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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第9章 薄闇の嵐

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第9章 第4節 赫灼の夜(第2項)

(しゅう)(かく)(さい)(にぎ)やかだった()(とう)(しつ)も、

(よる)(ふか)まれば(やかた)(とも)(ふか)(ねむ)りにつく。



どこかの部屋(へや)(とびら)(ひら)いた。



(そと)(ろう)()(ある)()(あし)(おと)



ベッドで(ねむ)っていたわたしは、

(なん)()かの(あさ)(ねむ)りを()(かえ)していた。



(げき)(じょう)にある(かい)(だん)(じょう)(きゃく)(せき)(のぼ)ったせいで、

(あし)(あつ)くて(ひさ)しぶりに身体(からだ)(ふし)(ぶし)(いた)い。



(てん)(まど)から()(そそ)(げっ)(こう)で、

(まぶた)()じていても(まぶ)しく(かん)じる。



(となり)のスーはいつものように(しず)かに()ている。



今日(きょう)のことを(かん)えるほど、

(ねむ)りから(とお)ざかってしまう。



(げっ)(こう)(こば)んで身体(からだ)(ひね)ると、

また(にく)(たい)()(めい)(はな)ち、

(あさ)(ねむ)りから()める。



()()じたところで、(みみ)(ふさ)がらない。



どこかで(むし)(はね)(こす)()わせ、

(めす)(さそ)(えん)(そう)をしている。



(たま)(いし)(にわ)から、(いし)(こす)れる(おと)



(いぬ)(とお)()え、()(ちょう)(つぶや)き。



(あし)(おと)(かい)(だん)(のぼ)り、

(そと)(ろう)()(とお)って(ちか)()き、

部屋(へや)(とびら)(ひら)かれる。



この部屋(へや)(だれ)かが(はい)ってきた。



わたしは()ている()りをして、

(もう)()(なか)(しず)かに(いき)()く。



(あし)(おと)部屋(へや)(おく)へと()かう。



(おく)でクッションが(なん)()(たた)かれ、

(ひく)(おと)(みみ)()つ。



()(えい)(とう)(だれ)かが()って(さわ)いでいるのか、

また(しん)(にゅう)(しゃ)()たのかもしれない。



(ちか)()(あし)(おと)(あら)(いき)(づか)い。



()(くう)()(げき)する(しゅう)()(おぼ)えがあった。



また()(がえ)りを()ち、

スーのベッドの(ほう)()た。



(つき)()かりの(もと)に、(だれ)かが()っている。



ユヴィルの(やかた)の、()()(しつ)()(あか)(かみ)



その()はスーのベッドを()()ろして、

(やみ)(いろ)()れたナイフを()()ろした。



「トリンッ!」



わたしは(はん)(しゃ)(さけ)んで、

トリンの()(なか)()()かった。



トリンの()()ろしたナイフは、

(よう)()()(もう)()(つらぬ)き、

スーのベッドに()()てられた。



「トリンッ! なんでっ?」



わたしが(さけ)んだ()(もん)に、

トリンの(こた)えは(ひつ)(よう)なかった。



「ニクス…トリッ…?」



スーが(いた)みと(くる)しみから、

(へき)(しょく)()(うす)(ひら)いて()せた。



(くる)しむスーに、トリンが(はな)(あざけ)る。



()()みはじめたスーは、

()(えき)ではない(くら)(えき)(たい)()()した。



(げっ)(こう)(かの)(じょ)(くち)から()()()()らし、

(なん)()(せき)をして身体(からだ)(くる)しみを(うった)えている。



「スーッ! ()って! サンサッ!」



わたしの(さけ)(ごえ)()(めい)(ちか)い。



「サンサは…もう()んでる。」



トリンはスーのベッドから()()った

ナイフを(なが)める。



ナイフに()()さった(よう)()()

(おも)さで(ゆか)()ちて、(くら)()

インクのように(にじ)(はじ)めた。



「ニクス。

 あんたはこんな(やかた)

 ()るべき(にん)(げん)ではないのよ。


 ネルタのお(ひめ)(さま)なんだもの。」



「…トリン?」



その(こと)()()()が、()(かい)できない。



「あんたはネルタの(じょ)(おう)になるべきだわ。」



――(おろ)かだわ…。



わたしが(しゅつ)()をトリンに(おし)えたことで、

(かの)(じょ)はこの(もう)(どう)(およ)んでしまった。



「…トリンが()った(とお)りよ。


 わたしの(こと)()には

 なんの(こん)(きょ)もないわ。」



「あんたがわたしに(したが)えばいい。


 わたしが(こう)(けん)(にん)になって、

 あんたを(じょ)(おう)にしてあげる。


 この(やかた)を、(ぶん)(すい)(がい)

 (あたら)しいネルタにするのよ。」



トリンの(あさ)はかな(かんが)えからくる(もう)(どう)は、

()(かい)(きょ)(よう)もできない。



(かの)(じょ)(ふく)(しゅう)(くう)(きょ)(よく)――。



(よく)()(こう)()めて、

 ()(しゃ)(ほのお)(あが)めるのね…。」



わたしの(なか)にも(ぞう)()(かん)(じょう)()()つ。



「ニースがわたしに(さか)らうの?」



「トリンなんかに(したが)わないわ。


 ナイフで(おど)さないと

 なにもできない(とう)(ぞく)真似(まね)で――。」



「このぉっ!」



(たか)()られたナイフにわたしは、

(はん)(しゃ)(てき)(かお)(そむ)けて()(まえ)()した。



「あぁっ!」



わたしは(ぬの)()れみたいに()()かれ、

(いた)みが(ぜん)(しん)(おそ)った。



(みぎ)(うで)から(えき)(たい)(なが)(つづ)け、

()(ちから)(うしな)って()()ちる。



(ひざ)身体(からだ)(ささ)えられず、

ベッドに(こし)(あず)けて、

()()()()れた(また)(ぬの)()た。



(たて)()られた(うで)()()がらない。



(はげ)しい(いた)みに、身体(からだ)(うご)かなくなった。



「こんな(しょう)(かん)でっ、

 (しょう)()になる(ひつ)(よう)ないのよっ。」



わたしは(のど)()られてしまったのか、

もう(さけ)()(りょく)(うしな)っていた。



「あんたなんて()なくても()かったのよ。


 わたしが(おう)(じょ)になればね。」



トリンは(せん)(しょう)することで、

()(ぶん)()()()まれると(かんが)えた。



ナイフを()()げた(かの)(じょ)()()げた。



トリンが(ひだり)()にしたナイフの()(さき)は、

(かの)(じょ)(かた)から(むね)()けて

()()てられていった。



「あんた、なんで…?」



(うす)(やみ)()()むサンサの、

(つめ)たい(ひとみ)がわたしを()た。



(とう)(ぞく)がこんな()(なか)(はしゃ)いで。


 (あさ)ましいわね。」



ナイフを(ねじ)()まれたトリンは(ちから)(うしな)い、

サンサの(むね)()()かり、(ゆか)(くず)()ちた。



「サン…、サンサッ、スーが…。」



「これを()っていなさい。」



サンサは(しょく)(しょ)()()って、

わたしの(ひだり)()()たせる。



(つか)(ゆび)(ちから)(はい)らず、(ゆび)()く。



わたしの(じょう)(わん)にその(しょく)(しょ)(かた)()きつけ、

(かの)(じょ)()(けつ)をしてくれた。



でもわたしよりも(しん)(こく)(じょう)(たい)のスーがいる。



「スー…? ねえ…?」



わたしが(なん)()()(まえ)()ぶと、

スーは(わず)かな()(きゅう)(つづ)けている。



(かの)(じょ)()された(はい)()(なが)れて(くる)しみ、

()()そうと(せき)()(かえ)した。



(いや)だよ…わたし。」



「ファウナ。」



サンサは(べつ)()(まえ)()んだ。



()(なか)()(しょく)()らされていた。



()けられた部屋(へや)(とびら)から、

ファウナが(はい)ってきた。



(さわ)ぎに()()いてこの部屋(へや)()(かの)(じょ)

(じょう)(きょう)(こん)(わく)している。



()(えい)()こして、()(しゃ)(よう)()させて。


 メノーにスーを(びょう)(いん)まで(はこ)ばせるわ。」



「わっ、()かった。」



わたしはベッドに(すわ)ったまま、

なにもできずにスーを()ている。



スーは(せき)(よわ)くなって()(かたまり)()く。



()って…。」



わたしの(こえ)は、(くる)しむ(かの)(じょ)には(とど)かない。



部屋(へや)(はい)ってきたハーフガンが、

()()れた姿(すがた)のスーを(よこ)()きにする。



(ちから)()()()がるスーの()の、

()(くび)にした(てい)(てつ)(そう)(しょく)(ひん)(ひかり)る。



「アルッ!」



サンサが部屋(へや)(おく)のアルを()んだ。



アルは(ほう)(ほう)(たな)()がって、

スーの(むね)()()った。



「おいっ!」



「いいのよ。これで。


 (あと)はメノーに()って(もら)いなさい。」



ハーフガンに()わって、

アルがミャオと(へん)()をした。



()いてかないで…。」



「ニクスはここで(しょ)()するわ。」



サンサがわたしの(かた)()れると、

わたしは(うで)(いた)みで身体(からだ)(こわ)()る。



「…()かった。」



ハーフガンがアルを()せたスーを(かか)えて、

部屋(へや)()()ってしまった。



「サンサ…、トリンは?」



トリンは(ゆか)(たお)れたまま、

ずっとわたしを()ていた。



「もう()んでるわ。」



()(たい)(もう)()()けられ、

()(えい)(たち)(はこ)()す。



「…スーは?」



「メノーの(びょう)(いん)()れて()ったわ。」



「サンサは?」



()(まえ)(かの)(じょ)のチュニックは、

()()れて(げっ)(こう)()らされる。



わたしは(いた)みと(こん)(らん)で、

(かんが)えがなにもまとまらず、

(だい)()ななにかを()()としている。



また(あたま)(なか)(もや)(ただよ)う。



(はや)くその(きず)()いましょう。」



(みぎ)(うで)(ひじ)から(さき)(かん)(かく)がない。



サンサは(たな)から(かわ)(ぶくろ)()()して、

わたしの(まえ)(ふくろ)(くち)(ひら)いた。



()(おぼ)えのある(しろ)(いろ)の、セリーニの(かい)(けい)



わたしの(あし)(もと)(すわ)るイオスが、

()きも()びつきもせずに()()げている。



イオスの(ひら)いた(どう)(こう)(げっ)(こう)(かがや)き、

(かい)(けい)(しゅう)()(たい)し、(あば)れたりしない。



(なが)(ふと)尻尾(しっぽ)()れて(なみ)()つ。



()(しゅう)()()ざった

(かい)(けい)()(げき)(しゅう)(むせ)ると、

()(なか)(うご)きに()わせて(うで)(いた)んだ。



「これを()んで()んでおきなさい。

 (いた)()めよ。」



(ねつ)()びた(うで)(いた)みと身体(からだ)(つめ)たさに、

(かく)()して(かい)(けい)(ひと)(つぶ)(くち)(ふく)んだ。



挿絵(By みてみん)



「あっ…がっ!」



()むと(くち)(なか)(しぶ)()()(くう)()(あお)(くさ)さ、

(した)()(いた)みと(のど)()(から)さが、

()()()(えき)(とも)(なが)()み、

(はん)(しゃ)()()(おそ)われる。



(した)()まないように、

 (くち)(ぬの)()んでいなさい。」



(みず)(ぶくろ)()()まれ、(のど)(みず)(あふ)れる。



挿絵(By みてみん)



サンサになにかを()われたけれど、

()(かい)(こば)み、(くび)(よこ)()る。



(さわ)られた(きず)(いた)みで、なにも(かんが)えられない。



ベッドの(ふち)(おう)()し、

(あし)(ゆび)(うご)かして(もだ)えながら()える。



「ねぇ…、レナ…は…?」



(はん)(しゃ)(なが)れる(なみだ)()()じて(うった)えても、

わたしの(くち)(ぬの)()れられる。



「しばらく(こら)えなさいね。」



(つめ)たい(みず)(きず)(ぐち)(そそ)がれたのを()て、

わたしの()(しき)()()えた。




 ◆ (だい)(しょう) 『(うす)(やみ)(あらし)』 おわり

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