 ()(もん)()たず調(しら)べられないひとは、

 (こん)(きょ)のない(あき)らかな(うそ)(しん)じるからね。


 (けん)(じゃ)って(かた)()きがあれば、

 (あい)()(うたが)うことすらしないもんね。


 (こん)(きょ)がないのに(しん)じることを

 (めい)(しん)って()うよね。


 あ、もしかしてこれを

 『(こと)()(おう)(さま)(ふく)()せる』って

 ()うのかな?」



スーが、()(ふう)()れる

(ろう)(そく)()()つめて()った。



わたしは()(すり)(にぎ)り、

身体(からだ)(いた)みに()えながら(かい)(だん)(のぼ)る。



「その(てん)ではニクスへの(ひょう)()は、

 サンサの()()(どお)りだと(おも)うよ。


 ニクスがいまこうして

 身体(からだ)(いた)みで(くる)しんでいるのは、

 『()(ごろ)(おこな)いが(わる)いから』

 って(けん)(じゃ)()ったとしても、

 ニクスは(ぜっ)(たい)(しん)じないもんね。」



「うーん…。」



わたしは(なや)みながら(くび)(たて)()る。



火傷(やけど)()にして()(みぎ)(うで)(あざ)は、

もう(あと)()からないほど(うす)れていた。




 ▶

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