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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第3章 花弁の湯

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第3章 第2節 夜の館の朝(第4項)

テーブルには()()てのパンと、

(とう)(めい)(こん)(じき)をしたスープ。



スープ(ない)()(おん)()()()こす(たい)(りゅう)によって、

()いた(たまご)(えき)(たい)(なか)()らいでいる。



(たまご)(ほか)には(こん)(さい)(るい)(とも)(きざ)んだ(くん)(せい)(にく)



スーが()めて、ヤゴウが(さば)いた雄鶏(おんどり)(にく)

欠片(かけら)になって(はい)っている。



(しょく)()(まえ)はみんなで(りゃく)(しき)(いの)った。



フランジのスーとレナタ、

ドレイプのサンサとメノーは()()じ、

(あご)()いて(にぎ)った()(むね)()てる。



これはネルタでも()(しょく)()(まえ)(こう)(けい)



この(いの)りの(たい)(しょう)はもう(そん)(ざい)しない。



――(かの)(じょ)(たち)

  なにに(たい)して(いの)っているのかしら。



ネルタに()(ころ)(ちが)い、

(おう)という(いの)りの(たい)(しょう)(うしな)ったわたし。



(かみ)()(しん)という(おう)()けて、

わたしの(ちち)(まい)(にち)のように(いの)った。



(みなみ)(そび)え、(かみ)(しょう)(ちょう)とされる

(てん)(がい)(さん)(ほう)(こう)(いの)りを(おこな)う。



(ひざまず)き、()()じて(かる)(にぎ)った()

(むね)()てて()(きゅう)(ひか)えて、(いの)りに(しゅう)(ちゅう)する。



()()(たち)()られながら(あさ)(ひる)(ゆう)

(しゅう)(しん)(まえ)()かさず(おこな)わなければならない。



(とう)()んでいた(ころ)は、

(てん)(がい)(さん)のある(みなみ)()かって(まい)(にち)(いの)った。



(いの)ってもわたしは(ふゆ)(まえ)(とう)()()され、

(しろ)から(みなみ)()()する『(つき)(やかた)』と()ばれる

(べっ)(かん)()()()ごすことになった。



(べっ)(かん)()()から、

(おう)()(しろ)のある(きた)()かって(いの)る。



()()()らす(わか)()(じょ)(たち)は、

(かみ)(しょう)(ちょう)とされる(てん)(がい)(さん)には(いの)らない。



(かみ)()(しん)である(おう)への(いの)りを(おこな)うと、

(かみ)(しょう)(ちょう)になる(てん)(がい)(さん)()()けてしまう。



(かみ)(しょう)(ちょう)()()けて(いの)るべきなのか、

(かみ)()(しん)(しょう)する(おう)(いの)るのが(ただ)しいのか。



この()(もん)(だれ)(こた)えられなかった。



わたしの()(もん)(だれ)にも(はん)(だん)ができず、

()からないことを()からないままにして、

(いの)りを(おこな)っていた。



(となり)のひとには(くち)()いて(もら)えず、

わたしは(たた)かれ、()られ、(ののし)られ、

()(そう)(ひょう)(じゅん)(そん)(ざい)しないことを()った。



(いの)らなければ(たた)かれるので、

()いた(じょ)(さん)()(となり)真似(まね)して、

(ひざまず)いて()()()()(かん)()ごす。



(おう)(べっ)(かん)()()姿(すがた)()せない。



やがてカヴァに()らえられたわたし(たち)は、

()らない()()(おり)()らすうちに、

いつしか(いの)らなくなった。



「ねぇ、スーはなにに(いの)ったの?」



(となり)のスーに()(ごえ)(たず)ねた。



「お(いの)りの(たい)(しょう)


 そんなに(むずか)しく、

 (かんが)えなくてもいいんだよ。」



スーが(ろう)(じょ)(さん)()のようなことを()うと、

()かいのレナタも()()()がった。



「ニクスは(いの)らないんですか?」



「レナ、()(じん)がお(めか)ししてるわね。」



サンサがレナタの(ぎん)(ぱつ)(なか)から

(あか)(つち)(いろ)()(もう)(つま)()ると、

(ひざ)(うえ)(すわ)るアルの(はな)(うえ)()せた。



挿絵(By みてみん)



アルはくしゃみを(なん)()()(かえ)して

(あたま)()る。



「もう、サンサってば。

 ()()(わる)をしてはダメよ。」



「ふふふっ。


 アルが(ねこ)みたいな

 くしゃみをしたのよ。」



「アルは(ねこ)ですから(とう)(ぜん)ですよ。」



レナタに(しか)られる(とし)(うえ)(おんな)



「ニクスの()(もん)()()はないわね。


 ()(だん)(いの)りも、(かんが)えなければ

 ただの(いん)(じゅん)(しゅう)(かん)だもの。


 (だれ)()(もん)には(おも)わないでしょ。


 オーブも(いの)りはするけれど、

 (しょく)(ぜん)には(いの)らないのよ。」



(しょく)()(いの)るんですか?」と、レナタ。



(しゅ)(りょう)(みん)(ぞく)だったから、かしらね。


 ()りを(おこな)(まえ)(しゅう)(ちゅう)する(ため)(いの)って、

 ()った(とき)(さい)()(いの)るの。


 ()りでの()()()けたいでしょ?


 ()()ぎて()(たい)(すう)()っては、

 (しゅ)(りょう)(みん)(ぞく)には()(かつ)(もん)(だい)よね。」



「ニクスはオーブの(しゅっ)(しん)なのかしら?」



(こん)()はメノーが(たず)ねてきた。



わたしは(くび)(よこ)()ろうとすると、

それよりも(さき)にスーが(くち)(はさ)んだ。



「メノー、ニクスはただの()()だよ。」



「あら、ふふっ。

 ナルシャだったわねぇ。」



ナルシャは『()()(もの)

という()()()つ。



この(やかた)では()(めい)()たない()()

フランジがそのように()()る。



サンサは、レナタの(よう)(もう)のような

(ゆた)かな(ぎん)(ぱつ)(あたま)(かる)(ゆび)()いた。



「スーの()(とお)り、

 お(いの)りに()まりなんてないのよ。


 今日(きょう)(はや)()()()たことを

 (いの)ってもいいわね。


 (まい)(にち)おいしい(しょく)()(よう)()してくれる

 ヤゴウに(かん)(しゃ)()()ちを()めるとか――、

 それは(ほん)(にん)()った(ほう)(よろこ)ぶわね。


 ()(だん)はあんな(しぶ)(がお)だもの。


 (たと)えばオーブでは、

 ()(にく)になる(にわとり)(いのち)への

 (けい)()(はら)ったりね。


 お(いの)りなんてものは、

 ()(ぶん)の『(たましい)』に()()(ため)よ。」



()(ぶん)(たましい)…。」



――これもニースだわ。



(たましい)ってなんですか?」



わたしに(つづ)いてレナタが()(もん)(くち)にする。



(たましい)(たい)(りく)(なん)(ぽう)、クレワ()だと

 これを『()()』なんて()ぶわね。


 ()(そう)(こと)()ね。


 わたし(たち)はもう

 ()(にゅう)を求めて()(あか)()や、

 ()(えさ)()(ひな)(どり)ではないでしょ?


 なにを(かんが)えて今日(きょう)()き、

 なにを(もく)(てき)にこれから(こう)(どう)するのか、

 自ら(かんが)え、(かん)()るのが(たましい)


 (たましい)(にん)(げん)()(がい)にもあったりするのよ。


 (うま)(にわとり)

 アルも()ってるんでしょうね。」



(せい)(ぶつ)(げん)(てい)するんでしょうか?


 ()(へき)()には、その(たましい)はあるんですか?」



サンサの()(にん)(げん)()(がい)(せい)(ぶつ)ですらない

(ぶっ)(しつ)(たましい)についてレナタは(かんが)えている。



「それは(かん)(そく)するひと()(だい)ね。」



「ひとに(かん)(けい)するものなんですね。」



(こと)()使(つか)った()(そう)(がい)(ねん)だもの。


 わたしが

 『メノーのモザイク()には(たましい)がある。』

 と()ったとしても、それはわたしの

 (かん)(かく)()べたに()ぎないわ。


 それをレナが

 『サンサが()っていたから、

  あの()には(たましい)がある。』

 と(つた)えてはダメよ。」



「…サンサが『(たましい)がある。』

 と()ったのに、ですか?」



サンサの(せつ)(めい)にレナタは(くび)(ひね)る。



――(たと)(ばなし)よね…?



――大人(おとな)(はつ)(げん)に、

  ()(ども)(せい)()(はん)(だん)なんてできないもの。



パンを(かじ)っているスーが、

なぜかわたしに()(せん)()ける。



わたしは()(しん)なく(くび)(たて)()った。



「サンサは

 『(はなし)(おう)(ふく)()せる。』

 って()いたいんでしょ。」



(とう)()んでいた(ころ)

()(しょ)(かん)のゴレムに(おそ)わった(ことわざ)



――(だれ)かが(おう)(ふく)()たところで、

  (おう)には()()われないわ。



――(おう)()らしや(たい)()真似(まね)しても、

  (たい)(かん)して(しゅう)()(みと)められなければ、

  (おう)として(うやま)われるはずはない。



――()(ぞく)でも(した)(ばたら)きでも、

  ()(れい)でも(ざい)(にん)でもそれは(おな)じよね。



――つまり(おう)()(けん)は、

  ()(ぶん)()(けん)にはならない。



「ニクスの()(まわ)しは(どく)(とく)ね。」



()ったサンサは、

なぜかわたしのお(さら)果物(くだもの)()いた。



挿絵(By みてみん)



バイテスという(あか)るい(みどり)(いろ)(つぶ)は、

ジュースや(さけ)(せん)(りょう)()(ぞん)(しょく)など

(はば)(ひろ)使(つか)われている。



(かん)(そう)させた()(ぞん)(しょく)になり、

ネルタでは(そだ)たないこの()(ちょう)(しょく)(ざい)は、

(おさな)(ころ)(しょう)(りょう)しか(くち)にした(けい)(けん)がなかった。



それがこの(やかた)では(まい)(にち)のように(きょう)される。



「…(こと)()(ふく)ですか。」



あまり(ひょう)()されなかった()(まわ)しも、

レナタは(かの)(じょ)なりに()(かい)(しめ)してくれた。



わたしを()(ちから)(づよ)(うなず)くと、(かの)(じょ)もまた

わたしのお(さら)にバイテスを()いた。



スーとメノーまで(おな)じことをする。



(こま)ったわたしはそれを1(つぶ)()にした。



バイテスは(あま)さが(ひか)えめで、

()っぱさと(みず)っぽい(あじ)(くち)(なか)(ひろ)がる。



()(かい)(がた)(やかた)(いん)(じゅん)に、

わたしは(くび)(ひね)った。



「なんだか(はなし)()れたわね。


 (まい)(にち)(しょく)()()んで()べて、

 (あそ)べる(とき)(おも)(ぞん)(ぶん)(あそ)んで、

 (まな)べるだけの(たい)(りょく)をつけなさい。


 わたしのお(いの)りなんてそんなものよ。」



()って()(しょう)()かべるサンサは、

わたしをそう(ちゅう)(こく)――(あさ)んだ。




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