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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第9章 薄闇の嵐

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第9章 第4節 赫灼の夜(第1項)

挿絵(By みてみん)



(やかた)(はい)るとムネモスが(なが)()()()ていた。



(あか)(つち)(おか)()いたのは、

(にち)(ぼつ)(かね)()()わる(ころ)だった。



そんな()(こく)にムネモスは(しょく)(どう)で、

(もう)()()けられたまま(ほう)()されていた。



アルとイオスは(まえ)(あし)()せ、

ムネモスの(かお)りを(ねっ)(しん)()ぐと、

(そろ)って(くち)()けてわたし(たち)()てきた。



「ムネモス。()てるの?」



わたしが()()けてもムネモスは()きず、

(あせ)()じって(みょう)なにおいを(はっ)し、

(あく)()(くる)しめられている。



「セセラのお(さけ)(かっ)()()んだのよ。」



サンサが(りょう)()(あぶら)(こな)(まみ)れの姿(すがた)

(ちゅう)(ぼう)からやってきた。



(こう)ばしい(にお)いが(ぜん)(しん)(つつ)んでいる。



「フランジの(だれ)かを真似(まね)してね。」



「…それ、わたしのこと?」



「おかえり。」サンサが(あらた)めて()う。



「ただいま(かえ)りました。」



「ただいま…。」



()(つう)(あい)(さつ)()わしただけなのに

()ずかしくなる。



「ムネモス。

 こんな()(しょ)()ていたら、

 風邪(かぜ)()いてしまいますよ。」



「うー…、あっ!

 身体(からだ)が、(いた)ぁいんです。」



(かた)(なが)()()(うえ)(すい)(みん)(てき)さない。



「どこか(いた)むんですか?」



(ぜん)()ぅ…。」(あく)()(なか)でも(へん)()をする。



「ただの(きん)(にく)(つう)ね。


 メノーと(おど)って。」



(きず)()いた(きん)(にく)(せん)()(しゅう)(ふく)する()(てい)

(えん)(しょう)(はん)(のう)()きて、身体(からだ)(ねつ)(はっ)する。



「あれからずっとメノーと(おど)ってたんだ。」



「それは(たい)(へん)でしたね。」



メノーの(もと)フランジのレナタが(どう)(じょう)する。



「メノーは(ゆう)(しょく)()ませて

 また(おど)りに()ったわよ。」



わたしとは(くら)べるまでもなくレナタも、

それにサンサも(おど)りが(うま)い。



部屋(へや)()れていって()かせよう。」



(てい)(あん)したスーが

ムネモスの身体(からだ)(ささ)えて(かい)(ほう)する。



()()(じょう)ぅ…。」



「ムネモス。

 こんなところで()いではダメよ。

 ()きて()(ぶん)(ある)いて。」



わたしは(かの)(じょ)(もう)()()(かさ)ねて、

レナタに(あず)けた。



「ムネモスは、

 (じゅう)(ぎょう)(いん)部屋(べや)でいいんですか?」



レナタの(しつ)(もん)(だま)って(うなず)くトリンの()

まだ(あか)()える。



(おな)じフランジの(しん)(しつ)(とう)でも、

ムネモスは2(かい)(じゅう)(ぎょう)(いん)部屋(べや)使(つか)って、

いまはメノーと(とも)()()きしていた。



()るなら()(みが)かないと。」



わたしはサンサに()われる(まえ)()げた。



「あなた(たち)(ゆう)(しょく)はまだよね?


 ()(とう)(しつ)(とく)(せい)(ひん)がまだ(のこ)ってるわよ。」



(もど)ってから()べますから、

 (のこ)してくださいね。」



(しん)(ぱい)してなくても、

 ニクスでも()()れないわよ。」



スーとレナタに()れて()かれるムネモス。



「サンサはわたしをなんだと(おも)ってるの。」



「トリンも、

 ニクスに(すべ)(うば)われる(まえ)()べなさい。」



()らない。」



トリンはサンサを(にら)んでから、

(しょく)(どう)()てフランジ(とう)へと()ってしまった。



(いぬ)尻尾(しっぽ)()んだのかしら。」



「また()(みょう)()(まわ)しをして。」



トリンに(こば)まれて二人(ふたり)になると、

サンサはわたしの(ひょう)(じょう)(さぐ)る。



「ニクスは、…()わらないわね。」



「…()(だん)(どお)り、()(つう)だよ。」



わたしは(あきら)めにも()()(ぶん)()(あら)う。



()(だん)(どお)り? ()(つう)? ニクスが?」



(はい)()でサンサが(こえ)(はず)ませる。



(かの)(じょ)(こな)(あぶら)(まみ)れの(ひだり)()()()して、

()(ぶん)()(あら)うように(よう)(きゅう)した。



わたしは(あわ)()てた(せっ)(けん)でブラシを()に、

サンサの(しろ)()()でて(あら)う。



「なにがおかしいの?」



「レナが()(じゅ)(えん)(はい)って、

 クァンを()った()(おも)()したのよ。」



わたしは()()(すわ)り、

()(ろう)(とも)(ふか)()(いき)()く。



()(ぶん)()(まえ)()えずに(うそ)をついて、

 この(やかた)(だっ)(そう)した(あら)(うま)だもの。


 わたしだって()(ぶん)くらい(いつわ)るわよ。」



「ふふふっ。」



サンサは()(ぎゃく)のような(じょう)(だん)(この)んで(わら)い、

ヤゴウに(ちゅう)(もん)をするべく(ちゅう)(ぼう)()かった。



(しゅう)(かく)(さい)(きゅう)(よう)()でも(ちゅう)(ぼう)にはヤゴウと、

その(むすめ)のデーンが()る。



(うす)(じろ)(はだ)のデーンの、

(ひとみ)(いろ)(かみ)(いろ)はヤゴウと(おな)じで、

(ねっ)(しん)()()(ひょう)(じょう)(おや)()()ている。



デーンも(さき)(ほど)まで()いていたのか、

()(あか)くして(こな)(しろ)くなった(はな)(ぬぐ)い、

()(りょう)()(にら)みつけている。



――あれが()(つう)…。

  それとも()(つう)でもないのかしら。



(おや)()(ひと)つの(かたち)で、

(よる)(やかた)(はたら)(じゅう)(ぎょう)(いん)



ドレイプでもフランジでもない、

(ちゅう)(りゅう)(かい)(きゅう)(ろう)(どう)(しゃ)()(ども)



(ちゅう)(ぼう)(はたら)くかれらを(なが)めていると、

(きゃく)(せき)(かい)(だん)(のぼ)った(つか)れが()てきて、

(まぶた)()ろすと(ねむ)りかけていた。



()るのなら()(みが)きなさいよ。」



「ぅん。

 サンサは、どうしてここに()るの?」



「わたし(たち)はどこから()て、

 (なに)(もの)で、どこへ()くのか。」



サンサは(とつ)(ぜん)(なぞ)()きを(はじ)めた。



(むかし)から退(たい)(くつ)()(あま)した(ひと)(びと)は、

 こうした()(そう)(なぞ)()きをして(あらそ)ったわね。


 ()(そう)(しゅ)(ちょう)(けん)()()ける(どう)()になった。」



(かの)(じょ)(ちゅう)(ぼう)から、

(あたた)めたスープを()って()てくれた。



「ありがと。

 そんな()(そう)(はなし)でもなくてさ。


 サンサは(しょう)()になりたかった?」



(かの)(じょ)はは(しゅ)(こう)しない。



(ちん)(もく)()(てい)という(こた)えだった。



(ちが)うからこの(やかた)(しょう)()を、

 ドレイプって()(まえ)()えた。


 なにかを(かく)(もく)(てき)があるのよね。」



――それが(よる)(やかた)()()(ゆう)



サンサは()()じてから(うなず)いた。



「…えぇ。(おし)えないわよ。」



()(ごと)(あば)きたいわけではないよ。


 けれどサンサには、

 (しょう)()って(しゅ)(だん)(えら)ばないことも

 できたんでしょ?」



「わたしにあったのは(ふく)(しゅう)(しん)だもの。」



(ふく)(しゅう)…それはもう()いんだ。」



「どうかしら。あって()しいの?」



「わたしに()かれても。んっ!」



スープを(くち)にしてわたしは(こた)えを(ひか)えた。



(せき)(のど)(こら)え、()(けん)(ちから)(はい)る。



(ひょう)(じょう)(ゆが)ませたわたしを()て、

サンサは(くち)(もと)(ゆる)ませる。



「わたしが()(きょう)

 ()(つう)()らせていたとしたら、

 レナや、あなた(たち)()うことも

 なかったわね。


 (うま)()られた()()にまで(さかのぼ)るわね。」



「んんっ。

 それ、わたし(たち)が、

 ()まれる(まえ)(はなし)でしょ?」



「またわたしを(とし)()(あつか)いしてるわね。」



()(じつ)(かく)(にん)だよ。」



わたしは(はな)(わら)ってからスープを(くち)にし、

また()()むように(のど)()らした。



「あっ、もう()べてるんですか?」



レナタとスーが(しょく)(どう)(もど)ってきた。



「スープだけよ。


 (いの)ってないもの。」



「レナも()んでみる?」



サンサはスープの(うつわ)を、

わたしの(となり)(すわ)った(かの)(じょ)()せた。



「なんですか? この()(もの)。」



スープに(はな)()せても(つよ)(にお)いはしない。



「それってポッポのスープだね。


 (くち)(なか)(あま)くなっておいしいよね。」



「うん? (あま)く?」



わたしはスーの(こと)()に、

()(もん)のまま(くび)(たて)()ってしまう。



スープを()んだ身体(からだ)(あつ)さで(みみ)まで(いた)い。



ポッポのスープは(あわ)いピンク(いろ)をして、

スプーンで(すく)うと(ねば)()がある。



「んっ! あっ! (から)っ!」



(おも)った(とお)りレナタは()()み、

(あさ)(はや)()(きゅう)()(かえ)(した)()した。



「どうしてスーまでレナタを(だま)したの?」



「えぇー? (さい)(しょ)(から)いけど、

 (あと)(あじ)(あま)くならない?


 ()わったスープだよね。」



()(えき)()ざるとそんな(せい)(しつ)になるわね。


 (しゅう)(かく)(さい)()()(かん)(だん)()(はげ)しいから、

 身体(からだ)(あたた)める(もく)(てき)(つく)られた

 大人(おとな)()けのスープよ。」



「んんーっ!」



レナタは()えられずに(ちゅう)(ぼう)()(なん)して、

デーンから山羊(やぎ)のお(ちち)(もら)って()む。



「それを()かっててレナタに(すす)めたの?


 わたしに()ませるのも

 どうかと(おも)うよ。」



「こうして大人(おとな)(あつか)いしてるのよ。」



レナタの()いていったスープを()(もど)して

また(くち)にした。



やっぱり(から)い。



()みたそうにしていたスーに(わた)すと、

(かの)(じょ)(へい)(ぜん)(かお)をして(むせ)る。



「この()(せい)(ねん)になっても

 (から)いものが(にが)()なのよ。」



「…それなのに大人(おとな)ってどうしてみんな、

 こんなに(から)()(もの)(この)むのかしら?」



(なぞ)だよね。」



()(なみだ)()かべた(せい)(ねん)のスーが()う。



(かの)(じょ)()(だん)から

スパイスティーすらも()まなかった。



(にが)いお(さけ)をおいしく()(ため)に、

 ()(かく)()(かん)(くる)わせているのよ。」



サンサは(あさ)ましく(した)(さき)()して()せた。



「それで()(かく)(くる)えば、

 おいしさなんて()からなくなるのに。」



(おろ)かな(こう)()よね。


 (おとろ)えて(にぶ)くなることが、

 大人(おとな)になることではないのにね。


 (かえ)ってきたレナを大人(おとな)(あつか)いして、

 もっと(から)いものを(つく)ってみようかしら。」



「もう、()()(わる)してはダメよ。」



(わたし)()(そう)だとレナタは(しょう)(らい)

 (りっ)()(おお)(ざけ)()みになるよ。」



「スーまでおかしなこと()わないで。


 (おお)(ざけ)()みは(りっ)()でもなんでもないよ。」



わたしの(こと)()にサンサが(わら)う。



「レナタは律儀(りちぎ)()なんだから。


 ハーフガンみたいになられても(こま)るよ。」



わたしは()()がって、

(ちゅう)(ぼう)(しょく)()(じゅん)()をする

レナタの手伝(てつだ)いに()った。



『ハーフガンは(ゆめ)()る。

 (さか)(だる)()いて(たから)(ゆめ)。』



わたしに(つづ)いて(となり)()ったスーが、

(よう)()にハーフガンの()(くち)(ずさ)む。



『ハーフガンは()(ぱら)い。

 (うみ)でもないのにふーらふら。』



スーの(うた)()わせて(さけ)(あお)ったヤゴウが、

(ふと)(あつ)みのある(こえ)(うた)(はじ)めた。



『ハーフガンは(さけ)(びた)り。

 今日(きょう)もちびちび、ぐでんぐでん。


 ハーフガンは()()ます。

 ()()めて(たから)はどこへやら。』



(ちち)(うた)(ごえ)にデーンも()(ぜん)とし、

サンサはお(なか)(かか)えて(わら)っていた。




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