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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第3章 花弁の湯

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第3章 第4節 湯の中の夢

(はな)()みを()えたフランジは

(やかた)から()されて、(きた)(がわ)(うん)()(つな)がる

(はい)(すい)(こう)(ちか)くに()(どう)させられる。



()()から()()げた()(しょく)(とう)(めい)(みず)で、

()(あし)についた(よご)れを(あら)()とした。



(そと)(あら)うのは()(ちゅう)(ふか)くにある()()(みず)を、

()(よう)(ぶつ)での()(せん)から()ける()(ゆう)がある。



(きゅう)(しゃ)(うま)(たち)がフランジの(よう)()()て、

(あたま)(じょう)()()(ゆう)()すって(こう)(ふん)している。



挿絵(By みてみん)



ドレイプが(とお)()()(しゃ)使(つか)うので、

この()(せつ)(やかた)(そな)わっていた。



(した)(ばたら)きの(わか)(おとこ)(いなな)(うま)に、

ブラシを()けながら(しず)めていた。



(やかた)(もど)って(なが)(だい)()(しゅう)(みず)

(はな)(なか)をいくら(すす)いでも、

(はな)()みで()いた(しゅう)()()れない。



(はな)(みず)(はい)ると(はな)(おく)(いた)くなる。



(はな)(なか)(ねん)(まく)(きず)つくから、

 そこまでにしとこうね。」



スーに()われ、

(わた)された(どう)のタライを()()げられた。



挿絵(By みてみん)



(はな)(いた)いし、(うで)(いた)い。



おまけに(はな)から(べつ)(えき)(たい)()てきた。



「あぁー…。スー、()たぁ…。」



(はな)(した)()れた(みぎ)()に、

()(ぶん)(はな)()(じゅう)(りょく)(したが)って(せん)(えが)く。



()(こう)(うえ)から(つま)んで

(あふ)れる()(ひじ)から(したた)()ちると、

キャシュクまで(よご)れてしまった。



スーが()()した(くち)(ぬの)で、

わたしの(はな)(つま)んで(しゅっ)(けつ)(おさ)える。



「しばらく(くち)()(きゅう)だね。


 そのうち()()まるから(あん)(しん)して。


 (しゅう)()っていうのはね、(くう)()()ざって

 (はな)(はい)った(ちい)さな(ぶっ)(しつ)なんだよ。


 (はな)(なか)(ふく)(ざつ)(はな)(あら)っても、

 これがなかなか()ちないんだよね。


 ところで(りょう)()(こう)(りょう)(にお)いって、

 あとから(おも)()せたりするよね?


 (はな)()みの(ちょく)()だと(そう)(ぞう)(むずか)しいかな。


 (はな)(なか)から(しゅう)()(ぶっ)(しつ)がなくなっても、

 ()(おく)には(のこ)るんだよ。


 ()(おく)(うす)れた(ころ)になって、

 ようやく(しゅう)()(うす)れるんだよね。


 (ぎゃく)に、(しゅう)()(げん)(いん)で、

 ()(おく)()()こされたりもするよ。


 (ほか)にも(おん)(かん)(れい)(かん)(つう)(かく)なんかも、

 ()(おく)(むす)びついたりするよね。」



――(はなし)()れてるわ…。



「それれ、ろーすれは、いいの?」



(いそ)いでも()(かた)がないよ。


 ()()まったら(かお)だけ(かる)(あら)ってね。」



「はぁー。」



(はな)(つま)めば(へん)()(こえ)もおかしくなる。



(たま)(いし)(うえ)(すわ)って退(たい)(くつ)()ごすしかない。



(にわ)(はい)(おだ)やかな(かぜ)(せん)(たく)(もの)()らし、

わたしの(ほお)()れた(まえ)(がみ)()でる。



()れた()(くち)(はい)ると(どう)()(あじ)(ひろ)がり、

()(あらわ)せない()(あん)(さいな)まれて

()(ぶん)()くない。



(あたま)(なか)(はい)(いろ)(もや)(ただよ)う。



なにもしないのは退(たい)(くつ)で、

(つか)れと(よう)()(ねむ)()(さそ)われ、

(あら)(なみ)()られ、(まぶた)()ちる。



「ニクス、お(つか)(さま)でした。」



レナタが()()けてきた。



「おわっ…、おあぁーあぁ…。」



(はな)(つま)んだまま(しゃべ)っていると、

()(ぶん)でもなにを()っているのか

()からなくなってくる。



(みぎ)()(はな)(つま)んだ(じょう)(たい)

()とうとして(たお)れかけた。



(かた)()()()(ゆう)なだけで、

(うご)(にく)くなることに()(ぶん)でも(おどろ)く。



(たま)(いし)(うえ)(すわ)っていると(でん)()(いた)い。



(あわ)てなくてもいいですよ。


 今日(きょう)()(ごと)はもう()わりですから。


 この(あと)(じゅん)()(しつ)(ふく)()てて、

 お()()身体(からだ)()(れい)にしてください。」



こんな()(かっ)(こう)姿(すがた)()せても、

レナタは(ちょう)(しょう)もせず()(とう)もしない。



――レナタの()(だす)けになったのかしら。



わたしは()(ぶん)(らく)(たん)して

(ふか)()(いき)()た。



(こん)()(きゅう)(よう)()()(ごと)ではなくて、

 ちゃんとした(べん)(きょう)(かい)がありますよ。」



「えんきょーあい。」



「サンサがフランジに(おし)えてるんです。


 ニクスはここに()()(ぜん)から

 (いろ)(いろ)(ほん)()んでるんですよね。


 それなら(べん)(きょう)もすぐに()いつきますよ。」



「ゔぇっ…うん…。」



(はな)(つま)んだまま(くび)(たて)()ると、

()(くう)()まった()(のど)(とお)って、

()(かい)(かん)(あじ)わう。




(がっ)(こう)(かよ)ったことも、()(てい)(きょう)()()ない、

わたしは(べん)(きょう)には()(しん)がない。



(すう)(がく)(とく)()になるほどではないし、

(れき)()(せま)く、(りん)()(あや)しい。



(たい)(りょく)もなければ、()()もない。



「えんきょー…(べん)(きょう)(かい)って…

 ここは(がっ)(こう)もやってるの?」



(がっ)(こう)というのはわたしも()りません。


 でもスーなら ()ってるかもしれません。


 さぁ()きましょう。」



(はな)()()まったわたしは、

レナタに()()かれて(よく)(じょう)()かった。



ボイラー(しつ)(えん)(とつ)(そう)()()み、

(じゅう)(ぎょう)(いん)(たち)がお()(よう)()してくれていた。



これがサンサの()っていた()(ごと)(ほう)()で、

フランジは(ひる)からの(にゅう)(よく)(よろこ)ぶ。



(にわ)には(しょく)(どう)のテーブルが()かれ、

その(うえ)にはジュースや果物(くだもの)(なら)べられて、

(ちゅう)(しょく)()(たく)(こう)ばしい(にお)いが(ひろ)がる。



――()(ごと)によって(ほう)(しゅう)()られる。



(つか)()っていたはずのフランジは、

()(ろう)(わす)れて(よろこ)び、(はしゃ)いでいる。



(やかた)()(ごと)(そう)(ぞう)()(じょう)(たい)(へん)だった。



(せん)(たく)(ちから)のいる(にく)(たい)(ろう)(どう)で、

(すす)()めは(なみだ)()るほど身体(からだ)(わる)い。



そして(はな)()みは(しん)(しん)(とも)につらかった。



(ろう)(どう)(たい)(けん)(さん)()したフランジは、

(やかた)(はたら)(じゅう)(ぎょう)(いん)()(ごと)(おん)(けい)

()()みた()になった。



(かの)(じょ)(たち)()(ろう)(よろこ)びが、

(ふん)(すい)のように(にわ)(あふ)れる。



――これがサンサの()っていた(ただ)しさ、

  (やかた)(もの)()しなのね…。




 ◆




()()えを(おこな)(ため)(じゅん)()(しつ)(まえ)で、

(はな)()(すす)()(よう)(ぶつ)(よご)れた(すべ)てを、

ゴミ()れとして(よう)()された(かご)()てる。



挿絵(By みてみん)




(あふ)れた(かご)は、(じゅう)(ぎょう)(いん)(かか)えて()ていく。



――あれは(せん)(たく)して使(つか)わないのかしら。



(ためら)いなく(ふく)()てられる。



この(やかた)(ぜい)(たく)(せい)(かつ)について、

わたしは(かんが)えさせられた。



(ふく)身体(からだ)()(しゅう)(のこ)し、

湿(しめ)った(はな)がまだ()になった。



(がっ)(こう)? …どうだろ。

 ()(てい)(きょう)()ならレナタも()ってるよね。


 サンサが(むかし)やってたから。」



レナタに(たず)ねられ、

(はだ)()姿(すがた)のスーが()う。



「あぁ…。やっていましたね…。」



レナタがスーを()て、(ひょう)(じょう)(くも)らせる。



(しん)(よう)ならないサンサの(ひょう)(ばん)()(はか)った。



(がっ)(こう)()ってたひとは

 たぶん()ないよ。


 (がっ)(こう)()(ぞく)(じょう)(りゅう)(かい)(きゅう)(おとこ)が、

 (へい)(がく)とか()(じゅつ)()()ける(ため)に、

 (かよ)()(しょ)だもんね。」



「ニクスは()ったことありますか?」



スーの(せつ)(めい)()け、

レナタが(つづ)けて(たず)ねてきた。



「ううん。

 ()(てい)(きょう)()()らないよ。


 いまから(まな)んで、

 みんなに()いつくか()(あん)だわ。」



(べん)(きょう)()(じん)(せい)(れい)()(だい)だもんね。

 ねぇ、レナタ。」



レナタはチュニックを()ぐと、

しばらく()()けてから()()いて、

()(まん)(あら)わに(ほお)(ふく)らませた。



(べん)(きょう)って、わたしは(にが)()です。」



(べん)(きょう)(かい)(わたし)(たち)(ねん)(れい)()わせてるから、

 レナタにとっては(むずか)しい(ない)(よう)だよね。


 レナタはレナタの(おも)うままに

 (まな)べばいいと(おも)うよ。


 ニクスは()(そう)(まな)んでたりする?」



(べん)(きょう)(かい)では()(そう)(おし)えるの?」



()(そう)は、(もの)()しや(てん)(びん)(おもり)のような

(ひょう)(じゅん)()たないのでわたしも()(かい)(つまづ)く。



(ぎゃく)だよ。


 サンサって()(そう)については

 (おし)えたりしないからね。


 ()(だん)(たん)(とう)してる部屋(へや)のドレイプや

 (ねん)(ちょう)のフランジが(おし)えているから、

 (べん)(きょう)()(かい)()いと思うよ。」



「サンサの(おし)(かた)って、

 (まな)()(かい)(あた)えるだけですね。


 ニクスに(おし)えて(もら)った(とき)は、

 ()かりやすかったですよ。


 (はなし)(おう)(さま)(ふく)()せるとか、

 (せつ)(めい)(もの)(がたり)がありますから。」



(さい)(ねん)(しょう)のレナタには

(たましい)(がい)(ねん)()(かい)するのはまだ(むずか)しい。



「なるほどね。


 レナタは()()みを(まな)ぶより、

 ()()みの()(てい)(まな)べば

 ()()(かん)じがするね。


 ニクスがレナタに(おし)えてあげたら?」



レナタが()(たい)(ひょう)(じょう)()せたけれど、

わたしはスーのように(おし)えられるほどの

()(しき)()ってはいない。



(けい)(さん)(かん)(けい)はわたしもちょっと…。


 (ほん)()かれている(ほう)(そく)(てい)()って、

 ()()(はぶ)かれて(おぼ)えることばかりで、

 使(つか)いどころを(さき)(かんが)える(ひつ)(よう)があるから。


 (れん)(ぞく)(たい)(りき)(がく)(むずか)しくて――。」



「えぇ…?」



「そんな(べん)(きょう)してたの?」



レナタだけではなくスーまで(おどろ)いたので、

わたしは(くび)(よこ)()った。



(おな)(ねん)(れい)()(べん)(きょう)する(ない)(よう)()らず、

(だれ)とも()(かく)できずに(こん)(わく)した。



(じゅん)()(しつ)で、二人(ふたり)(まえ)にして

(はだ)()(また)(ぬの)()いで(はだか)になる。



()(ぶん)()せた身体(からだ)()じるのも、

なんだかいまさらに(おも)えた。



西(にし)(よう)(へい)(つか)まれて、

()(むらさき)(いろ)になっていた(みぎ)(うで)(あざ)は、

(うす)くなって()(いろ)()わっている。



(おお)きな(よく)(そう)(おお)(ぜい)(はい)るのは

(はじ)めての(けい)(けん)だった。



(よく)(じょう)(ない)(はい)って(たい)(おん)()がると、

(たい)(ない)(ねつ)(そと)(はい)(しゅつ)する(ため)

(けっ)(かん)(かく)(ちょう)される。



わたしはまた(はな)()()し、

()(よご)してしまわないか(しん)(ぱい)した。



(はな)びら()(がい)で、(よく)(そう)のお()

(あか)()まる(こう)(けい)(そう)(ぞう)してみる。



(くび)(ふと)(もも)などの(ふと)(けっ)(かん)()れない(かぎ)り、

(はな)()(けい)(けつ)(てい)()(たい)(りょう)のお()

()まるはずはない。



(しょ)(けい)()ても(すい)(あつ)()(しょう)(おさ)えられるし、

(はな)()ならば(かお)(よく)(そう)(そと)()せば()い。



(よく)(そう)(はい)(まえ)に、

(かん)えを(せい)()しながら身体(からだ)(よご)れを()とす。



(はな)()みをやったフランジはみんな、

(せっ)(けん)とスポンジで(はだ)(あか)くして

(いた)めるほど(こす)っていた。



挿絵(By みてみん)



(たが)いに(たい)(しゅう)(かく)(にん)しあっても、

(ひょう)(じゅん)になる(きゅう)(かく)(ゆが)んでいるので(くび)(ひね)る。



「ニクスはお()()(きら)いなんですか?」



「ううん?

 身体(からだ)(あら)うよ?」



こうして()(ゆう)身体(からだ)(あら)える(じょう)(きょう)は、

()()(たち)()(あら)(あら)われるより()い。



「えっと、(うれ)しくないんですか?」



「この(やかた)()()(はい)ったから

 もう()れてるんだよ。」



(ほか)()はみんな、

 お()()(いち)(ばん)()

 って()うんですよ。


 ()(じん)(ちか)()けるからって。」



「お()()(きら)いな()()ないよね。


 身体(からだ)()(れい)にすればドレイプになれる、

 なんて(おも)ってる()(おお)いと(おも)う。


 なによりオーナーは(きたな)姿(すがた)(きら)うからね。


 ニクス、また(あか)()りしてあげようか?」



スーがあの(はだ)()きの(ぼう)()ってきた。



挿絵(By みてみん)



「えっ?

 また(いた)くするの?」



「あれ? (いた)かった?」



(きょ)(ぜつ)()()で、(ちから)()めて(うなず)いた。



(はだ)()()大人(おとな)使(つか)うものですからね。


 あぁ、きっとスーのせいでニクスは、

 お()()(うれ)しくないんですね。」



「なんだかそれって

 (わたし)(わる)いことをしたみたいだね。


 いや、したのかもしれないね。」



(あか)()りは(いた)いし、(くすぐ)ったい。



身体(からだ)(うご)きを(おさ)えようとしても、

()(げき)身体(からだ)(はん)(のう)してしまう。



今日(きょう)もまた、サンサの(そう)()

 ガラクタが()えてしまいましたね。」



「オーナーが()たら、

 なんて()うのか(たの)しみだね。」



レナタとスーが()って(わら)う。



グルグスの(ちから)(まか)せの(おう)(ふく)ポンプは、

(こわ)れて(あな)(なか)()ちてしまった。



()(よう)(ぶつ)(あな)(しず)んだポンプの(くだ)を、

フランジがディッパーで(はさ)んで

(すく)()げる()()()(ごと)()えた。



わたしはもうディッパーも(にぎ)っていられず、

(ちか)くで(すわ)って(やす)んでいるあいだに、

(はな)()みの()(ごと)()わった。



「ねぇ、レナタ。

 (はな)()みのバケツはどうするの?


 (した)(ばたら)き…(じゅう)(ぎょう)(いん)がどこかに(はこ)ぶの?」



バケツに(あつ)めた()(よう)(ぶつ)(ふた)をして、

(よご)れた(どう)()(とも)(ほう)()されていた。



「あとで(せい)(じょう)()(かい)(しゅう)()ますよ。」



「マルフ(そう)(とく)(かい)(しゃ)だよ。」



「えっ? (そう)(とく)が?

 ()(りゅう)(かい)(きゅう)()(ごと)を?」



「マルフ(そう)(とく)()(りゅう)()(さん)(がい)(しゅっ)(しん)で、

 エルテルに()(たい)()(つく)ってるんだよ。


 ()(ぞく)()(しょう)(にん)だね。


 (そう)(とく)になったのはもう3(ねん)(まえ)だけど、

 サンサがこの(まち)()()(ぜん)から、

 いまもずっとやってる(かい)(しゃ)だね。」



「そんなひとでも、

 (ぶん)(すい)(がい)(そう)(とく)になれるんだ…。」



(ひと)(はだ)(てい)()心地(ここち)()(おん)()のお()

(つつ)まれながら、(おどろ)きが()く。



ネルタを(はな)れ、

(ぼう)(へき)(さん)(みゃく)(かこ)まれた(よう)(さい)()()



(おか)(うえ)()つこの(やかた)には、

()()(ため)(べん)(きょう)(かい)(ひら)かれる。



――(べん)(きょう)(かい)があるなんて(がっ)(こう)みたいだわ…。



それを(おも)うと()(たい)(むね)(たか)()った。



わたしは(もの)(ごころ)がつく()(ぜん)から、

ネルタの(とう)(ひと)りで()らしていた。



(がっ)(こう)()った(けい)(けん)(いち)()もなく、

()()(たち)()ても()(てい)(きょう)()()ない。



(とう)(なか)には(しょ)()があっても

(とう)(はたら)()()(たち)()()()めず、

(かの)(じょ)(たち)(ほん)()れることは

(ゆる)されなかった。



(かの)(じょ)(たち)(はたら)きもあって、

わたしは(まい)(にち)のように()()(はい)った。



(かの)(じょ)(たち)(ちか)くの()(がわ)から()んできた(みず)で、

わたしだけがタライの()()()れられる。



(なつ)には()(あせ)(ふく)()()ませ、

(ふゆ)には(ゆき)()(なか)(こご)えながら

わたしの(ため)だけにお()()かす。



()()(たち)(あか)()れた()()(たび)

()心地(ごこち)(わる)さがあった。



(かの)(じょ)(たち)(こな)()きを(おこな)っていたけれど、

(かわ)には(いし)(うす)(まわ)(ため)(すい)(しゃ)()かった。



わたしは(とう)(なが)退(たい)(くつ)()(かん)()ごして

(いろ)(いろ)(ほん)()んだ。



大人(おとな)使(つか)(こと)()があって、

それに(そう)(とう)する()()()けば、

なんとなく()めるようになっていた。



()()(たち)(かい)()は、(こと)()(きょう)(ざい)になった。



ただ、(おさな)かったわたしには、

()()しの(ふん)(べつ)がつかなかった。



真似(まね)をして()()()(たん)()(しゃべ)っても、

()(まわ)しから()()()(かい)していないので、

(はつ)(げん)(しか)られ、(たた)かれる(とき)もあった。



()(ゆう)のわからない(ぼう)(りょく)()け、

()()(たち)(かい)()(こころ)みることは(あきら)めた。



わたしが()らしていた(とう)には、

なぜだか(ほん)がいくつもあった。



いつの(ころ)からか、(ほん)()(ごと)()えて、

(ほん)(りょう)()えれば(ほん)(だな)()()てられた。



(ほん)()()むひとは

ゴレムという()()(しょ)(かん)で、

()()(たか)(しょ)(ろう)(おとこ)だった。



挿絵(By みてみん)



()(しょ)(かん)()(ごと)は、

(しろ)にある(ほん)()み、(うつ)し、(かん)()する。



(みず)()(そう)(さかづき)でサイフォンの(じっ)(けん)(おこな)い、

(ゆか)(みず)(こぼ)したわたしは()()(たち)(しっ)(せき)され、

(かの)(じょ)(たち)()めたのがゴレムだった。



(かれ)(とう)()らすわたしの()(かい)(しゃ)になった。



(とう)()(たび)にわたしに()い、

(なん)(さつ)かの(ほん)()部屋(べや)()()んで、

そこが(しょ)(しつ)へと()わった。



わたしの()んでいた(とう)(かぜ)(とお)しが()くて、

(ほん)(かく)()(しょ)(てき)していた。



()()まれる(ほん)(だれ)()まなくなった(ほん)で、

それはつまりわたししか()まない(ほん)になる。



ゴレムにはわたしの(ねん)(れい)(ちか)

(まご)()るらしく、()()(たち)とは(ちが)って

よく(はな)(あい)()になってくれた。



わたしは(かれ)から(むずか)しい(しょ)(たい)や、

()(だい)(しん)()、ネルタの(てい)(けい)(ひょう)(げん)(なら)った。



いつしかゴレムはなにも(おし)えてくれず、

やがて(かれ)姿(すがた)()せなくなった。



わたしはまた、(とう)(ひと)りになった。



(きょ)(ねん)(ふゆ)(まえ)にして

()()される(かたち)(とう)()(とき)

(どう)()(ほん)(ほん)(だな)(すべ)()やされてしまった。



カヴァの(ぐん)()めてきたせいで、

わたしはベッド()わりの()()()(いっ)(しょ)

(はしけ)()せられ、(みずうみ)(わた)った。



(とう)()()されて、(しろ)(きた)にある

()(じょ)(たち)()(つき)(やかた)という(べっ)(かん)の、

()()(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)へと()(じゅう)()いられた。



(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)には(だれ)(ほん)()()まず、

(しょく)(ざい)ではない(ほん)(とう)(ぜん)(そん)(ざい)()い。



()()(たち)から()()()れられることも、

(はな)(あい)()さえも()ない。



ネルタとカヴァの(せん)(そう)()わり、

わたし(たち)()()から()()された。



――それから、あの…、()()(おり)に…。



「ニクス!」スーが(さけ)び、()()けた。



「わっ! っぷ!」



()()けばわたしはお()()(おぼ)れかけていた。



()んだお()(よく)(そう)(そと)()き、

それと(とも)(はな)(みず)(なが)()る。



(はな)()(かたまり)()ざって()てきた。



「お()()()たら(あぶ)ないよ。」



()てしまうほど(つか)れてたんですね。」



「うぅ…。ごめん…。ふぅ…。」



(はな)びらの()かぶ(おお)きな()()

(むかし)(ゆめ)()た。



(ひと)りだけの(とう)(なか)

()(ども)(よう)(よく)(そう)だったタライ、

わたしだけの(ほん)(だな)はもう()い。



こんな(やかた)()ることが、

わたしにとっては(ゆめ)(おも)える。



――(にお)いの()(おく)



()()かぶ(ほの)かな(はな)(かお)りが、

わたしの()(おく)(こん)(だく)させた。




 ◆ (だい)(しょう) 『()(べん)()』 おわり

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